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4月
勝負
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おら、自己紹介しろやと言われ集合した男バレの前に投入される俺ナウ。俺の事を知ってるやつも多くて「おお~」っと声が上がった。
「馬渕珱柳です。1年生です。」
コミュ障って訳じゃないんだけど、バレー部ってだけで身がすくむ。
「おうや??…久しぶりじゃん!2年の選抜以来だなっ」
そんな中で俺に声をかけてきたのが中学のころ全日本メンバーとして招集されるときよく一緒だった橘晴貴。彼とは気があってよく喋ってたような気がする。
「はるたか…久しぶり。山陽学園だったんだな」
「ん、まーね。」
そこから少し他愛もないやり取りをしてそれに別の人も入って来たりして結構喋るのは楽しかった。けど、
「おい、馬渕来いよ」
無理やり輪の中から引っ剥がされて、コートの中に立たされた。本当に久しぶりにコートの中に入る。
「サーブレシーブ5本勝負?それとも…そいつらの中から選んで2対2する?」
「…サーブレシーブの方で。」
ここまで連れてきたらやるまでかえしてもらえないってーのはもう分かった。強引すぎるんだよねこの人。まだ南條さんのが友達になれそう。
なんて、考えてたら
「おい、ボーッとしてんなよ。お前の顔面サーブ狙ってんだからなこっちは」
だってよ。絶対に無理、俺この人と仲良くできない気がする。
「先レシーブでもいいですか」
「おー、いいぜ」
さっさと終わらせたくて。ジャンケンで決める時間も惜しかった。さっきコートに入ったばかりなのに鳥肌と冷や汗が止まらない。一刻も早くこの場から出ないと。いや、出ていかなければ。
ビーィッ
笛の音が鳴る。
バンババンっと何回かボールをつく音がする。
松葉がサーブトスをあげて助走に入る。
その手にボールがミートした瞬間、
「うわ、綺麗なドライブ」
溜息が出るくらいすごい回転がかかったボールが俺に向かってきた。
負けたいなら取るべきじゃない、…わかってるのに。
取ってみたい
その感覚に支配されて気づいたら足が動いてた。
ポンッー
ああ、決まった。
ボールがきれいに弧を描いてふわっとコートの真ん中に落ちる。
「うわ、あいつまじか。慧くんのサーブ一本であげたぞ」
「いやまだ6割程度だろ?」
「じゃあお前上げられるのかよ」
「いや無理だね」
周囲のザワつく声が聞こえる。でもそれもぼわぼわとはっきり聞こえなくなって、俺の世界は松葉慧しか見えなくなった。
「くそっ…流石だな」
松葉がなんか呟いて笑った。
もっと上げてみたい。早く……
ビィィッー、と二回目の笛の音。
その時、
『お前なんてバレーする資格ねぇんだよっこの淫乱』
急に昔言われたコトが耳に響いて、
「っ…」
あーまたか…。来た。一人でボール触ってんのは良いんだけど。誰かとプレーすると俺は急にボールが見えなくなるんだ。あー残念。
ボゴッ
俺は松葉の宣言通り顔面サーブをくらうことになった。
俺は意識を手放した。
「馬渕珱柳です。1年生です。」
コミュ障って訳じゃないんだけど、バレー部ってだけで身がすくむ。
「おうや??…久しぶりじゃん!2年の選抜以来だなっ」
そんな中で俺に声をかけてきたのが中学のころ全日本メンバーとして招集されるときよく一緒だった橘晴貴。彼とは気があってよく喋ってたような気がする。
「はるたか…久しぶり。山陽学園だったんだな」
「ん、まーね。」
そこから少し他愛もないやり取りをしてそれに別の人も入って来たりして結構喋るのは楽しかった。けど、
「おい、馬渕来いよ」
無理やり輪の中から引っ剥がされて、コートの中に立たされた。本当に久しぶりにコートの中に入る。
「サーブレシーブ5本勝負?それとも…そいつらの中から選んで2対2する?」
「…サーブレシーブの方で。」
ここまで連れてきたらやるまでかえしてもらえないってーのはもう分かった。強引すぎるんだよねこの人。まだ南條さんのが友達になれそう。
なんて、考えてたら
「おい、ボーッとしてんなよ。お前の顔面サーブ狙ってんだからなこっちは」
だってよ。絶対に無理、俺この人と仲良くできない気がする。
「先レシーブでもいいですか」
「おー、いいぜ」
さっさと終わらせたくて。ジャンケンで決める時間も惜しかった。さっきコートに入ったばかりなのに鳥肌と冷や汗が止まらない。一刻も早くこの場から出ないと。いや、出ていかなければ。
ビーィッ
笛の音が鳴る。
バンババンっと何回かボールをつく音がする。
松葉がサーブトスをあげて助走に入る。
その手にボールがミートした瞬間、
「うわ、綺麗なドライブ」
溜息が出るくらいすごい回転がかかったボールが俺に向かってきた。
負けたいなら取るべきじゃない、…わかってるのに。
取ってみたい
その感覚に支配されて気づいたら足が動いてた。
ポンッー
ああ、決まった。
ボールがきれいに弧を描いてふわっとコートの真ん中に落ちる。
「うわ、あいつまじか。慧くんのサーブ一本であげたぞ」
「いやまだ6割程度だろ?」
「じゃあお前上げられるのかよ」
「いや無理だね」
周囲のザワつく声が聞こえる。でもそれもぼわぼわとはっきり聞こえなくなって、俺の世界は松葉慧しか見えなくなった。
「くそっ…流石だな」
松葉がなんか呟いて笑った。
もっと上げてみたい。早く……
ビィィッー、と二回目の笛の音。
その時、
『お前なんてバレーする資格ねぇんだよっこの淫乱』
急に昔言われたコトが耳に響いて、
「っ…」
あーまたか…。来た。一人でボール触ってんのは良いんだけど。誰かとプレーすると俺は急にボールが見えなくなるんだ。あー残念。
ボゴッ
俺は松葉の宣言通り顔面サーブをくらうことになった。
俺は意識を手放した。
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