溺愛アルファは運命の恋を離さない

リミル

文字の大きさ
18 / 42
【4章】はじめての幼稚園

二人だけの時間2

しおりを挟む
「あっ、あぁ、あ……っ。やだっ、レグぅ……声が……でちゃう」
「少しだけ、可愛い声を聞かせてくれ。ほら、俺のどこが好きなんだ?」
「あ……っ! おっきぃ……のが、すき。奥に出されるのが……好き」
「──っ。お前は……」

レグルシュは悩ましげな溜め息をつく。何かいけなかったことをしただろうか、と口にしようとしたが、その言葉ごと唇の中に飲み込まれた。
下肢では激しい交合の音を響かせている。

「ごめ……こえが、でちゃう……っ」

必死の訴えも、レグルシュは口付けの音で掻き消した。声に出して昇華できない快楽は熱い涙に変わり、互いの混ざり合った体液でシーツはすでにドロドロだった。

レグルシュが中で果てるのと同時に、千歳も絶頂を迎えた。胎内に精を送られるのを感じながら、千歳はシーツへ横たわる。レグルシュは飽きることなく、千歳の肌へ細やかなキスを送った。時々、抓られるような小さな痛みを残して。

「ん、レグ……」
「誰にも見せるわけではないから、いいだろう?」
「……斗和とお風呂に入るとき、どうするの」

レグルシュは顔を上げると、しまったという表情を見せた。普段は二、三個痕が残るだけだったから誤魔化せたものの、これは言い訳するのには苦しい。千歳の身体を隅々まで眺めてから、レグルシュは甘えるように項に顔を埋めた。

「しばらくの間は、俺が毎日風呂に入れるからいいだろう?」
「仕事が遅い日だってあるでしょう?」
「……そうだな。早く帰れるようにはする」

これといった解決策はなかったようだ。他愛ない会話をしながら、二人は火照りが収まりかけた身体を再び重ねる。ペニスを引き抜かれると、中に出されたものがどろりと太腿を伝って流れ出た。アルファに注いでもらった種が零れ落ちないよう、無意識にそこを閉ざしている。

「千歳。もう入れさせてくれないのか?」
「わ、わからない……」

初めてレグルシュに抱かれてから、発情期以外は性に淡白だったオメガの身体は変わった。他のオメガの事情は詳しくは分からないが、アルファに行為を求められたとき、千歳が断るとアルファの男はいつも残念がったり、酷いときには怒りをぶつけてくる。

別に恋人でも何でもなく、中には初対面で「抱きたい」など、誘われることもあった。

レグルシュに抱かれるまでは、千歳は行為自体を嫌悪していたのだ。

レグルシュは甘やかすようにたっぷりと愛撫を施す。これ以上唇の痕を増やすことはせず、緊張した千歳の身体が再び受け入れるようになれるまで、待ってくれている。

「千歳。もう続きはしたくない?」
「やぁ……」

レグルシュの大きな手で、会陰から前を撫でられて、思いもよらない声が漏れた。レグルシュはセックスの再開を急かすというよりは、千歳の反応を見て楽しんでいるようだった。後ろの準備がまだ必要なことをレグルシュは見抜くと、千歳のペニスを手の内で弄ぶ。

「ここも可愛い。俺のとは違って綺麗な色をしている」

レグルシュの指が、ほんのりと桃色に色付いた先と袋を撫で回す。男のオメガの生殖器官は平均よりも小振りであることが多く、アルファであるレグルシュとの差は歴然だった。子どものような成りが恥ずかしく、千歳は色も形も大きさも違うレグルシュのものから目を逸らした。

しかし、レグルシュは千歳の羞恥心を煽るように、自分のものを添わせる。

「や、レグの……」
「震えているな。別に潰されるわけでもないのに。ほら、こうするといいだろう?」
「あ、あぁっ、あ……! だめっ……きもちいい……」

レグルシュは深く息を吐くと、大きさの違う陰茎を一緒に擦り上げた。大きな身体で寄りかかられている状態なので、思うように身動きが取れない。

まるで千歳の中に入っているときと同じように、レグルシュは腰を打ちつけてくる。裏筋をごりごりと合わせられる強い力に、千歳は恐怖を覚えた。

「や、やだっ……。レグ、つぶれちゃう……っ!」
「大丈夫だ。気持ちいいだけだろう? ここでも気持ちよくなれて、いい子だな」

千歳の手を誘導すると、自分の昂りに触れさせる。体温よりも一際熱いそれはどくどくと脈打っていて、色白な自分のものとはまるで違う。人のものをどうすればよいか勝手が分からないので、千歳は言われるがままに拙い手つきでレグルシュのペニスに触れる。

「可愛い触り方だな。普段でもこうなのか?」

恥ずかしい問いかけに答えられず、千歳は首を振った。

「普段はしていない?」
「た、たまに……。でも、レグが触るほうがきもちいい……あっ、あ!」

レグルシュが「こうか?」と言って、千歳の言ったことを実演してみせる。前で快感を拾い上げていくうちに、後孔が物欲しげにひくつくのが自分でも分かった。

「レグが、ほしい」

千歳は消え入りそうなくらい小さな声で、レグルシュに訴えた。酷く嬉しそうな顔をしながら返されたのは、意地の悪い言葉だった。

「聞こえなかった。もう一度言ってくれ」

レグルシュが顔を近付ける。千歳が具体的な言葉で強請ると、レグルシュは照れたように笑った。

貫かれる感覚はどんなに時間が経っても慣れることはなく、抉じ開けられるように叩き込まれ、千歳は大きな背中にしがみついた。

「レグ、レグぅ……! あっ、あ、あぁ、ん……」

前への愛撫を繰り返され、快感を蓄積させていった身体は少しももたなかった。胎内に巨大な熱を馴染ませるような動きをされただけで、千歳は絶頂を迎えてしまった。息づく千歳とは違い、レグルシュはまだまだ余裕がある。

「ま……まって。まだ……」
「千歳のお願いを聞いたのだから、今度は俺の我儘も聞いてくれるだろう?」

我儘なんて可愛らしいものじゃない。口を開こうとしたらキスをするために塞がれて、抗議すらさせてもらえなかった。きっと確信犯だ。

「千歳、かわいい。愛してる。俺の最愛のオメガ」

ヒートに飲まれていても、千歳に無理をさせている自覚は多少あるのだろう。罪滅ぼしのように、レグルシュはセックスの間中、千歳に甘い言葉を囁くのだった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話

降魔 鬼灯
BL
 ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。  両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。  しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。  コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。  

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

【完結】end roll.〜あなたの最期に、俺はいましたか〜

みやの
BL
ーー……俺は、本能に殺されたかった。 自分で選び、番になった恋人を事故で亡くしたオメガ・要。 残されたのは、抜け殻みたいな体と、二度と戻らない日々への悔いだけだった。 この世界には、生涯に一度だけ「本当の番」がいる―― そう信じられていても、要はもう「運命」なんて言葉を信じることができない。 亡くした番の記憶と、本能が求める現在のあいだで引き裂かれながら、 それでも生きてしまうΩの物語。 痛くて、残酷なラブストーリー。

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

心からの愛してる

マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。 全寮制男子校 嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります ※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください

処理中です...