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第十三章 戦いの終わり
170話 言の葉
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その日、朝から引き続きの残党捜索のために市街を歩いて回ったが、既に戦闘の気配はないらしかった。ほとんどただの見回り任務となる。
しかしその中で出会うベルタスの市民の姿は、僕達にとって戸惑いの大きいものとなった。
既に戦闘が収まったことはトレンティア兵から告知がされたらしく、市民達は嵐のように過ぎ去った騒動の後、不安を引きずりながらもそれぞれの生活を過ごしているようだったが……。
とにかく彼らはズミ人をひどく恐れていた。ほとんど誰もが、黒髪を見るなり悲鳴を上げて走り去っていく。捜索のために情報や道を聞こうにも話にならない。
この反乱戦の主体となったのはイグノール軍であって、形としては僕達は後から加勢にきただけなのだが、そんな事情を当然市民は理解していない。とにかく見た目の違うズミ人の方が目立って見えたのだろう。
しかしそんな市民に危害を加えたり略奪などをしないことは、当然イグノールとの約束である。僕達は釈然としない思いをしながらも、彼らに下手に高圧的な態度をとることもできなかった。
結果的に、街中の捜索任務からズミ軍はすぐに手を引くこととなった。長居をしても揉め事の元だ、さっさと軍隊丸ごと国に帰る準備を進める。
しかし僕はどうしても……あの戦いの最中に出会ったアルバートのことが引っ掛かっていた。このままの別れになれば、あの日彼が僕に届けてくれた言葉を裏切ったままになってしまうような、そんな気がしてならなかった。
と言っても当然、僕がブランドル学院まで出歩いて訪ねるというわけにはいかない。あまりおおごとにしたくはなかったが、気心の知れたトレンティア人にこっそりと相談するしかなかった。
しかしパウルは朝から学会がどうのこうのと言ってどこかへ出かけてしまったらしい。まだ戦後処理で忙しそうで心苦しかったが、クラウスを訪ねることにした。
なるべくひと気のない時を見計らって声をかけたが、近くには退屈そうなカルロスが待機している姿もあった。
そしてその名前を聞くやいなや、クラウスは驚きのあまり足をつんのめらせて転びそうになった。
「アルバート・ブランドルって……、ええ!? 陛下は彼のことを知っていたのですか!?」
その反応は僕にも予想外だった。呆気にとられて僕は目を瞬かせる。
「まあ、前にトレンティアに来た時、たまたま話をして友人になったというか……。お前こそ知っているのか」
「えっ、そ、そうですね、まあ。えっ、友人? はあ、つまり彼が何者なのかは……イグノール陛下からお聞き及びではない、のですよね……?」
困ったような焦ったような調子で聞いてくる。また僕は呆気にとられたが、その時やっと思い至った。
そもそもなぜ僕が彼と知り合ったのか……。あの時、パウルに彼のことを探ってこいという任務を受けたからではないか。なぜパウルは彼を調べようと思ったのだ? 彼は一体何者なのだ? その疑問はあまりにも今更だった。
実際会って話してみれば、彼は気が抜けるほど平凡な少年で、そんなことは気に留めていなかった。昨日見た時も確かに、市街で目を回している市民のうちの一人でしかなかったが……。
「彼は一体何者なんだ」
僕は改めてそう聞き直した。しかしクラウスは苦しげに目を泳がせる。
「イグノール陛下が話してない以上、私の口からはちょっと……」
そんな反応を見て、僕はしゅんとして肩を落とすほかなかった。しかし何やら盗み聞きをしたらしいカルロスが、くつくつと楽しそうに肩を揺らした。
「イグノール陛下は彼のことを生涯黙殺するおつもりでしょう。まあ、それが全ての者にとって最も幸せな判断であることは私も同意しますがね……。しかしよりによってアルティーヴァ陛下とご友人、とは……。いいではありませんか、少し会って話すぐらい手引きしてやりましょうよ」
相変わらず暗い顔で笑う、まるで腹の黒い悪役のようだ。
クラウスは余計戸惑った顔になって首を傾げたが、カルロスは同じ調子で続けた。
「アルティーヴァ陛下のお気持ちを無下にはできませんし、急いでおられる。イグノール陛下にお伺いを立てている時間はないでしょう。大丈夫ですよ、お互い何も知らないのですから。偶然ですよ、ええ、偶然出会ってしまったお二人ですから……」
ティファの時もそうだったが、なんだかんだ融通がきかせて助けてくれる男ではあるのだ。僕は変な顔のまま黙っていた。
そしてカルロスの手引きによって僕達が偶然出会ったのは、もう街路樹も光り始める夕刻の頃だった。
僕はジルとアザルだけを連れて指定された建物へ向かった。普段衛兵が駐屯している詰め所の休憩所らしいが、一時的に人が払われていて誰もいなくなっていた。
まるでカルロスに捕らえられて連行されるような体で――いや、実際のところそうなのだろう――怯えきった平凡な少年はそこへ連れ込まれてきた。
もともと青ざめた表情をしていたが、部屋の中にあった僕の姿を見て余計に顔を凍りつかせた。
