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第五章 ヴリトラ大砂漠
5‐3 砂漠での一日
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首都ヘレネスを発ってから三日目の早朝、オアシス都市の北側城門前。薄暗い空の下、砂色の城壁を見上げて開門を待つ。
この城門からヴリトラ大砂漠の中心地を目指すことになる。この方角は砂漠ばかりらしいので、西や東にある城門に比べ人通りも疎らだ。
砂色の城壁には至る所にアンデッド対策がなされており、暁の神シャヘルの祝福が施された、聖別済みの石材が埋め込まれているのだという。
「──ふん、シャヘルか。アレも口煩い奴だったな。このような辺鄙な場所でまで人族の信仰を集めているとは、術策を好むあやつらしい」
開門までの時間つぶしにと披露する、ヤームルの生き字引の如き知識に聞き入っていると──同じようにしてご高説を賜っていたウィルムが、小声で呟く。
「へぇ。ウィルムって竜以外にも色々と知り合いがいるよな。顔が広いというか」
「妾は他の出不精の同族連中と違い、世界を見て回るのが好きだったからな。そのおかげで昔はよく神や魔神に絡まれたものだ」
「……そんなこと言いつつ、お前から絡んでたんじゃねえの?」
ボソボソと話し合っている内に鐘が鳴り響き、落とし格子がずりずり上がりだす。
大人数人分の重さのバックパックを背負いなおし、準備は万端。
これより先の過酷な旅。俺たちの冒険はここからだ! ってね。
◇◆◇◆
日輪は真上、氷の簡易住居の中での昼食を終えた休憩時間。
我が眼前には黒い石柱、辺りを見回せばひび割れが目立つ砂色の大地。
柱というより塔のような規模の石柱は、目印として高台や砂丘に深々と突き立てられ、乾いた気候故に遠方からも視認できるのだという。
大砂漠と言ってもその全土が砂丘となっているわけではなく、石や土、それに植物もある砂漠地帯が多いようだ。
一面砂ッ! 一望千里が砂丘ッ! という風景は、中心付近にしか無いらしい。
今休憩しているここら一帯もそういった具合である。
赤く焼けたような砂丘に挟まれる形で砂色の大地が広がり、そこには枯れたような草が疎らに生え、割れそうなほどに乾いた葉の無い木が幾つか根を張る。大人の背丈の倍はあろうかというその木は黒く、生きているのか死んでいるのか定かではない。
砂漠というよりは、からっからに乾いた荒野という雰囲気だ。
「皆さん、体力ありますね……流石です」
蒼穹より降り注ぐ日差しに、大地より発散される熱砂の熱量。それらにまいり胸元をパタパタと扇ぐのは、美しき研究者ヘレナである。
彼女は、というか全員が日差しを遮るためローブを纏っているが、その状態では発汗により蒸し風呂のような状態になる。秋口とはいえまだまだ暑い時期だけに、彼女はまいっているようだ。
「はいはい、冷風ですよー」
「ああ~、気持ちいい……。ありがとう、ロウ君」
「あ、ヘレナさんずるい! ロウさん、私にも風を下さいよ」「私も歳のせいか汗が止まらなくてね。こちらにもくれないかい?」
「皆さん意外と遠慮ないっすね」
魔法で新たな氷の小屋を建て、更に冷風を創り出し快適空間を創出していると、ワラワラと一般人組が集まり出した。
対照的に、人外組は数時間の悪路長距離走でも余裕綽々である。
「貧弱な奴らだな。初日の昼からこれで、果たして調査までもつのか?」
「ウィルムさん、辛口ですね~。でも確かに、この分だと魔物と遭遇した時は、戦闘に参加してもらわない方がいいかもですね。私たちだけでも十分な戦力ですし」
「そうだね。私たちは荷物が少ないし余裕があるけど……セルケトさんは、大丈夫ですか?」
「案ずるな。この荷物程度であれば、凝りにもならんぞ」
スーパー人外ことウィルムセルケトペアは当然として、吸血鬼姉妹にも疲労の色は見られない。ヴァンパイアと言えば日差しや熱に弱いものと思っていたが、彼女たちは砂漠の環境にあってもまるで堪えていないようだ。
現在、早朝から昼の現在に至るまで砂漠を駆け回ってきたが、魔物の類には一切遭遇していない。
会ったのは可愛らしい砂色の爬虫類や街中でいつも見かける砂色の蠍、黒曜石のような外殻の体長数十センチメートルもある大蠍。砂漠と同色の平たい蛇に、目を持たない鼠ともモグラともつかないふわふわとした哺乳類くらいである。
砂漠といえば死の大地という印象を持っていたが、意外や意外。たくさんの生き物が生活している。
異世界特有なのか、それとも地球でもそうだったのか。砂漠への興味など皆無だった俺には判断がつかない。今となっては、知ろうとしなかったことが勿体なく思えてしまう。
そんなヴリトラ大砂漠ではあれど、捕食動物の姿は見られなかった。
夜間になればアンデッドが出現するらしいが……。それらが捕食動物の代わりとなっているのだろうか?
