ダンジョン都市を作ろう! 〜異世界で弱小領主になった俺、領地にあったダンジョンを強化していたら、最強領地が出来てた〜

未来人A

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第3話 生産魔術士

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 屋敷の中にいても落ち着かなので、誠司は一旦外に出て領地を歩いてみた。

 屋敷から出ると領民を発見。

「こんにちは」
「……」

 挨拶をしてみるが無視される。
 予想外の反応に誠司は固まった。

 愛想の悪い人に、たまたまあたったのか? と思った誠司は他の人にも挨拶をする。しかし結果は同じ。

(冷静に考えれば、いきなりやってきた領主とか胡散臭くないか? 人種も違うし)

 誠司は日本人だが、タールトンにいる人々は白人だ。
 見た目からして大きく違う。
 その上、誠司は余所者だ。
 怪しまれない方が無理がある。

 その後も、すれ違う人たちに挨拶をしていったが、返事は一切来なかった。
 挨拶しないように村人同士で示し合わせているかも、と思うくらい誰も挨拶を返してこない

(さ、流石にこのまま村人たちから無視されるのは辛い……でもどうすれば……?)

 誠司はコミニュケーション能力が高いタイプではない。
 人見知りもするほうで、他人と仲良くなるのに時間がかかるタイプだった。
 敵対する相手の態度を、すぐ解せるほどの会話力は持ち合わせていない。

 どうしたものか悩みながら誠司は村を歩いた。
 村人たちの冷ややか視線を受ける。
 徐々に屋敷に帰りたくなってきた。

「はぁ~……帰ろう……」

 ため息を吐いて誠司は屋敷に戻る。

(あれ? あの子……)

 道中変わった子を見かけた。
 肌が褐色で、耳がとんがっている女の子だ。
 顔は可愛いのだが、どこか憂鬱そうな表情を浮かべている。

(エルフ……なのか? 肌が褐色なのでダークエルフ?)

 ほかの村人は全員白人だ。
 彼女だけが違う。

 村人の視線などを見る限り、彼女も村人から疎まれているようだった。

 どこかシンパシーを誠司は感じた。
 挨拶をしようとする。
 だが、彼女は誠司に気づく前に、何処かに走り去っていった。

(まあ、あとで声をかければいいか)

 あとは追わず、誠司は屋敷へと帰宅した。





「はぁー……思ったよりキツイかもな」

 夜、ベッドに寝転がった誠司は、ため息をついた。

(どこの馬とも知れないやつが領主になって、歓迎するやつなんていないか……何かわかりやすい実績でも作らないと、今後このままだろうな)

 ここまで露骨に村人から疎まれた状態で生活するのは、誠司は流石に嫌だった。

 誠司はベッドから起き上がる。
 近くにある革のリュックを見た。

 王城を出発する前に貰ったリュックだ。
 中には本やナイフなどの道具が入っている。

 馬車に乗っている間、本を読もうと試みたが、文字が読めなくて不可能だった。

 この世界では言葉は通じるようだが、文字は見たことのないものが使用されていた。

 理由はわからないが、とにかく今の誠司では読むことできない。

 誠司はリュックの中から、瓶を取り出した。

 瓶の中には怪しげな紫色の液体が入っている。

 誠司は瓶を見つめて、

「どうしよう……」

 と呟いた。

 この瓶を入手した経緯を思い出す。

 それは、王都から出発する直前のこと――――


「それでは領主として頑張ってください」

 出発前、ローブの女、シータから声をかけられた。

「あはは……頑張ってと言われても、領地経営なんて無理ですし、することないかも知れないですけどね」

 苦笑いをしながら誠司は返答する。

「そうですね。でも、セイジさんは生産魔術士であられるようですし、生産魔法を使えば、建物を建てたり、物を作ったり色々やれることがあるのではないですか?」

 そんなことを言われて誠司は返答に困る。

「え、えーと、そんなこと言われても、俺魔法なんて使えませんよ?」
「あれ? 召喚されて魔法が使えるようになってないんですか?」
「な、なってないですよ」

 誠司は慌てて否定する。

「おかしいですね……」
「おかしいって……普通は召喚されたら、すぐに魔法が使えるようになるものなんですか?」
「はい。この世界ではどんな人間でも、生まれつき決められた『職業』があります。職業ごとに習得できる戦技、魔法などが決まっています。魔法を使う職業として生まれた人間は、10歳になると魔法の使い方を突然理解します。セイジ様は見たところ10歳以上でしょうから、この世界に召喚され、職業を得た瞬間から、生産魔法を使えるようになっていないとおかしいのです」
「突然理解するって……練習したりする必要ないんですか」
「魔法を使うのに練習する必要はありません。ただ、魔法の威力を高めたり、魔法の効率を上げたりするには、練習が必要です」
「ほかの職業の人は練習して魔法を使えるようになったりはしないんですか?」
「それは不可能です。職業ごとに魔法が習得できるかどうかは決まっており、魔法職でない場合は魔法は使えません。また、魔法職であっても習得できる魔法には限りがあります。私は『魔術士』という職業ですので、生産魔術士だけが使える生産魔法を使う事はできません」

 この世界では生まれつき生き方も決められているのか、理不尽な世界だなと、誠司は率直にそう思った。

「でも、それって……もしかすると俺は魔法を使う職業なのに、魔法を使えないってことなんですか? ってことは本格的に無能……?」
「いえ、そういうわけではございません。少々出発するのをお待ちいただけますか? 渡したいものがありますので」
「分かりました」

 シータは王城へと入っていく。
 それから数分後、戻ってきた。
 彼女の手には瓶が握られていた。

「これをどうぞ」

 その瓶を渡される。
 中には怪しげな紫色の液体が入っていた。

「何ですか……これ……」
「魔法開花薬、と呼ばれる薬です。この世界にも稀に10歳になっても魔法に目覚めない人がいます。そんな方でもこの薬を飲めば、魔法を習得できます。セイジ様も使えるようになるはずです」
「飲むんですか? これを……?」

 誠司の目には毒にしか見えなかった。

 まだシータたちのことを信用したわけではない。
 飲むことに抵抗を感じた。

 その場では飲まずにリュックに入れて、タールトンに来たのであった。


(俺を殺したいのなら毒殺なんて回りくどい方法はしないだろうけど……でも、本当に飲んでいいのか?)

 屋敷の自室で瓶を眺めながら、誠司は飲むかどうか悩む。

(でも、このまま何もしない領主でいたら、領民に疎まれたままだろう……疎まれるだけならまだしも、追い出されり殺されたりされるかも……)

 自分の未来を想像して、誠司は恐怖心を抱く。

(それにせっかく異世界に来たから、魔法使ってみたいし……よし、怖いけど飲んでみるか)

 決心した誠司は、瓶の蓋を開けた。

 そして、一気に中身を飲み干す。

 味はない。水を飲んだのと同じ感覚だ。

 数秒間は何も起きない。
 何も起きないのか? 
 誠司はそう思っていると、いきなり強い頭痛が襲ってきた。

「ぐっ……!」

 倒れそうになるが堪える。
 頭痛は数秒で収まった。

「!!」

 ――知識が頭の中に浮かんできた。

 忘れていた知識を思い出したという感覚だった。

 しかし、その知識は誰に聞いた覚えもなければ、本で読んだ覚えもなかった。

 不思議な感覚だった。

(これが……生産魔法の使い方……?)

 誠司は得た知識を整理してみた。

(使えるようになった魔法の名と、その効果、使い方を理解したみたいだ……これが薬の力か……)

 一瞬の頭痛を感じただけで、ほかに体に不調はない。
 シータから貰った薬は、間違いなく魔法を開花させるものだった。

 誠司が使えるようになった魔法は以下の六種類だ。

 ・クラフト 
 素材から様々なアイテムを作成できる魔法。

 ・アップグレード
 作成したアイテムを、素材を使って強化する。

 ・ダウジング
 周囲にある素材を感知できる。感知できる素材はレア度が高めの素材に限る。

 ・アプレイザル
 素材やアイテムの説明を見る。
 アイテムの説明をみた場合、レシピを入手できる。

 ・レシピ
 今まで入手したレシピを見る。

 ・デモリッション
 アイテムを解体し素材に変更する。

 生産魔法は種類が多くないようで、この六種類以外は使えないようである。

 素材というのは加工前の木や木材、食材のことで、アイテムというのは加工後の物の事だ。

 椅子で例えるなら、椅子に使用した木材は素材で、椅子自体はアイテムである。

 魔法の使い方は至ってシンプル。
 魔法の名を唱えるだけである。

(こんな簡単に使えるのなら、ほかの人にも使えるんじゃ……いや、多分無理なんだな。そんな事試してないわけないし。魔法が開花してない人が言っても、発動しないんだろう)

 誠司はそう納得した。

「せっかくだし使ってみるか……」

 誠司は自室から出た。
 厨房に入る。
 使用人は不在。
 食材の卵が置いてあった。
 料理に使った余りだろう。
 一個だけ取る。
 皿を一枚取り、卵を乗せた。

(食べ物をクラフトして料理を作れるみたいだ……こいつをクラフトしてみよう)

 その素材で複数のアイテムが作成可能な場合、何を作りたいか想像する必要がある。

 例えば卵の場合、ゆで卵か目玉焼きかなど。
 明確に何を作るか想像しないといけない。

 一個のアイテムしか作れない場合は、魔法名を唱えるだけでいい。

 目玉焼きを想像し、

「クラフト!」

 と言った。

 卵の周辺から白い煙がボンッという音と共に発生。

 煙が消える。
 皿の上に、綺麗な目玉焼きが乗っていた。

(できた……本来は殻を割ったり、加熱したり、そういう過程を経て目玉焼きを作るけど、そう言う過程をすっ飛ばしてつくれるんだな)

 便利な魔法ではあるが、戦いなどには使え無さそうだと誠司は思った。
 作った目玉焼きを食べる。
 いつもは醤油をつけて食べるがない。
 調味料は塩以外ないみたいなので、塩を振って食べた。
 塩だけでも普通に美味しかった。

「これで家なんかも作れれば、領地経営の役には建てそうだけど……でも、分かる……今は作れない」

 作るには何かが足りていない。
 直感で誠司は思った。
 
 魔法について説明は受けていないが、使用するのに何の対価も払っていないとは思っていなかった。
 身の内にある何かを使って、魔法を発動させた。そんな感覚があった。

(多分、魔力って奴を使っているのかな? とにかく大きな物を作るには今の俺では力量不足だ。多分、練習しないといけないんだと思う)

 地道に魔法の腕を磨かないと、いけないと誠司は思う。

「とりあえず今日はもう疲れたし休もう。明日素材集めたり、何かアイテム作ったりするか」

 そう決めて誠司は自室へ戻り、眠りについた。

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