54 / 159
王都のQT
面会
しおりを挟む
儂バーライトはアンナと共に時間まで待つ。
アンナの話を聞けば本当に偶然としか思えない。見つけた男も報奨目当てで探した訳でも無かったらしい。
QTが見つかった経緯の後はその冒険者との惚気を聞かされ、幸せそうなのは良かったが些か辟易としてしまう。
義理娘のルビーも当然呼んである。夫と娘を同時に失うという痛ましい事件の後は塞ぎ込んでしまい、抜け殻のようになっていたが儂が仕事を当てつけ、息子の抜け穴を埋めるよう厳しい態度を取ったため、次第に気力を取り戻した。それでも1年以上は使い物にならず苦労した。心中を察すれば何処か静養させるのが良かったかもしれないがルビーも王都生まれ王都育ちの子爵家の3女だ。息子に惚れてお仕掛け女房になったくらいの女傑の気骨で何とか立ち直ってくれた。
孫を見つけたという連絡は真偽を確かめる前に教えるつもりも無く、今回もはっきりしてからと思ったが何処から聞き付けたのか自分も立ち会うと言い出したのだ。こうなったら儂の言葉が通じない。儂も半信半疑だが立ち会うというならと同席を許した。
アンナの話を一緒に興味深く聞いていたがQTという娘の話を目を輝かせて聞いていた。こんな調子では本物でなくても娘にしたいと言い出しかねないと嘆息してしまう。
ハニー家には掟がある。嫁や婿を取るにせよ金髪碧眼でなければならないというものだ。好きあって身体を許すことはどんな相手でも問題ないとするが家督を継ぐ者は金髪碧眼でハニー家の証の痣が必要とするのだ。
爵位は上がったり下がったりしているがハニー家は王家創立と同時期に貴族となった伝統ある家だ。この掟だけは何があっても守らなければならないとされてきた。その血脈のせいかハニー家の者は記憶力も良く、頭も良い。自慢では無いが聡明な血脈なのだ。発揮するスキルも特別なものが多い。だから、特に王家からの信頼も篤い。
ガチャリとドアノブの音で物思いから戻ると家宰のジョージが入ってくる。
どうやら入る前の声を聞き逃してルビーが入室を許可したらしい。
ドア横で家宰のジョージが立つと冒険者の男が入ってきた。身長はかなりある。逞しくも愛嬌のある瞳がアンナを見つけて輝く。名前はDとか言うA級冒険者だ。確かメルクリオ伯爵が後ろ盾だった筈だ。メルクリオは軍閥の伯爵だが余り無理を言う奴でなく儂とはそこそこ付き合いはある。
ゆっくりとソファに近付くと後ろから小柄な女性の冒険者が現れた。
俯き加減だがその輝く金髪と碧眼は紛うことなき我が家の家系を思わせた。線が細く弱々しく見えるが軽装の防具は使い込まれ冒険者としても一人前に見えた。Dという男の横にソファの向こう側に立つと顔を上げた。
細面でありながら上がり眉と真っ直ぐな鼻筋は儂の隣に座るルビーそっくりだった。
ルビーの息を飲む音と共に儂まで立ち上がったのは仕方あるまい。QTと呼ばれる冒険者の少女は思わず身構えたが、ソファを避けて抱きついたルビーに驚きを隠せない。
「キュート・・・」
知らずに儂は涙を流していた。間違いない、この娘が儂の孫だ。痣を確認するまでもなく血がそう言っていた。驚きながらも眉を上げる仕草は今は亡き息子ロレンスの癖そっくりだった。
抱きついたルビーは声を震わせながら名前を呼び続けている。
「キュート、キュート、キュぅ・・・」
「お か あ さん?」
儂は冒険者の男を見やると顎をしゃくった。無言でQTを見ていた男は黙ってソファの向かいに座ったので儂も座った。
「確かめるまでも無かったな•・・」
低い男の声に儂も頷いた。
「間違いなく儂の孫だ。」
隣で微笑んでいるアンナに声を掛ける。
「良く教えてくれた、礼を言う。」
「あら、おじさま。それならDに言ってあげて。」
「無論だ、A級冒険者のD、見つけてくれた礼を言う。ありがとう。」
儂の声は少し掠れていて自分で驚く。
「なに、偶然さ。QTの為になったなら俺も嬉しい。」
出来た男のセリフを臆面もなく言うのはアンナが居るせいかもしれんな。バチコンと大げさなウインクをアンナにして、得意そうだ。
儂はドア近くで涙ぐんていた家宰のジョージを見ると慌ててジョージは用意してあった金貨袋をテーブルに載せ、下がった。
「これは礼だ。少ないかも知れんが気持と思ってくれ。A級冒険者なら後援者がいるだろうが我家も名を連ねてやる。」
同じクラスの冒険者でも後援者が複数連ねる場合は更に発言力や地位が増す。願ったり叶ったりだろう。
「今後、何かあった場合は我家の名を出して良い。」
「それはそれは、財務長官の後押しとあれば俺も動きやすい。」
ニヤけた男の顔はだらしない。
抱き合った二人が落ち着いたのを見計らって儂は孫に声を掛けた。
「ささ、ふたりとも座ってゆっくり何があったのか聞かせてくれ。」
ルビーはQTから片時も離れない積りなのか儂の隣に一緒に座りたがるのでアンナが冒険者の男とソファの反対側に座った。アンナはそれが普通というようにベッタリと男にしなだれかかっている。
なんだか話し難いが儂は質問を始めた。
アンナの話を聞けば本当に偶然としか思えない。見つけた男も報奨目当てで探した訳でも無かったらしい。
