生産スキルで国作り! 領民0の土地を押し付けられた俺、最強国家を作り上げる

未来人A

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第86話 ゴースト

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 俺は透明な女を見て、言葉を失った。

 透けてるんだけど、目の錯覚? 足が無くて、浮いてるのも錯覚かな。

 こんな雰囲気の場所にいるからな、幻覚を見てしまっているのだろう。そうに違いないな。

「マスター、あれは敵ですか?」

 レヴィが尋ねてきた。

「あれ……とは?」
「あの透明な女です。通常人間は透明でないはずなので、あまりに不自然です」

 見えてるみたいだな、レヴィにも。

 じゃあ、幻覚じゃない? 

 いや、同じ幻覚を同時に見ているという可能性も。

「とりあえず撃退します」

 レヴィは魔法を幻覚(?)に放った。

 魔法はすり抜けて壁に直撃、錯覚は消えない。

「効かない!?」

 それから何度か魔法を使うが、結果は同じだった。

「何だ、騒がしい……静かに休憩させてくれ」

 シューシュが起きてこちらの様子を見に来た。

「ゴーストか……アナホムは霊術の研究もしていたのか?」

 彼女にも幻覚が見えているようだ。

 ってか、幻覚ではやっぱないんだな……

「そ、その透明の女の人は……」
「ゴーストだ。何だ震えて、怖いのか?」

 シューシュは意地悪な笑みを浮かべる。

 ゴースト、死んだ人の霊なのか……

 てか、シューシュもアンデッドは苦手なはずなのに、何で怯えていないんだ。

「平気なんですか?」
「ん? ああ、ゴーストは実体がない。こちらから何も出来ない代わりに、向こうも何もできないがな。恐るるに足りん」

 何も出来ないと知っているから、恐れていないのか。
 正体が分からないと怖いが、確かにそう言われると怖くない気がする。

 よく見ると凄く美人だ。何か口を開いて、こちらに伝えようとしているが、残念ながら声はこちらに届いてこない。

「何か喋っているみたいですけど、言いたいことでもあるのでしょうか?」
「怒っている……様子ではないようだな。まあ、残念ながらゴーストの声を聞くには、霊術を学ばねばならん。残念ながら我は詳しくないので、聞くことは出来ん」
「そうなんですか……あれ?」

 そう言えばさっき、中級ホムンクルスはゴーストと喋ってたよな。

「お前、ゴーストの声が聞けるのか?」
「この女性の声ですか? 聞こえますよ」

 中級ホムンクルスは、俺の質問にそう答えた。

「何? なぜ聞こえる」

 シューシュが不思議そうな表情で、中級ホムンクルスに詰め寄った。

「聞こえるものは聞こえるとしか説明のしようがありません」

 理由はどうやら中級ホムンクルス本人のも分からないようだ。

「ふぅむ……ますます興味深いな……」
「解剖はさせませんよ」

 俺がそう言うと、シューシュは舌打ちをした。
 やっぱりする気だったのか?

「レヴィには聞こえないのか?」
「私には全く」
「そうか」

 中級ホムンクルスと特殊ホムンクルスには、やっぱり大きな違いがあるようだな。

「会話可能だというのならちょうどいいな。この研究所は結構広そうで、面倒くさそうだからな。ゴーストに遺跡の資料室の場所を聞けば、すぐいけるかもしれん」

 リビングデッドも多く出るだろうし、長く探索していたらシューシュが驚きすぎて、体力が持たないだろうからな。

 早く目的地にたどり着くのに、越したことはないか。

「じゃあ、資料室がどこにあるか、ゴーストに尋ねてくれないか?」
「かしこまりました」

 中級ホムンクルスに命令をした。

 しばらく中級ホムンクルスはゴーストと会話をする。

「このゴーストの女性は、タメアというらしいです。資料室の場所を教えてもいいですが、条件があると言っています」

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