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冒険者Dと近隣国

女達の旅

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全くDったら何処に行ったのよ!マジェント共和王国の侯爵令嬢であるあたし、アンナ・ハサイエルは怒っていたわ。

あたし達はヘゼワントを出て、ワルト山渓を通じてアロシア帝国領のスエータ地方に出たわ。それから、やっとエッテンベルク城までやって来て、Dの消息を聞いたのに城を護っていたスリム•ライザップ辺境伯ったら知らないとか言うんですもの。

ワルト山渓が狭いせいで馬車も通れず徒歩と馬でやって来たのよ。
全くもう、先達は送ってあるんだからワルト山渓を出たら馬車に乗れるくらい用意しときなさいよね!

まぁあたしだけは馬に乗り過ぎてお尻が痛いわ。もちろん今随行していた冒険者パーティ破軍の星デストロイスターは歩きだけど。
アルマも良く歩いたわよ。C級冒険者なのは伊達では無いのよね。

QTもあの身体で歩こうとしたけど伯爵家名代として行くんだから止めてよね。まぁ周りの男どもが可愛がって馬に載せていたから大丈夫だったけど。
スキルのお陰かほとんどの馬と仲良くなっていたからQTも凄いわよね。

Dがエッテンベルク城に居なかったからアルマもQTもあたしとぷんぷんしていたけど、一応アロシア帝国のチオミル•プチン皇帝に謁見の申込みをしたわ。

今のところ全然返事が無いけど無視されてるのかしら。
ずっと待っているのも癪だからみんなでDが向かったと連絡のあったベラーシ王国の大都市バラナビィーチに向かったわ。

今度はちゃんとした馬車を用意して貰ったので快適な旅が約束されたわ。
でも、スリムライザップ辺境伯様は危険度の高いアロシア帝国を抜けてベルーシ王国に行くことに反対されたわ。
一度ヘゼワントに戻ってマジェント共和王国内からウクイラナ王国を通ってベルーシ王国に向かう方が距離はあるが安全だと言われたわ。

何なら御自分の次男であるマクシミリアン様を同行させても良いなんて仰るのよ。見え見えじゃない!嫌よ、自分の息子とくっつけたがらないでよね。

QTは早くDに逢いたいと言うし、アルマもあんまり時間が無いから急ごうと言ったわ。
アルマは本当の事を言わないけど嫌な予感がするって言うのよ。何があるって言うのよ。
まぁアルマがDに言い寄る事は無いと言うのはアルマの好きな相手を聞き出す事で分かったわ。

ライバルは少ない方が良いんだけど、アルマじゃないけどあたしもあんまり嫌な予感はあるのよね。Dが男同士で騒げるのは分かっているけど直ぐに新しい女を惹きつけるのよね。
絶対新しい女がいるんじゃ無いかと気を揉んでいるのよ。

だから早くDに会いたい。それは女が3人の共通した想いだったわ。

エッテンベルク城を出て近くのドレーン村で食料補充しがてら宿を取ったけど余り歓迎されてなかったわ。
それもそうよね。あたし達がマジェント共和王国の親善団と知っているのですもの。流石に攻撃は受けなかったけど見張られていたわね。

まぁ早々に村を出てから何度か野営をしてベラーシ王国の砦に向かったわ。

バンサイ砦とか言ったかしら。砦の責任者ジルベルト騎士長様は丁寧な対応をして、貴重な情報をくれたわ。
騎士長様も中々のイケメンだったけど男の厚みが足りないわ。もっと経験を積まないとあたしの興味を引けないわよ。

確かに錬金術師を連れた冒険者が砦を抜けて大都市バラナビィーチに向かったと確認出来たわ。
しかも錬金術師の移動する魔道具呪文達に乗っていたらしいわ。そんな魔導具なんて聞いたことも無いわ。

その錬金術師はDのドワーフの友人らしいわ。
相当な腕よね、移動用の魔導具を作れるなんて。資金も沢山必要な筈だし。

馬の様な速さで移動出来て、疲れ知らずなんて費用はバカ高そうだわ。
馬車の移動では馬の休憩が必要だから2時間に一回、30分位の休憩が必要だから距離は稼げないのよね。

それでも数回の野営を経てやっと大都市バラナビィーチに辿り着いたわ。

大都市バラナビィーチは人口2万を越える大都市でバンブレスト伯爵が治めて居るわ。バンプレスト伯爵はベラーシ王国の重鎮で大都市から上がる税金を沢山収めているからかなりの権力者よね。お近付きにならないといけなそうだわ。

もちろんあたし達は国の代表だから先触れで連絡済だけど。大都市バラナビィーチに入る城門で既にお出迎えが来ていて、案内兵士に連れられて大きな建物にやって来たわ。

ビルと言う建物らしくとても高い建物だったのよ。警備は物々しくてビルの周りをぐるりと取り囲んで守っているなんて何かあったのかしら。

馬車を置いて冒険者は建物に入っても入口で留め置かれてしまったわ。

案内されたのはあたしとQTのみよ。護衛に数人連れて行きたけど駄目だと言われて仕方無しに二人で会見に望む事になったのよ。

最上階のペントハウスと言う特別な建物でバンプレスト伯爵とあったわ。何故か壁とか室内がリニューアルされていて、室内まで護衛が数人立って居て圧迫していたわ。

どこまでバンプレスト伯爵は気が小さいのかと思う。立派な服を着てまるで王侯のような出で立ちで手を出して来たバンプレスト伯爵は立派な髭を生やした壮年だったわ。

当たり障りのない挨拶をしてアロシア帝国の皇帝に会えない事を言うとつい最近まで皇帝の側近グモイ•アラヌイがいたらしいわ。

居れば会えたかもと残念がられたけど仕方無いわね。
さりげ無く最近変わった事が無かったかと聞けば押し黙って慄えていたわね。

何か言えない様な怖い出来事があったのかしら。












    
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