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第10話 帝都へ
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一旦森から出るため、俺たちは歩き始めた。
どの方向に歩けば、すぐに森を出られるか分からないので、とにかく適当に歩き始めた。
とにかくどの方向でも、真っ直ぐ歩いてさえいれば、そのうち森からは出られるはずなので、下手に方向を変えずにきっちり真っ直ぐ歩いていた。
途中木などの障害物があっても、ゴーストなのですり抜けることが出来る。綺麗に真っ直ぐ歩けていた。
「ゴーストなんだから飛べれば良いのにな」
「私は試したことないんですが、飛べないんですか?」
「ジャンプ力は上がってだけど、飛行するのは無理っぽい」
歩いている間、俺たちは雑談していた。
最初は敬語だったけど、ミラに「私は配下なのだから、もっとくだけた口調で喋ってほしい」と頼まれたので、タメ口になっている。
ミラは相変わらず敬語のままだ。
正直、配下ってのはスキルの効果で形式的になっているだけで、俺の感覚としては仲間を増やしてるって感じなので、あんまり主人みたいな扱いはして欲しくないけど、ミラはそうはいかないみたいだ。
「……ところでちょっと気になっていたんですが、あのホーンマウスですが、あの子もシンジ様の配下ですよね。一緒に戦ってましたし」
「あ、そうだ、紹介遅れてた。あいつはネズオだ。最初に配下にしたゴーストだ」
ネズオはちゅー、と鳴き声を上げた。
紹介が遅れてことを少し、怒っているようにも見える
「ネズオというのですね。私はミラ・ヘインケルと申します。よろしくお願いします」
ネズオ相手にもミラは丁寧に挨拶をした。かなり真面目みたいだ。
挨拶を受けネズオは何故かドヤ顔をしている。俺が最初の配下でお前は新入りだからな、と言いたげな表情だ。めっちゃ先輩風吹かしてやがる。
それからしばらく歩いていると、森の中に道を発見した。
「道はほぼ間違いなく人里に繋がってますので、とりあえず歩いていけば町には行けそうですね」
ミラは少し安心したような表情で言った。
このまま闇雲に探してたのでは、何日かかるか分からなかったからな。
俺たちは道を歩いていく。
途中人に出くわしたりもしたが、途中で気づかれることはなかった。
ゴーストとは出くわさなかった。
やっぱり相当珍しいようだ。
死んだ後、ゴーストになる条件は、決して簡単なものではないのだろう。
となると、茜と青葉がゴーストになってるかどうか怪しいが……
そもそも、俺の近くにいなかったということは、なれていなかったということでは……?
いや、ネガティブになるのはよそう。
二人はもう死んでしまった。これはもう変えられない事実だ。
それでもゴーストになってさえいれば、会うことだけは出来る。
俺は死んだ場所とは違う場所で、ゴーストになってたんだし、多分ゴーストになる時は、別の場所に転移することになるんだろう。
それなら、二人がどこか別の場所で、ゴーストになっていてもおかしくはない。
もしかしたら、ミラみたいに正気を失った状態で、この世界を彷徨っているかもしれない。
一刻も早く探して出してやらないと……
まあ、手がかりもなしの状態で探すのは、かなり難しいことではありそうだがな……配下を増やせば、探すの手伝ってくる人も増えそうだし、まずはやはりゴーストを探して配下を増やすことからだな。
道をずっと歩いていると、森を抜けることが出来た。
それからしばらく歩くと、分かれ道を発見する。
そこには看板があった。
見慣れない文字が書かれている。
恐らくこの世界の文字だろう。
言葉は分かるようにはなったが、文字は読めないようだ。
というか、疑問を持たず普通に会話してたけど、あの時かけられた言葉が分かるようになる魔法は死後も継続してるんだな。何気に凄い魔法だ。
「右がエリフェリア。左がシクトア……」
看板に書かれている文字をミラが読み始める。
読みながらミラは驚いたような表情を浮かべた。
「ここはどうやら私が死んだ場所と近いみたいですね」
「そうなのか?」
「はい。シクトアはルクトシュア家が収めている街でしたから。シクトアの街のすぐ近くで私は死にました。そして、エリフェリアはお隣の街……となるとあの森は、ラマスの森ですか。あまり、入ったことなかったので気づきませんでしたね」
どうやら町に行くまでもなく、ここがどこかミラは把握したようだ。
「でも、偶然知ってる場所の近くにいて良かったな」
「偶然……でしょうか? ゴーストになったら正気を失った状態で彷徨うのですが、それでも死んだ場所からそこまで離れないようにうろついていたのかもしれません」
「あー、そういうこと……」
と納得しかけて、それは違うと思う。