そうやって砂漠について考察したり、服や靴の中に入った砂を出したり。
セルケトが黒い石柱によじ登り景色を一望している姿や、ウィルムが捕まえたトカゲを生のまま食らっている様を眺めたり。
あっという間に時間は過ぎ去り、再度出発となる。
巨大な荷物を背負うのは俺とセルケト、それにアシエラ姉妹である。依頼主メンバーとウィルムは手ぶらである。と言っても、武装だけでそれなりの重量とはなるが。
ウィルムに関しては荷物を持たせようとした際、「何故妾が人族の荷物を持たねばならんのだ? 貴様が持てばよかろうが」などと言い放ったため、手ぶら放置とすることになった。
代わりに魔物が出た時には率先して動いてもらう、という寸法である。
そんな考えの下、日が沈むまで身体強化によってずんずんと進んでいったが……魔物との遭遇はやはりなかった。
北部中心付近でなくとも、この砂漠地帯にはアンデッドくらいしか魔物がいないのかもしれない。
夕飯の鍋に浮かんだ干し肉をつつきながら、砂漠の生態系について考える夜だった。
◇◆◇◆
星空の美しい真夜中。
湿度が極めて低い影響か、視界は頗る明瞭。見つめ続けても飽きることの無い世界が、満天に広がる。
ロマンチックにお送りする私ロウは、現在見張り番である。
昼間とはうってかわって肌寒い、秋を通り越して冬が近いとさえ思える空気を感じながら、周囲を警戒している真っ最中なのだ。
「先ほどの動き、とても興味深いものだったよ。他で見たことの無い独特なものに見えたけど、君独自のものなの?」
隣で一緒に周囲を警戒しているのは、色気溢れるミステリアスな黒髪美女(吸血鬼)ことアシエラ。彼女は俺が先ほどまで行っていた鍛錬、大陸拳法の套路が気になるようだ。
「古くからの由来あるものですよ。俺は特別な武術の才があるわけでもなければ、新たな枠組みを作るだけの、長い時間を生きているわけでもありませんからね。我流なんて、とてもとても」
「君に、才能がない? 皮肉としか思えないけど」
「身体能力の高さで誤魔化してますけど、いわゆる武術的なセンスはてんでダメなんですよ。この技術を習っている時に同門の親友とよく実戦形式の稽古をしたんですが、全く勝てませんでしたから」
「……それ、本当に人族? 君が歯が立たないって、想像すら出来ない」
前世での親友を思い浮かべながら懐かしい思い出を語ると、彼女は驚愕しきりといった面持ちとなった。
吸血鬼たる彼女をコテンパンにした俺である。その俺すら足元に及ばないという存在など、人外としか思えないだろう。
「まあ昔の話ですし、俺も旅をし始めてから武術への理解が深まりましたし、今どのくらいの差なのかは分からないです、はい」
親友の人外疑惑を払拭すべく、ほんのりとフォローを入れておく。かつて本当に人間か疑っていたこともあるので、あくまでほんのりとだが。
「昔の話、か。あはは、十歳のロウ君にも歴史あり、なんだね」
そうやってフォローすると、アシエラからは生温かい表情で微笑まれてしまった。
言ってから気が付いたけど、俺十歳じゃん。昔っていつだよ! ってなるわな。
「いや、昔と言っても──!」
口元に手を当てて笑う彼女に弁解しようとした時──魔力感知に反応あり。
