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冒険者Dと近隣国
狂乱の脱出
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全く分からなかった。
突然の強風は家々の何かを吹き飛ばし、森の枝々を折って、大木すら押し倒していた。埃やら石礫やらが飛んてきて打ち付けるのでスキルで身を守る。
片腕を翳して目を護りながら見上げた空には余り大きくないが赤黒く立ち昇ったキノコ雲が見えた。あの方向はウクイラナ王国の方だ。あれだけ遠いのに強風が吹き付けるなんてとんでも無い事だ。
すぐ近くで話をしていたストロバヤと息子のアンドロノフの姿も無い。
「ストロバヤ!何処だ?」
俺は吹きやまない風から目を護りながら周りを見回して叫んだ。背後の瓦礫からうめき声が聞こえた。
風音に良く聞こえなかったがストロバヤかも知れないと俺はそちらに駆けるとストロバヤが息子のアンドロノフを抱えるようにして瓦礫に埋もれていた。
ストロバヤは身を挺して息子を護っていた。
スキルを使って瓦礫を吹き飛ばすとストロバヤが息子を抱きながらフラフラと立ち上がった。弱くなって来た風でも吹き飛ばされてしまいそうな様子だ。
ストロバヤは体中から血を流していた。
「待ってろ、直ぐに治せる者達の所へ連れて行く」
俺は舌打ちをするとストロバヤを掴み、スキル『無遠』で空中に移動して飛行船の方向を見定めた。すぐさま先度のスキル『無遠』で飛行船の近くに移動し、地上に降り立った。
飛行船の周りには強風に煽られながら乗り込もうとしている者達がかなりいた。あの短時間で良く集まったものだ。
俺は近くに居た者にストロバヤと息子を預け、その場を離れようとする。
「お、おい!エイス、何処に行く!」
「まだ、時間がありそうだから他の者を探しに行く。イシュタームに直ぐに飛び立つように言ってくれ」
「お前は大丈夫なのか!」
心配してくれるストロバヤに指を立てて任せろと言ってスキル『無遠』で村ハイドゥンへ戻る。めっちゃ使えるなこのスキル。
先程の暴風で建付けの弱い民家は傾いで潰れ、破片があちらこちらに散らばって居た。きっと残って居る者達が居るだろうから村長ファーガーソンの家に向かって走った。
半壊している村長ファーガーソンの家には老人が数人集まっていたがファーガーソンと姉のベルベッタは居なかった。
老人の一人に聞くと誰も居なかったけど他に逃げる場所が分からなかったから此処に来たらしい。老人は男女合わせて10人近く居る。
確認していると地面が音を立てて揺れ始めたので慌てて全員を外に連れ出した。口々に怖いだの助けてくれというので互いに抱き合い、掴み合うように指示してスキル『無遠』を使って飛行船まで戻ると既に空中10m以上に浮遊し始めていたので、空中で全員をスキルで浮遊させたまま、飛行船に押し込んだ。
俺もそのまま乗り込んでいく。
飛行船の乗船室は村人でごった返していた。大きさから200人程度が定員だろうが有に300人は居そうだった。
それでも村人は全員じゃないだろう。
椅子の様な物は無くて中央の巨大なダクト周りを通路にして丸窓のある外側が1段高くなっている。船頭は更に高くなって居て階段があり、格子で仕切られて操舵を行って居るイシュタームと複数の男達が居た。
ダクトを通る風切音が周りの人々のお喋りや悲鳴などを掻き消す中、俺は格子に近付き声を掛けた。
「イシュターム!全速で最高高度まで駆け上がれ!でないと墜落するぞ!」
俺の声を聞き付けたイシュタームが怒鳴り返した。
「今やってる!」
「エイス!あれは何なの!」
俺の声に振り返ったのは姉のベルベッタだった。周りにはサヴァ、ユークリッド、息子を抱いたストロバヤが居た。村長のファーガーソンは居なかった。
「多分、古代兵器オメガロンだ!爆風の後に激震が走った」
「そうか、オメガロン!」
ストロバヤが呼応するとサヴァとユークリッドが同時に答えた。
「「本当か!」」
オメガロンの事を一番に理解しているのはストロバヤだろう。姉のベルベッタがストロバヤに詰め寄る。
「それは何なの?!」
ゴウゴウ鳴り響く音の中、叫ぶ様に聞く。
「滅んだソビエント連邦共産国の破壊魔導具だ。空を飛んで目標地点の地殻を砕く」
ストロバヤの説明でも姉のベルベッタには良く分からなかったようだ。
「地面を壊して海に変えちまう恐ろしい魔導具だよ」
俺の言葉を聞いて振り向いた姉のベルベッタは恐怖に引き攣って居た。
「まだ、あの人が村に居るのよ!」
「落下地点は遠そうだから運が良ければ助かるが、助けには行けない」
俺の言葉に小さな悲鳴を上げて両手で姉のベルベッタは顔を覆って泣き出した。
「おい、あれを見ろ!」
イシュタームが操舵中なのに前方を指差す。飛行船はアララット山に沿った形で上昇を続けていたが高度が高くなって行くに連れて眼下は丸く地表が見えて来ていた。
地面が切れてその先に海が見える、更にその先に小さくは無い、きのこ雲が沸き立って居た。
海辺に都市が見えていたがあれは大都市バラナビィーチだろうか、そこから外れたウクイラナ王国側にきのこ雲が見えた。
そしてそこからゆっくりとした速度で地割れが広がっているのが見えた。一つの地割れはもうすぐ海に届きそうだ。
「あれが古代兵器オメガロン!」
サヴァが驚きに満ちた声を上げた。
陸地側に広がった地割れから赤い何かが噴き上がって行くのが見えた。あれは地殻を割られて地下からマグマが噴き上がっているのだろう。
地割れの先には良く見えないが城塞都市があるようだ。あれが広がって行けばまず助からないだろう。
俺の額に冷や汗が流れた。
突然の強風は家々の何かを吹き飛ばし、森の枝々を折って、大木すら押し倒していた。埃やら石礫やらが飛んてきて打ち付けるのでスキルで身を守る。
片腕を翳して目を護りながら見上げた空には余り大きくないが赤黒く立ち昇ったキノコ雲が見えた。あの方向はウクイラナ王国の方だ。あれだけ遠いのに強風が吹き付けるなんてとんでも無い事だ。
すぐ近くで話をしていたストロバヤと息子のアンドロノフの姿も無い。
「ストロバヤ!何処だ?」
俺は吹きやまない風から目を護りながら周りを見回して叫んだ。背後の瓦礫からうめき声が聞こえた。
風音に良く聞こえなかったがストロバヤかも知れないと俺はそちらに駆けるとストロバヤが息子のアンドロノフを抱えるようにして瓦礫に埋もれていた。
ストロバヤは身を挺して息子を護っていた。
スキルを使って瓦礫を吹き飛ばすとストロバヤが息子を抱きながらフラフラと立ち上がった。弱くなって来た風でも吹き飛ばされてしまいそうな様子だ。
ストロバヤは体中から血を流していた。
「待ってろ、直ぐに治せる者達の所へ連れて行く」
俺は舌打ちをするとストロバヤを掴み、スキル『無遠』で空中に移動して飛行船の方向を見定めた。すぐさま先度のスキル『無遠』で飛行船の近くに移動し、地上に降り立った。
飛行船の周りには強風に煽られながら乗り込もうとしている者達がかなりいた。あの短時間で良く集まったものだ。
俺は近くに居た者にストロバヤと息子を預け、その場を離れようとする。
「お、おい!エイス、何処に行く!」
「まだ、時間がありそうだから他の者を探しに行く。イシュタームに直ぐに飛び立つように言ってくれ」
「お前は大丈夫なのか!」
心配してくれるストロバヤに指を立てて任せろと言ってスキル『無遠』で村ハイドゥンへ戻る。めっちゃ使えるなこのスキル。
先程の暴風で建付けの弱い民家は傾いで潰れ、破片があちらこちらに散らばって居た。きっと残って居る者達が居るだろうから村長ファーガーソンの家に向かって走った。
半壊している村長ファーガーソンの家には老人が数人集まっていたがファーガーソンと姉のベルベッタは居なかった。
老人の一人に聞くと誰も居なかったけど他に逃げる場所が分からなかったから此処に来たらしい。老人は男女合わせて10人近く居る。
確認していると地面が音を立てて揺れ始めたので慌てて全員を外に連れ出した。口々に怖いだの助けてくれというので互いに抱き合い、掴み合うように指示してスキル『無遠』を使って飛行船まで戻ると既に空中10m以上に浮遊し始めていたので、空中で全員をスキルで浮遊させたまま、飛行船に押し込んだ。
俺もそのまま乗り込んでいく。
飛行船の乗船室は村人でごった返していた。大きさから200人程度が定員だろうが有に300人は居そうだった。
それでも村人は全員じゃないだろう。
椅子の様な物は無くて中央の巨大なダクト周りを通路にして丸窓のある外側が1段高くなっている。船頭は更に高くなって居て階段があり、格子で仕切られて操舵を行って居るイシュタームと複数の男達が居た。
ダクトを通る風切音が周りの人々のお喋りや悲鳴などを掻き消す中、俺は格子に近付き声を掛けた。
「イシュターム!全速で最高高度まで駆け上がれ!でないと墜落するぞ!」
俺の声を聞き付けたイシュタームが怒鳴り返した。
「今やってる!」
「エイス!あれは何なの!」
俺の声に振り返ったのは姉のベルベッタだった。周りにはサヴァ、ユークリッド、息子を抱いたストロバヤが居た。村長のファーガーソンは居なかった。
「多分、古代兵器オメガロンだ!爆風の後に激震が走った」
「そうか、オメガロン!」
ストロバヤが呼応するとサヴァとユークリッドが同時に答えた。
「「本当か!」」
オメガロンの事を一番に理解しているのはストロバヤだろう。姉のベルベッタがストロバヤに詰め寄る。
「それは何なの?!」
ゴウゴウ鳴り響く音の中、叫ぶ様に聞く。
「滅んだソビエント連邦共産国の破壊魔導具だ。空を飛んで目標地点の地殻を砕く」
ストロバヤの説明でも姉のベルベッタには良く分からなかったようだ。
「地面を壊して海に変えちまう恐ろしい魔導具だよ」
俺の言葉を聞いて振り向いた姉のベルベッタは恐怖に引き攣って居た。
「まだ、あの人が村に居るのよ!」
「落下地点は遠そうだから運が良ければ助かるが、助けには行けない」
俺の言葉に小さな悲鳴を上げて両手で姉のベルベッタは顔を覆って泣き出した。
「おい、あれを見ろ!」
イシュタームが操舵中なのに前方を指差す。飛行船はアララット山に沿った形で上昇を続けていたが高度が高くなって行くに連れて眼下は丸く地表が見えて来ていた。
地面が切れてその先に海が見える、更にその先に小さくは無い、きのこ雲が沸き立って居た。
海辺に都市が見えていたがあれは大都市バラナビィーチだろうか、そこから外れたウクイラナ王国側にきのこ雲が見えた。
そしてそこからゆっくりとした速度で地割れが広がっているのが見えた。一つの地割れはもうすぐ海に届きそうだ。
「あれが古代兵器オメガロン!」
サヴァが驚きに満ちた声を上げた。
陸地側に広がった地割れから赤い何かが噴き上がって行くのが見えた。あれは地殻を割られて地下からマグマが噴き上がっているのだろう。
地割れの先には良く見えないが城塞都市があるようだ。あれが広がって行けばまず助からないだろう。
俺の額に冷や汗が流れた。
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