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第98話 ダンジョンに向かう

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「ゼンジどこいくの?」

 俺がモームダンジョンに行く準備をしていると、メイに尋ねられた。

「ダンジョンだ。戦争が始まるまで、出来るだけホムンクルス増やしたいんだ」
「そういえば、ホムンクルスってあの魔物から出る石で出来てるんだよね。あれなら僕も取って来よっか?」

 それはありがたい提案だった。ホムンクルスだけでは入れないので、誰かに手伝って貰ったらかなり集める効率は上がる。

「協力してくれるのは助かる。この村の南に、モームダンジョンってのがあるからそこに行くんだ。一緒に行くか?」
「ちょっと待って。一緒のダンジョンに行っても効率悪いよ。別々のダンジョンに行った方がいいと思う」
「いや、モームダンジョンを二手に分かれて、別々に入れば、良いと思ったんだが」
「それ無理だよ。ダンジョンは別の誰かが入ってるときは、一緒に入ることは出来ないんだ」
「そうなのか。中で人が死んだりしたらどうなるんだ?」
「死んだら、それはもう人じゃなくてただの肉塊って判定されるから、人間は中に誰も入ってないってことになる。たまに入れないダンジョンもあるんだけど、そういうのはダンジョン内に人が住みついて、出てこなくなってるからって言われてる」

 色々あるんだなダンジョンにも。メイは冒険者歴が俺より長いから、だいぶ詳しいようだ。

「じゃあ、メイは別のダンジョンに行った方がいいな。でも、ほかのダンジョンってあるのか?」
「フラメリウムの冒険者ギルドに行けば聞けるでしょ。僕は結構冒険者ランク高いからね」
「そうか。じゃあ、ホムンクルスを五体くらい付ける。いらないかもしれないけど、連絡しやすくなるし、一応な」
「分かった。僕の命令に聞くようにしてくれるんだよね」
「当然そうする」

 俺は中級ホムンクルス五体にメイの命令に従うよう、命令した。

「私も行く」

 いきなりメイの後ろに、メーリスが現れたので、俺とメイは驚く。

「うわ、メーリス! いきなり話しかけないでって言ったでしょ、もー」
「ごめん」
「メーリスも来るの? まあ、僕たちはコンビだし、当然かー。一緒に行こっかー」

 メーリスはコクリと頷く。少し嬉しそうだった。
 何だかんだ言って、メイの事を結構気にいってるのだろう。

 二人は旅の準備を整えるため、自分の家に行った。

 俺の方は準備万端だった。一緒に行くのはいつものように、中級ホムンクルス数体と、戦闘ホムンクルスたち、ベルフェとレヴィだ。

 村を出てモームダンジョンに行こうとする。

「ゼ、ゼンジさん!」

 アイナが出る直前走ってきた。

 急いできたのか息を切らしている。

「あの……私が行っても足手まといになるのは分かってるので、行きたいとは言いません。でもいつか強くなって、ゼンジさんのおそばにいれるようになります!」

 精一杯アイナは声を張り上げて宣言した。

 俺は少し気圧される。

「そ、そうか」
「い、言いたいことはそれだけです! では、私は修行してきます!」

 そう言って去っていった。
 凄く気合が入っていたな。
 そこまで俺のそばにいたいと思ってくれて、正直嬉しい。

 しばらくメイもいないのに修行が出来るのか少し気になる。体作りをまだ続けるのだろうか? いずれムキムキになったりして…… そ、それは何か困る。

 俺たちはアムステルダムを出て、モームダンジョンに向かった。


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