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第41話 岩宿ダンジョンに向かう途中、迫り来る影
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春の風が柔らかく頬を撫でる。空は抜けるように青く、旅路には絶好の日和だった。
ガタゴトと木製の車輪が回る音が、緩やかな山道に響いていた。
「ふふん、こんな陽気にボクの美貌が映えすぎて困るなあ」
馬車の座席で、金髪をかき上げながら自信満々に笑うのはアリスターだ。
「前向いて、アリスター。落ちたら大惨事よ」
隣で柔らかく笑いながらも、きちんとたしなめるのは、桃色の髪が春の日差しに揺れる剣聖エリーゼ=アルセリア。
「ったく……騒がしい連中だぜ」
馬車の後ろで腕を組み、警戒の眼差しを道の先に送っているのは、黒髪の筋肉剣士マスキュラーだ。
馬車を引く馬の手綱を持っているのは、神官服に身を包んだ青髪の男、ダリル=ベルトレインである。彼は不安げに口を開いた。
「拙者、道中に強盗が出るという噂を聞いたでござるよ……」
「そのためのスプレーマムじゃないの」
エリーゼが快活に笑い、腰の刀の柄に手を添える。
今回、彼らスプレーマムが受けた依頼は、岩宿ダンジョンで消息を絶った貴族令嬢の捜索と救出だった。ダンジョンに行くにはこの山道を越える必要があり、今はその道中というわけである。
しばらく進んだそのときだった。草むらがざわめき、低く唸るような声が聞こえた。
「止まれ!」
道の両側から、粗末な鎧と剣を身に着けた男たちが十人ほど現れ、馬車を囲む。
「荷を置いていけ。命は取らねぇ……ただし、従えばの話だがな」
「ふーん。野盗風情がボクたちに喧嘩を売るなんて、いい度胸だね」
アリスターが立ち上がり、マントを翻すと、杖の先に淡く光が灯った。
「数は多いけど、剣の腕は……並ですね」
エリーゼは剣を抜き、目を細めた。
「オレが前に出る! 魔法と剣で援護しろ!」
マスキュラ―が吠えると、たくましい脚で飛び出す。その肉体から繰り出される剣閃が、盗賊たちをなぎ払った。
「雷槍(ライトニング・スピア)!」
アリスターが放った雷の槍が、敵の足元を撃ち抜く。
「破邪顕現(ディスペルライト)!」
ダリルも震えながらも祈りの言葉を紡ぎ、聖なる光で敵の目を眩ませた。
「わたしの剣、見せてあげる!」
エリーゼが一閃。金に輝く右腕が風を切り、銀の足で地を蹴って宙を舞う。彼女の剣は見事な流れで盗賊の武器を弾き飛ばしていく。
短い戦いだった。わずか数分で、盗賊たちは全員気絶するか逃げ出した。
「ふぅ……やっぱり来たか。でもこの程度なら余裕ね」
エリーゼは剣を収めながら、汗を拭った。
「……やれやれ、ボクの美しい顔に泥がかからなくて何よりだ」
アリスターが鼻を鳴らしながら言う。
「皆、無事でよかったでござる……」
ダリルが胸を撫で下ろす。
マスキュラ―は倒れた盗賊の武器を蹴飛ばしてから、にやりと笑った。
「さあ、寄り道は終わりだ。行くぞ、岩宿ダンジョンに」
こうして、彼らスプレーマムは再び馬車を走らせ、依頼の地へと進み始めた。青空の下、その背中には希望と、それぞれの過去が交差する物語が続いていくのだった。
ガタゴトと木製の車輪が回る音が、緩やかな山道に響いていた。
「ふふん、こんな陽気にボクの美貌が映えすぎて困るなあ」
馬車の座席で、金髪をかき上げながら自信満々に笑うのはアリスターだ。
「前向いて、アリスター。落ちたら大惨事よ」
隣で柔らかく笑いながらも、きちんとたしなめるのは、桃色の髪が春の日差しに揺れる剣聖エリーゼ=アルセリア。
「ったく……騒がしい連中だぜ」
馬車の後ろで腕を組み、警戒の眼差しを道の先に送っているのは、黒髪の筋肉剣士マスキュラーだ。
馬車を引く馬の手綱を持っているのは、神官服に身を包んだ青髪の男、ダリル=ベルトレインである。彼は不安げに口を開いた。
「拙者、道中に強盗が出るという噂を聞いたでござるよ……」
「そのためのスプレーマムじゃないの」
エリーゼが快活に笑い、腰の刀の柄に手を添える。
今回、彼らスプレーマムが受けた依頼は、岩宿ダンジョンで消息を絶った貴族令嬢の捜索と救出だった。ダンジョンに行くにはこの山道を越える必要があり、今はその道中というわけである。
しばらく進んだそのときだった。草むらがざわめき、低く唸るような声が聞こえた。
「止まれ!」
道の両側から、粗末な鎧と剣を身に着けた男たちが十人ほど現れ、馬車を囲む。
「荷を置いていけ。命は取らねぇ……ただし、従えばの話だがな」
「ふーん。野盗風情がボクたちに喧嘩を売るなんて、いい度胸だね」
アリスターが立ち上がり、マントを翻すと、杖の先に淡く光が灯った。
「数は多いけど、剣の腕は……並ですね」
エリーゼは剣を抜き、目を細めた。
「オレが前に出る! 魔法と剣で援護しろ!」
マスキュラ―が吠えると、たくましい脚で飛び出す。その肉体から繰り出される剣閃が、盗賊たちをなぎ払った。
「雷槍(ライトニング・スピア)!」
アリスターが放った雷の槍が、敵の足元を撃ち抜く。
「破邪顕現(ディスペルライト)!」
ダリルも震えながらも祈りの言葉を紡ぎ、聖なる光で敵の目を眩ませた。
「わたしの剣、見せてあげる!」
エリーゼが一閃。金に輝く右腕が風を切り、銀の足で地を蹴って宙を舞う。彼女の剣は見事な流れで盗賊の武器を弾き飛ばしていく。
短い戦いだった。わずか数分で、盗賊たちは全員気絶するか逃げ出した。
「ふぅ……やっぱり来たか。でもこの程度なら余裕ね」
エリーゼは剣を収めながら、汗を拭った。
「……やれやれ、ボクの美しい顔に泥がかからなくて何よりだ」
アリスターが鼻を鳴らしながら言う。
「皆、無事でよかったでござる……」
ダリルが胸を撫で下ろす。
マスキュラ―は倒れた盗賊の武器を蹴飛ばしてから、にやりと笑った。
「さあ、寄り道は終わりだ。行くぞ、岩宿ダンジョンに」
こうして、彼らスプレーマムは再び馬車を走らせ、依頼の地へと進み始めた。青空の下、その背中には希望と、それぞれの過去が交差する物語が続いていくのだった。
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