異世界強制お引越し 魔力なしでも冒険者

緑ノ深更

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2章

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「カイト、無事だったか」
「ギルド長!リノは!?ロナさんは!?」
「あぁ、2人共大丈夫だ。よくやった」

まだルークに抱き上げられたままだけど、ほっとして気が抜ける。追いかけて来てくれていたんだろう他の冒険者達も集まって来た。

道の先からギィが逃げていた小さい方の男を引きずって戻って来るのが見えた。走駝は大人しく後ろをついて来てる。
ギルド長が合図して何人かの冒険者がギィから小さい方の男を受け取りに走って行った。

ずっと黙って俺を抱きしめていたルークが、腕を緩めて地面に下ろしてくれる。

「ルーク、心配かけてごめんね。助けてくれてありがとう」

泣きそうな顔でうんうん頷くルークの頬を撫で撫でしておく。

「…カイト…その格好…ほんとうに何もなかったんだな…?」

?ギルド長、どうした?
すごく聞きにくそうな小さい声だけど。

「あー、だいぶ汚れちゃったけどこれパジャマ。寝起きのままだったからこんな格好ですみません」
「パジャマ?それが?いつもそれで寝てるのか?」
「⁇そうだけど…何か変?ギィが用意してくれたの最初からこんな感じなんだけど…?」

みんなの意見は?と思って周りを見るとみんな俺のパジャマを凝視してる。
え?これ、変なの!?なんでそんなに足をじろじろ見るんだ?
そういえばこっちじゃハーフパンツとか見かけないけど…みんなの足とそんなに変わりないだろう!?
…なんかみんな顔赤いけど、どうしたんだよ…。

「…これ、何か変?」
「えっ?い…いや、変というか…何というか…」
「うん…そう、エロ…いやいや、えーっと、羨ましい…かな」
「ギィって、ムッツリ「「シーっ!!」」」
「???」
「そうか…ギィが用意したのか…。ルークも知ってたんだよな?」

ギルド長はため息だ。
ルークはちょっと目線を上に逸らしてる。

ギィが人垣を抜けてそばにやって来た。
周りで俺をガン見してた冒険者たちは、サッと目を逸らして周辺を眺めたり、急に地面を調べ出した人もいる。

「ギィ、俺のパジャマ「カイト、すまなかった」…え?」
「寂しい思いをさせてすまなかった。今日も遅くなって悪かった」
「ギィ、大丈夫だよ。留守番上手く出来なくて迷惑かけてごめん」

ギィがぎゅっと抱きしめてくる。

あ、なんか久しぶりだな。
ギィの匂い。安心する。

「カイト、無事でよかった。
カイト、カイト…俺を捨てないでくれ」

ちょちょちょっと!?ギィさん??

「えっ!??どうしたの、ギィ?ロナさんは?ロナさんも大丈夫だったでしょ??俺頑張ったんだよ!?」

そうだよ、ロナさんにも会って来たんだろ?ギィは俺のとこよりロナさんのとこにいないと!

「ロナ?…アンナの娘…か?」
「え?どうしちゃったの?ギィ、ロナさんと結婚するんだろ!?」

えぇぇー!って周りから悲鳴のような声が上がる。

あ、内緒だった。ごめん…

「カイト、何の話だそれは。誰がそんなことを言った。俺からカイトを奪うつもりか」

ギィ、苦しいよっ!
ぎゅっが、ぎりぎり締まって来てるぅ。

助けを求めて横に立つルークを見たけど、笑うか怒るか迷ってるみたいなすごい微妙な顔してる。

「カイト…その噂は間違いだよ」

えっ!?そんなはずは…

「あー…取り込み中悪いんだが、警備隊の詰所まで移動してもらえんかな。事情を聴かせてもらいたいんだがな」

あっ、隊長さん。すみません。
ロナさんは警備隊に連れられて先に詰所に移動したらしい。

「よし、撤収だ。そいつらは警備隊に引き渡せ」

ギルド長の指示でみんなが動き出す。

「あのっ、みんなありがとう!」

無事でよかった。いいってことよ。お前は頑張った。ってみんな優しい。ほんとうにありがとう。

ギィが無言で俺を抱き上げる。懐かしの縦抱っこ。
俺ちょっと疲れちゃったから、このまま運んでもらおう。今だけだから、甘えさせて。
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