位置は上空、色は灰色。
目を凝らせば、遠方に星明りに照らされた奇怪な姿が浮かんでいた。
「!」
二対の翼と長大な尾、巨大な頭部に逞しい四肢。それら全てが、肉を一切持たない骨。
それはありていに言って、天翔ける竜の骨である。シュールすぎる……。
「うん? どうかした……っ!? あれは、アンデッド!?」
「みたいですね。あ、今、目? が合ったっぽいです。こっちに向かってきますね」
俺が一点を見つめていたことで亜竜(骨)の存在に気が付いたアシエラに応じていると、向こうはこちらを獲物と定めたのか、速度を上げ距離を詰めだした。
「ワイバーン……ではない? ロウ君、気を付けて。あれは多分、アンデッド化してから長い時間を経て、成長している個体だよ」
「了解です。このまま戦うとなると場所が不味いですし、ちょっと気を引いてきますね」
「あっ、ちょっとロウ君!?」
提案というよりは独断専行といった具合に背後からの声を聞き流し、魔力を練りながら疾走開始。
緩やかに降下を始めた骨竜はちらりとこちらを見たが、取るに足らないとでも考えたのか俺を無視することにしたようだ。
「──フッ、愚か者め」
その判断──後悔させてやろう!
練り上げた魔力で宙に浮かぶ氷塊を創り出し、それを足場に連続跳躍。
瞬く間に骨竜の飛ぶ高所へと上り詰める!
「──ッ!?」
「どっせーいッ!」
眼球の無い顔面で器用に驚愕の表情を作る骨竜の背を、両足揃えたドロップキックで蹴り飛ばす。
さしものアンデッドも、飛ぶ鳥を落とす勢いで駆け上がる俺の姿には動揺したようだ。
だがしかし。
空中という大して踏み込めない状況下だからか、あるいは単に骨が堅固だったのか。直撃し体勢を大きく崩しはしたものの、未だかの竜は健在である。
「ん……」
近くに来て観察すれば、左右非対称の骨翼は灰の魔力で覆われていた。
魔力で浮いているのかと思ったが、魔力による翼で羽ばたいていたようだ。二階建ての建物よりデカい巨体で、よくやるものよ。
「カカカッ!」
「うおッ」
足場として創った氷塊の上で骨竜の生態に気をとられていると、掠れたような声と共に鞭のような尾っぽが飛んできた。暢気に観察している場合じゃなかったぜ。
斜め下からの足場ごと粉砕する尾撃を飛び上がって回避して、自身の頭上に更なる氷塊を生成。それを蹴って追撃の土魔法を躱しつつ落下し、休息所から移動していたアシエラの下へ降下する。
「ほッ。ただいま戻りましたっと」
「……ロウ君の戦い方は、色々とおかしい。対空攻撃をするのかと思ったら、まさか足場を創って空へ跳ぶなんて」
「空中戦をする機会が何度かありまして、その時に覚えた戦い方ですね。案外やれば出来るもんですよ」
赤き砂を吹き飛ばしながら着地して、呆れる彼女に応じる。
セルケトと戦った時は高所からの眺めに怖れを抱いたものだが、いつの間にか慣れてしまった。人の順応とは恐ろしいものである。
「「っッ!」」
そうやって話をしている内に頭上より大きな魔力の集束、直後にドラゴンダイビング!
灰色の隕石と化した骨竜が砂丘を丸ごと吹き飛ばし──大地を揺るがしながら茶色い地面を露出させた。
ウィルムといいこの骨竜といい、竜は上空から突撃するのが好きなのだろうか?
