人生崖っぷちですが王子様に拾われました!?〜崖っぷち元人気漫画家×崖っぷち大学生が協力してBL漫画で一発逆転狙います!〜

一色

文字の大きさ
13 / 91
第一章

12. 解決?

しおりを挟む
 ヤンキーくん達は、突然現れた長身の男に恐れをなして逃げていった。ぜひ、俺も連れて逃げて欲しかった……と心から思う。
「は、早川さん……」
 それくらい、目の前の男は静かに怒っていた。裏路地には『魔王の如しオーラを放つ王子様』と『半泣きのストーカー女子』と『この世の終わりのような大学生男子』という、なんとも可笑しな相関図ができている。

「それで、間宮くん。気をつけてって忠告しておいたよね?それなのに、どうしたら彼女と一緒に変なのに絡まれる状況になれたのかな?」
「別に、ちょっと井戸端会議してただけだし」
「君は、まず井戸端会議の意味から調べようか」

 ドス黒いオーラに潰されそうになっていると、とうとう女性が「あの」と声を発する。
「その子……、悪くないんです」
 それは、可哀想になるくらい震えた声だった。
「私っ、どうしても……、どうしても、もう一度早川さんとお話したくて……っ」
 その言葉に、早川がようやく女性の方へと振り返る。すると、先程までとは打って変わって、穏やかな声を甘く響かせた。
「ありがとう。気持ちはとても嬉しいよ」
 まるで、彼女を受け入れるかのような囁き。しかし、その顔は造り物のような完璧すぎる笑顔だった。
「じゃあ、僕達はこれで」
 そう言うと、さっさと俺の腕を手に取る。
 俺の胸が、不快な違和感に騒ついた。
「またね」
 その別れの言葉を聞いた瞬間、俺の中でブチンと何かが弾けた。

「違うだろっ!」

 彼の腕を振り払う。
 俺は、またもやポカンとする残念なイケメンに、一言物申さずにはいられなかった。
「お姉さん!名前なに?」
「へ?あ、アズサです」
 素直に答えてくれたことに礼を言い、もう一度早川へと向き直る。
 そして、大きく息を吸って叫んだ。

「アズサさんはなぁ、アンタが好きなんだよ!!」
「きゃああああっ!!!」

 悲鳴を上げたのはアズサさんだ。羞恥心がオーバーヒートして顔が茹っている。
 そんな姿に、すまん!と心の中で謝罪しつつ、これだけは言いたかった。

「気持ちに答えてやれないなら、アンタにできることは一つだけだろ!?きちんと振ってやって、次に進めるようにしてあげろよ!!」

 そう言った瞬間、二人が息を呑むのが分かった。

 でも、俺は止まれなかった。
「優しさのつもりか知らねぇけど、曖昧な態度が一番人を傷つけるんだよ。俺、アンタのその作った笑顔すっげぇ嫌いだ」
 そう言い切った時、アズサさんは泣いていた。ポロポロと涙が溢れる瞳は、ビー玉みたいに綺麗だった。
「早川さん……、好きです」
 その言葉は、小さいけれどしっかりと早川に届いていた。
 俺は、大きな背中を押して言った。
「一度だけでいいから、真剣に返事してあげてよ。お願いだから」
 地面を見つめて、深く頭を下げる。

 すると、ふわりと頭の上を何かが撫でた。
 あまりにも軽く触れたのはきっと早川の指先で、顔をあげる頃には離れていた。

「君の気持ちには答えられない。すまない」

 狭い路地に、穏やかな……けれどよく通る声が響く。

「さようなら」

 早川がはっきりと別れの挨拶を告げれば、アズサさんは静かに呟いた。

「……ありがとうございます。これで、もう諦められそうです。今まで付き纏ってしまい、申し訳ありませんでした」

 綺麗なお辞儀をした彼女は顔を上げる。
 その顔は、どこか晴れやかな笑顔だった。
 
そして、俺に向き直ると「ありがとう」と言って街の雑踏へと消えて行った。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中  二日に一度を目安に更新しております

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

【第一部・完結】毒を飲んだマリス~冷徹なふりして溺愛したい皇帝陛下と毒親育ちの転生人質王子が恋をした~

蛮野晩
BL
マリスは前世で毒親育ちなうえに不遇の最期を迎えた。 転生したらヘデルマリア王国の第一王子だったが、祖国は帝国に侵略されてしまう。 戦火のなかで帝国の皇帝陛下ヴェルハルトに出会う。 マリスは人質として帝国に赴いたが、そこで皇帝の弟(エヴァン・八歳)の世話役をすることになった。 皇帝ヴェルハルトは噂どおりの冷徹な男でマリスは人質として不遇な扱いを受けたが、――――じつは皇帝ヴェルハルトは戦火で出会ったマリスにすでにひと目惚れしていた! しかもマリスが帝国に来てくれて内心大喜びだった! ほんとうは溺愛したいが、溺愛しすぎはかっこよくない……。苦悩する皇帝ヴェルハルト。 皇帝陛下のラブコメと人質王子のシリアスがぶつかりあう。ラブコメvsシリアスのハッピーエンドです。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

前世が教師だった少年は辺境で愛される

結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。 ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。 雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。

【完結】男の後輩に告白されたオレと、様子のおかしくなった幼なじみの話

須宮りんこ
BL
【あらすじ】 高校三年生の椿叶太には女子からモテまくりの幼なじみ・五十嵐青がいる。 二人は顔を合わせば絡む仲ではあるものの、叶太にとって青は生意気な幼なじみでしかない。 そんなある日、叶太は北村という一つ下の後輩・北村から告白される。 青いわく友達目線で見ても北村はいい奴らしい。しかも青とは違い、素直で礼儀正しい北村に叶太は好感を持つ。北村の希望もあって、まずは普通の先輩後輩として付き合いをはじめることに。 けれど叶太が北村に告白されたことを知った青の様子が、その日からおかしくなって――? ※本編完結済み。後日談連載中。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

処理中です...