無貌の男~千変万化のスキルの力で無双する。

きゅうとす

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王都のQT

面会

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儂バーライトはアンナと共に時間まで待つ。
アンナの話を聞けば本当に偶然としか思えない。見つけた男も報奨目当てで探した訳でも無かったらしい。
QTが見つかった経緯の後はその冒険者との惚気を聞かされ、幸せそうなのは良かったが些か辟易としてしまう。

義理娘のルビーも当然呼んである。夫と娘を同時に失うという痛ましい事件の後は塞ぎ込んでしまい、抜け殻のようになっていたが儂が仕事を当てつけ、息子の抜け穴を埋めるよう厳しい態度を取ったため、次第に気力を取り戻した。それでも1年以上は使い物にならず苦労した。心中を察すれば何処か静養させるのが良かったかもしれないがルビーも王都生まれ王都育ちの子爵家の3女だ。息子に惚れてお仕掛け女房になったくらいの女傑の気骨で何とか立ち直ってくれた。
孫を見つけたという連絡は真偽を確かめる前に教えるつもりも無く、今回もはっきりしてからと思ったが何処から聞き付けたのか自分も立ち会うと言い出したのだ。こうなったら儂の言葉が通じない。儂も半信半疑だが立ち会うというならと同席を許した。

アンナの話を一緒に興味深く聞いていたがQTという娘の話を目を輝かせて聞いていた。こんな調子では本物でなくても娘にしたいと言い出しかねないと嘆息してしまう。

ハニー家には掟がある。嫁や婿を取るにせよ金髪碧眼でなければならないというものだ。好きあって身体を許すことはどんな相手でも問題ないとするが家督を継ぐ者は金髪碧眼でハニー家の証の痣が必要とするのだ。
爵位は上がったり下がったりしているがハニー家は王家創立と同時期に貴族となった伝統ある家だ。この掟だけは何があっても守らなければならないとされてきた。その血脈のせいかハニー家の者は記憶力も良く、頭も良い。自慢では無いが聡明な血脈なのだ。発揮するスキルも特別ユニークなものが多い。だから、特に王家からの信頼も篤い。

ガチャリとドアノブの音で物思いから戻ると家宰のジョージが入ってくる。
どうやら入る前の声を聞き逃してルビーが入室を許可したらしい。
    ドア横で家宰のジョージが立つと冒険者の男が入ってきた。身長はかなりある。逞しくも愛嬌のある瞳がアンナを見つけて輝く。名前はDとか言うA級冒険者だ。確かメルクリオ伯爵が後ろ盾だった筈だ。メルクリオは軍閥の伯爵だが余り無理を言う奴でなく儂とはそこそこ付き合いはある。
ゆっくりとソファに近付くと後ろから小柄な女性の冒険者が現れた。

俯き加減だがその輝く金髪と碧眼は紛うことなき我が家の家系を思わせた。線が細く弱々しく見えるが軽装の防具は使い込まれ冒険者としても一人前に見えた。Dという男の横にソファの向こう側に立つと顔を上げた。
細面でありながら上がり眉と真っ直ぐな鼻筋は儂の隣に座るルビーそっくりだった。
ルビーの息を飲む音と共に儂まで立ち上がったのは仕方あるまい。QTと呼ばれる冒険者の少女は思わず身構えたが、ソファを避けて抱きついたルビーに驚きを隠せない。
「キュート・・・」

知らずに儂は涙を流していた。間違いない、この娘が儂の孫だ。痣を確認するまでもなく血がそう言っていた。驚きながらも眉を上げる仕草は今は亡き息子ロレンスの癖そっくりだった。

抱きついたルビーは声を震わせながら名前を呼び続けている。
「キュート、キュート、キュぅ・・・」
「お か あ さん?」

儂は冒険者の男を見やると顎をしゃくった。無言でQTを見ていた男は黙ってソファの向かいに座ったので儂も座った。
「確かめるまでも無かったな•・・」

低い男の声に儂も頷いた。
「間違いなく儂の孫だ。」

隣で微笑んでいるアンナに声を掛ける。
「良く教えてくれた、礼を言う。」
「あら、おじさま。それならDに言ってあげて。」
「無論だ、A級冒険者のD、見つけてくれた礼を言う。ありがとう。」

儂の声は少し掠れていて自分で驚く。
「なに、偶然さ。QTの為になったなら俺も嬉しい。」

出来た男のセリフを臆面もなく言うのはアンナが居るせいかもしれんな。バチコンと大げさなウインクをアンナにして、得意そうだ。
儂はドア近くで涙ぐんていた家宰のジョージを見ると慌ててジョージは用意してあった金貨袋をテーブルに載せ、下がった。
「これは礼だ。少ないかも知れんが気持と思ってくれ。A級冒険者なら後援者がいるだろうが我家も名を連ねてやる。」

同じクラスの冒険者でも後援者が複数連ねる場合は更に発言力や地位が増す。願ったり叶ったりだろう。
「今後、何かあった場合は我家の名を出して良い。」
「それはそれは、財務長官の後押しとあれば俺も動きやすい。」

ニヤけた男の顔はだらしない。
抱き合った二人が落ち着いたのを見計らって儂は孫に声を掛けた。
「ささ、ふたりとも座ってゆっくり何があったのか聞かせてくれ。」

ルビーはQTから片時も離れない積りなのか儂の隣に一緒に座りたがるのでアンナが冒険者の男とソファの反対側に座った。アンナはそれが普通というようにベッタリと男にしなだれかかっている。
なんだか話し難いが儂は質問を始めた。




    
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