サーシェ

天山敬法

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第十二章 私達の愛の形

150話 星海の迷い子

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 その雨の夜、国境の都市サダナムを目前にして両国軍はその壁の外側で乱れるように戦いを始めていた。
 空は黒々とし、その奥に月の女神の姿さえも隠して、暗雲がどこからどこまで続いているのかも判然としない。
 街を囲む城壁は、その上に多くの魔道兵を乗せて上方から爆撃のような炎弾を降らせてくる。
 それを防ぎ、また遠距離から突破し得るこちらの重要戦力――魔剣士は、敵方の一人の魔道士によって完全に足を止められていた。
 それは遠目にも眩く映る青白い光……、水に魔力を走らせて自由自在に変幻するレインの血門術。
 三人の魔剣士が魔力を絡ませて交戦するその一帯は、まるで雲の壁に包まれたかのように白い蒸気に覆われ、その中を電撃と共に迸る魔力の波は離れていても肌を焼くほどに強い……、その中ではどんな分厚い鎧だって役に立たないだろう。血門を持たない一般の兵士には近付くことすら叶わなかった。
 中で彼らがどうなっているのか……不安と共に目を凝らしたところで、霧と魔力の光によって視界を阻まれて知れず、またそれをのんびりと心配している余裕は、外側にいる私達にもなかった。
 魔剣士達の戦場を躱して迂回しながら、トレンティアの軍勢が魔法攻撃と共に押し寄せてくる。魔道兵は距離を詰めてしまえば弱体化する、しかし距離を詰めるほどに壁上からの敵の爆撃は一層強さを増し、ズミの兵士達は反撃もままならず倒れていく。
「壁から離れろ! 敵を引き付けて確実に数を減らすんだ! 後衛部隊は皆弓を持て!」
 叫ぶような指揮官の号令に従って、ズミ人達はその闇夜の中でも巧みに弓矢を操って敵兵にけしかける。
 しかし敵は皆鎧を着込んでいるし、物理障壁の魔法陣を張る者もいる。矢の雨を降らせたところで致命傷を与えられる機会は少ない。
 そしてその隙間から度々噴き出してくる魔法攻撃はズミの兵士には防げない。イグノール軍の魔道兵で対応するしかなかった。
「埒が明かん! レノル! 私達に防御は任せて近接部隊に突っ込ませろ! 魔剣が当てにできない間は勢いで押すしかない!」
 パウルがそう叫んだのに応えて、すぐに陣形が動き出す。
「行くぞグロリア、ヘルマン! 前へ出て破壊魔法の陣をありったけ張れ!」
 私達もその大将の指示を受けてぐっと前へ踏み込んだ。
 空を覆ってうねるような兵士達の怒号、濡れた土を踏む無数の足音、武器が交わる金属音、魔術による爆炎が上がる音、それらの喧騒に次第に慣れた耳は、遠くに聞こえる雨音さえも細やかに拾っていく。
 そのさなかで四肢を振るって前へ進み、空に魔力回路を流して敵の猛攻を弾き返すことにだけ神経を集中させていく。
 もはや傷付くのが怖いなどと言ってられる余裕もなく、濡れる体とは裏腹に、ただ腹の奥で燃える戦意に身を任せていく。これが戦場の空気だと、胸に重たく刻み込みながら。
「兄様は前に出過ぎないで! あなたが一番狙われてるんだからね!?」
 率先して突っ込んでいくその魔術師に私は必死の声をかけるが、どうやら聞く気もないらしい。
 彼はその両手に大小様々な魔法陣を浮かべ、信じられないほどの器用さで確実に敵の攻撃を弾き、ずんずんと大股で進んでいくではないか。
「ああそうだったな! 者共、私の首が欲しいか!」
 忠告を聞くどころか、前に出て大声を上げながら何やら敵を陽動し始めたようだ。
 私などは愕然としてそれを目で追うことしかできない……こっちはこっちで敵からの範囲攻撃を防ぐので精一杯なのだ。
 彼の護衛騎士は今は魔剣士の相手に釘付けにされているのに、まったく危ない真似をしてくれる……。