……当然だろう、ただでさえ市民の間ではズミ人が襲ってきた、なんて噂が飛び交っている中、軍人に捕えられたかと思えば謎のズミ人のいる部屋に押し込められたのだから。
既に、あの時のような気さくな友人の顔をできないことは、分かりきっていることだった。
「では後はお好きなだけごゆるりと。酒や食べ物が入り用であれば好きなだけお持ち込みください。では私は別用に戻るので」
そう言ってカルロスは立ち去っていった。僕は部屋の中にあった簡素な椅子に腰掛け、突っ立ったまま怯えているアルバートを見つめる。
……何者なのだろうか。気にならないと言えば嘘になる。いや、カルロスの口ぶりから考えれば……推測するのはそう難しくもない気がする。
だけどそう、僕達はお互いのことを何も知らずに、ただあの場所で出会って、ただ友人となった……そのことに間違いは、きっとない。
「すまない、アルバート、こんな形で呼び出してしまって。でも僕はすぐにズミに帰らなくちゃいけないから……、その前に話だけでもと、思って。本当に敵意はないんだ。とりあえず座って……」
たどたどしく言葉を言うけど、なんとなくその目を直視するのがつらかった。少しだけ目を伏せて逸らした僕を前にして、彼はまだ何も言えずに怯えている。
座れと言われれば聞かないわけにもいかないと思ったのか、やがておそるおそる、近くにあった椅子に彼も腰掛けた。
何から話したらいいのかは分からなかった。ただ……僕は国王のマントの内側に片手を突っ込んで……、重ね着している冬服の一番内側から、それを……トレントの葉を取り出した。
「あの時君がくれたものだ。改めて言うよ、ありがとう」
それは、このお守りが僕に力をくれたとか、君の思いがあったからここまで進んでこれたとか、そんな大層なものじゃなかった。
なぜこれを捨てずに持っていたのか、自分でもよく分からなかった。忘れていることは多々あったけど……思い出せば、まだ手元に置いておこうと、そんな気分になった。分からないけど、なんとなく、手放せない、そういうものだった。
アルバートは青い目を大きく見開いてそれを見て、やがて怯えていた顔は切なそうに沈んでいく。
「……ごめん、もう一度聞いて、いいかな。君は何者なんだ、ヨハン」
弱々しい声でそう言った。
僕はできるだけ声を柔らかくして、だけどにこりとする雰囲気でもなくて、静かに答える。視線は手元の白い葉にまた落としていた。
「ズミ王国の国王だ。この秋に即位したばかりでね、君と会った時は何でもないただのズミ人だった」
「君は……君達は、どうしてこの街に来たんだ? 皆、ズミ人が侵略の仕返しに襲いに来たと言って騒いでいる」
「その通りだ。僕達は故郷の都を焼き払われ、数え切れない同胞をトレンティア軍に虐殺された。その報復のために、侵略戦争を始めた君達の王、クロス・ギルバートを殺しに来た。イグノールはこれから布告をすると言っていたから、近々新聞にも出るだろう」
そう言った時に、アルバートはハッと息を呑んだ。
「ギルバートはもう殺した。僕達の復讐も終わった。ズミとトレンティアの戦争は……やっと、終わった。僕はこれからズミへ帰る」
魔法灯に照らされた狭い室内で、他の誰もが黙っている中、しんと語りかける……その自分の言葉が、その時初めて胸に刻まれていくような気がした。
……戦いは、終わったんだ、と。
アルバートはしばらく黙っていたが、やがて弱々しい声で呟いた。
「……イグノールと言った? もしかして、パウル・イグノール……?」
僕はトレントの葉から視線を上げて、その愕然とした顔を見つめた。
「やっぱり、知っているのか」
カルロスの口ぶりから推測することは難しくなかった。二十の歳までこの街で過ごしていた王子に、隠し子の一人や二人いたって何も驚きはしない。
だけど、つまり君は僕と……なんて話を、するわけにもいかないのだろう。アルバートは力なく首を振った。
「……知らない。前に、たまたま読んだ本の著者だ。昨日、兵士が大声で叫んで回っていたね……。新しい、王様だって……」
それはあるいは本当に知らないのか、どうなのかは判断がつかないが……今はそんなことを詮索する時でもない。僕はまた静かに目を伏せた。
「ああ、もともとトレンティアの王族で、僕の……いや、ズミの友人だ。ここまで一緒に戦ってきてくれた……。彼が王になった以上、ズミ人もトレンティア人も、友人同士だ」
そう語った言葉も、まだ実感があるわけじゃなかった。トレンティアの街を歩いていても、皆ズミ人を見ると悲鳴を上げて逃げていくのだ。
アルバートだってそうだろう。だけど彼は少し疲れたような笑みを浮かべたようだった。
「……ねえヨハン。じゃあ、あの時は……最初に会った時は、ここに何をしにきていたの?」
「あの時は……僕は一介の兵士に過ぎなかった。トレンティアの貴族に繋がりを持って、敵国の情報を探りに……潜入していただけだ」
「そう……やっぱりあの時から君は……戦っていたのか」
「ああ、戦っていた。ずっと……子どもの頃からずっと戦っていた。殴られて、奪われて、ただただ血を浴びて戦うことでしか生きていけなかった。そんな生き方を僕に強いたトレンティアが憎かった」
なぜそんな言葉が漏れ出てくるのか、自分でも分からなかった。そんなことを今更語って何になる?
