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第一章
12. 解決?
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ヤンキーくん達は、突然現れた長身の男に恐れをなして逃げていった。ぜひ、俺も連れて逃げて欲しかった……と心から思う。
「は、早川さん……」
それくらい、目の前の男は静かに怒っていた。裏路地には『魔王の如しオーラを放つ王子様』と『半泣きのストーカー女子』と『この世の終わりのような大学生男子』という、なんとも可笑しな相関図ができている。
「それで、間宮くん。気をつけてって忠告しておいたよね?それなのに、どうしたら彼女と一緒に変なのに絡まれる状況になれたのかな?」
「別に、ちょっと井戸端会議してただけだし」
「君は、まず井戸端会議の意味から調べようか」
ドス黒いオーラに潰されそうになっていると、とうとう女性が「あの」と声を発する。
「その子……、悪くないんです」
それは、可哀想になるくらい震えた声だった。
「私っ、どうしても……、どうしても、もう一度早川さんとお話したくて……っ」
その言葉に、早川がようやく女性の方へと振り返る。すると、先程までとは打って変わって、穏やかな声を甘く響かせた。
「ありがとう。気持ちはとても嬉しいよ」
まるで、彼女を受け入れるかのような囁き。しかし、その顔は造り物のような完璧すぎる笑顔だった。
「じゃあ、僕達はこれで」
そう言うと、さっさと俺の腕を手に取る。
俺の胸が、不快な違和感に騒ついた。
「またね」
その別れの言葉を聞いた瞬間、俺の中でブチンと何かが弾けた。
「違うだろっ!」
彼の腕を振り払う。
俺は、またもやポカンとする残念なイケメンに、一言物申さずにはいられなかった。
「お姉さん!名前なに?」
「へ?あ、アズサです」
素直に答えてくれたことに礼を言い、もう一度早川へと向き直る。
そして、大きく息を吸って叫んだ。
「アズサさんはなぁ、アンタが好きなんだよ!!」
「きゃああああっ!!!」
悲鳴を上げたのはアズサさんだ。羞恥心がオーバーヒートして顔が茹っている。
そんな姿に、すまん!と心の中で謝罪しつつ、これだけは言いたかった。
「気持ちに答えてやれないなら、アンタにできることは一つだけだろ!?きちんと振ってやって、次に進めるようにしてあげろよ!!」
そう言った瞬間、二人が息を呑むのが分かった。
でも、俺は止まれなかった。
「優しさのつもりか知らねぇけど、曖昧な態度が一番人を傷つけるんだよ。俺、アンタのその作った笑顔すっげぇ嫌いだ」
そう言い切った時、アズサさんは泣いていた。ポロポロと涙が溢れる瞳は、ビー玉みたいに綺麗だった。
「早川さん……、好きです」
その言葉は、小さいけれどしっかりと早川に届いていた。
俺は、大きな背中を押して言った。
「一度だけでいいから、真剣に返事してあげてよ。お願いだから」
地面を見つめて、深く頭を下げる。
すると、ふわりと頭の上を何かが撫でた。
あまりにも軽く触れたのはきっと早川の指先で、顔をあげる頃には離れていた。
「君の気持ちには答えられない。すまない」
狭い路地に、穏やかな……けれどよく通る声が響く。
「さようなら」
早川がはっきりと別れの挨拶を告げれば、アズサさんは静かに呟いた。
「……ありがとうございます。これで、もう諦められそうです。今まで付き纏ってしまい、申し訳ありませんでした」
綺麗なお辞儀をした彼女は顔を上げる。
その顔は、どこか晴れやかな笑顔だった。
そして、俺に向き直ると「ありがとう」と言って街の雑踏へと消えて行った。
「は、早川さん……」
それくらい、目の前の男は静かに怒っていた。裏路地には『魔王の如しオーラを放つ王子様』と『半泣きのストーカー女子』と『この世の終わりのような大学生男子』という、なんとも可笑しな相関図ができている。
「それで、間宮くん。気をつけてって忠告しておいたよね?それなのに、どうしたら彼女と一緒に変なのに絡まれる状況になれたのかな?」
「別に、ちょっと井戸端会議してただけだし」
「君は、まず井戸端会議の意味から調べようか」
ドス黒いオーラに潰されそうになっていると、とうとう女性が「あの」と声を発する。
「その子……、悪くないんです」
それは、可哀想になるくらい震えた声だった。
「私っ、どうしても……、どうしても、もう一度早川さんとお話したくて……っ」
その言葉に、早川がようやく女性の方へと振り返る。すると、先程までとは打って変わって、穏やかな声を甘く響かせた。
「ありがとう。気持ちはとても嬉しいよ」
まるで、彼女を受け入れるかのような囁き。しかし、その顔は造り物のような完璧すぎる笑顔だった。
「じゃあ、僕達はこれで」
そう言うと、さっさと俺の腕を手に取る。
俺の胸が、不快な違和感に騒ついた。
「またね」
その別れの言葉を聞いた瞬間、俺の中でブチンと何かが弾けた。
「違うだろっ!」
彼の腕を振り払う。
俺は、またもやポカンとする残念なイケメンに、一言物申さずにはいられなかった。
「お姉さん!名前なに?」
「へ?あ、アズサです」
素直に答えてくれたことに礼を言い、もう一度早川へと向き直る。
そして、大きく息を吸って叫んだ。
「アズサさんはなぁ、アンタが好きなんだよ!!」
「きゃああああっ!!!」
悲鳴を上げたのはアズサさんだ。羞恥心がオーバーヒートして顔が茹っている。
そんな姿に、すまん!と心の中で謝罪しつつ、これだけは言いたかった。
「気持ちに答えてやれないなら、アンタにできることは一つだけだろ!?きちんと振ってやって、次に進めるようにしてあげろよ!!」
そう言った瞬間、二人が息を呑むのが分かった。
でも、俺は止まれなかった。
「優しさのつもりか知らねぇけど、曖昧な態度が一番人を傷つけるんだよ。俺、アンタのその作った笑顔すっげぇ嫌いだ」
そう言い切った時、アズサさんは泣いていた。ポロポロと涙が溢れる瞳は、ビー玉みたいに綺麗だった。
「早川さん……、好きです」
その言葉は、小さいけれどしっかりと早川に届いていた。
俺は、大きな背中を押して言った。
「一度だけでいいから、真剣に返事してあげてよ。お願いだから」
地面を見つめて、深く頭を下げる。
すると、ふわりと頭の上を何かが撫でた。
あまりにも軽く触れたのはきっと早川の指先で、顔をあげる頃には離れていた。
「君の気持ちには答えられない。すまない」
狭い路地に、穏やかな……けれどよく通る声が響く。
「さようなら」
早川がはっきりと別れの挨拶を告げれば、アズサさんは静かに呟いた。
「……ありがとうございます。これで、もう諦められそうです。今まで付き纏ってしまい、申し訳ありませんでした」
綺麗なお辞儀をした彼女は顔を上げる。
その顔は、どこか晴れやかな笑顔だった。
そして、俺に向き直ると「ありがとう」と言って街の雑踏へと消えて行った。
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