19 / 24
第19話 エルフ
しおりを挟む
「エルフの魔術師……!」
やはりこの女はエルフか。それも魔術師。
ゴーストなのか?
それともこの場にいるからレイスか?
正気を失っているようだから、ゴースト?
いや、そもそもレイスって正気のままなのか?
情報が少なくて、判断がつかないな。
「あああああぁあ!!」
エルフの女は叫びながら杖を振る。
すると、氷の刃5つが頭上に発生。
それが俺たちに向かって飛んできた。
刃は鋭いが、スピードはそれほどでもない。
俺は楽に避ける。
ミラは剣で氷の刃を弾いた。
「チュー!!」
ネズオが先陣を切った。
角でエルフの腹の辺りを狙う。
エルフはそれを見て再び杖を振った。
青色の半透明の壁が出現。
それにネズオの角は阻まれた。
このエルフ……
目つきといい、たまに叫んだりするところといい、明らかに正気を失っているのに、戦い方からは理性を感じる。
厄介だな。
とはいえ、こっちは二人と二匹。
4対1である。
負けることはないはずだ。
「ガアアアッ!!」
背後に回り込んでいたクロが、エルフに飛びかかる。
エルフは反応も良く、杖を振り、再び壁を張って防御した。クロは壁に阻まれる。
エルフが新しい壁を出した瞬間、先程ネズオの攻撃を防御するための壁が、消滅した。
同時に二つは出せないのか。
壁の面積もそこまで広いわけではない。
一方向からの攻撃しか防げないだろう。
同時に四方向から攻撃すれば、確実に攻撃が通るはず。
俺はミラの方を見る。
何も言わなかったが彼女は俺の意図を理解していたのか、軽く頷いて、エルフの側面に回り込んだ。
「ネズオはそっちから攻撃してくれ!」
「チュー!」
ネズオには指を刺して立ち位置を指定する。
「ああアアアアァあア!!」
エルフはまたも絶叫した。
その後、氷柱が俺たちの頭上に発生し、それが次々に落ちてくる。
俺とミラは全て回避したが、ネズオとクロは全部は避けきれず食らってしまった。
元魔物だけにそれなりに耐久力はあったので、耐えていた。
「今だ! 攻撃!」
氷柱が落ち切ったのを見計らって、俺はそう合図を出した。
四方向から同時に攻撃をする。
俺が攻撃を仕掛けた方向にエルフは壁を張った。
壁を殴りつけたが硬い。
あと、普通に拳に痛みが走った。
ゴーストなので痛くないだろうと思って、油断してたが全然痛かった。
ミラから火を食らった時も痛かったので、普通に痛み自体は感じるだよな。
予想通り魔法の壁は、俺が攻撃を仕掛けた方向だけに張られていた。
ミラ、ネズオ、クロはエルフに接近して、それぞれ同時に攻撃した。
「アアアアァ!!」
苦しげな声をあげて、エルフは倒れた。
どうやら倒せたようだ。
光の球が出てきて、俺に向かってくる。
配下にもできたようだな。
結局このエルフがレイスなのかゴーストなのかは分からなかったけど、まあ倒せたからいいか。
エルフの記憶が俺の頭の中に流れてくる。
彼女の名前はシミア・サティース。
エルフの里で生まれたシミアは、魔術が得意だった。
エルフの里は辺境にあり、かなりの田舎でシミアにとっては退屈な場所だったようだ。
退屈な生活が嫌で外の世界に飛び出して、冒険者になった。
高飛車な性格で、あまり他人と馴染めず、ソロで冒険者をやることに。
魔術の才能は高く、一人でも活躍できていた。
そんな中調子に乗った彼女は、難関の場所と言われる霊城レプロートに来たが、強力なアンデッドにやられて、死んだようだ。
彼女が死んだのは割と最近のようだった。
……何というか、死んだのは可哀想だが、俺やミラに比べると過去が薄いというか。
自分を殺したアンデッドに恨みはあるだろうが、調子に乗って危ない場所に行って殺されたので、自業自得な感じもあるし……別に特別無念な思いをしていなくても、ゴーストにはなるのか?
それとも、アンデッドに殺されたら、ゴーストになりやすいとか、そんな理由もあるのだろうか?
『スキル"死霊王"の効果でシミア・サティースが配下になりました。シミア・サティースの所持スキル"氷耐性”を手に入れました。配下を得たことでレベルが2から3に上がりました。レベル5でゴーストからレイスに進化可能です』
と配下を増やした後、聞く声が聞こえてきた。
レベルが3に上がった。
あと2上げればレイスになれる。
2から3に上げるまで、三人配下にする必要があったので、3から4はさらに多くのゴーストを配下にする必要がありそうだ。
スキルは氷耐性か。
これは氷属性の魔法とかが効きにくくなるのかな。持っていて悪いスキルではないな。
「う……」
倒れていたシミアがうめき声を上げながら、立ち上がった。
やはりこの女はエルフか。それも魔術師。
ゴーストなのか?