無意識に拳を固く握り、視線はトレントの葉よりも下に落として、自分の膝を睨んでいた。
「ああ、あの時も君は言ってたよ。トレントが憎かったって。……僕は君が嘘をつく人だなんて思えない。僕だって知ってる。僕達の国が、あのトレントが、君達の国に何をしたのか……知っている。君が僕達を憎むのも、当たり前だと思った。……それなのに君は、どうして……、どうしてこの葉をずっと持っていたの? どうして僕のことを忘れないでいてくれたの?」
アルバートは静かに語りかけてくる。じっと自分の膝を見つめていた、その視界の中に、少年の手が震えながら入ってきた。白くて、柔らかそうな、まるで女みたいな手だ。
それが膝の上で固く拳を握っている僕の手に、そっと触ろうとしてくる。
僕はその手の拳をゆっくりと開いて、受け止めるように手の平を上に向けた。固くなった皮膚は浅黒くて、実戦なのか訓練中か分からないうちについた生傷の痕が、ところどころに走っている。今までどれだけの人間を、殺してきたのだろう……。
「こんなことを僕が言うのはおかしいよね、分かってる。だけど、今まで本当に……つらい思いをしてきたんだよね。何も知らなくて、何もできなくて……ごめん。だけどそれでも、会いに来てくれてありがとう。言葉を、交わしてくれてありがとう」
僕の手を握った、その少年の顔に視線を上げた。にこりともしていない、張り詰めた表情をしていた。その青い目はまだ恐怖に震えていた。
……そうだ、今すぐこの手を振り払って、剣を抜けば僕はこの少年を殺すことも簡単にできてしまう。それだけのものを今まで積み重ねてきた。
僕の腰に提げられた剣を、背中に背負っている弓を、そして背後に控えている武装した騎士の姿を、彼だって見ている。……怖いに決まっている。
それでも彼は僕の手を握り、そうして言葉を絞るのだ。……なぜ?
「……優しさは国境を越えるか?」
僕は呟くように言った。前に会った時に彼が言っていた言葉だった。アルバートは変わらない表情で静かに頷く。
「憎しみも国境を越えるよ。人は優しくも残酷にもなれる。だから言葉を交わすんだ。言葉を重ねて、言葉で繋がるんだ。……だから、僕は言葉を学ぶ学者になりたい。君と、本当の友人になるために……」
そう語った内容は、やっぱり分かるようでいまひとつ分からない。ただ、学問が好きな奴だったということは思い出した。
何となく返事は思いつかない。ただ握られた手の温もりに身を委ねていた。
一体この出会いは何だというのだろう……何とも説明はつかないけど、ただ、何か……また大切なものを受け取ったような、そんな心地はするのだ。
しかしそれに浸っている時間はそう長くなく、唐突に部屋の扉を叩く音がなった。アルバートも僕もハッとして顔を上げる。
従者のアザルが小走りで駆けていってそれを開けると、向こうから金髪の親子がひょいと顔を出した。
「お話中大変失礼します……。息子がどうしてもというので、アザル殿を少しお借りできないかと……」
気まずそうな顔で言うのはクラウスだ。その手前には何やら、やたらと興奮した面持ちのハルクがいる。
「す、すみません陛下。アザルとは、その、いつかベルタスに来たら私が案内をすると、約束をしていまして! どうかお願いします!」
ハルクはきりとして言った。
……アザルとハルクは、歳が近いせいもあってかサダナムにいた頃からすぐに仲良くなっていたようだ。このトレントの葉も、ハルクがアザルに贈ったものだと聞いた。
そんないたいけな子どもに頼まれると、当然しいて断る理由もない。
僕は頷いて、行って来い、とアザルを促した。彼はぱっと顔を明るくして、ハルクと共に外へ駆け出して行く。
その時気が付いた。部屋の中は魔法の灯で照らされていてよく分からなかったが、外の空はすっかり暗くなっている。
それに気が付いて、僕は昨日聞いたパウルの言葉を思い出した。
「アルバート、少し外に出ないか」
そう誘って、僕も立ち上がって歩き出した。手にトレントの葉を持って、小屋の外へと向かう。
アルバートは特に返事をしなかったが、やがて後ろについてきた。
小屋から出ると、ベルタスの夜の町並みはぼんやりとした街路樹の光に美しく飾られていた。建物を避けて少し開けた道に出ると、ちょうどそこでアザルとハルクも立ち止まって空を見上げていた。
「わあ」
そんな歓声を上げたのはアルバートだった。僕も釣られるように、そこからぐっと空を見上げる。
どうやらパウルの準備は今夜に間に合ったらしい――この街を見下ろす巨大な樹木が、星空の衣を纏ったみたいに、白い輝きの粒を全身に宿して浮かび上がっていた。
その大きな幹にも、そして空を覆うような枝葉も……無数の光はそれらひとつひとつがそれぞれに瞬き、生きているようだ。
