異世界を中国拳法でぶん殴る! ~転生したら褐色ショタで人外で、おまけに凶悪犯罪者だったけど、前世で鍛えた中国拳法で真っ当な人生を目指します~

犬童 貞之助

文字の大きさ
80 / 273
第二章 工業都市ボルドー

2-58 ボルドー生活最終日

しおりを挟む
 ボルドー生活最終日、未明。

 ほのかに香る甘い匂いで目が覚める。寝ぼけ眼をこすって見れば、シアンブルーな美女の寝顔。何故か我がベッドの中に。

「何が悲しくて記念すべき異性との初同衾どうきんを、自前の眷属けんぞくで済ませにゃならんのだ」

 ちょっとドキッとしたけど、なんだか無性に悔しいので誤魔化す様に独り言つ。別に娘みたいなもんだし、服を着ていないわけでもないし、動揺する要素は無いはずだ。

(おはよう。いきなり異空間を出て行ってそのままベッドで寝たから焦ったぞ)
(おはようございます、ロウ。身体の具合は大丈夫ですか?)

「おはようさん。何も言わずに出ていって悪かった。割と尋常じゃない頭痛だったから休みたかったんだよ。異空間で休むと門が閉じたら時間の流れがズレるし、なんとしても自室に戻らなきゃならなかったからな。それで、あの後どうなった?」

 深呼吸を行い心を平静へと導いていると、俺の独り言に対して返事が返る。

 曲刀たちの疑問に答えてその後のことを尋ねてみると、どうやらシアンが曲刀たちを自室まで運び、そのまま俺の様子を見守っていたようだ。

「──見守ってくれるのは有難いんだけど、ベッドに潜り込むのはどうなんだ?」
[──?]
(私が止めても聞く耳を持ちませんでしたよ、シアンは。全く、誰に似たのやら)

 はて? 何のことを言っているのやら。

 ギルタブの言葉をすっとぼけていなし、ベッドから這い出て身体の調子を確かめる。

 怪我は残るが痛み無し。薙ぎ払われた足も大槍が擦過さっかして出来た傷も既に出血はなく、順調に癒えているようだ。病院要らずの素晴らしい肉体である。

 セルケトとの模擬戦(という名の実戦)を通して服も身体も汗やら血やらで塗れているが、一風呂浴びる前に日課の訓練をこなすべく異空間の門を開く。

(相変わらず熱心だな、お前さん。セルケトとやり合った後だし、今日はやらなくても良いんじゃないか?)

「前にも言ったけど趣味みたいな側面があるからな。……ついでに、あいつの実力を見て危機感を覚えたのもある。まさか接近戦で不覚を取るとは思ってもいなかったし、正直魔法無しだったらきつかっただろうな」
「──ふふふん。そうだろう。我は人の身にあろうとも、強さに一切かげりなし、だ」
「うぉッ!?」

 サルガスと話しているとセルケトがドヤ顔で会話に割り込んできた。

 おめーも居たのかよ。俺の部屋だぞここ。

(セルケトもシアンと一緒にロウの様子を見守っていましたよ。流石に同衾はしていませんが。口では何のかんのと言いつつ心配だったのでしょう)
「!? ……ふん、我の治療をしたことで体調を崩されては寝ざめが悪いからな。こうして看てやっていたのだ。感謝するがいい」
「……おう、ありがとな」