横っ飛びで回避した先で、吹き飛ばされてくる土砂を水魔法によって防いでいると、同じように回避していたアシエラが骨竜に斬りかかっている姿が目に入る。
「ふうぅっ!」「カッ!」
剣と骨がぶつかり合い、乾いた衝突音が夜の砂漠に木霊する。
巨体の周りを疾走し、手当たり次第に骨の体を切り刻んでいく黒い影。
灰色の魔力を解放して翼や尻尾を振り回し、まとわりつく羽虫を払うように暴れる骨竜。
前肢が深く大地に突き刺さる体勢を崩した状態ながら、骨竜は器用に翼を動かすことでアシエラの斬撃に応じている。
魔力で強化された剣と真っ向から切り結ぶ骨の体、アンデッドとはいえ亜竜は伊達ではないらしい。いやむしろ、四枚もの翼や奇怪な軌道を描く尻尾の連撃は、彼女の斬撃を上回る勢いで繰り出されていた。
「──!」
しかしながら、対するアシエラも単独で亜竜を退けた経験があるほどの猛者である。
ただの斬撃では守りを抜けぬと見るや、即座に魔術主体に切り替え火球を連射。更には長剣に炎を纏わせ一気呵成、否、一気火勢に攻め立てる。
「カッ!?」
火球を土魔法で迎撃し熱剣を翼で防いだ骨竜だったが──遅延魔術で生み出された圧倒的物量は相殺しきれず、たまらず逃げの一手を打った。肉や鱗を持たぬアンデッドでは、直接骨身を焼く炎は堪えたらしい。
「──!?」
そうして上空へと退避した相手の死角から、我が黒刀の居合を一閃。
火球の弾幕が張られた段階で密かに上空へと移動していたことが功を奏し、無防備な首筋に魔力によって延長された刃が食い込み、頭部をすっぱり切り離す。
「とどめっ!」
頭部を失いぐらつく骨竜の胸骨を、アシエラが燃え盛る長剣で切り開く。彼女が心臓部の骨に埋まっていた魔石を抜き取ると、魔力の失われた骨の体はがらりと崩れ落ちた。
核となる魔石を破壊するか抜き取るかすればアンデッドは行動不能となると言うが、実際に目にしたのは初めてだ。糸が切れた操り人形と形容するに相応しいその散り様は、彼らに命が有るのか無いのか分からなくなる光景である。
ばらばらと砂丘に突き刺さる骨と一緒に地面に降りると、アシエラもやってきた。外傷一切なしの無傷、流石である。
「お見事です」
「ありがとう。というか、ロウ君の一撃で魔石を狙っていたら、それで決まってたと思うけど」
「普通の魔物とやるときの癖で、ついつい首を狙っちゃうんですよね。綺麗な状態の魔石が手に入ったわけですし、結果オーライってやつです」
「本当、調子いいんだから……っと、流石にあの騒ぎだと皆起きちゃったみたいだね」
戦いを振り返っていると、騒ぎを聞きつけたらしい就寝組が、寝間着の上に武装という何とも言えない姿で駆けつけてきた。
「おお、亜竜のアンデッドかい!? 大きな戦闘音だったから、強力な相手だとは思っていたが」
「アシエラさんの持っている魔石が、このアンデッドのものですか? ……相当な純度で、しかも大きいですね、これは。かなり手強い相手だったのでは?」
「私一人なら時間が掛かったかもしれませんが、ロウ君もいましたからね。消耗せずに済みました」
亜竜のアンデッドを短時間で打倒したことに、感心しきりといった様子の研究者組。
一方、人外組は戦闘がすぐに終わってしまったことに不服そうだ。
「あ~もう終わっちゃったんだ。ロウ君の戦いぶり、見たかったなー」
「だから言ったであろう、アムール。武装なんぞ置いていかねば、亜竜などたちまち事切れてしまうとな」
「変なこと吹き込むなって。アムールさん、真に受けなくていいですからね? 俺の戦う機会なんて、これから先にもあると思いますし」