そして時々波のよう走る光の群れが、さっとその根本から這い上がっては空に溶けるように散っていく。
「ねえヨハン! 見て! 本当に……本当に綺麗だ」
言われるまでもなく見ているが、アルバートは興奮した声でそう言ってきた。ああ、と僕は相槌を打つ。
「イグノールが……、終戦と、トレントの種を返した記念に光らせるとか言ってた。これから冬至まで毎晩派手にやるんだって」
「ホントに!? 毎晩これが見れるのか……っていうかトレントの種返ってきたの!? 全部初耳!」
アルバートは慌てた声でそんなことを言う。外の冷たい風に煽られて、この壮麗な景色を見上げて、僕達の間にある空気はどこまでも澄み切っていた。
うっとりとそれを見上げて、アルバートは白い息とともに言葉を吐く。
「ヨハン、君はこのトレントを見てどう思うの?」
「……綺麗だ、と思う。それ以外の言葉が思いつかない」
「そう、だよね。ねえ、不思議だと思わない? 綺麗なものを見た時って、それだけで心が嬉しくなる。見ていたって何にもならないのに……悩みがなくなるわけじゃないし、お腹がふくれるわけでもない。なのに、それだけで……幸せになれる。僕はそこに、何もかもを超える力がはたらいてるんだって思うんだ。人間と、この世界の根源に関わる大きな何かが」
「相変わらず難しいことを言うな、君は」
「あはは、ごめん。僕は学生だからね……。この不思議な力を、そしてそれを追い求めるこの心を、僕達は美学と呼んでいる」
「……前も、何か言ってたな。学問の礎は?」
「言葉と、良心と、それから美学だ。言葉を尽くして僕達は真理を探求する。だけど尽くしても尽くしても尽くされきれないところに、きっと本当のものがある。それへの眼差し、世界を超えた大いなる力への眼差し、その賛美を……祈りと言うんだ」
放っておくとずっと喋り続けそうな調子だった。僕はただ苦笑いを零す。
「学問ってのはなんだか知らないけどすごいな。僕には分からないけど、きっと……すごい力があるんだろうな」
「……いやまあしかし、現実は甘くないからね、僕だってもう来年は職人の丁稚奉公をして美学も哲学も分からなくなってるかもしれない。就職先を見つけるのには役に立たない」
「なんだそりゃ。学者っていうのは職業にならないのか?」
「なるけど、僕みたいな平民にはなかなか狭き門でね……」
「そういうものか。トレンティアの制度はよく知らないけど、偉い人の紹介があればいいんだろう? 君は僕の友達だ、僕からイグノールに頼んでおこう」
「はあ!?」
「立派な学者になって、いっぱい勉強するといい」
澄み切った空気の間で交わされる雑談は、寒空の下で身を寄せ合うように温かかった。彼が語るような難しい話は分からない。だけど……まあ、いいんじゃないか。
輝くトレントの下では、多くの民がその姿を見上げていることだろう。僕達と同じように、親しい者と語り合いながら、理屈を超えた“心が嬉しくなる”を、堪能していることだろう。
すっかり舞い上がった様子のアザルとハルクが、わけもわからずはしゃいで走り回っている様子は僕の目にも入った。
暗いから走るな、なんて小言を言いながらクラウスがそれを追いかけていった。一騎当千の最強の剣士が、子どもを前にすればまるで平凡な父親だ。
「ああ、そうだ。僕はズミの言葉も少しだけ勉強したんだよ。こういう時に君達がなんて言うのか、知ってる」
アルバートが楽しそうに言う。僕達はまだ、互いの視線を合わせることもなく、じっと、眩く聳える聖樹を見つめていた。
「サーシェ。……美しい言葉だ」
「ああ、サーシェ」
そして僕達は祈りの言葉を交わす。
喜びも、悲しみも、憎しみも、幸福も、どんな感情も葛藤も、その言葉が吸い込んでいく。その言葉が、僕達に生きる力をくれる。
「また、会える?」
「当然。僕達はずっと繋がっている」
「言葉で」
「そう、言葉で。サーシェ、あなたに神聖なるトレントの加護がありますように」
「サーシェ、あなたの進む道に絶えなき光と熱がありますように」
しかしその中で出会うベルタスの市民の姿は、僕達にとって戸惑いの大きいものとなった。
既に戦闘が収まったことはトレンティア兵から告知がされたらしく、市民達は嵐のように過ぎ去った騒動の後、不安を引きずりながらもそれぞれの生活を過ごしているようだったが……。
とにかく彼らはズミ人をひどく恐れていた。ほとんど誰もが、黒髪を見るなり悲鳴を上げて走り去っていく。捜索のために情報や道を聞こうにも話にならない。
この反乱戦の主体となったのはイグノール軍であって、形としては僕達は後から加勢にきただけなのだが、そんな事情を当然市民は理解していない。とにかく見た目の違うズミ人の方が目立って見えたのだろう。
