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冒険者Dと近隣国
戦闘3
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利き腕が使えなくなったハガンだが持ち手を変えて細剣を構えた。だがムスタファが眉を潜めて顎をしゃくると虫の息のザガンを引きずって部屋の隅に移動して蹲った。どうやら使えない部下は見てろって事らしい。
ラガンは手が痺れていたらしく震える手で剣を構えたがムスタファにハガンの方へ蹴られた。
「おめぇも見てろ!」
どうやらムスタファは俺との一騎打ちがお望みらしい。気が合うぜ、俺もそうだ。
ムスタファは右手を上げ左手を逆手に構えるとムスタファの巨大なグローブのようなナックルに魔力を込め始めた。どうやらあれは魔導具らしい。仄かな燐光を発し始める。
良いぜ、なら俺はと持っていた大剣に魔力を込めていく。大剣もムスタファのナックルと同じように燐光を発する。
この大剣も魔剣だ。魔力で色んな操作が出来る。充分魔力が行き渡った所でムスタファに踏み込み、横に一閃する。ムスタファは身体を反らして俺の魔剣を避け、左拳で魔剣の平を打ち上げた。魔剣を打ち上げられて胸に隙が出来た俺に右拳をストレートで放った。ムスタファの右拳は俺の流闘気によって打点をずらされ俺の右脇腹を抜けていく。チリチリ音を立てて俺の服が破けるが、それにも関わらず俺はかちあげられた大剣を回すように左上から切り下げる。魔剣の力で重量が増した剣先がムスタファの頭を割るように落ちてくるが素早く後ろへ下がってムスタファは避けた。
「拳じゃあリーチが不足するか」
ムスタファはようやく腰の獲物に手を掛けた。やっぱり半月刀がメインの獲物か。こっちの出方を見極めていやがったな。じゃらんと金属音をさせてムスタファが半月刀を抜いて両手で構えた。長え、俺の魔剣程じゃないが8割ほどの長さがありやがる。
こちらも待ってやらねえ。大剣を一度収納するとムスタファが演ったように腰に両手を添えて構える。スキルを使いながら練気すればあっという間に終わるぜ。
俺が流闘気から剛闘気に変えたのを眇で見やがった。俺の構えが終わる前にムスタファは両手の半月刀をじゃらじゃら打ち合わせるように振り回しながら飛び込んで来た。俺は構えを崩さずにそのまま摺り足で後方へ下がる。
4連撃の半月刀が空を切るがそこに俺の剛気をぶつけてやる。ムスタファがやったことの真似だ。俺の剛気をまともに食らって5m程下がるが吹っ飛ばねぇでやんの。ムスタファは滑るようにそのままの姿勢で下がった。
「ケッ!」
俺が演った事を理解したと見えて唾を吐きやがった。俺は再び魔剣の大剣を取出して大上段から振りかぶり、跳び上がって距離を詰めた。ムスタファは避けずに半月刀を揃えるように左から右へ俺の魔剣をぶっ叩く。
完璧に弾いたと思ったのだろうがそうは行かねぇ。力の乗った俺の一撃はムスタファの右肩に食い込んだ。
肩の肉を程よく切り裂き、肉片が飛び散り、体液が滲み出した。着地と同時に切り下がった剣先を横殴りする。剛闘気のお陰で体液は滲む程度で済んで居るが痛えだろうぜ。
痛さに顔を顰めながらムスタファは俺の魔剣に合わせて半月刀をまたもや重ねて防御した。さっき程の威力はねえがムスタファはそのまま3m程ぶっ飛ぶ。半回転するように俺の威力を逃しやがった。
ムスタファは俺に尻を向けて居るが構わず、魔剣を上段に持ち上げながら初めと同じように跳び上がり、ムスタファの頭目掛けて振り降ろす。
ムスタファは俺が跳び上がったのを分かっていて魔剣の力を利用してこちらに回転して俺に向かって半月刀を振り切った。
俺の魔剣とムスタファの半月刀がガチ当たりする。
ドゴォン
剣が折れんじゃ無いかと思われる程の音を立てて力が拮抗した。
