溺愛アルファは運命の恋を離さない

リミル

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【2章】ユキと斗和

プロポーズ2

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「俺の──生涯でただ一人の番になってほしい」

あの日、一人でお腹の中にいる斗和と一緒に、千歳はレグルシュの元を去ろうとした。オメガという存在を嫌悪するレグルシュを、忘れようとした。

運命を諦めようとした千歳の手を引いて、望んでくれたのは今目の前にいるレグルシュだ。レグルシュも千歳と同じことを思い出しているのだろう。言葉を続けた。

「俺はお前を引き止めるために、番という言葉を使った。番にすると言えば、オメガは……千歳は残ってくれるだろうと。半分ほどは下心だった。けれど、お腹の中に斗和がいるとお前に言われ……自分の言動の浅はかさに吐き気がした」

千歳はいつもより冷たいレグルシュの指先を握る。出会った頃のレグルシュならば、冗談でもオメガを番にするとは言わなかっただろう。

ユキのシッターを通じて、オメガである千歳のことを信じてくれたのだ。

「そんなに自分を責めないでください。僕はレグがオメガ嫌いだと知っていたから、自分の気持ちを告げたら困らせると思って、言えなかった」

レグルシュが好きだと言ってくれなければ、千歳はお腹の中に斗和がいることも告白できなかった。あのまますれ違っていたらと考えると恐ろしくなる。

レグルシュが千歳の手を取り、空いている薬指にリングを嵌めた。リングの中央には、千歳が見たこともないくらい大きなダイヤがあり、その周りにはレグルシュの瞳の色と同じ、ペリドットが散りばめられている。

「俺が本心を言えるまで、待ってくれてありがとう。千歳。愛してる」
「うん……僕も、レグルシュが好き。愛しています」

レグルシュは指輪を一撫ですると、唇を合わせた。ペリドットの瞳に涙の膜が張っているのに気付くと、千歳も同じように涙を一つ落とした。

唇を合わせる度に、ちゅっと濡れた音が部屋に響く。キスをする間、レグルシュの手がシャツの下へと容易く侵入する。千歳の反応を確かめるように大きな手で撫でられて、もどかしい手つきに身体は震えた。

千歳が突発的な発情期を起こして以来、レグルシュとセックスはしていない。キスや触れ合うことはあっても、どれもスキンシップの類であった。

シャツのボタンを外す手が止まり、自分に覆い被さっている男は、千歳の意思を伺うように、顔を覗き込んだ。必死に欲を抑え込んでいる顔だった。

「レグ……」
「千歳……いいのか?」

発情期の最中は、初めての行為でただ快楽を受け止めるだけでいっぱいだった。レグルシュと愛し合った記憶はあるのだが、細かい部分まではいちいち覚えていない。ヒートを起こしていないレグルシュに求められ、きちんと最後までできるのか自信がない。

「あ、あの」
「何だ?」

千歳の髪をすきながら、レグルシュは優しい声色で問いかける。

「上手くできないかもしれないけど……怒らないでくれると、嬉しいです」

千歳の告白を聞いたレグルシュは、笑みを浮かべた。

「好きなやつに愛を伝えている最中に、怒るやつがいるのか? ただ一つ、強いて言うとすれば、お前はその無自覚を直したほうがいい」

シャツをはだけさせると、以前よりも嵩張った胸が現れる。男体のオメガは出産すると、脂肪がつき身体が丸くなる。この変化した身体が、レグルシュにどう映っているのか、不安で堪らなかった。

「綺麗だな。他のやつに攫われないか、心配が尽きない」

率直な言葉で褒められて、千歳の頬は赤く染まった。レグルシュの手がさらに奥を暴こうとしたとき、向こうで高い声が上がった。

寝言や伸びをしたときに、猫が鳴くような声を出すときがあるのだが、今回はそうではないらしい。

動きを止め耳をそばだてていたら、本格的に泣き出してしまったので、二人して苦笑した。レグルシュが千歳の衣服を整えると、すぐさま斗和のほうへ向かう。

抱いてあやしてもまるで効果がない。まだミルクの時間には早いが、嵐の風のように泣くので仕方ない。千歳は自分の乳を吸わせることにした。

レグルシュは自分と同じ色をしている、斗和の頭を撫でる。

「ママを取られると思って嫉妬したのか」
「ふふ。どうでしょう。斗和はものすごく甘えん坊だね。誰に似たんだろう?」

互いの視線がぶつかり、千歳達は声を出して笑った。
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