「我が名はイグノール・トレント・エルフィンズ! 神聖なるトレントに敵なす度胸のある者からかかってこい! 神位の豪火で焼き尽くしてやる!」
 パウルはそう高らかに名乗って金色の魔法陣を眩く迸らせた。
 当然それを聞けば敵兵の群に動揺が走る……しかしその反応は、早まるようにその首を狙って飛び出してくる者もいれば、物怖じしてかえって腰が引けてしまう者もあり、一様ではなかった。
 そして前に出てきた兵士は、それを隙にと横腹からズミの剣士の攻撃に打たれて倒れ、更に反撃にかかった者同士でもつれあい、そこはたちまちに金髪と黒髪の男達の乱闘の様相を呈していく。
 近接戦闘に長けたズミ兵と防御陣の展開に集中するイグノール軍との分担は功を奏したようだが、そうずっと継続できる戦略ではない。
 なにせ魔道兵の数が違いすぎる……こちらのたった三人の魔道士の魔力の底が尽きてしまえばそれまでである。
 面で押すように攻めてくる魔道兵の陣形を食い潰すようにしてズミの兵士達がそこに乱れ込んでいく、それを見届ければ魔力を温存して一旦は後ろへと下がる、それを休み休みに繰り返すしかなさそうだ。
「近接部隊は下がるなよ! 乱戦に持ち込めば敵も誤射を恐れて範囲攻撃を打ちづらくなる!」
 その号令に応じて、戦意猛々しいズミの兵士達は更に鼓舞し、雄叫びを上げながら猛進していく。
 かたや祖国開放を懸けて王と共に進撃する民、かたや正当な王太子を敵に回して混乱する異邦人、そこにある士気の差はどうやら歴然としている。
 そのままの勢いで押し切れと、私も胸の中で高らかに号令を上げる気持ちで進んでいく。

 そのさなか、ふいに前方から巨大な魔力の塊が押し寄せてくる気配を感じ取った。咄嗟に防御陣を張って庇えたのは自分の身だけだ。
 間髪入れずにその攻撃は爆発する。雨夜の中でもあかあかと空を照らすごとく巨大な炎……それは間近にいたズミの兵士達も、そしてトレンティアの隊列をももろもとに焼く。そこには敵味方入り混じったけたたましい悲鳴の渦が上がった。
「に、逃げろ! 一緒に焼かれるぞ!」
 そう叫んだのは敵兵の誰かだっただろうか。敵も味方も巻き込むその容赦のない爆炎は、そこに含んだ魔力の量を感じるに……どうやら只者ではない。相当な強兵による攻撃……いや、この魔力を私は知っている、気がした。
「逃げるな! 自分の身は自分で防御を張って守れ! 多少の犠牲を厭うな! イグノールさえ……、あの男さえ殺せば終わる! イグノールを殺せっ!」
 確かにそう叫ぶように指示をする声が聞こえた。渦巻いている喚声の中にどよめきが混じる……それを聞きながら私は振り向いた。
 松明の光が揺れる中、その顔は昼間のようにはっきりとは分からない……だけどその声と魔力とで分かってしまった。
 彼を中心にトレンティア兵達は腰を引くように距離を取り、それは乱闘の中で奇妙なほどにぽっかりと開いた空間の中央に凛と立っている……カルロスだ。
 暗がりの中、この人混みの中でさえ、奇妙にばちりと目が合ってしまう。途端に彼の顔が凍りつくのも分かった。
「母上……エレアノール様は殺さず拘束しろ!」
 少しだけ焦ったような、張り詰めた声で彼は周囲にそう指示をした。
 この期に及んで……やはりこの母には執着を見せるらしい。生け捕りにされたところでどのみちギルバートに処刑される未来は免れないだろう、その結果は変わらないと言うのに……それでも冷酷になりきることはない……。
 もっとも、今更そんな感傷とも何ともつかないものを噛み締めている余裕は私にも無い。カルロスの命令を受けた周囲の兵士達は一斉に私の姿を捉え、他のズミ兵の相手を差し置いてでも押し寄せてきた。
 その瞬間に大勢の兵士の激しい形相を一挙に向けられた、思わず背中にぞっとしたものが走る。
 咄嗟に爆炎の魔法陣を作って、群がるように押し寄せてくる敵兵達を弾き飛ばすように炎を吐く。ズミ兵との乱闘のさなかで、味方を巻き込むことに気を払っている余裕すらなかった。
