ダンジョン都市を作ろう! 〜異世界で弱小領主になった俺、領地にあったダンジョンを強化していたら、最強領地が出来てた〜

未来人A

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第16話 決戦

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「もう逃げるのはやめにしたのか?」

 城の一室に巨大な剣を持つ少女が入ってきた。

 ラーモス・ペレアコッタ。

 ダンジョン一階層のボスである。

 誠司は彼女が来るのを、逃げも隠れもせず待っていた。

「宣言通り、処刑する!!」

 問答無用でラーモスは襲い掛かってくる。

 誠司は、手に持っていたオリハルコン・グラビティストーンを床に向かって投げた。

 オリハルコン・グラビティストーンは床に当たり、ガシャ!! と音を立てる。
 それと同時に石は光を放った。

「何を…………ぬっ!!??」

 オリハルコン・グラビティストーンは正常に作動した。
 ラーモスは、強烈な力に引っ張られている。
 何とか力を込めて踏ん張ったが、その後、諦めて破鋼剣から手を離した。

 破鋼剣はオリハルコン・グラビティストーンにピッタリと張り付いた。
 誠司は持っていた剣で、オリハルコン・グラビティストーンを叩く。

「貰うぞ」

 引力が消滅。その後、破鋼剣を手に持った。

(思ったより重い。人間の状態でもこんなの持っていたのか)

 想像していたより破鋼剣は重かった。
 これを手にして戦っていたラーモスは、階層ボスになる前も、規格外のパワーを持っていたようだ。

 オリハルコン・グラビティストーンを再び拾って、懐に収納する。

「貴様……我が剣を……」

 ラーモスは誠司を睨み付ける。

「ふん、剣を奪ったところでどうする気だ? すでの私に良いようにやられたことを、まさか忘れたわけではあるまい」
「忘れてないさ……だからこうする」

 ポケットに入れていた深紅薬を誠司は取り出す。
 それを口に入れてかみ砕き、飲み込んだ。

 その瞬間、ドクン!! と心臓が大きく脈を打った。
 体が解けそうなくらい体温が上がっていく。
 それと同時に、体中に凄まじい力がみなぎってくるのを感じる。

 誠司は深紅薬の効果を思い出す。

『深紅薬 約三分間の全ての能力を強化する。副作用があるので乱用は避けた方が良い』

 ――三分。

 決して長くはない時間だが、それまでは能力が底上げされる。

 筋力も上がっているようだった。
 先ほどまで重く感じていた破鋼剣が、かなり軽く感じた。
 これならば楽に振り回すことが出来そうだ。

「む……」

 誠司の雰囲気が変わったのに、ラーモスは気づいていた。
 眉間に皴を寄せ険しい表情。
 警戒心を高めている。
 拳を構え、誠司の出方を伺っていた。

 制限時間のある誠司には、悠長に駆け引きをしている時間はない。

(階層ボスは殺しても復活して、その後、殺した奴に従うようになるって書いてあったよな。ってことは)

 誠司は剣を上段に構えて、

「――――手加減する必要はないってことだ!!」

 思いっきり振り下ろした。

 ラーモスは後ろに飛んで回避。
 剣は床に直撃する。
 当たれば即死だっただろうほど、凄まじい威力だった。
 衝撃波が発生し、それを受けたラーモスは転倒し転がる。
 すぐに立ち上がる。

 時間のない誠司は攻撃の手を緩めない。
 すぐに距離を詰めて、ラーモスに斬りかかる。
 深紅薬の効果でスピードも大幅に上昇しており、ラーモスが回避できないスピードで斬りかかった。

 破鋼剣をラーモスは籠手でガードする。

「ぐぅ!!」

 ビシィ!! とラーモスの籠手にひびが入った。
 破鋼剣は文字通り鋼をも破壊する剣だ。
 その一撃を受けて、ひびが入るだけに終わった。
 彼女の籠手の防御力は相当高いようだ。
 破鋼剣のパワーがなければ、倒すのは容易ではなかったかもしれない。

 ラーモスは一旦後ろに大きくジャンプし距離を取る。

 キョロキョロと周囲を確認している。
 武器となりそうな物を探しているようだ。
 先程倒した巨大ゴブリンが持っていた、メイスはあらかじめ捨てていた。
 ここに武器になりそうなものはほかにはない。

 誠司は攻撃の手を緩めず、距離を詰めて斬りかかる。

「甘い!」

 剣の振りが雑だったようで、あっさりと避けられ、そこから腹に蹴りを入れられる。

 しかし、痛みはほとんどない。
 頑丈強化ポーションをたくさん飲んだ事と、深紅薬で頑丈さも上がっているので、防御力は以前ラーモスと戦った時より、飛躍的に上昇していた。

 本気の蹴りを喰らっても、全く痛みを感じない。

 誠司は破鋼剣を横に振る。

「ぐあ!!」

 ラーモスの横腹の辺りに命中した。

 鎧にひびが入っている。
 倒し切ったわけではないが、ダメージを与えられた。

「ちっ……貴様さっき妙な薬を飲んだが、何を飲んだ……」
「さあな」
「……これだけの効果……長時間続くわけがない。数分だけ強化する薬だな」
「そ、そんなことないぞ。な、長く続く」
「態度に出やすい奴だな」

 見事に言う当てられ、露骨に誠司は動揺し、あっさりとラーモスに嘘を見破られる。

「それがどうした! あと二分以内にお前を倒せばいいだけだ!」
「なるほど、残り二分か」
「あっ……」
「うかつなやつだ」

 思わず残りの時間を言ってしまった誠司。
 このまま、時間稼ぎに専念されるとまずい。

「はぁああああ!!」

 焦って誠司は剣を振るう。
 見え見えの剣筋。
 ラーモスは回避する。

 先程は攻撃をしてきたが、ラーモスは今度は避けるのに専念している。

 間違いなくこのまま時間を稼ぐ気だ。

 誠司の心に焦りが生まれてくる。

 焦れば焦るほど剣筋は単調になり、避けるのは容易くなる。
 ラーモスは攻撃するチャンスはあったが、全て避けていた。

 時間だけが刻々と過ぎていく。
 深紅薬の効果が切れれば、破鋼剣をちゃんと振れなくなるだろう。
 スピードも落ちる。
 頑丈さは、落ちてもある程度ラーモスの攻撃には耐えられるだろうが、さっきみたいにノーダメージとはいかない可能性が高い。

(何かないか? 方法は!?)

 誠司は頭をフル回転させて方法を探す。

(このまま攻撃しても、当てる技術は俺にはない! じゃあ、剣を持ち替えるか? 普通の剣だとあっさりガードされそうだが……ただ剣速が早い分、鎧のないところを斬れるかも? 出来るか分からないけど、今のまま続けるよりは勝算がある。先に剣を取られないように、オリハルコン・グラビティストーンを発動させて…………ん? 待てよ……)

 誠司はポケットに入れておいた、オリハルコン・グラビティストーンの存在を思い出した。

 ――そうだ……!!

 起死回生の一手を思いついた。
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