しかしそんな市民に危害を加えたり略奪などをしないことは、当然イグノールとの約束である。僕達は釈然としない思いをしながらも、彼らに下手に高圧的な態度をとることもできなかった。
結果的に、街中の捜索任務からズミ軍はすぐに手を引くこととなった。長居をしても揉め事の元だ、さっさと軍隊丸ごと国に帰る準備を進める。
しかし僕はどうしても……あの戦いの最中に出会ったアルバートのことが引っ掛かっていた。このままの別れになれば、あの日彼が僕に届けてくれた言葉を裏切ったままになってしまうような、そんな気がしてならなかった。
と言っても当然、僕がブランドル学院まで出歩いて訪ねるというわけにはいかない。あまりおおごとにしたくはなかったが、気心の知れたトレンティア人にこっそりと相談するしかなかった。
しかしパウルは朝から学会がどうのこうのと言ってどこかへ出かけてしまったらしい。まだ戦後処理で忙しそうで心苦しかったが、クラウスを訪ねることにした。
なるべくひと気のない時を見計らって声をかけたが、近くには退屈そうなカルロスが待機している姿もあった。
そしてその名前を聞くやいなや、クラウスは驚きのあまり足をつんのめらせて転びそうになった。
「アルバート・ブランドルって……、ええ!? 陛下は彼のことを知っていたのですか!?」
その反応は僕にも予想外だった。呆気にとられて僕は目を瞬かせる。
「まあ、前にトレンティアに来た時、たまたま話をして友人になったというか……。お前こそ知っているのか」
「えっ、そ、そうですね、まあ。えっ、友人? はあ、つまり彼が何者なのかは……イグノール陛下からお聞き及びではない、のですよね……?」
困ったような焦ったような調子で聞いてくる。また僕は呆気にとられたが、その時やっと思い至った。
そもそもなぜ僕が彼と知り合ったのか……。あの時、パウルに彼のことを探ってこいという任務を受けたからではないか。なぜパウルは彼を調べようと思ったのだ? 彼は一体何者なのだ? その疑問はあまりにも今更だった。
実際会って話してみれば、彼は気が抜けるほど平凡な少年で、そんなことは気に留めていなかった。昨日見た時も確かに、市街で目を回している市民のうちの一人でしかなかったが……。
「彼は一体何者なんだ」
僕は改めてそう聞き直した。しかしクラウスは苦しげに目を泳がせる。
「イグノール陛下が話してない以上、私の口からはちょっと……」
そんな反応を見て、僕はしゅんとして肩を落とすほかなかった。しかし何やら盗み聞きをしたらしいカルロスが、くつくつと楽しそうに肩を揺らした。
「イグノール陛下は彼のことを生涯黙殺するおつもりでしょう。まあ、それが全ての者にとって最も幸せな判断であることは私も同意しますがね……。しかしよりによってアルティーヴァ陛下とご友人、とは……。いいではありませんか、少し会って話すぐらい手引きしてやりましょうよ」
相変わらず暗い顔で笑う、まるで腹の黒い悪役のようだ。
クラウスは余計戸惑った顔になって首を傾げたが、カルロスは同じ調子で続けた。
「アルティーヴァ陛下のお気持ちを無下にはできませんし、急いでおられる。イグノール陛下にお伺いを立てている時間はないでしょう。大丈夫ですよ、お互い何も知らないのですから。偶然ですよ、ええ、偶然出会ってしまったお二人ですから……」
ティファの時もそうだったが、なんだかんだ融通がきかせて助けてくれる男ではあるのだ。僕は変な顔のまま黙っていた。
そしてカルロスの手引きによって僕達が偶然出会ったのは、もう街路樹も光り始める夕刻の頃だった。
僕はジルとアザルだけを連れて指定された建物へ向かった。普段衛兵が駐屯している詰め所の休憩所らしいが、一時的に人が払われていて誰もいなくなっていた。
まるでカルロスに捕らえられて連行されるような体で――いや、実際のところそうなのだろう――怯えきった平凡な少年はそこへ連れ込まれてきた。
もともと青ざめた表情をしていたが、部屋の中にあった僕の姿を見て余計に顔を凍りつかせた。
……当然だろう、ただでさえ市民の間ではズミ人が襲ってきた、なんて噂が飛び交っている中、軍人に捕えられたかと思えば謎のズミ人のいる部屋に押し込められたのだから。
既に、あの時のような気さくな友人の顔をできないことは、分かりきっていることだった。
「では後はお好きなだけごゆるりと。酒や食べ物が入り用であれば好きなだけお持ち込みください。では私は別用に戻るので」
そう言ってカルロスは立ち去っていった。僕は部屋の中にあった簡素な椅子に腰掛け、突っ立ったまま怯えているアルバートを見つめる。