 その爆炎に焼かれて敵兵も複数が叫びながら怯むが、それでも彼らの勢いは弱まらなかった。一発の魔術を撃った直後にできる反動の隙に間に、わっと武器を持って包み込むように襲ってくる。
 間髪入れずに迎撃の魔術を撃つこともできず、ただ引き下がる判断しかできそうにないが、それでもこの数に追いかけ回されては、すぐに逃げ道を絶たれるのも目に見えていた。
 その怒涛の勢いの猛攻に一瞬でも戸惑った、その隙に何者かの腕がむずと私の細い手首を鷲掴みにした。腕力の弱い私では振り払うこともできない、手を塞がれては魔法も撃てない。
 そのまま敵兵の列の中へ引きずり込まれる力を感じるが、踏ん張ったところで抗えない……。
 ぐっと奥歯を噛み締めた瞬間、敵兵の腕を横から剣で打つ者があった。
 鎧を纏ったそれを傷付けることは叶わなかったが、剣に打たれた衝撃に怯んだ、その一瞬に別の男の腕が私の腹に回ってきてぐいと引き戻す。危うく胃袋の中身が飛び出そうになった。
「グロリア! お前もひどく狙われている、私から離れるな!」
 すぐに耳元で叫ぶようにかけられた声を聞いて、振り向くまでもなくそれがパウルだということが分かった。その胸に背を預けて私はなんとか体勢を整え直す。
 まだカルロスは間近で私を……、私達を見ている。パウルの姿をも捉えたからだろう、その顔がぐっと、凶悪なまでの怒りの形相を帯びたのが分かった。
「その手で母上に触るな! 離れろ下衆がっ!」
「下衆はどっちだ! お前らなどに大事な妹を渡せるか!」
「毎度彼女を盾に取りやがって、トレントの名の風上にも置けん卑怯者が……!」
「お前が言うなよ!」
 カルロスとパウルはそう怒号を飛ばし合って戦場の中で対峙した。
 周囲の兵士達は巻き込まれることを恐れたのか何なのか、彼らを避けるように広がり、またそれに対応するようにズミ兵も流れ込み、その乱戦は私達から離れていくようですらあった。
「兄様、カルロスの相手よりも防御陣を……」
 私は男二人の口喧嘩には構わず判断を巡らせる。パウルを振り向いてそう叫ぶが、しかしパウルは苦しげに眉を寄せたままその場から動かなかった。
「いや……、カルロスとは話をつけなきゃならん」
 その視線はずっとカルロスを見つめたままで、私には向いていなかった。
 そうしている間にもトレンティア兵による遠距離からの魔道攻撃でズミの兵士達は消耗していく、グリスだけでは対応しきれないだろう。
 そんな焦りは燻るが……しかし大将がそう判断したのだ、従うほかなかった。言い合いをしている場合でもない。そしてパウルがカルロスの相手をする以上、私もそこから離れるわけにはいかなかった。
 母だからと、敵となってもいつまでも情けを掛けようとしてくるカルロスの態度は正直不服だが、しかし勝つためにはそれを利用しない手はない。私がパウルとくっついている限り、カルロスとて下手にパウルを狙った範囲攻撃は撃てないはずだ。
 現に今も、カルロスは抜き身の剣を構えたままじりとその場に留まってパウルを睨んでいた。
 そしてパウルもをそれを受け止めるように、すぐには動かない。二人はこの激しく沸いている戦場の中で、奇妙なまでに静止していた。
 やがてまた口を開く、先に声を出したのはパウルだった。
「お前まで敵として会うとは思ってなかったよ、リック・カルロス。この際ハッキリしてもらおうか……ドミニクの遺言をお前とて知らないはずがないだろう、どういうつもりだ!」
 そう問いかける声に私も息を呑む。……そういえば、そうだ。最期までイグノールと心を共にしたドミニク、その遺志をカルロスは結局知らされていたのだろうか。
 カルロスはこの決死の戦闘のさなかで、しかしそこで気丈に笑って見せた。
 力強く戦意に滾った瞳、まるで戦いを愉しんでいるかのような不敵な笑み……ああ、本当にジャックと同じ顔をしている。
