時を買う人

I_Ait-bkmJ

文字の大きさ
39 / 47

忘年会幹事

しおりを挟む
「忘年会の計画は大変だなぁ」


会社からの帰り道で、ヒラ社員の栗林宙が周りに人がいれば、聞こえるぐらいの声で独り言をつぶやいた。

会費
場所
日時
料理・アルコールの種類
誰がどの座席に座るか

これらを忘年会の幹事は決めて、計画を立てなければならない。

料理は食べられないものがある人もいるし、アルコールの種類にこだわりがある人もいる。座らせる席によって会話できるかできないか決まってしまうこともある。


"幹事の役割で大変なのに、ついでに仕事もあるのか……。そもそも忘年会自体好きじゃないんだよなぁ。一次会で、上司や先輩に気を使ってその後、二次会のカラオケに付き合わされ……。喜びがない。"


そんなことを考えながら、自宅への近道である商店街を横切ろうとしたとき、目の前に


"時(人生)買います"


という札の付いた不思議な屋台があることに気付いた。


"幹事をやるにあたってなにかのヒントになるかもしれない"


と思った栗林は屋台によってみることにした。


「いらっしゃい。この店はあなたの時(人生)・健康を売って、それと同程度のモノ、契約、経験が手に入る店だよ。売ってしまった人生の期間中に起こった出来事は思い出に残らないけど、売ってみるかい?」


と店員が尋ねたので、栗林は


「忘年会の幹事が大変なので計画を立ててほしいのですができますか?」


と尋ねると、


「その契約だと、忘年会直後の出勤日までの人生を売ってもらうことになるけど、売るならこの契約書にサインして契約に成立です。」


と店員が言って契約書を出してきたので、栗林はすぐにサインをした。栗林は、サイン直後に自身が会社の更衣室で同僚と一緒にいることに気付いた。



「今回の忘年会は上司に気を使うことがあまりなくてよかったわ。お前の幹事のおかげだよ。」


と同僚が言ったのだが、その思い出は自身には残っていないのでそれとなく


「どうして気を使わなくてよかったの?」


と聞いてみたのだが、どうも喉の調子がおかしい。


「そりゃあ。一次会からカラオケなら上司に気を使わなくていいじゃん。上司らずっと歌ってんのに調子合わせればいいだけだし。」


と同僚の答え聞いて


"一次会がカラオケなら気を使わなくていいよなぁ。だけど二次会はどこ行ったんだろうか?"


と思った栗林は


「俺、酔っ払っててよく覚えてないんだけど二次会はどこ行ったの?」


と尋ねると同僚は、間髪入れずこう答えた。


「隣のカラオケ屋に決まってんじゃん。」


「………。」


栗林は固まってしまった。















しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...