……何者なのだろうか。気にならないと言えば嘘になる。いや、カルロスの口ぶりから考えれば……推測するのはそう難しくもない気がする。
だけどそう、僕達はお互いのことを何も知らずに、ただあの場所で出会って、ただ友人となった……そのことに間違いは、きっとない。
「すまない、アルバート、こんな形で呼び出してしまって。でも僕はすぐにズミに帰らなくちゃいけないから……、その前に話だけでもと、思って。本当に敵意はないんだ。とりあえず座って……」
たどたどしく言葉を言うけど、なんとなくその目を直視するのがつらかった。少しだけ目を伏せて逸らした僕を前にして、彼はまだ何も言えずに怯えている。
座れと言われれば聞かないわけにもいかないと思ったのか、やがておそるおそる、近くにあった椅子に彼も腰掛けた。
何から話したらいいのかは分からなかった。ただ……僕は国王のマントの内側に片手を突っ込んで……、重ね着している冬服の一番内側から、それを……トレントの葉を取り出した。
「あの時君がくれたものだ。改めて言うよ、ありがとう」
それは、このお守りが僕に力をくれたとか、君の思いがあったからここまで進んでこれたとか、そんな大層なものじゃなかった。
なぜこれを捨てずに持っていたのか、自分でもよく分からなかった。忘れていることは多々あったけど……思い出せば、まだ手元に置いておこうと、そんな気分になった。分からないけど、なんとなく、手放せない、そういうものだった。
アルバートは青い目を大きく見開いてそれを見て、やがて怯えていた顔は切なそうに沈んでいく。
「……ごめん、もう一度聞いて、いいかな。君は何者なんだ、ヨハン」
弱々しい声でそう言った。
僕はできるだけ声を柔らかくして、だけどにこりとする雰囲気でもなくて、静かに答える。視線は手元の白い葉にまた落としていた。
「ズミ王国の国王だ。この秋に即位したばかりでね、君と会った時は何でもないただのズミ人だった」
「君は……君達は、どうしてこの街に来たんだ? 皆、ズミ人が侵略の仕返しに襲いに来たと言って騒いでいる」
「その通りだ。僕達は故郷の都を焼き払われ、数え切れない同胞をトレンティア軍に虐殺された。その報復のために、侵略戦争を始めた君達の王、クロス・ギルバートを殺しに来た。イグノールはこれから布告をすると言っていたから、近々新聞にも出るだろう」
そう言った時に、アルバートはハッと息を呑んだ。
「ギルバートはもう殺した。僕達の復讐も終わった。ズミとトレンティアの戦争は……やっと、終わった。僕はこれからズミへ帰る」
魔法灯に照らされた狭い室内で、他の誰もが黙っている中、しんと語りかける……その自分の言葉が、その時初めて胸に刻まれていくような気がした。
……戦いは、終わったんだ、と。
アルバートはしばらく黙っていたが、やがて弱々しい声で呟いた。
「……イグノールと言った? もしかして、パウル・イグノール……?」
僕はトレントの葉から視線を上げて、その愕然とした顔を見つめた。
「やっぱり、知っているのか」
カルロスの口ぶりから推測することは難しくなかった。二十の歳までこの街で過ごしていた王子に、隠し子の一人や二人いたって何も驚きはしない。
だけど、つまり君は僕と……なんて話を、するわけにもいかないのだろう。アルバートは力なく首を振った。
「……知らない。前に、たまたま読んだ本の著者だ。昨日、兵士が大声で叫んで回っていたね……。新しい、王様だって……」
それはあるいは本当に知らないのか、どうなのかは判断がつかないが……今はそんなことを詮索する時でもない。僕はまた静かに目を伏せた。
「ああ、もともとトレンティアの王族で、僕の……いや、ズミの友人だ。ここまで一緒に戦ってきてくれた……。彼が王になった以上、ズミ人もトレンティア人も、友人同士だ」
そう語った言葉も、まだ実感があるわけじゃなかった。トレンティアの街を歩いていても、皆ズミ人を見ると悲鳴を上げて逃げていくのだ。
アルバートだってそうだろう。だけど彼は少し疲れたような笑みを浮かべたようだった。
「……ねえヨハン。じゃあ、あの時は……最初に会った時は、ここに何をしにきていたの?」
「あの時は……僕は一介の兵士に過ぎなかった。トレンティアの貴族に繋がりを持って、敵国の情報を探りに……潜入していただけだ」
「そう……やっぱりあの時から君は……戦っていたのか」
「ああ、戦っていた。ずっと……子どもの頃からずっと戦っていた。殴られて、奪われて、ただただ血を浴びて戦うことでしか生きていけなかった。そんな生き方を僕に強いたトレンティアが憎かった」
なぜそんな言葉が漏れ出てくるのか、自分でも分からなかった。そんなことを今更語って何になる?