「分かってる……分かってるよ、ああ。だけど俺は気に入らないんだ。父上も兄上も、お前も……。だから……俺はお前を殺す! お前に……お前達に勝って全てを終わらせる! この俺がっ!」
 それはほとんど激昂を吐き出しただけのような言葉だった。それと同時にカルロスは剣を両手で握ったまま大きく前へ踏み込んでそれを振りかぶってきた。
 パウルも魔力の温存のためか、今日は珍しく剣を抜いてそれに応戦する構えを見せた。カルロスとパウル、両者の剣は真正面からぶつかりあって雨夜の下で食い留まる。
 カルロスとてジャックと並ぶ手練れの剣士だ、剣での押し合いでパウルが勝てる見込みは少ない。私は暗がりの中でも必死に目を凝らし、間近で剣をぶつけあった二人のうち、敵だけに狙いを定めてすぐに細く鋭い炎の矢を放った。
 しかしさすがに戦闘魔術にも長けたカディアルの騎士は、すぐにその攻撃をも察知して身を引いた。彼の目の前の空中を私が放った矢が通り過ぎていく。
 その瞬間にカルロスの目はぎらりとこちらを向いたが、まだ口元に浮かべた猛々しい笑みを消してはいなかった。
「待てグロリア! カルロスを傷付けるな!」
 焦ったようなパウルの声が届いて、その言葉を耳で拾って理解するまでに少しだけ時間がかかった。ぎょっとして私はパウルを振り向く。
 二人の敵を相手取るのは分が悪いと判断したのだろう、カルロスは私達からざっと距離をとって後退っていた。
「カルロスは……味方だ! ドミニクの言葉が正しければ……そうだろう!?」
 パウルの言葉は力強く、目の前のカルロスに向かって投げるようにぶつけられる。しかしカルロスはそれを聞いても笑いを飛ばすだけだった。
「この期に及んで何を言ってる! 俺はお前の敵だよイグノール! 神聖なるトレントに仕える騎士として! 俺が反逆者イグノールを討つ!」
 そして再びカルロスは剣を振り込んでくる。パウルもまたそれに応じるが……今度は私が迷ってしまった。
 ……何を言ってるんだ、この男達は? カルロスが味方? ドミニクの言葉が何だって? 戦いの最中には落ち着いて考える余裕もなく、ただ私は混乱した。
 ただ、パウルは……カルロスを傷付けるなと、そう命令した。どう見ても友好的にできる状況ではないが、しかし指示がある以上下手には動けないではないか。
 カルロスの剣を受け止めながら、パウルはなおも言葉を紡ぐ。
「ふざけるな! 気に入らないってなんだよ、そんな理由で父を……ドミニクを裏切るのか!? 己の命を犠牲にしてまで! ジャックとお前に託したあいつの本当の願いを!」
 剣をぶつけ合い、それを振り切ったカルロスにパウルは押されるようにして身を引く。やはり単なる筋力の差も歴然としている……。
 カルロスはその怒りの感情に任せたように、力強く大ぶりな太刀筋を振り回してパウルを圧倒していくようだった。
「知るかそんなこと! 父上は……お前に殺された! お前達が殺したんだろうが! 俺はジャックとは違う! 父上を裏切ったりなんかしない! 父は……最期までギルバート陛下の騎士として死んだんだ! 俺はその遺志を……継ぐ! 俺がフォス・カディアルの騎士に、なるんだ……」
 しかしやがてその声は震えるように張り詰めていき、いつの間にか彼の顔に浮かんでいた笑みは消えていた。
 彼が何を考えているのかなんて分からない。この激しい戦場の中で、饒舌なまでに言葉を紡ぐその心がどこにあるのかも、分からない。ただその顔は……声は、彼の激情を確かに訴えていた。
 雨に打たれるままに濡れたその髪から、額から雨粒を滴らせて……、それは大きく見開いた彼の青い目を濡らし、その頬を伝って、やがてぼとりと零れるように地面へ消えていく。
「イグノール・トレント・エルフィンズ! お前がその名にかけて“正義”を訴えるのなら俺を倒して見せろ! 俺に勝ってそれを示せ! さもなくば死んで父上にその首を手向けやがれ!」
 腹の底から吼えるがごとき叫びにある感情は……怒りや憎しみではない。