 ツンデレかよ。純粋素直系傲岸ごうがんツンデレ女子(魔物)って属性過多にも程があるだろ。食あたり起こすわ。

◇◆◇◆

 セルケトの出現で気勢を削がれたが、気持ちを切り替えて門を潜り異空間にて套路とうろを始める。

「──フッ!」

 陳式太極拳の基本的な鍛錬方法である老架式ろうかしき、より精密な動きを要求する小架式しょうかしき

 続いて、八極拳の基本的な技を内包し、優れた鍛錬方法でもある八大架式はちだいかしき金剛八式こんごうはっしき

 同じく基礎を養い、肘打ちや膝蹴り、前蹴りなどの基本動作が詰まった小八極しょうはっきょく

 投げ技への対処や相手の攻撃への反撃など、実戦的要素が色濃い大八極だいはっきょく

 そして、大八極よりも増して実戦的な側面が強い六大開ろくだいかい

 頭の天辺から足のつま先まで神経を巡らせ、ひたすら無心に套路へ打ち込む。

 掌打で風が唸り、震脚で地が響く。ただその音だけが異空間に反響する。

「──フゥー」

 通して訓練を行っていき三時間ほど経ったころ、珍しく長い間口を閉ざしていたセルケトが開口した。

「まこと奇怪な動きよな。ヤームルの指導の時も感じていたが」
「ん、変わった動きなのは確かだけど、これが意外と道理があるんだよ」

 魔法で創った水球で水分補給を行い、土魔法で創られた椅子で寛ぐセルケトに答える。

 そういえば、こいつは寝なくていいんだろうか? 俺が寝ている間も様子を看ていたなら、彼女はずっと寝ていないはずだが……。

「セルケト。もうすぐ夜明けだけど、寝てなくて大丈夫か? 今日から長旅だぞ」
「ふむ? もうそのような時間か。ロウとの戦闘で神経がたかぶって眠気を感じなんだ」

 半分殺し合いみたいになってたし、眠気も飛ぶか。セルケトには悪いことをしちゃったな。

「悪かったな。馬車の中で寝る……のは揺れるから厳しいか。うーん、まあ、頑張ってくれ」
「馬に箱を引かせるのであろう? ならば中で休めようものだが」

 俺が馬車では眠れないというと、不思議そうに首を傾げるセルケト。ゆっくり進むなら眠れないことも無いだろうが、ものによっては結構飛ばすからなあ。

「その辺りは実際に乗ってみてのお楽しみってやつだ。コルク、組手の相手出来るか?」
[──]

 一から十まで説明するのもなんだと話を切り上げ、人型状態のコルクの実力を確かめるべく型稽古を行う。

 向かい合っての至近距離、互いに右腕を差し出した状態で打ち、投げ、崩し技をかけあっていく。

 シアンと異なり、最初は竜を模したゴーレムとして創り出したコルクだが、俺の技術は問題なく受け継がれていたようだ。

 連なる攻防の中でこちらが放った拘束を目的とした投げ技──八極拳大八極・小龍纏身しょうりゅうてんしんも、するりと腕を外されてしまい不発に終わる。

 外した腕を勢い良く戻すコルクの裏拳を、上体を沈めて回避。
 次いで繰り出される膝蹴りに、肘打ちを合わせて迎え撃つ──が、衝撃を相殺するどころか木端のように吹っ飛ばされてしまった。

 空中で吹っ飛びながら「そう言えばコルクは流体状態だけど岩石じゃん。そりゃ重いわ!」と思い出しつつ四点着地。

 彼にとっても俺の吹っ飛びようが想定外だったのか、キョトンとした後済まなさそうな雰囲気を滲ませた。

 そんなハプニングに見舞われつつも、三十分ほどでコルクとの組手稽古を終えた。

 技量としては人型となったばかりだからかシアンよりややつたないものの、文字通りの重い攻撃に抜群の安定感と、重量をうまく生かした高い戦闘技能を持っていることが分かった。

 よくファンタジーもののフィクションで、土属性は物理に優れるという風に特徴づけられているが、コルクからはまさにその通りの印象を受ける。胸を合わせての殴り合いなら、妹のシアンよりずっと強いかもしれない。

「コルクの実力チェックも終わったしそろそろ出るか。おーいセルケト? もう出るぞーっと──」
「……」

 時間的にはもう日が出る頃だし、朝食前に風呂に入るべく異空間を出ようとして、石でできた椅子に腰かけるセルケトに呼びかけたが──彼女の長いまつ毛は閉じられている。

 返事がない。ただのおねむのようだ。

 異空間に放置するのははばかられたので、暇をしていたシアンに眠っているセルケトを移送してもらう。

 数時間前の模擬戦で、彼女を抱き上げた時に温かくて柔らかかっただとか、血の臭いとは異なる良い匂いが香っていただとか、それらに動揺したから運ぶのは気まずいだなんてことはない。

「さっさと汗流しちゃうか」

 セルケトをシアンに任せて自室に戻り、浴室へ突入。利用するのが自分だけなので、怪我をしていても気兼ねなく浴槽に浸かることができる。良いことだ。しみるけど。

 二十分程だらだらと身体の凝りと疲れを出し切って浴室を後にする。この浴室としばらく離れることになると思うと、後ろ髪を引かれる思いだ。

(──ならば異空間に浴槽をこしらえればよいのでは?)

 風呂上り、着替えながら己の心情を曲刀たちに語っていると、ギルタブからポロリと出た言葉である。

 ……天才か? もう宿なんかいらないな! まあ人前だと使えないから一人旅の時しか使えないけども。

 異空間マイホーム化計画を練りつつ食堂へ向かう。

 セルケトも料理の匂いを嗅ぎ取ったのか、起床して食堂へと降りてきていた。しかし、まだまぶたが重そうな様子である。

「出発する時間になったら起こすから、もうちょい寝といていいぞ」
「うむ。そうさせてもらおう」

 食事中もうつらうつらと舟を漕いでいるのを見かねて提案すると、素直な返事が返ってくる。

 やはり、まだまだ寝足りないようだ。にもかかわらず、しっかり料理を完食する辺り流石である。

 彼女が自室に戻るのを見届けた後は挨拶回りだ。

 宿の主人のタリクやその息子ウルグに遠出すること伝えたり、ビオレータの診療所におもむいたり、アイラ宅を訪れ別れの挨拶をしたり。かつて世話になった人々の下をまわっていく。

 アイラの家で別れを告げる時、母親のニーナが疲れた表情で「アイラのことをよろしくお願いします」と言っていたが……。こちらに戻ってきてからも変わらず接してくれということだろうか? 意図が読めず曖昧に返すことしかできなかったが……ううむ。

 喉に小骨が刺さった様な感覚を覚えつつ宿へ帰還。

 自室の整理(と言っても必要なものを異空間に放り込むだけ)を行って、集合時間まで時間を潰す。

(こういう旅をするときは空間魔法の利便性が際立つな。いや、旅をするとき“も”というべきか)
(戦闘面での利用はともかく、物置代わりに自身の空間を利用するのは、なんというか凄まじいまでの無駄遣いのように感じますが)

 着替えや寝具などを放り込み終えたあたりで、曲刀たちから改めて感心するような呆れるような感想を頂いた。いい加減慣れたまえよ君たち。

 窓を見れば日も十分上がっているようだ。セルケトに声を掛けて、そろそろ出かけるとしよう。

 バックパックを背負って入り口に立ち改めて室内を見回してみると、がらんどうと言ってもいいほどに物が無くなっている。

 部屋の清掃をしてくれているウルグが見れば仰天しそうな気もするが、空間魔法使って収納しましたなんて説明出来るはずもないし、あえて伝える必要もない。このままで行かせてもらおう。

 ──思い返せば、ボルドーにきてから色々なことがあったものだ。

 異形の魔物と戦い、傭兵団を壊滅させ、豪商の大豪邸で家庭教師まがいのことをして、神の眷属けんぞくに出会い、ボルドー屈指の実力者たちと共に迷宮が生み出した凶悪な魔物と戦って……。

 滞在期間二週間弱とは思えないほど、とても濃い日々だった。

 というか濃すぎる。出来れば今回の旅はゆっくりまったりといきたいものだ。

(まあ、無理だろうな。やたらと厄を引き寄せる魔神様だし)
(無理でしょうね。何せ厄介ごとに首を突っ込まずにはいられないロウですから)

 ものの数秒で無慈悲な突っ込みが入った。魔神とは希望を抱くことすら許されない存在らしい。

 世話になった自室に別れを告げ、セルケトの部屋へ向かう。

 まだまだ眠気が残るらしいセルケトが、身だしなみを整えて出てくるまでには三十分ほど時間がかかったが、早めに声を掛けていたので辛うじて問題ない時間だ。

「──じゃあ、行くか」「うむ、楽しみよな」

 セルケトと共に、宿泊していた「ピレネー山の風景」を後にする。

 これにてまずはひと段落、これよりは新たなる冒険の始まり始まり~ってね。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

チートスキルより女神様に告白したら、僕のステータスは最弱Fランクだけど、女神様の無限の祝福で最強になりました

Gaku
ファンタジー
平凡なフリーター、佐藤悠樹。その人生は、ソシャゲのガチャに夢中になった末の、あまりにも情けない感電死で幕を閉じた。……はずだった! 死後の世界で彼を待っていたのは、絶世の美女、女神ソフィア。「どんなチート能力でも与えましょう」という甘い誘惑に、彼が願ったのは、たった一つ。「貴方と一緒に、旅がしたい!」。これは、最強の能力の代わりに、女神様本人をパートナーに選んだ男の、前代未聞の異世界冒険譚である! 主人公ユウキに、剣や魔法の才能はない。ステータスは、どこをどう見ても一般人以下。だが、彼には、誰にも負けない最強の力があった。それは、女神ソフィアが側にいるだけで、あらゆる奇跡が彼の味方をする『女神の祝福』という名の究極チート! 彼の原動力はただ一つ、ソフィアへの一途すぎる愛。そんな彼の真っ直ぐな想いに、最初は呆れ、戸惑っていたソフィアも、次第に心を動かされていく。完璧で、常に品行方正だった女神が、初めて見せるヤキモチ、戸惑い、そして恋する乙女の顔。二人の甘く、もどかしい関係性の変化から、目が離せない! 旅の仲間になるのは、いずれも大陸屈指の実力者、そして、揃いも揃って絶世の美女たち。しかし、彼女たちは全員、致命的な欠点を抱えていた! 方向音痴すぎて地図が読めない女剣士、肝心なところで必ず魔法が暴発する天才魔導士、女神への信仰が熱心すぎて根本的にズレているクルセイダー、優しすぎてアンデッドをパワーアップさせてしまう神官僧侶……。凄腕なのに、全員がどこかポンコツ! 彼女たちが集まれば、簡単なスライム退治も、国を揺るがす大騒動へと発展する。息つく暇もないドタバタ劇が、あなたを爆笑の渦に巻き込む! 基本は腹を抱えて笑えるコメディだが、物語は時に、世界の運命を賭けた、手に汗握るシリアスな戦いへと突入する。絶体絶命の状況の中、試されるのは仲間たちとの絆。そして、主人公が示すのは、愛する人を、仲間を守りたいという想いこそが、どんなチート能力にも勝る「最強の力」であるという、熱い魂の輝きだ。笑いと涙、その緩急が、物語をさらに深く、感動的に彩っていく。 王道の異世界転生、ハーレム、そして最高のドタバタコメディが、ここにある。最強の力は、一途な愛! 個性豊かすぎる仲間たちと共に、あなたも、最高に賑やかで、心温まる異世界を旅してみませんか? 笑って、泣けて、最後には必ず幸せな気持ちになれることを、お約束します。

処理中です...