無意識に拳を固く握り、視線はトレントの葉よりも下に落として、自分の膝を睨んでいた。
「ああ、あの時も君は言ってたよ。トレントが憎かったって。……僕は君が嘘をつく人だなんて思えない。僕だって知ってる。僕達の国が、あのトレントが、君達の国に何をしたのか……知っている。君が僕達を憎むのも、当たり前だと思った。……それなのに君は、どうして……、どうしてこの葉をずっと持っていたの? どうして僕のことを忘れないでいてくれたの?」
アルバートは静かに語りかけてくる。じっと自分の膝を見つめていた、その視界の中に、少年の手が震えながら入ってきた。白くて、柔らかそうな、まるで女みたいな手だ。
それが膝の上で固く拳を握っている僕の手に、そっと触ろうとしてくる。
僕はその手の拳をゆっくりと開いて、受け止めるように手の平を上に向けた。固くなった皮膚は浅黒くて、実戦なのか訓練中か分からないうちについた生傷の痕が、ところどころに走っている。今までどれだけの人間を、殺してきたのだろう……。
「こんなことを僕が言うのはおかしいよね、分かってる。だけど、今まで本当に……つらい思いをしてきたんだよね。何も知らなくて、何もできなくて……ごめん。だけどそれでも、会いに来てくれてありがとう。言葉を、交わしてくれてありがとう」
僕の手を握った、その少年の顔に視線を上げた。にこりともしていない、張り詰めた表情をしていた。その青い目はまだ恐怖に震えていた。
……そうだ、今すぐこの手を振り払って、剣を抜けば僕はこの少年を殺すことも簡単にできてしまう。それだけのものを今まで積み重ねてきた。
僕の腰に提げられた剣を、背中に背負っている弓を、そして背後に控えている武装した騎士の姿を、彼だって見ている。……怖いに決まっている。
それでも彼は僕の手を握り、そうして言葉を絞るのだ。……なぜ?
「……優しさは国境を越えるか?」
僕は呟くように言った。前に会った時に彼が言っていた言葉だった。アルバートは変わらない表情で静かに頷く。
「憎しみも国境を越えるよ。人は優しくも残酷にもなれる。だから言葉を交わすんだ。言葉を重ねて、言葉で繋がるんだ。……だから、僕は言葉を学ぶ学者になりたい。君と、本当の友人になるために……」
そう語った内容は、やっぱり分かるようでいまひとつ分からない。ただ、学問が好きな奴だったということは思い出した。
何となく返事は思いつかない。ただ握られた手の温もりに身を委ねていた。
一体この出会いは何だというのだろう……何とも説明はつかないけど、ただ、何か……また大切なものを受け取ったような、そんな心地はするのだ。
しかしそれに浸っている時間はそう長くなく、唐突に部屋の扉を叩く音がなった。アルバートも僕もハッとして顔を上げる。
従者のアザルが小走りで駆けていってそれを開けると、向こうから金髪の親子がひょいと顔を出した。
「お話中大変失礼します……。息子がどうしてもというので、アザル殿を少しお借りできないかと……」
気まずそうな顔で言うのはクラウスだ。その手前には何やら、やたらと興奮した面持ちのハルクがいる。
「す、すみません陛下。アザルとは、その、いつかベルタスに来たら私が案内をすると、約束をしていまして! どうかお願いします!」
ハルクはきりとして言った。
……アザルとハルクは、歳が近いせいもあってかサダナムにいた頃からすぐに仲良くなっていたようだ。このトレントの葉も、ハルクがアザルに贈ったものだと聞いた。
そんないたいけな子どもに頼まれると、当然しいて断る理由もない。
僕は頷いて、行って来い、とアザルを促した。彼はぱっと顔を明るくして、ハルクと共に外へ駆け出して行く。
その時気が付いた。部屋の中は魔法の灯で照らされていてよく分からなかったが、外の空はすっかり暗くなっている。
それに気が付いて、僕は昨日聞いたパウルの言葉を思い出した。
「アルバート、少し外に出ないか」
そう誘って、僕も立ち上がって歩き出した。手にトレントの葉を持って、小屋の外へと向かう。
アルバートは特に返事をしなかったが、やがて後ろについてきた。
小屋から出ると、ベルタスの夜の町並みはぼんやりとした街路樹の光に美しく飾られていた。建物を避けて少し開けた道に出ると、ちょうどそこでアザルとハルクも立ち止まって空を見上げていた。
「わあ」
そんな歓声を上げたのはアルバートだった。僕も釣られるように、そこからぐっと空を見上げる。