 張り裂けるような痛みと、それを飲み込んで燃やし尽くすような……それは敵意ですらなかったかもしれない、それなのに明確に宣戦を告げた紛うことなき殺意。
 正義だの忠義だの、裏切っただの信じただの、その心の証明のためにどうしても、命を削って血を流さねば気が済まないらしい……やっぱり男というのはどうしようもない生き物だ。
 だけど今はもはや、そういう意味では私も戦場に立つ“男”の一人だ。既に私は彼の母でもなんでも、ない。戦わねば決められない答えがあるというのなら、応えなければならない……。
 宣戦を叫びながらも猛攻を繰り出し、パウルを圧倒さえしていたカルロスはやがてそこに殺意を滾らせてパウルの首へ襲いかかる。
 いい加減に迷いを振り捨てて、私は再び魔法陣を浮かべた。もう、問答をしている場合ではない。
 パウルに飛びかかっていた最中のカルロスの体を、横から私の爆炎魔法が容赦なく襲う。彼は咄嗟に剣から離した片手で防御陣を張ってそれを防いだが、殺しきれなかった圧力に押されて地面へ倒れ込んだ。
 濡れた土の上に身を転がし、獣のように柔軟で素早い動きで立ち上がった、その手から剣を手放すこともなく、真剣な顔に浮かべた戦意を少しも削ぐこともない……咄嗟の魔法陣とその身のこなしには愕然とすらする……さすが、なんて言葉がどうしても浮かんでしまった。
「兄様、言ってられないわ! ……倒すわよ、カルロスを!」
 そう喝を入れるように精一杯の声を張り上げた。既にこれまでの言葉に答えは出ているはずだ。
 ドミニクの遺志が何であろうと、それをカルロスが知っていようといまいと、彼は彼自身の決意を以て剣を取ることを、既に選んでここに立っているのだ。
「分かったよ……! ったく、兄弟揃って手間のかかる猛犬だな!」
 パウルはそう答えて、手に持っていた剣を、ぱちんと腰に収めて見せた。
 魔力の出どころである両手の平を空けた……武器を収めて初めて、それが“魔術師”の本気の姿勢である。それを見届けて、入れ替わるようにして私は剣を抜いた。
「私が前衛に出る! 頼んだわよ!」
 そう判断してすぐに駆け出した。カルロスも私相手には強く出られない……それもここまで戦意を決め込んだのならさすがに、どこまで期待できるかは怪しいが。
 剣を握って突進する母の姿を目に捉えて、しかしカルロスももう表情は変えない。ただ力強く引き締めた真剣な顔でをそれを睨み、口には何の言葉も出さなかった。
 私もそれをしかと見据え、身を低くしながら進んで剣を斜め下から振り上げる。カルロスは剣を振るまでもなく、私の太刀筋は片腕の防具一つで弾かれる……しかしそのために一瞬動きを止めるだけで、いい。
 すかさずカルロスを狙ったパウルの炎魔法が細く鋭く襲う。カルロスはそれすらも大きく身を傾けて躱す。
 空中で舞うように姿勢を取り直す歴戦の剣士をめがけて、私はなおも前に進む。剣を刺突の構えに変え、今度は鎧の隙間を狙って。
 しかし、やはり速い、信じられない程の反応速度でそれを躱し、勢いを余らせてつんのめった私の体を冷めた目で見下ろしてきた、その眼差しを感じてゾッとした。その一瞬の隙に……彼は私を殺すことも容易かっただろう。
 しかしカルロスはやはり……私への直接的な攻撃には、出ない。その間にも彼を襲うパウルの炎の矢から逃れて大きく距離を取った。
「おいお前ら! 早く……早くエレアノール様を捕らえろ! ビビるな!」
 そして周辺でズミ軍との戦いに向かおうとしていたトレンティア兵士達を呼び止めてそう指示をした。
 彼らは明らかにパウルとの戦闘に近付くことに消極的な様子だったが、直にそう命令を受けると拒めもしないらしい。めいめいに決死の表情を浮かべ、また私へと一目散に駆けてくる。
 しかし咄嗟の指示を受けた兵士達の数はそこまで多くはない。幸いそれに対応するズミの兵士もいない今、味方を巻き込むことを気にせずに魔法を撃つことができた。
 身を引きながら剣を鞘に収め、迫りくる数人の兵士を広い面で放った爆炎で押し返す。相手も皆魔道兵だ、防御陣を大きく張ってそこで衝突を起こした、その反動に乗るようにして私は更に身を引く。
 敵を引き付けたなら味方の方へ寄らねばならなかった。それを近くで見つけてくれいたズミ兵がすかさず応援に入る、また両国軍の兵士同士の複数人での乱闘が始まる。
 そうして私が敵兵の手から逃げている間にも、パウルとカルロスは交戦を続けているようだ。しかし私はズミ兵達に混じって敵を魔法で牽制し、時には細い炎の矢で敵を狙い撃ちにしてそれを倒すことに集中する……パウル達の方を注意深く見ている余裕もなかった。
「勇猛なるフォス! 汝が子に祝福を!」
 乱闘の喧騒の中でもカルロスがそう叫んだのは、聞こえた。目前のズミ兵達の戦闘は優勢だ。一瞬で判断を切り替えて、私は厚く膨れ上がっていくフォスの魔力の気配を追った。
「ごめん、あっちの対応に行く!」
 そうひと言だけズミ兵達に断って全力で駆ける。その頃には既に霧のように吹き上がったフォスの魔力が、雨夜の空の中でも眩く流れていた。
「神聖なるトレント!」
 応じるようにパウルも血門を開く。この大規模な戦いで血門術を無駄遣いしたくない、と事前に彼は零していたが……さすがに本気のカルロス相手には言っていられないだろう。
 血門術同士の戦いの中に突っ込めば生身の人間などたちまちに八つ裂きにされてしまう……それでも私は、足を止めなかった。……こんな戦いにいつまでも時間を取られているわけにはいかないはずだ。
 自身の体を覆うように防御陣を前に押し出しながら、私はフォスの息吹の中へと踏み込む。
「母上……!」
 カルロスの悲愴な声が聞こえはしたが、構わない。……敵は、私のことを敵だとは思っていない。いつまでも侮られているようで嫌だった、だけど今はそんな子どもっぽいことで怒っている場合でもない。
 敵が攻撃することのできない女の身を盾にとって戦うことは、彼らに言わせればあるいは卑怯なことだったかもしれない。だけど今となってはそれも子どもっぽい屁理屈だ。
 互いの命と野望とを懸けて戦っている、そう決めたはずの戦場で……親子で殺し合いたくなどないと言う、その情を切り捨てることも確かに一つの強さで、あるはずだから。
 吹き荒れる斬撃の嵐の中で、張った防御陣とそれとが激しく擦れて肌を焼いていく、その無数に弾けるような痛みに叫びながら、それでも力の限りを振り絞ってそれを晴らしていく。
 フォスの魔力を纏った粒子は激しく強く、ただ防ごうというだけでも容易くはなかった……ここまで高圧な魔力を広範囲に広げて見せたのは正直に言って想定以上だった。やっぱり……カディアル家の男は強いな。
 次第にその重たさに押し潰されるような感覚に襲われていく。これ以上は耐えられない、退かねばならない……
 焦った思考の奥でじっとりとその判断を手繰り寄せようとした時、しかしその魔力の霧は、不意に薄まって引いていく兆しを見せた。
 激しい魔力の輝きばかりで埋まっていた視界の中、それをかき分けるようにして猛進してくる男の姿を確かに見た。自らが放った魔力の嵐の中を、真っ直ぐに私の元へ手を伸ばしながら。
 フォスの息吹に耐えることだけに集中していた私は、襲い来るカルロスに対して受け身をとることもできなかった。彼は確かに自らの魔術の中を猛進し、私の元へ辿り着き、そして剣も持っていないその両腕でこの体を捕らえようとしてくる。
「グロリア! 飛べっ!」
 パウルの切り裂くような叫びが聞こえた。突然下された命令の意図は全く分からない。
 人間が空を飛ぶことはできないし、ただ地面を蹴って跳躍するだけの余裕もない。できたとしてどこにどう飛べというのか、全く分からなかった。ただ体を浮かそうと思うのなら、高いものにでもしがみついてぶら下がるしかない。
 ほとんど無我夢中でその判断をしていた。すぐ近くにあった背の高いものに……ちょうどそこから伸ばされた腕を取って、全身で彼に抱きつくようにしがみついて足を浮かせた。彼なら私を攻撃することはないと、そう確信していなければできないことだった。
 それにまるで応えるかのように、カルロスもその両腕でしかと私を抱き締めてくる……。それはこの仁義なき戦場の上で、どこまでも母への情を捨てられなかった、彼の弱さ故の敗北だったのだ。
 その瞬間にフォスの息吹を切り裂いて、大地にトレントの魔力が爆ぜた。地割れを起こすように泥を散らして走ったその衝撃は、私が浮かせた足の下に渦巻き、その上に立っていた男の足だけを襲う。
 途端にがくりと私の視界も揺れる。その中で、息もかかるほどの間近にあったカルロスの顔と、張り詰めた瞳同士で見つめ合った。
 彼はただ小さく呻いてその場に跪く。その腕から投げ出されて私は、怒涛の魔力が通った後の焼け焦げた地面の上に身を転がした。
 慌ててすぐに立ち上がって体勢を整える。目の前を見ると、両膝をついたカルロスの体の下には既に鮮やかな鮮血が、花を散らしたようにまだら模様を作っているのが分かった。
 膝から下を焼かれ、恐らく足の防具を砕いてその肉の中を魔力が貫通したのだろう……彼は既に立ち上がる力を失い、ただ……力なく項垂れながら跪いていた。その震えた背中の上を、俯いた頭の上を、冷たい雨が静かに濡らしていく。
 両足をずたずたにされたのだ、剣を振ることはもちろん、その痛みの中では魔法を撃つことももうできないだろう。
 ただ痛みに打ちひしがれながら蹲った息子を見下ろし、やがて私は息が整っていくのを感じる。
「カルロス様!」
 周囲から彼の名前を叫ぶ敵兵の声が聞こえて我に返る。私はすぐに剣を抜いてカルロスを制圧しにかかった。
 真正面からその頭を掴み、強引に押し倒すと何の抵抗もなく彼はされるがままに、その背後の泥の上に倒れ込む。その上にのしかかって、ナートでした時と同じように彼の喉元に剣の切っ先を突きつける。
 上から顔を覗き込むと、苦しげに歯を食いしばっていたが……目にはもう光も灯っていないように見える。
「グロリア、殺すなよ!」
 後ろからパウルが駆け寄りながらそう声をかけてくる。……殺せと言われても、さすがに、それはできなかったかもしれない。
「敵将を押さえた! この勢いに乗って戦線を上げろ!」
 その号令に応えてズミの兵士達が怒号を上げながら進んでいく、その力強い足音の群れに地面が揺れるのを感じながら、私はただ、自分の体の下で死んだように倒れているカルロスを見つめていた。
「……俺の……、負けですか。ああ、あなたの手で殺されるのなら悔いはありません……、母上……」
 やっと口を開いたかと思えば、そんな悲嘆に耽り始めた。私はただむっと眉を寄せてそれを睨みつけるだけだ。
 そこへ駆け寄ってきたパウルもカルロスを見下ろして荒く息をつく。
「カルロス、一度だけ選ばせてやる。ドミニクの本当の遺志を継いでこの私の元に降るか、それともこの場で死ぬか」
 重たく言い渡したその言葉に、私は思わず息を呑んだ。……まだ、彼を味方にすることを考えているのか、パウルは……。
 いや、確かにドミニクの遺言を思えばそれも当然だったかもしれない。私は不意に、ドミニクとカルロスが最期に言葉を交わしていた、その瞬間のことを思い出していた。
 ナートの前で人質を交換した、その道中ですれ違った二人は……、カルロスに対してドミニクは何と言っていた? カルロスは何と答えていた? そこにあった父子の意志が、食い違っていたとは到底、思えなかった。
 カルロスは薄く目を細めてパウルを見上げた。
「……殺してください。ひと思いに、美しく……」
 少しだけ掠れたその声は、まるで重石になって私の胃の中に詰まっていくようだった。
 喉に突きつけられた剣の刃が僅かに震えたのを、彼は気付いただろうか。
 パウルの声も重く、またどこか痛みを噛み殺しているようでもあった。
「死ぬ前に……言え。死ぬ前ぐらいは正直に言え。なぜドミニクを裏切った」
 カルロスの傷の具合は軽くない、今もなお燃えるような痛みに苛まれているだろうに、それでも彼は確かに、答えていた。
「……分かりません。ただ、気に入らなかった……。忠義のために死んだ父が……、他の全てを捨ててでも本当のあるじの元へ帰った兄が……ただ、羨ましかったんです。だから、全部、壊したかった、なかったことに、したかった……。あなたさえ死ねば……全てが終わると、思った……。父は、口にはギルバートへの忠誠を誓い、その胸で一途にあなたを想い続けていた……。あの方はずっと自身の心を欺いて、生きていた……。それが痛ましかったから……、どうすればいいのか、わからなかった……」
 形にもならない言葉をとめどなく吐き出していく、やがてそれと共に熱い雨が彼の頬を濡らしていく。
 しかしパウルは呆れたような声で、それを蹴り飛ばすかのように言葉を強く吐く。
「何をわけのわからん駄々をこねているんだ。フォスの牙は神聖なるトレントを守護するためにあるものだ。お前が仕えるべきはどう考えてもこの俺様だろうが」
 カルロスは虚ろな目で、ぼうっとパウルを見つめていた。
「……そう、ですか……。ええ、敗者の意志になど既に微塵の価値もありません。負けたからには全てを受け入れましょう。ご処断を、イグノール殿下……」
 呆気ないまでに力の抜けた声で、彼は敗北を受け入れていた。
 パウルは荒っぽくため息をついてから、懐から小さな薬瓶を取り出してカルロスの顔に投げた。
 腕を上げる力すらなかったカルロスの額を、その瓶はごつんと打ち、それが地面の上にむなしく転がるのを彼は見つめる。
「お前が探っていたがめつい薬師の力作だ。手向けてやる」
 そう言われてカルロスは、ふっと口元に笑みを零しながら、震える手でそれを拾い上げる。
 既に抵抗する気もないだろう、そう判断して私もゆっくりと彼の体の上から立ち上がってやった。
「……痛みも、苦しみもなく……眠るように静かに死んでゆける薬があるのだと……兵士たちの間でいい評判でした。あなた様の手がつく前に攫っておけば……良かったですね……」
 そう微笑み混じりに語りながら、カルロスはその瓶の栓を投げ捨てた。
 私はそれを眺めて、思わず開いた口から……しかし、言葉は詰まって出なかった。ただ無意識に手を伸ばしていた。それを呷ろうとした彼の手を止めようと……。
 伸びた私の手を、カルロスは片手でぱしと受け止めて押さえ、躊躇なくその瓶の中身を自身の喉に流し込んだ。息をつく間もないほどの刹那だった。
 雨が降りしきる空を見上げ、カルロスはゆっくりと目を細めて、まるで極上の酒でも味わっているかのような……うっとりとした吐息をその口から漏らした。
「……美味しい……」
 そして確かにそう呟いたのだ。
「変わった味覚をしているな……。私も飲んだことがあるが、草を煮詰めたような泥臭い味だったが……」
 パウルが呆れた声で言う。私が呆気にとられて振り向いた先で、パウルの顔は冷めた無表情を浮かべていた。
 同じく、呆けたような顔でカルロスもパウルを振り向く。
「立てるか、カルロス」
 パウルに差し出された手を、カルロスはゆっくりと取る。それに引かれて、立ち上がる。確かにトレントの魔術に焼かれ、切り裂かれたはずの両足で、その地面の上に。……さすが、即効性が売りの魔法薬だ。
「早く終わらせるぞ、この辛気臭い戦争を」
 短く言ったパウルの手をゆるりと振りほどいて、カルロスはせっかく立ち上がったところから、またどしゃりとその泥の上に跪いてしまった。
 深く垂れた頭の下で、苦しそうに、呻くように……。
「……仰せの、ままに」
 血と涙と泥にまみれ、引きずるように掠れた声で忠誠を呻く、その騎士の姿に絵物語のような美しさは、なかったかもしれない。
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