それともこの場にいるからレイスか?
正気を失っているようだから、ゴースト?
いや、そもそもレイスって正気のままなのか?
情報が少なくて、判断がつかないな。
「あああああぁあ!!」
エルフの女は叫びながら杖を振る。
すると、氷の刃5つが頭上に発生。
それが俺たちに向かって飛んできた。
刃は鋭いが、スピードはそれほどでもない。
俺は楽に避ける。
ミラは剣で氷の刃を弾いた。
「チュー!!」
ネズオが先陣を切った。
角でエルフの腹の辺りを狙う。
エルフはそれを見て再び杖を振った。
青色の半透明の壁が出現。
それにネズオの角は阻まれた。
このエルフ……
目つきといい、たまに叫んだりするところといい、明らかに正気を失っているのに、戦い方からは理性を感じる。
厄介だな。
とはいえ、こっちは二人と二匹。
4対1である。
負けることはないはずだ。
「ガアアアッ!!」
背後に回り込んでいたクロが、エルフに飛びかかる。
エルフは反応も良く、杖を振り、再び壁を張って防御した。クロは壁に阻まれる。
エルフが新しい壁を出した瞬間、先程ネズオの攻撃を防御するための壁が、消滅した。
同時に二つは出せないのか。
壁の面積もそこまで広いわけではない。
一方向からの攻撃しか防げないだろう。
同時に四方向から攻撃すれば、確実に攻撃が通るはず。
俺はミラの方を見る。
何も言わなかったが彼女は俺の意図を理解していたのか、軽く頷いて、エルフの側面に回り込んだ。
「ネズオはそっちから攻撃してくれ!」
「チュー!」
ネズオには指を刺して立ち位置を指定する。
「ああアアアアァあア!!」
エルフはまたも絶叫した。
その後、氷柱が俺たちの頭上に発生し、それが次々に落ちてくる。
俺とミラは全て回避したが、ネズオとクロは全部は避けきれず食らってしまった。
元魔物だけにそれなりに耐久力はあったので、耐えていた。
「今だ! 攻撃!」
氷柱が落ち切ったのを見計らって、俺はそう合図を出した。
四方向から同時に攻撃をする。
俺が攻撃を仕掛けた方向にエルフは壁を張った。
壁を殴りつけたが硬い。
あと、普通に拳に痛みが走った。
ゴーストなので痛くないだろうと思って、油断してたが全然痛かった。
ミラから火を食らった時も痛かったので、普通に痛み自体は感じるだよな。
予想通り魔法の壁は、俺が攻撃を仕掛けた方向だけに張られていた。
ミラ、ネズオ、クロはエルフに接近して、それぞれ同時に攻撃した。
「アアアアァ!!」
苦しげな声をあげて、エルフは倒れた。
どうやら倒せたようだ。
光の球が出てきて、俺に向かってくる。
配下にもできたようだな。
結局このエルフがレイスなのかゴーストなのかは分からなかったけど、まあ倒せたからいいか。
エルフの記憶が俺の頭の中に流れてくる。
彼女の名前はシミア・サティース。
エルフの里で生まれたシミアは、魔術が得意だった。
エルフの里は辺境にあり、かなりの田舎でシミアにとっては退屈な場所だったようだ。
退屈な生活が嫌で外の世界に飛び出して、冒険者になった。
高飛車な性格で、あまり他人と馴染めず、ソロで冒険者をやることに。
魔術の才能は高く、一人でも活躍できていた。
そんな中調子に乗った彼女は、難関の場所と言われる霊城レプロートに来たが、強力なアンデッドにやられて、死んだようだ。
彼女が死んだのは割と最近のようだった。
……何というか、死んだのは可哀想だが、俺やミラに比べると過去が薄いというか。
自分を殺したアンデッドに恨みはあるだろうが、調子に乗って危ない場所に行って殺されたので、自業自得な感じもあるし……別に特別無念な思いをしていなくても、ゴーストにはなるのか?
それとも、アンデッドに殺されたら、ゴーストになりやすいとか、そんな理由もあるのだろうか?
『スキル"死霊王"の効果でシミア・サティースが配下になりました。シミア・サティースの所持スキル"氷耐性”を手に入れました。配下を得たことでレベルが2から3に上がりました。レベル5でゴーストからレイスに進化可能です』
と配下を増やした後、聞く声が聞こえてきた。
レベルが3に上がった。
あと2上げればレイスになれる。
2から3に上げるまで、三人配下にする必要があったので、3から4はさらに多くのゴーストを配下にする必要がありそうだ。
スキルは氷耐性か。
これは氷属性の魔法とかが効きにくくなるのかな。持っていて悪いスキルではないな。
「う……」
倒れていたシミアがうめき声を上げながら、立ち上がった。
0
あなたにおすすめの小説
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
クラス転移したからクラスの奴に復讐します
wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。
ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。
だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー
すもも太郎
ファンタジー
この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)
主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)
しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。
命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥
※1話1500文字くらいで書いております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる