死霊王は異世界を蹂躙する~転移したあと処刑された俺、アンデッドとなり全てに復讐する~

未来人A

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第13話 城を捜索

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 道中、ブラックウルフの名前を考えながら走り続けた。

 色々案を出したが、一周回って最初に出した「クロ」という極めて単純な名前にすることが決まった。
 完全に見た目から取った名前である。

 クロは狼なだけあって、俺たちより走るのがかなり早い。
 ゴーストは生身よりも高い身体能力があるのだが、それでもあり得ないほどの速度で走れるというわけではない。
 同じゴーストなら、元々早く走れる方がやはり最高速度も速く走る。

 クロは大きいので、俺とミラ、それからネズオなら何とか乗ることが出来た。
 俺たちが乗っても、速度はほとんど落ちないので、ここは乗って移動することにした。

 俺たちを乗せたことでクロには多少負荷がかかっているだろうが、ゴーストなのでそれで消費するスタミナが多くなるという事もない。
 ずっと最高速度をキープした状態で、移動できていた。

「早い……これなら今日中に着きそうですね」

 帝都へは予定では明日の夜中くらいに付くはずだったが、だいぶ短縮されて、今日中にも付きそうになった。
 無視せずクロを配下にしてよかった。

 そしてミラの言葉通り、日を跨ぐことなく、帝都に到着した。

 帝都は町全体が高い城壁に囲まれていた。
 中央には馬鹿でかい城がある。

 現在は夜だ。
 城壁には東西南北に門があり、昼は開いているのだが、夜になると閉じるようである。

 まあ、ゴーストである俺たちに門なんて閉じてようが開いていようが関係ない。

 門をすり抜けて中に入る。

「ここが帝都か……」

 先程立ち寄ったロヌよりは、流石に規模は全然大きな町だった。
 夜なのであまり人は出歩いてはいないが、大通りは非常に横幅広い。
 ロヌではほとんどが一階建ての家だったが、三階建ての家が立ち並んでいる。
 もしかしたら、帝都に住んでいる人たちは裕福な者が多いのかもしれない。

「どこを探しましょうか?」
「俺たちはあの城で殺された。まずは城を調べよう」
「かしこました」

 ゴーストになった二人がまだ城の中にいるとは限らないが、まずは一番可能性の高そうな城から調べてみるべきだった。

 早速城へと向かう。
 警備は厳重だったが、ゴーストなので素通り出来た。

 城の大広間に出る。
 物凄い広さだ。
 千人くらいなら余裕で入りそうである。
 ここで大規模なパーティーとかを行なっているのだろう。
 この国で一番権力を持っている者の城だからな。

「まずは俺たちが殺された現場へと向かおう。確か城の地下にあったはずだ」
「了解いたしました……その大丈夫ですか?」

 と俺に気遣うようにミラはそう言ってきた。
 聞かれた瞬間はどういう意味か分からなかったが、殺された場所に行って、精神的に問題ないかどうかという意味だとすぐに察した。

「ああ、大丈夫だ。積極的に行きたい場所ではないけど、別に行くこと自体には問題はないと思う」
「了解です」

 ミラは安心したように返事をした。

 でも、確かにトラウマになって、近付いただけで身が震えてもおかしくないくらいの経験をしたのに、そこまで怖さを感じていない。

 ゴーストになってから、心理面ではあまり変わってないと自分では思っていたけど、もしかしたら心が揺れ動きにくくなっているのかもしれない。

 死ぬ前、あの地下室に連れて行かれた時の事を思い出しながら、歩き続ける。

 もちろん、地下室以外の場所にも二人がいるかもしれないので、探しながら移動した。見つけることはできなかったが。

 階段を降りて、地下へと到着する。
 大きな壁があった。
 確か俺たちを放り込む時は半透明の壁があったはずだ。
 それが最後消えていたので、絶望したんだった。
 間違いなく俺たちが死んだ場所に到着したようだ。

 ブンブンとあの時聞いた羽音が聞こえてきた。
 流石にゾッとした。
 それでも行かなければならない。
 二人とも同時にゴーストになったのなら、ゴーストになった瞬間、争っているかもしれない。
 身体能力は二人はほぼ一緒だ。
 双子ではあるものの、性別が違うので、本来は青葉の方が力が強いはずなのだが、青葉の方はあまり運動が好きなタイプではなく、茜は逆に運動が結構好きだ。恐らくそのせいで、互角になってるんだろ思う。
 戦闘力が互角なら、いまだに決着がつか、戦い続けているかもしれないし、そうなるとここにいるはずだ。

「行くぞ」
「はい……!」

 ミラは力強く頷いた。

 俺は、茜と青葉がいてくれると信じて、壁を通った。

 通った先には人喰い蜂どもが相変わらずブンブンと飛んでいた。今はゴーストなので、恐れる必要はない。

 もしかしたら俺たちの死体があるかもと思ったが、骨も残っていなかった。人喰い蜂どもは、肉だけでなく骨まで喰らい尽くすのか

 残っているのは血が作ったシミのみ。
 血のシミに関しては、この部屋にはたくさんあった。俺たち以外にも大勢の人が、人喰い蜂の餌食になったのだろう。
 比較的新しいシミが俺たちの血か。

「しかし、悪趣味な場所ですね……遺体も残さず処刑するなど、残酷極まりない」

 ミラは嫌悪感を込めてそう言った。

 暗い場所だったので、視界が悪く探しにくかった。
 部屋中を練り歩いて探し回ったが、見つからなかった。
 どうやらこの部屋にはいないらしい。

 高確率でいると思っていただけに、落胆が強かった。

 また、大勢の人が処刑された場所ではあるだろうが、茜、青葉以外のゴーストもいなかった。
 死んだものが片っ端からゴーストになるのなら、世の中ゴーストで溢れかえっているはずなので、当たり前の話だ。

 そう考えると、俺と茜、青葉、三人が同時にゴーストになる確率は、果たしてどのくらいなのだろうか?

 冷静に考えると、ゼロに近い確率かもしれない。

 都合の悪い事実から、俺は目を逸らした。
 ゼロじゃなければ、探す理由はあるはずだ。

「ほかの場所も探しましょう」

 俺の落胆を察してか、ミラが元気付けるようにそう言った。

「そうだな……」

 俺たちは部屋の外に出た。

 それから階段を登り再び大広間に戻る。

 そこからは、広い城の中をしらみ潰しに探索していくが、青葉と茜の姿は一向に見つからなかった。

 俺たちが転移させられた部屋も探したが、そこには何もいなかった。

 残すは最上階にある部屋だけとなった。

 そこにいるのではないかと希望を込めて、俺は部屋の中へと入った。

 その部屋は寝室だった。

 天蓋付きの巨大なベッドが置いてあった。

 今は夜中だ。
 男が大きないびきをかいて、そのベッドで寝ていた。

 生きている者に今は用はない。
 俺は部屋の中を探し回り、青葉と茜を探したが、この部屋にはいなかった。

 やはりいないのかと思って部屋を後にしようとする。

「……! こいつは……」

 そう思っていると、ミラが突如声を上げた。

 彼女はこの部屋で寝ている者を見たようだ。

 俺も気になったので確認する。

「……!」

 その正体を見て、俺は驚いた。

 いや、驚くのは変なのかもしれない。
 この男がここにいるのは、当然の話である。

「ルシエル・グラトニス!」

 この国の皇帝が安らかな表情で、睡眠を取っていた。


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