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冒険者Dと近隣国
戦闘1
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無茶苦茶な無限軌道車エレクサンドの吶喊でエッテンベルク城の跳ね橋と城門は大破し、無限軌道車エレクサンドが橋となって城へ入り込めるようになった。
まさか、初めからこうするつもりだったのか?
後続していた騎馬兵が無限軌道車エレクサンドの上を通って場内になだれ込む。俺も馬が飛び降りて皆の後を追う。先に入り込んだ者が既に戦闘を始めているようであちこちから歓声やら怒号が響いていた。
中に入ってさて、どうしようと見ると俺を誘うように手招きしている黒装束が少し離れた建物の角に居た。真っ昼間に黒装束は目立つだろうにと苦笑しながら、迫って来た青みがかった鎧を着た騎士の剣を払い除けて、蹴りをくれる。近寄って来る騎士達を適度に転がしながら黒装束まで辿り着いたので声を掛けた。
「よう!もう潜り込んでたのか?」
「・・・・」
返事もなく頷く。
黒装束はヘゼワントにある『緋空旅団』の拠点に錬金術師ランドルトを暗殺に来た女で名前をユキと言うらしい。こっちに来る前に手籠めにしてアロシア帝国辺境伯ギルーラ・エッテンベルクの内情を聞き出した。手籠めにしたのは『緋空旅団』の団員では情報を吐かなかったからだ。
ユキは身長が俺の胸程度までしかない小柄で胸も薄い東方にある弓月国の女だった。年は21歳と聞いて本気か?と驚いた。街中を普通に連れて歩いたら通報ものの合法ロリだった。本来なら相手にしないんだがなぁ。
黒い瞳と腰まで伸びた黒髪で透き通るような肌をしているが、アロシア帝国の暗殺団『月牙』の一員だった。999人を暗殺して1000人目で俺に破れたと言っていた。それなりに強かったのだろうが相手が悪かったな。
今回は俺を先導してギルーラのところへ連れて行く役割だ。
いきなりユキが俺に抱き付き、這い回るようにして背中に貼り付いた。重さは少しも感じないが温もりが服を通じて伝わって来る。ユキが耳元で囁く。
俺は重さを感じないから良いかとそのままユキの指示通りに城内を走り始めた。走り始めるとユキの存在感が薄れ、進行方向の囁やきだけが聞こえる。
こりゃ便利で良い。
途中途中で青みがかった鎧を着た騎士達と遭遇したが殆ど殺すことなく蹴り転がした。ユキ背中に居る筈なのに騎士達は気付かないらしい。かなりの隠形だな。途中で城の外が見える窓から覗くと無限軌道車エレクサンドが縦横無尽に走り回って居た。どうやら橋の役割はもう終わりらしい。上空にも翼竜艇の姿も無かった。殺ることやって帰投したのだろう。
エッテンベルク城の廻廊を駆け上がりながら俺は騎士の鎧に変化が出てきた事に気がついた。ベースの青みがかりは変わりないが、黄色や黒や赤のラインが入っているのだ。こちらの剣戟を避けたり、隙をついて来たり腕が上がっているのが分かる。特に赤のラインが入っているのは上級騎士とかかも知れない。攻撃を避けてバランスを崩し、蹴りを入れるのが難しくなって来ている。何と、攻撃を加えないと倒せない。まぁこういう強さを持つ騎士はフェイントが有効なのだが。もう少し強くなるとフェイントも掛からなくなるだろう。
廻廊を抜けて少し広めの部屋に飛び込むと矢鱈と立派な鎧をした大男が配下と覚しき赤のラインが入った騎士3人と待っていた。恐らく俺が殺しもしないで蹴り倒して来た騎士達から聞いて待っていたのだろう。
ここは相手を蹴り倒すような生温い攻撃では進めないだろう。微かな風が吹いて背中の温もりが消えた。どうやら邪魔に成らないようにユキが離れたらしい。一体何処へ行ったのか分からないが声だけは聞こえた。
「大男の名はムスタファ•ランページ。砂漠の国エジンプの勇者と呼ばれた男です。腰の半月刀を自在に扱い、炎の属性付与術を持っています。」
「3人の部下は左からハガン、ザガン、ラガンと言う3人兄弟です。獲物は細剣ですが連携攻撃が得意でムスタファに命を捧げていますので、身を挺してムスタファを護るでしょう。」
良く知っているものだと感心する。
「敵味方を問わず強者は知って置いて損はありません。」
それにしちゃあ、俺のことは全然知らなかったよな。
「それは・・・主様が実力を隠されていたからでしゅ」
あっ、噛んだ。恥ずかしかったのかな?
中央にいた大男ムスタファ•ランページが大声を上げる。
「俺はエッテンベルク卿の傭兵ムスタファだ。許可なくこの先を通す訳にはいかん!通りたくば名のりを上げて俺を倒して行くが良い!」
「お前を倒せば通って良いんだな?」
俺は名のりもせずに答えた。
「お前は誰だ?名のらんのであれば問答無用という事で斬って捨てる!」
面倒くせぇ奴だ。死に行く者が名前を聞いてどうするんだってえの。
「あはははは、殺れるもんなら殺ってみろ!俺はマジェント共和王国のA級冒険者Dだ。」
お望み通り戦ってやるさ。
俺は幾つかのスキル使って走り出した。
まさか、初めからこうするつもりだったのか?