どうやらパウルの準備は今夜に間に合ったらしい――この街を見下ろす巨大な樹木が、星空の衣を纏ったみたいに、白い輝きの粒を全身に宿して浮かび上がっていた。
その大きな幹にも、そして空を覆うような枝葉も……無数の光はそれらひとつひとつがそれぞれに瞬き、生きているようだ。
そして時々波のよう走る光の群れが、さっとその根本から這い上がっては空に溶けるように散っていく。
「ねえヨハン! 見て! 本当に……本当に綺麗だ」
言われるまでもなく見ているが、アルバートは興奮した声でそう言ってきた。ああ、と僕は相槌を打つ。
「イグノールが……、終戦と、トレントの種を返した記念に光らせるとか言ってた。これから冬至まで毎晩派手にやるんだって」
「ホントに!? 毎晩これが見れるのか……っていうかトレントの種返ってきたの!? 全部初耳!」
アルバートは慌てた声でそんなことを言う。外の冷たい風に煽られて、この壮麗な景色を見上げて、僕達の間にある空気はどこまでも澄み切っていた。
うっとりとそれを見上げて、アルバートは白い息とともに言葉を吐く。
「ヨハン、君はこのトレントを見てどう思うの?」
「……綺麗だ、と思う。それ以外の言葉が思いつかない」
「そう、だよね。ねえ、不思議だと思わない? 綺麗なものを見た時って、それだけで心が嬉しくなる。見ていたって何にもならないのに……悩みがなくなるわけじゃないし、お腹がふくれるわけでもない。なのに、それだけで……幸せになれる。僕はそこに、何もかもを超える力がはたらいてるんだって思うんだ。人間と、この世界の根源に関わる大きな何かが」
「相変わらず難しいことを言うな、君は」
「あはは、ごめん。僕は学生だからね……。この不思議な力を、そしてそれを追い求めるこの心を、僕達は美学と呼んでいる」
「……前も、何か言ってたな。学問の礎は?」
「言葉と、良心と、それから美学だ。言葉を尽くして僕達は真理を探求する。だけど尽くしても尽くしても尽くされきれないところに、きっと本当のものがある。それへの眼差し、世界を超えた大いなる力への眼差し、その賛美を……祈りと言うんだ」
放っておくとずっと喋り続けそうな調子だった。僕はただ苦笑いを零す。
「学問ってのはなんだか知らないけどすごいな。僕には分からないけど、きっと……すごい力があるんだろうな」
「……いやまあしかし、現実は甘くないからね、僕だってもう来年は職人の丁稚奉公をして美学も哲学も分からなくなってるかもしれない。就職先を見つけるのには役に立たない」
「なんだそりゃ。学者っていうのは職業にならないのか?」
「なるけど、僕みたいな平民にはなかなか狭き門でね……」
「そういうものか。トレンティアの制度はよく知らないけど、偉い人の紹介があればいいんだろう? 君は僕の友達だ、僕からイグノールに頼んでおこう」
「はあ!?」
「立派な学者になって、いっぱい勉強するといい」
澄み切った空気の間で交わされる雑談は、寒空の下で身を寄せ合うように温かかった。彼が語るような難しい話は分からない。だけど……まあ、いいんじゃないか。
輝くトレントの下では、多くの民がその姿を見上げていることだろう。僕達と同じように、親しい者と語り合いながら、理屈を超えた“心が嬉しくなる”を、堪能していることだろう。
すっかり舞い上がった様子のアザルとハルクが、わけもわからずはしゃいで走り回っている様子は僕の目にも入った。
暗いから走るな、なんて小言を言いながらクラウスがそれを追いかけていった。一騎当千の最強の剣士が、子どもを前にすればまるで平凡な父親だ。
「ああ、そうだ。僕はズミの言葉も少しだけ勉強したんだよ。こういう時に君達がなんて言うのか、知ってる」
アルバートが楽しそうに言う。僕達はまだ、互いの視線を合わせることもなく、じっと、眩く聳える聖樹を見つめていた。
「サーシェ。……美しい言葉だ」
「ああ、サーシェ」
そして僕達は祈りの言葉を交わす。
喜びも、悲しみも、憎しみも、幸福も、どんな感情も葛藤も、その言葉が吸い込んでいく。その言葉が、僕達に生きる力をくれる。
「また、会える?」
「当然。僕達はずっと繋がっている」
「言葉で」
「そう、言葉で。サーシェ、あなたに神聖なるトレントの加護がありますように」
「サーシェ、あなたの進む道に絶えなき光と熱がありますように」
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