半月刀でかち上げようとするムスタファが切り下げようとする俺の魔剣を止めやがった。
これが右肩を斬られた男の出せる力かよ!明らかにムスタファの剛闘気が俺より勝っている証拠だな。
「やるな!」
「ハッ!」
俺が声を掛ければ吐き捨てるように答えた。
「貴様のような冒険者が居るとは思わなんだわ」
「俺もだぜ、ムスタファ!」
互いに歯をむき出しにして笑い合う。そして相手を押すようにして互いに飛び退った。
「これで決める!刀下満月!」
ムスタファが両手を突き出し、半月刀を隠すように構える。そして練気する。俺はそれに答えるように魔剣を中段に構え剣先をふらふらとさせながら脱力した。俺の構えに一瞬怪訝な顔をムスタファはしたがそのまま飛び込んできた。
かなり屈んで飛び込んで来たところを見ると俺の下半身狙いみたいだ。
はん、そんなのは無視だ、無視。
俺の狙いはムスタファの頭をの中心の打点を逸らせない眉間だ。
1歩2歩と近づくに連れて揺れていた魔剣がピタリと止まり、俺はムスタファに負けない勢いで踏み込む。
リーチが長い筈の俺の魔剣が届く前にムスタファの半月刀が左右から俺の脇腹を斬り込もうとぶち当たる。
俺の剛闘気がムスタファの剛闘気を弾き、流闘気がチリチリと音を立てて半月刀を流す。
半月刀は俺の服を切り裂き肌を滑りながら蚯蚓脹れを作っていく。
焼け付くような痛みと共にムスタファの2つの半月刀が交差して満月の形を作った。なるほどそれで満月か。
ムスタファの半月刀が俺を傷付けると同時に俺の魔剣は俺の魔力を満たし重さを倍加させてムスタファの眉間を突いていた。
ドゴーン!
おおよそ人が立てない音を立ててムスタファの頭が後にそり返る。1mmたりとも切れてやしねえがな。恐ろしい程の剛闘気の耐性だ。
俺の魔剣の力は突っ込んで来たムスタファを押し返し、なお弾き飛ばした。頭を首の骨が折れるほど反り返したムスタファが飛んでいく。
ズダダンダン!
後に転がり何回転もしながら壁に当たるまで転がる。
壁に罅が入り、逆さまにぶち当たったムスタファがゆっくりと倒れた。
あ~あ、ありゃ死んだかな?
ラガンは手が痺れていたらしく震える手で剣を構えたがムスタファにハガンの方へ蹴られた。
「おめぇも見てろ!」
どうやらムスタファは俺との一騎打ちがお望みらしい。気が合うぜ、俺もそうだ。
ムスタファは右手を上げ左手を逆手に構えるとムスタファの巨大なグローブのようなナックルに魔力を込め始めた。どうやらあれは魔導具らしい。仄かな燐光を発し始める。
良いぜ、なら俺はと持っていた大剣に魔力を込めていく。大剣もムスタファのナックルと同じように燐光を発する。
この大剣も魔剣だ。魔力で色んな操作が出来る。充分魔力が行き渡った所でムスタファに踏み込み、横に一閃する。ムスタファは身体を反らして俺の魔剣を避け、左拳で魔剣の平を打ち上げた。魔剣を打ち上げられて胸に隙が出来た俺に右拳をストレートで放った。ムスタファの右拳は俺の流闘気によって打点をずらされ俺の右脇腹を抜けていく。チリチリ音を立てて俺の服が破けるが、それにも関わらず俺はかちあげられた大剣を回すように左上から切り下げる。魔剣の力で重量が増した剣先がムスタファの頭を割るように落ちてくるが素早く後ろへ下がってムスタファは避けた。
「拳じゃあリーチが不足するか」
ムスタファはようやく腰の獲物に手を掛けた。やっぱり半月刀がメインの獲物か。こっちの出方を見極めていやがったな。じゃらんと金属音をさせてムスタファが半月刀を抜いて両手で構えた。長え、俺の魔剣程じゃないが8割ほどの長さがありやがる。
こちらも待ってやらねえ。大剣を一度収納するとムスタファが演ったように腰に両手を添えて構える。スキルを使いながら練気すればあっという間に終わるぜ。
俺が流闘気から剛闘気に変えたのを眇で見やがった。俺の構えが終わる前にムスタファは両手の半月刀をじゃらじゃら打ち合わせるように振り回しながら飛び込んで来た。俺は構えを崩さずにそのまま摺り足で後方へ下がる。
4連撃の半月刀が空を切るがそこに俺の剛気をぶつけてやる。ムスタファがやったことの真似だ。俺の剛気をまともに食らって5m程下がるが吹っ飛ばねぇでやんの。ムスタファは滑るようにそのままの姿勢で下がった。
「ケッ!」
俺が演った事を理解したと見えて唾を吐きやがった。俺は再び魔剣の大剣を取出して大上段から振りかぶり、跳び上がって距離を詰めた。ムスタファは避けずに半月刀を揃えるように左から右へ俺の魔剣をぶっ叩く。
完璧に弾いたと思ったのだろうがそうは行かねぇ。力の乗った俺の一撃はムスタファの右肩に食い込んだ。
肩の肉を程よく切り裂き、肉片が飛び散り、体液が滲み出した。着地と同時に切り下がった剣先を横殴りする。剛闘気のお陰で体液は滲む程度で済んで居るが痛えだろうぜ。
痛さに顔を顰めながらムスタファは俺の魔剣に合わせて半月刀をまたもや重ねて防御した。さっき程の威力はねえがムスタファはそのまま3m程ぶっ飛ぶ。半回転するように俺の威力を逃しやがった。
ムスタファは俺に尻を向けて居るが構わず、魔剣を上段に持ち上げながら初めと同じように跳び上がり、ムスタファの頭目掛けて振り降ろす。
ムスタファは俺が跳び上がったのを分かっていて魔剣の力を利用してこちらに回転して俺に向かって半月刀を振り切った。
俺の魔剣とムスタファの半月刀がガチ当たりする。
ドゴォン
剣が折れんじゃ無いかと思われる程の音を立てて力が拮抗した。
半月刀でかち上げようとするムスタファが切り下げようとする俺の魔剣を止めやがった。
これが右肩を斬られた男の出せる力かよ!明らかにムスタファの剛闘気が俺より勝っている証拠だな。
「やるな!」
「ハッ!」
俺が声を掛ければ吐き捨てるように答えた。
「貴様のような冒険者が居るとは思わなんだわ」
「俺もだぜ、ムスタファ!」
互いに歯をむき出しにして笑い合う。そして相手を押すようにして互いに飛び退った。
「これで決める!刀下満月!」
ムスタファが両手を突き出し、半月刀を隠すように構える。そして練気する。俺はそれに答えるように魔剣を中段に構え剣先をふらふらとさせながら脱力した。俺の構えに一瞬怪訝な顔をムスタファはしたがそのまま飛び込んできた。
かなり屈んで飛び込んで来たところを見ると俺の下半身狙いみたいだ。
はん、そんなのは無視だ、無視。
俺の狙いはムスタファの頭をの中心の打点を逸らせない眉間だ。
1歩2歩と近づくに連れて揺れていた魔剣がピタリと止まり、俺はムスタファに負けない勢いで踏み込む。
リーチが長い筈の俺の魔剣が届く前にムスタファの半月刀が左右から俺の脇腹を斬り込もうとぶち当たる。
俺の剛闘気がムスタファの剛闘気を弾き、流闘気がチリチリと音を立てて半月刀を流す。
半月刀は俺の服を切り裂き肌を滑りながら蚯蚓脹れを作っていく。
焼け付くような痛みと共にムスタファの2つの半月刀が交差して満月の形を作った。なるほどそれで満月か。
ムスタファの半月刀が俺を傷付けると同時に俺の魔剣は俺の魔力を満たし重さを倍加させてムスタファの眉間を突いていた。
ドゴーン!
おおよそ人が立てない音を立ててムスタファの頭が後にそり返る。1mmたりとも切れてやしねえがな。恐ろしい程の剛闘気の耐性だ。
俺の魔剣の力は突っ込んで来たムスタファを押し返し、なお弾き飛ばした。頭を首の骨が折れるほど反り返したムスタファが飛んでいく。
ズダダンダン!
後に転がり何回転もしながら壁に当たるまで転がる。
壁に罅が入り、逆さまにぶち当たったムスタファがゆっくりと倒れた。
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