QTが見つかった経緯の後はその冒険者との惚気を聞かされ、幸せそうなのは良かったが些か辟易としてしまう。
義理娘のルビーも当然呼んである。夫と娘を同時に失うという痛ましい事件の後は塞ぎ込んでしまい、抜け殻のようになっていたが儂が仕事を当てつけ、息子の抜け穴を埋めるよう厳しい態度を取ったため、次第に気力を取り戻した。それでも1年以上は使い物にならず苦労した。心中を察すれば何処か静養させるのが良かったかもしれないがルビーも王都生まれ王都育ちの子爵家の3女だ。息子に惚れてお仕掛け女房になったくらいの女傑の気骨で何とか立ち直ってくれた。
孫を見つけたという連絡は真偽を確かめる前に教えるつもりも無く、今回もはっきりしてからと思ったが何処から聞き付けたのか自分も立ち会うと言い出したのだ。こうなったら儂の言葉が通じない。儂も半信半疑だが立ち会うというならと同席を許した。
アンナの話を一緒に興味深く聞いていたがQTという娘の話を目を輝かせて聞いていた。こんな調子では本物でなくても娘にしたいと言い出しかねないと嘆息してしまう。
ハニー家には掟がある。嫁や婿を取るにせよ金髪碧眼でなければならないというものだ。好きあって身体を許すことはどんな相手でも問題ないとするが家督を継ぐ者は金髪碧眼でハニー家の証の痣が必要とするのだ。
爵位は上がったり下がったりしているがハニー家は王家創立と同時期に貴族となった伝統ある家だ。この掟だけは何があっても守らなければならないとされてきた。その血脈のせいかハニー家の者は記憶力も良く、頭も良い。自慢では無いが聡明な血脈なのだ。発揮するスキルも特別なものが多い。だから、特に王家からの信頼も篤い。
ガチャリとドアノブの音で物思いから戻ると家宰のジョージが入ってくる。
どうやら入る前の声を聞き逃してルビーが入室を許可したらしい。
ドア横で家宰のジョージが立つと冒険者の男が入ってきた。身長はかなりある。逞しくも愛嬌のある瞳がアンナを見つけて輝く。名前はDとか言うA級冒険者だ。確かメルクリオ伯爵が後ろ盾だった筈だ。メルクリオは軍閥の伯爵だが余り無理を言う奴でなく儂とはそこそこ付き合いはある。
ゆっくりとソファに近付くと後ろから小柄な女性の冒険者が現れた。
俯き加減だがその輝く金髪と碧眼は紛うことなき我が家の家系を思わせた。線が細く弱々しく見えるが軽装の防具は使い込まれ冒険者としても一人前に見えた。Dという男の横にソファの向こう側に立つと顔を上げた。
細面でありながら上がり眉と真っ直ぐな鼻筋は儂の隣に座るルビーそっくりだった。
ルビーの息を飲む音と共に儂まで立ち上がったのは仕方あるまい。QTと呼ばれる冒険者の少女は思わず身構えたが、ソファを避けて抱きついたルビーに驚きを隠せない。
「キュート・・・」
知らずに儂は涙を流していた。間違いない、この娘が儂の孫だ。痣を確認するまでもなく血がそう言っていた。驚きながらも眉を上げる仕草は今は亡き息子ロレンスの癖そっくりだった。
抱きついたルビーは声を震わせながら名前を呼び続けている。
「キュート、キュート、キュぅ・・・」
「お か あ さん?」
儂は冒険者の男を見やると顎をしゃくった。無言でQTを見ていた男は黙ってソファの向かいに座ったので儂も座った。
「確かめるまでも無かったな•・・」
低い男の声に儂も頷いた。
「間違いなく儂の孫だ。」
隣で微笑んでいるアンナに声を掛ける。
「良く教えてくれた、礼を言う。」
「あら、おじさま。それならDに言ってあげて。」
「無論だ、A級冒険者のD、見つけてくれた礼を言う。ありがとう。」
儂の声は少し掠れていて自分で驚く。
「なに、偶然さ。QTの為になったなら俺も嬉しい。」
出来た男のセリフを臆面もなく言うのはアンナが居るせいかもしれんな。バチコンと大げさなウインクをアンナにして、得意そうだ。
儂はドア近くで涙ぐんていた家宰のジョージを見ると慌ててジョージは用意してあった金貨袋をテーブルに載せ、下がった。
「これは礼だ。少ないかも知れんが気持と思ってくれ。A級冒険者なら後援者がいるだろうが我家も名を連ねてやる。」
同じクラスの冒険者でも後援者が複数連ねる場合は更に発言力や地位が増す。願ったり叶ったりだろう。
「今後、何かあった場合は我家の名を出して良い。」
「それはそれは、財務長官の後押しとあれば俺も動きやすい。」
ニヤけた男の顔はだらしない。
抱き合った二人が落ち着いたのを見計らって儂は孫に声を掛けた。
「ささ、ふたりとも座ってゆっくり何があったのか聞かせてくれ。」
ルビーはQTから片時も離れない積りなのか儂の隣に一緒に座りたがるのでアンナが冒険者の男とソファの反対側に座った。アンナはそれが普通というようにベッタリと男にしなだれかかっている。
なんだか話し難いが儂は質問を始めた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
異世界亜人熟女ハーレム製作者
†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です
【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる