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第4話
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(……あれ? クレアが怒る気配がないぞ……???)
俺はつむっていた目をそぉーっと開けて、Eカップを揉んでいたはずの手を一旦離し、もう一度同じ位置でEカップをつかもうと試みた。
確かにそこに、「何か」はいる。
しかしクレアじゃないとすると、今度は触れるのに躊躇した。
反応がわからないからだ。
俺は天井を見上げ、「明るくしてくれ、スイッチ・ロボ」と言った。
ぱっと部屋が明るくなった。
この家の電気は、声紋認証でつけたり消したりできる他、ドア付近のスイッチと手元で使えるリモコンがある。
声紋認証オンリーにしてしまうと喉が痛い時に電気がつけれなくなるため、アナログのスイッチも意外と重宝していた。
俺はベットから身体を起こし、部屋の中を見渡した。
やはりクレアの姿はどこにもなかった。
しかしベットの横の棚の上には、丸いロボが乗っていた。
大きさはバレーボールといい勝負で、薄いピンク色をしている。
ロボだと思った理由は、中央辺りに青くて丸い瞳が2つくっついていて、じっとこちらを見ていたからだ。
(さっきクレアだと勘違いした青い瞳は……これだったのか……!)
俺は少し考えて、「ピンクというより桃色っぽいから、桃・ロボ(仮)でいいか!」と勝手に命名した。
そして手を伸ばし、桃・ロボ(仮)にそっと触れた。
―――――うわぁ……めちゃめちゃ柔らかいんだけど……!?
それにこの感触は……多分だけど、クレアのEカップと……ほぼ同じだ‼‼‼
俺の直観がそう言っている。
柔らかさ、弾力、手ごたえ、、、間違いなくクレアのEカップと同じ素材で出来ている。
素材自体はわからない……! だが、俺が間違うものか‼!!
Eカップ大好きの、この俺が……‼‼(力説)
寝ころんだまま桃・ロボ(仮)をなでながら揉み続けていると、桃・ロボ(仮)がうっとりした表情になり、桃色がどんどん赤くなっていった。
そして、『桃・桃・キュンッ♥』と可愛い声を出した。
何だこれ! 何だコレ!? すんげー可愛いんだけど???
俺は掛け布団を跳ね飛ばし、床に足を降ろしてベットに座り直した。
そして桃・ロボ(仮)を両手でそっと抱え上げ……膝の上に乗せた。
それから揉み揉み攻撃をして超可愛がった。
柔らかい。柔らかい。柔らかすぎて幸せだ……‼
『桃・桃・キュンッ♥ 桃・キュン・キュン♥♥ 桃・桃・キュン・キュン♥♥♥ 桃・キュン・キュン♥♥♥♥』
揺れながら歌う桃・ロボ(仮)。
ふぉぉぉおぉおぉぉぉ‼‼
何だコイツ、超可愛くて萌ーえーるぅー♪♪♪
鼻血祭りだぜーーーー☆☆☆
と、脳内で叫んだところで、俺は非常に喉が渇いていることに気が付いた。
(とりあえず水。まずは水だ。このままでは干からびてしまう……)
きょろきょろと辺りを探すが、棚の上やベット周辺に水の入ったものはどこにも見当たらなかった。
(あれ? さっきABCトリオの誰かが水を置いたって言ったよな……???)
「水……水……」
どこだー? と、床を見たりベットの隙間を見たりして探していたら、、、
『水・水・キュンッ♥ お口にキュンッ♥♥』
目の前の桃・ロボ(仮)から、また声が聞こえてきた。
「え!? これ!? もしかして……これが置いてった水なのか!?」
桃・ロボ(仮)が、「ウンウン」とうなずくみたいに瞬きした。
(まじで……?)
―――――しかし、、、どうやって飲むんだよ!?
俺は桃・ロボ(仮)をじっと見つめ、とりあえず振ってみた。またはひっくり返せば水でも出るのか?
すると桃・ロボ(仮)の青い瞳の下におちょこのような口ができて、水がぴゅーっと噴き出してきた。
しかし思ったよりも威力がなく、俺の口に届く前に床に落ちている……。
―――――くっ! 可愛いけど、、、これは飲みづらい……‼
俺は仕方なく桃・ロボ(仮)を持つ手を上げて、自分の目線よりも高くした。
するとウィーンウィーンと機械を起動する音がして、桃・ロボ(仮)の口は、おちょこから真四角に変形した。そしてその次に、青い瞳が白い瞳に変化していき、、、
『オゲェエェエエエエエェエ』
叫びながら俺に向かって、大量の水を吐き出した。
「うわぁ~~~~~!?」
口だけでは当然受け止めきれず、俺の身体とベットがびしょ濡れになった‼
―――――わかってる、、、この桃・ロボ(仮)が悪いわけではない‼ だが、しかし……‼
俺は桃・ロボ(仮)をつかんで脇に抱えると、すごい勢いで寝室を出て階段を走り降りた。
そのままリビングまで続く廊下を走り、リビングの入り口でキュッと足を止める。
「ABCトリオーーーー‼ まだいるかーーーー!?」
「「「はぁーい! ぼっちゃん、元気になってよかったでーす♪」」」
3人はリビングの真ん中に座り込み、ソファー・ロボのメンテナンスをしていた。気のせいか、足の数……増えてないか!?
(……あれ?)
俺はリビングを見回し、「クレアは?」と先に聞いた。当然いるものと思っていたのだ。
「あそこです」
「箱の中です」
「充電中です」
3人が指差した先を見ると、リビングの隅……俺の視角になるところに、2メートルはありそうな長方形の白くて長い箱が見えた。
近づくと上の蓋がガラス張になっていて、眠っている……というか、目を閉じて横になっているクレアがいた。相変わらずビキニのままだったけれど。
「充電用の箱がデカくて重いから、運ぶのが大変だったのか……」
俺の質問に、ABCトリオが顔を見合わせる。
「まぁ基本太陽の光で勝手に充電して動くので、正直充電箱はそんなに必要じゃないんですけどねー」
「でも寝てる姿可愛いしね。美女はやっぱり箱に寝かせて、唇を奪うのが定番だしねー。思わず箱も作っちゃったよねー」
「ただし唇奪う前に、ぼっちゃんの生気が奪われるのが先かもしれないしねー。何せぼっちゃん、たまにはセクハラしたいって宣言しちゃったしー」
あっはっはー♪ と楽しげに会話する3人に少々イラッとしつつも、俺はABCトリオが次に何を言うのか知っていた。
「「「でも、ぼっちゃんが不要だと思うなら、持ち帰りますよ~」」」
俺は「はぁーっ」と息を吐き、3人の近くにドサッと腰を落とした。
本当に持ち帰ること、俺は知ってる。
だって小さい頃、こいつらに反発していた俺は……しょっちゅうそう言ったから。
だけどこいつらは、俺がどんなに反発したってずっと笑顔で、またしばらく経つと、次のロボを持ってくるんだ……。
「いらねーわけねーだろ? 確かにやりすぎ感はあるが、お前らのことだから、俺の退屈しのぎに持ってきてくれたんだろうし……」
「「「ぼっちゃん……」」」
3人はキラーンッと目を輝かせて俺を見た後、、、
「「「ラブーーーッ♥」」」
同時に叫んで、持っていた工具を投げ出して俺に抱き着いてきた。
「重い! 重いわ‼ まじでどけっ‼‼ あと俺はいま水かぶって湿っぽいから、濡れる~!」
勢いで床に頭を打つし、持っていたのを半分忘れていた桃・ロボ(仮)も吹っ飛ぶしで、散々な目にあった!
「あ、そーだ! ベットの横にあったこのロボは何だよ! 給水器なのか? 水量の調整おかしいだろ!?」
俺の上に重なっているABCトリオの身体から這い出て、頭の上の方に転がっていた桃・ロボ(仮)に手を伸ばした。
やっと手が届いた桃・ロボ(仮)の一部に触れると、桃・ロボ(仮)は『桃・桃・キュン♥』と可愛く言った後、、、
『オッグェエエエェエエエエエ‼』
突然白い目と四角い口で、俺の手に大量の水を吐き出した。
秒速何秒の変化だよ、コレ……。もしかして乱暴に扱って壊れてたか!? 揉みすぎて壊れたか!? それとも俺の体質のせいで誤作動が!?
四つん這いになってちょっと凹んでいる俺を見て、ABCトリオは「「「実は……」」」と言いながら立ち上がった。
「ぼっちゃんが水を飲める用に、最初はペットボトルをベットの横に置きました」
「しかしバケツ・ロボが壊れたので音声だけ取り出し、何かに使えないかと考えました」
「そしてぼっちゃんが揉みたい感触と、水と、音声を組み合わせてみました」
「「「これでクレアにセクハラせず、飲みたい時に水が飲めて、吐きたい時に吐けますね☆キランッ」」」
ウインクしながらキメポーズ(?)を取った3人を見て、俺は「ハイハイ」と適当に流した。
馬鹿と天才は紙一重というが、こういう奴らのことを言うんだろうと思う瞬間がある。
「とりあえずこの吐いた水何とかしろよ……。あと寝室のベットも濡れたから! それからついでに着替えも持ってこい」
「「「はぁーい♪」」」
「床掃除するねー」
「ベット整えるねー」
「着替え持ってくるねー」
3人は役割分担を決めると、素早く動き出した。
そしてABCトリオのひとりは、部屋の隅に置いてあった編み込みの籠に手を突っ込むと、「モップ・ロボ、GO!」と叫んで、籠の中にあったロボを床に置いた。
ちなみにモップ・ロボは、見た目がカルガモの形をしているので、正確には「カルガモップ・ロボ」と言って、足が取り外し可能な平らなモップになっている。
カルガモ親子セットのモップ・ロボを買うと、親子で列になって床をスーイスーイと泳いで掃除してくれるので、見た目が可愛くて人気商品だ。
(子カルガモは、ぴよぴよと鳴く音声付き!)
今も親カルガモ1体と子カルガモ5体が床を泳ぐようにモップで拭き掃除をしており……
癒されながらも床が綺麗になるため、毎日の床掃除が結構楽しかったりする。
(ちなみにこのカルガモップ・ロボをリアルに使いたいがために、床の色を池や湖みたいなデザインにする人もいて、ネットにアップされている画像をよく見かける)
ついでに説明すると、籠の中には卵の形をしたドライヤーが付随されている。
掃除後にモップ部分を取り外して洗ってから籠に戻すと、卵型ドライヤーがモップを乾かして除菌してくれるため、何度でも繰り返し使える仕様だ。
「なぁ……このロボは、正式にはなんていうんだ?」
俺は渡されたTシャツに着替え、転がっていた桃・ロボ(仮)を拾いながらつぶやいた。
寝室に行っていたABCトリオの一人も戻ってきて、3人は顔を見合わせてから俺を見た。
「「「正確には桃乳・ロボ。略してモチモチ・ロボですかね~」」」
「おー。その名前は可愛いな!」
俺はちょっと感心し、桃・ロボ……改め、モチモチ・ロボをなでた。
「これ……クレアの胸と同じ素材……だよな?」
ごくっと唾液を飲みながら、聞いてみた。
「「「もちろんですとも!」」」
「じゃ、じゃあ……サイズも……?」
俺は鼻から大きく息を吸い、息を止めて3人の回答を待った。
すると3人は……無表情のまま両手をだんだん上にあげていき……
満面の笑みと共に、、、頭の上で丸を作った。
―――――ああ、、、、‼ 神よ………‼‼
俺は両手を広げ、祈るような気持ちでABCトリオを見た。
この素晴らしき感触と、素晴らしきサイズをお与え下さってありがとう……‼
天から光が降り注ぎ、3人と俺を祝福しているように感じていた。
「さぁ、ぼっちゃん! そろそろ一緒に食事を食べませんか? 実は起きるの待ってたんですよ~」
ABCトリオの誰かの言葉に、俺は驚きながら我に返った。
「え、食事? 食事って口に入れて噛んだりするやつだよな? うわー久々だ! どんな物があるんだ?」
わくわくした。「食事」という言葉を聞いたのは、久しぶりだったから。
この時代にはもう、「日常的に食事をする」という光景は、ほとんど存在しないのだ。
つづく。
俺はつむっていた目をそぉーっと開けて、Eカップを揉んでいたはずの手を一旦離し、もう一度同じ位置でEカップをつかもうと試みた。
確かにそこに、「何か」はいる。
しかしクレアじゃないとすると、今度は触れるのに躊躇した。
反応がわからないからだ。
俺は天井を見上げ、「明るくしてくれ、スイッチ・ロボ」と言った。
ぱっと部屋が明るくなった。
この家の電気は、声紋認証でつけたり消したりできる他、ドア付近のスイッチと手元で使えるリモコンがある。
声紋認証オンリーにしてしまうと喉が痛い時に電気がつけれなくなるため、アナログのスイッチも意外と重宝していた。
俺はベットから身体を起こし、部屋の中を見渡した。
やはりクレアの姿はどこにもなかった。
しかしベットの横の棚の上には、丸いロボが乗っていた。
大きさはバレーボールといい勝負で、薄いピンク色をしている。
ロボだと思った理由は、中央辺りに青くて丸い瞳が2つくっついていて、じっとこちらを見ていたからだ。
(さっきクレアだと勘違いした青い瞳は……これだったのか……!)
俺は少し考えて、「ピンクというより桃色っぽいから、桃・ロボ(仮)でいいか!」と勝手に命名した。
そして手を伸ばし、桃・ロボ(仮)にそっと触れた。
―――――うわぁ……めちゃめちゃ柔らかいんだけど……!?
それにこの感触は……多分だけど、クレアのEカップと……ほぼ同じだ‼‼‼
俺の直観がそう言っている。
柔らかさ、弾力、手ごたえ、、、間違いなくクレアのEカップと同じ素材で出来ている。
素材自体はわからない……! だが、俺が間違うものか‼!!
Eカップ大好きの、この俺が……‼‼(力説)
寝ころんだまま桃・ロボ(仮)をなでながら揉み続けていると、桃・ロボ(仮)がうっとりした表情になり、桃色がどんどん赤くなっていった。
そして、『桃・桃・キュンッ♥』と可愛い声を出した。
何だこれ! 何だコレ!? すんげー可愛いんだけど???
俺は掛け布団を跳ね飛ばし、床に足を降ろしてベットに座り直した。
そして桃・ロボ(仮)を両手でそっと抱え上げ……膝の上に乗せた。
それから揉み揉み攻撃をして超可愛がった。
柔らかい。柔らかい。柔らかすぎて幸せだ……‼
『桃・桃・キュンッ♥ 桃・キュン・キュン♥♥ 桃・桃・キュン・キュン♥♥♥ 桃・キュン・キュン♥♥♥♥』
揺れながら歌う桃・ロボ(仮)。
ふぉぉぉおぉおぉぉぉ‼‼
何だコイツ、超可愛くて萌ーえーるぅー♪♪♪
鼻血祭りだぜーーーー☆☆☆
と、脳内で叫んだところで、俺は非常に喉が渇いていることに気が付いた。
(とりあえず水。まずは水だ。このままでは干からびてしまう……)
きょろきょろと辺りを探すが、棚の上やベット周辺に水の入ったものはどこにも見当たらなかった。
(あれ? さっきABCトリオの誰かが水を置いたって言ったよな……???)
「水……水……」
どこだー? と、床を見たりベットの隙間を見たりして探していたら、、、
『水・水・キュンッ♥ お口にキュンッ♥♥』
目の前の桃・ロボ(仮)から、また声が聞こえてきた。
「え!? これ!? もしかして……これが置いてった水なのか!?」
桃・ロボ(仮)が、「ウンウン」とうなずくみたいに瞬きした。
(まじで……?)
―――――しかし、、、どうやって飲むんだよ!?
俺は桃・ロボ(仮)をじっと見つめ、とりあえず振ってみた。またはひっくり返せば水でも出るのか?
すると桃・ロボ(仮)の青い瞳の下におちょこのような口ができて、水がぴゅーっと噴き出してきた。
しかし思ったよりも威力がなく、俺の口に届く前に床に落ちている……。
―――――くっ! 可愛いけど、、、これは飲みづらい……‼
俺は仕方なく桃・ロボ(仮)を持つ手を上げて、自分の目線よりも高くした。
するとウィーンウィーンと機械を起動する音がして、桃・ロボ(仮)の口は、おちょこから真四角に変形した。そしてその次に、青い瞳が白い瞳に変化していき、、、
『オゲェエェエエエエエェエ』
叫びながら俺に向かって、大量の水を吐き出した。
「うわぁ~~~~~!?」
口だけでは当然受け止めきれず、俺の身体とベットがびしょ濡れになった‼
―――――わかってる、、、この桃・ロボ(仮)が悪いわけではない‼ だが、しかし……‼
俺は桃・ロボ(仮)をつかんで脇に抱えると、すごい勢いで寝室を出て階段を走り降りた。
そのままリビングまで続く廊下を走り、リビングの入り口でキュッと足を止める。
「ABCトリオーーーー‼ まだいるかーーーー!?」
「「「はぁーい! ぼっちゃん、元気になってよかったでーす♪」」」
3人はリビングの真ん中に座り込み、ソファー・ロボのメンテナンスをしていた。気のせいか、足の数……増えてないか!?
(……あれ?)
俺はリビングを見回し、「クレアは?」と先に聞いた。当然いるものと思っていたのだ。
「あそこです」
「箱の中です」
「充電中です」
3人が指差した先を見ると、リビングの隅……俺の視角になるところに、2メートルはありそうな長方形の白くて長い箱が見えた。
近づくと上の蓋がガラス張になっていて、眠っている……というか、目を閉じて横になっているクレアがいた。相変わらずビキニのままだったけれど。
「充電用の箱がデカくて重いから、運ぶのが大変だったのか……」
俺の質問に、ABCトリオが顔を見合わせる。
「まぁ基本太陽の光で勝手に充電して動くので、正直充電箱はそんなに必要じゃないんですけどねー」
「でも寝てる姿可愛いしね。美女はやっぱり箱に寝かせて、唇を奪うのが定番だしねー。思わず箱も作っちゃったよねー」
「ただし唇奪う前に、ぼっちゃんの生気が奪われるのが先かもしれないしねー。何せぼっちゃん、たまにはセクハラしたいって宣言しちゃったしー」
あっはっはー♪ と楽しげに会話する3人に少々イラッとしつつも、俺はABCトリオが次に何を言うのか知っていた。
「「「でも、ぼっちゃんが不要だと思うなら、持ち帰りますよ~」」」
俺は「はぁーっ」と息を吐き、3人の近くにドサッと腰を落とした。
本当に持ち帰ること、俺は知ってる。
だって小さい頃、こいつらに反発していた俺は……しょっちゅうそう言ったから。
だけどこいつらは、俺がどんなに反発したってずっと笑顔で、またしばらく経つと、次のロボを持ってくるんだ……。
「いらねーわけねーだろ? 確かにやりすぎ感はあるが、お前らのことだから、俺の退屈しのぎに持ってきてくれたんだろうし……」
「「「ぼっちゃん……」」」
3人はキラーンッと目を輝かせて俺を見た後、、、
「「「ラブーーーッ♥」」」
同時に叫んで、持っていた工具を投げ出して俺に抱き着いてきた。
「重い! 重いわ‼ まじでどけっ‼‼ あと俺はいま水かぶって湿っぽいから、濡れる~!」
勢いで床に頭を打つし、持っていたのを半分忘れていた桃・ロボ(仮)も吹っ飛ぶしで、散々な目にあった!
「あ、そーだ! ベットの横にあったこのロボは何だよ! 給水器なのか? 水量の調整おかしいだろ!?」
俺の上に重なっているABCトリオの身体から這い出て、頭の上の方に転がっていた桃・ロボ(仮)に手を伸ばした。
やっと手が届いた桃・ロボ(仮)の一部に触れると、桃・ロボ(仮)は『桃・桃・キュン♥』と可愛く言った後、、、
『オッグェエエエェエエエエエ‼』
突然白い目と四角い口で、俺の手に大量の水を吐き出した。
秒速何秒の変化だよ、コレ……。もしかして乱暴に扱って壊れてたか!? 揉みすぎて壊れたか!? それとも俺の体質のせいで誤作動が!?
四つん這いになってちょっと凹んでいる俺を見て、ABCトリオは「「「実は……」」」と言いながら立ち上がった。
「ぼっちゃんが水を飲める用に、最初はペットボトルをベットの横に置きました」
「しかしバケツ・ロボが壊れたので音声だけ取り出し、何かに使えないかと考えました」
「そしてぼっちゃんが揉みたい感触と、水と、音声を組み合わせてみました」
「「「これでクレアにセクハラせず、飲みたい時に水が飲めて、吐きたい時に吐けますね☆キランッ」」」
ウインクしながらキメポーズ(?)を取った3人を見て、俺は「ハイハイ」と適当に流した。
馬鹿と天才は紙一重というが、こういう奴らのことを言うんだろうと思う瞬間がある。
「とりあえずこの吐いた水何とかしろよ……。あと寝室のベットも濡れたから! それからついでに着替えも持ってこい」
「「「はぁーい♪」」」
「床掃除するねー」
「ベット整えるねー」
「着替え持ってくるねー」
3人は役割分担を決めると、素早く動き出した。
そしてABCトリオのひとりは、部屋の隅に置いてあった編み込みの籠に手を突っ込むと、「モップ・ロボ、GO!」と叫んで、籠の中にあったロボを床に置いた。
ちなみにモップ・ロボは、見た目がカルガモの形をしているので、正確には「カルガモップ・ロボ」と言って、足が取り外し可能な平らなモップになっている。
カルガモ親子セットのモップ・ロボを買うと、親子で列になって床をスーイスーイと泳いで掃除してくれるので、見た目が可愛くて人気商品だ。
(子カルガモは、ぴよぴよと鳴く音声付き!)
今も親カルガモ1体と子カルガモ5体が床を泳ぐようにモップで拭き掃除をしており……
癒されながらも床が綺麗になるため、毎日の床掃除が結構楽しかったりする。
(ちなみにこのカルガモップ・ロボをリアルに使いたいがために、床の色を池や湖みたいなデザインにする人もいて、ネットにアップされている画像をよく見かける)
ついでに説明すると、籠の中には卵の形をしたドライヤーが付随されている。
掃除後にモップ部分を取り外して洗ってから籠に戻すと、卵型ドライヤーがモップを乾かして除菌してくれるため、何度でも繰り返し使える仕様だ。
「なぁ……このロボは、正式にはなんていうんだ?」
俺は渡されたTシャツに着替え、転がっていた桃・ロボ(仮)を拾いながらつぶやいた。
寝室に行っていたABCトリオの一人も戻ってきて、3人は顔を見合わせてから俺を見た。
「「「正確には桃乳・ロボ。略してモチモチ・ロボですかね~」」」
「おー。その名前は可愛いな!」
俺はちょっと感心し、桃・ロボ……改め、モチモチ・ロボをなでた。
「これ……クレアの胸と同じ素材……だよな?」
ごくっと唾液を飲みながら、聞いてみた。
「「「もちろんですとも!」」」
「じゃ、じゃあ……サイズも……?」
俺は鼻から大きく息を吸い、息を止めて3人の回答を待った。
すると3人は……無表情のまま両手をだんだん上にあげていき……
満面の笑みと共に、、、頭の上で丸を作った。
―――――ああ、、、、‼ 神よ………‼‼
俺は両手を広げ、祈るような気持ちでABCトリオを見た。
この素晴らしき感触と、素晴らしきサイズをお与え下さってありがとう……‼
天から光が降り注ぎ、3人と俺を祝福しているように感じていた。
「さぁ、ぼっちゃん! そろそろ一緒に食事を食べませんか? 実は起きるの待ってたんですよ~」
ABCトリオの誰かの言葉に、俺は驚きながら我に返った。
「え、食事? 食事って口に入れて噛んだりするやつだよな? うわー久々だ! どんな物があるんだ?」
わくわくした。「食事」という言葉を聞いたのは、久しぶりだったから。
この時代にはもう、「日常的に食事をする」という光景は、ほとんど存在しないのだ。
つづく。
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