「いや、ゴーストになったら、ランダムな場所に転移するんじゃないの? だって、俺は気づいたら城から全く別の場所にいたし」
「……あ、そうですね。シンジ様が殺されたのは、帝都にあるミードセム城ですし、ラマスの森からはかなり遠いですからね」
帝都の城の名前は初めて聞いたが、結構遠い場所のようだ。
「となると、私がたまたま死んだ場所の近くにいただけでしょうか?」
「うーん、いや……逆に俺が何故か遠くに転移させられただけという可能性も……」
そう思って、俺はもう一体のゴースト、ネズオを見る。
そう言えば……こいつは森の中で死んでたよな。
多分だけど、あのラマスの森と同じ場所だと思う。あそこ生きているホーンマウスも結構いたし。
「ネズオもあの森で死んだっぽいし、俺が特殊なだけな可能性が高い気がしてきた。もしかしたら、スキルの効果で転移させられたのかもしれない。何でそんな効果があるのか分からないけど」
「なるほど……確かにシンジ様だけ特殊というのは、考えられるかもしれませんね」
俺が特殊だったと考えるのが、確かに一番腑に落ちるんな。
ただ、死んだ場所の近くでゴーストになるとなると、もしかすると茜と青葉は城でゴーストになっているのかもしれない。
「なあ、ミラ。帝都にあるミードセム城……だっけ……? に行くことって出来ないか?」
「ミードセム城ですか? 大丈夫ですけど、でもここから結構遠いですよ?」
「遠くてもいい。もしかしたら妹と弟のゴーストがいるかもしれないんだ。レイスに進化したら、ほかの人に見られるようになるってことは、多分城とかには入り辛くなるだろうし、今のうちに行った方がいい」
「確かにそうですね……レイスになれば今より遥に動きにくくはなるでしょう。他者から認識されないというのは、ゴーストの最大の長所ですね」
もしかしたらゴーストになっていなかったり、俺みたいに遠くの方でゴーストになった可能性もあるが、それでもまずは進化する前に確認すべきだろう。
「遠いと言っても、ゴーストになった今なら三日ほど走り続ければ、多分到着します」
三日か。思ったよりかからなそうだ。
道中ゴーストと出くわしたら、一応配下にするので、もっとかかるかもしれないが。
レイスになるのは、レベル5なので、多少は配下にしても、進化はしないはずだ。
「分かった。とにかく早く帝都に向かおう。案内してくれ」
「はい」
ミラの案内の元、俺たちは帝都へと走り出した。
どの方向に歩けば、すぐに森を出られるか分からないので、とにかく適当に歩き始めた。
とにかくどの方向でも、真っ直ぐ歩いてさえいれば、そのうち森からは出られるはずなので、下手に方向を変えずにきっちり真っ直ぐ歩いていた。
途中木などの障害物があっても、ゴーストなのですり抜けることが出来る。綺麗に真っ直ぐ歩けていた。
「ゴーストなんだから飛べれば良いのにな」
「私は試したことないんですが、飛べないんですか?」
「ジャンプ力は上がってだけど、飛行するのは無理っぽい」
歩いている間、俺たちは雑談していた。
最初は敬語だったけど、ミラに「私は配下なのだから、もっとくだけた口調で喋ってほしい」と頼まれたので、タメ口になっている。
ミラは相変わらず敬語のままだ。
正直、配下ってのはスキルの効果で形式的になっているだけで、俺の感覚としては仲間を増やしてるって感じなので、あんまり主人みたいな扱いはして欲しくないけど、ミラはそうはいかないみたいだ。
「……ところでちょっと気になっていたんですが、あのホーンマウスですが、あの子もシンジ様の配下ですよね。一緒に戦ってましたし」
「あ、そうだ、紹介遅れてた。あいつはネズオだ。最初に配下にしたゴーストだ」
ネズオはちゅー、と鳴き声を上げた。
紹介が遅れてことを少し、怒っているようにも見える
「ネズオというのですね。私はミラ・ヘインケルと申します。よろしくお願いします」
ネズオ相手にもミラは丁寧に挨拶をした。かなり真面目みたいだ。
挨拶を受けネズオは何故かドヤ顔をしている。俺が最初の配下でお前は新入りだからな、と言いたげな表情だ。めっちゃ先輩風吹かしてやがる。
それからしばらく歩いていると、森の中に道を発見した。
「道はほぼ間違いなく人里に繋がってますので、とりあえず歩いていけば町には行けそうですね」
ミラは少し安心したような表情で言った。
このまま闇雲に探してたのでは、何日かかるか分からなかったからな。
俺たちは道を歩いていく。
途中人に出くわしたりもしたが、途中で気づかれることはなかった。
ゴーストとは出くわさなかった。
やっぱり相当珍しいようだ。
死んだ後、ゴーストになる条件は、決して簡単なものではないのだろう。
となると、茜と青葉がゴーストになってるかどうか怪しいが……
そもそも、俺の近くにいなかったということは、なれていなかったということでは……?
いや、ネガティブになるのはよそう。
二人はもう死んでしまった。これはもう変えられない事実だ。
それでもゴーストになってさえいれば、会うことだけは出来る。
俺は死んだ場所とは違う場所で、ゴーストになってたんだし、多分ゴーストになる時は、別の場所に転移することになるんだろう。
それなら、二人がどこか別の場所で、ゴーストになっていてもおかしくはない。
もしかしたら、ミラみたいに正気を失った状態で、この世界を彷徨っているかもしれない。
一刻も早く探して出してやらないと……
まあ、手がかりもなしの状態で探すのは、かなり難しいことではありそうだがな……配下を増やせば、探すの手伝ってくる人も増えそうだし、まずはやはりゴーストを探して配下を増やすことからだな。
道をずっと歩いていると、森を抜けることが出来た。
それからしばらく歩くと、分かれ道を発見する。
そこには看板があった。
見慣れない文字が書かれている。
恐らくこの世界の文字だろう。
言葉は分かるようにはなったが、文字は読めないようだ。
というか、疑問を持たず普通に会話してたけど、あの時かけられた言葉が分かるようになる魔法は死後も継続してるんだな。何気に凄い魔法だ。
「右がエリフェリア。左がシクトア……」
看板に書かれている文字をミラが読み始める。
読みながらミラは驚いたような表情を浮かべた。
「ここはどうやら私が死んだ場所と近いみたいですね」
「そうなのか?」
「はい。シクトアはルクトシュア家が収めている街でしたから。シクトアの街のすぐ近くで私は死にました。そして、エリフェリアはお隣の街……となるとあの森は、ラマスの森ですか。あまり、入ったことなかったので気づきませんでしたね」
どうやら町に行くまでもなく、ここがどこかミラは把握したようだ。
「でも、偶然知ってる場所の近くにいて良かったな」
「偶然……でしょうか? ゴーストになったら正気を失った状態で彷徨うのですが、それでも死んだ場所からそこまで離れないようにうろついていたのかもしれません」
「あー、そういうこと……」
と納得しかけて、それは違うと思う。
「いや、ゴーストになったら、ランダムな場所に転移するんじゃないの? だって、俺は気づいたら城から全く別の場所にいたし」
「……あ、そうですね。シンジ様が殺されたのは、帝都にあるミードセム城ですし、ラマスの森からはかなり遠いですからね」
帝都の城の名前は初めて聞いたが、結構遠い場所のようだ。
「となると、私がたまたま死んだ場所の近くにいただけでしょうか?」
「うーん、いや……逆に俺が何故か遠くに転移させられただけという可能性も……」
そう思って、俺はもう一体のゴースト、ネズオを見る。
そう言えば……こいつは森の中で死んでたよな。
多分だけど、あのラマスの森と同じ場所だと思う。あそこ生きているホーンマウスも結構いたし。
「ネズオもあの森で死んだっぽいし、俺が特殊なだけな可能性が高い気がしてきた。もしかしたら、スキルの効果で転移させられたのかもしれない。何でそんな効果があるのか分からないけど」
「なるほど……確かにシンジ様だけ特殊というのは、考えられるかもしれませんね」
俺が特殊だったと考えるのが、確かに一番腑に落ちるんな。
ただ、死んだ場所の近くでゴーストになるとなると、もしかすると茜と青葉は城でゴーストになっているのかもしれない。
「なあ、ミラ。帝都にあるミードセム城……だっけ……? に行くことって出来ないか?」
「ミードセム城ですか? 大丈夫ですけど、でもここから結構遠いですよ?」
「遠くてもいい。もしかしたら妹と弟のゴーストがいるかもしれないんだ。レイスに進化したら、ほかの人に見られるようになるってことは、多分城とかには入り辛くなるだろうし、今のうちに行った方がいい」
「確かにそうですね……レイスになれば今より遥に動きにくくはなるでしょう。他者から認識されないというのは、ゴーストの最大の長所ですね」
もしかしたらゴーストになっていなかったり、俺みたいに遠くの方でゴーストになった可能性もあるが、それでもまずは進化する前に確認すべきだろう。
「遠いと言っても、ゴーストになった今なら三日ほど走り続ければ、多分到着します」
三日か。思ったよりかからなそうだ。
道中ゴーストと出くわしたら、一応配下にするので、もっとかかるかもしれないが。
レイスになるのは、レベル5なので、多少は配下にしても、進化はしないはずだ。
「分かった。とにかく早く帝都に向かおう。案内してくれ」
「はい」
ミラの案内の元、俺たちは帝都へと走り出した。
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