後続していた騎馬兵が無限軌道車エレクサンドの上を通って場内になだれ込む。俺も馬が飛び降りて皆の後を追う。先に入り込んだ者が既に戦闘を始めているようであちこちから歓声やら怒号が響いていた。
中に入ってさて、どうしようと見ると俺を誘うように手招きしている黒装束が少し離れた建物の角に居た。真っ昼間に黒装束は目立つだろうにと苦笑しながら、迫って来た青みがかった鎧を着た騎士の剣を払い除けて、蹴りをくれる。近寄って来る騎士達を適度に転がしながら黒装束まで辿り着いたので声を掛けた。
「よう!もう潜り込んでたのか?」
「・・・・」
返事もなく頷く。
黒装束はヘゼワントにある『緋空旅団』の拠点に錬金術師ランドルトを暗殺に来た女で名前をユキと言うらしい。こっちに来る前に手籠めにしてアロシア帝国辺境伯ギルーラ・エッテンベルクの内情を聞き出した。手籠めにしたのは『緋空旅団』の団員では情報を吐かなかったからだ。
ユキは身長が俺の胸程度までしかない小柄で胸も薄い東方にある弓月国の女だった。年は21歳と聞いて本気か?と驚いた。街中を普通に連れて歩いたら通報ものの合法ロリだった。本来なら相手にしないんだがなぁ。
黒い瞳と腰まで伸びた黒髪で透き通るような肌をしているが、アロシア帝国の暗殺団『月牙』の一員だった。999人を暗殺して1000人目で俺に破れたと言っていた。それなりに強かったのだろうが相手が悪かったな。
今回は俺を先導してギルーラのところへ連れて行く役割だ。
いきなりユキが俺に抱き付き、這い回るようにして背中に貼り付いた。重さは少しも感じないが温もりが服を通じて伝わって来る。ユキが耳元で囁く。
俺は重さを感じないから良いかとそのままユキの指示通りに城内を走り始めた。走り始めるとユキの存在感が薄れ、進行方向の囁やきだけが聞こえる。
こりゃ便利で良い。
途中途中で青みがかった鎧を着た騎士達と遭遇したが殆ど殺すことなく蹴り転がした。ユキ背中に居る筈なのに騎士達は気付かないらしい。かなりの隠形だな。途中で城の外が見える窓から覗くと無限軌道車エレクサンドが縦横無尽に走り回って居た。どうやら橋の役割はもう終わりらしい。上空にも翼竜艇の姿も無かった。殺ることやって帰投したのだろう。
エッテンベルク城の廻廊を駆け上がりながら俺は騎士の鎧に変化が出てきた事に気がついた。ベースの青みがかりは変わりないが、黄色や黒や赤のラインが入っているのだ。こちらの剣戟を避けたり、隙をついて来たり腕が上がっているのが分かる。特に赤のラインが入っているのは上級騎士とかかも知れない。攻撃を避けてバランスを崩し、蹴りを入れるのが難しくなって来ている。何と、攻撃を加えないと倒せない。まぁこういう強さを持つ騎士はフェイントが有効なのだが。もう少し強くなるとフェイントも掛からなくなるだろう。
廻廊を抜けて少し広めの部屋に飛び込むと矢鱈と立派な鎧をした大男が配下と覚しき赤のラインが入った騎士3人と待っていた。恐らく俺が殺しもしないで蹴り倒して来た騎士達から聞いて待っていたのだろう。
ここは相手を蹴り倒すような生温い攻撃では進めないだろう。微かな風が吹いて背中の温もりが消えた。どうやら邪魔に成らないようにユキが離れたらしい。一体何処へ行ったのか分からないが声だけは聞こえた。
「大男の名はムスタファ•ランページ。砂漠の国エジンプの勇者と呼ばれた男です。腰の半月刀を自在に扱い、炎の属性付与術を持っています。」
「3人の部下は左からハガン、ザガン、ラガンと言う3人兄弟です。獲物は細剣ですが連携攻撃が得意でムスタファに命を捧げていますので、身を挺してムスタファを護るでしょう。」
良く知っているものだと感心する。
「敵味方を問わず強者は知って置いて損はありません。」
それにしちゃあ、俺のことは全然知らなかったよな。
「それは・・・主様が実力を隠されていたからでしゅ」
あっ、噛んだ。恥ずかしかったのかな?
中央にいた大男ムスタファ•ランページが大声を上げる。
「俺はエッテンベルク卿の傭兵ムスタファだ。許可なくこの先を通す訳にはいかん!通りたくば名のりを上げて俺を倒して行くが良い!」
「お前を倒せば通って良いんだな?」
俺は名のりもせずに答えた。
「お前は誰だ?名のらんのであれば問答無用という事で斬って捨てる!」
面倒くせぇ奴だ。死に行く者が名前を聞いてどうするんだってえの。
「あはははは、殺れるもんなら殺ってみろ!俺はマジェント共和王国のA級冒険者Dだ。」
お望み通り戦ってやるさ。
俺は幾つかのスキル使って走り出した。
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