革の防具を着けている他の面々と異なり、セルケトは可愛らしい刺繍のついた寝間着姿に赤黒い大槍という、着の身着のままな格好である。意外と似合っていて可愛いけど、軽装すぎんだろ。
こいつの場合人外たる頑強さを持つ故だろうが、それを他者にまで適応するのはどうかと思う。一応、俺なら亜竜なんぞに後れを取らない、という考えがあってのことだろうけども。
そんなこんなで説明完了。
亜竜の後肢の骨、俺の身長ほどもある大腿骨や、刀剣のような牙が残る頭蓋骨を報酬として貰い受けた。異空間のインテリアに良さそうだ。無事に帰れたら飾ってみよう。
ちなみに、この場にいないウィルムは、ことの始まりから終わりまで寝たままだった。流石は竜である。
この城門からヴリトラ大砂漠の中心地を目指すことになる。この方角は砂漠ばかりらしいので、西や東にある城門に比べ人通りも疎らだ。
砂色の城壁には至る所にアンデッド対策がなされており、暁の神シャヘルの祝福が施された、聖別済みの石材が埋め込まれているのだという。
「──ふん、シャヘルか。アレも口煩い奴だったな。このような辺鄙な場所でまで人族の信仰を集めているとは、術策を好むあやつらしい」
開門までの時間つぶしにと披露する、ヤームルの生き字引の如き知識に聞き入っていると──同じようにしてご高説を賜っていたウィルムが、小声で呟く。
「へぇ。ウィルムって竜以外にも色々と知り合いがいるよな。顔が広いというか」
「妾は他の出不精の同族連中と違い、世界を見て回るのが好きだったからな。そのおかげで昔はよく神や魔神に絡まれたものだ」
「……そんなこと言いつつ、お前から絡んでたんじゃねえの?」
ボソボソと話し合っている内に鐘が鳴り響き、落とし格子がずりずり上がりだす。
大人数人分の重さのバックパックを背負いなおし、準備は万端。
これより先の過酷な旅。俺たちの冒険はここからだ! ってね。
◇◆◇◆
日輪は真上、氷の簡易住居の中での昼食を終えた休憩時間。
我が眼前には黒い石柱、辺りを見回せばひび割れが目立つ砂色の大地。
柱というより塔のような規模の石柱は、目印として高台や砂丘に深々と突き立てられ、乾いた気候故に遠方からも視認できるのだという。
大砂漠と言ってもその全土が砂丘となっているわけではなく、石や土、それに植物もある砂漠地帯が多いようだ。
一面砂ッ! 一望千里が砂丘ッ! という風景は、中心付近にしか無いらしい。
今休憩しているここら一帯もそういった具合である。
赤く焼けたような砂丘に挟まれる形で砂色の大地が広がり、そこには枯れたような草が疎らに生え、割れそうなほどに乾いた葉の無い木が幾つか根を張る。大人の背丈の倍はあろうかというその木は黒く、生きているのか死んでいるのか定かではない。
砂漠というよりは、からっからに乾いた荒野という雰囲気だ。
「皆さん、体力ありますね……流石です」
蒼穹より降り注ぐ日差しに、大地より発散される熱砂の熱量。それらにまいり胸元をパタパタと扇ぐのは、美しき研究者ヘレナである。
彼女は、というか全員が日差しを遮るためローブを纏っているが、その状態では発汗により蒸し風呂のような状態になる。秋口とはいえまだまだ暑い時期だけに、彼女はまいっているようだ。
「はいはい、冷風ですよー」
「ああ~、気持ちいい……。ありがとう、ロウ君」
「あ、ヘレナさんずるい! ロウさん、私にも風を下さいよ」「私も歳のせいか汗が止まらなくてね。こちらにもくれないかい?」
「皆さん意外と遠慮ないっすね」
魔法で新たな氷の小屋を建て、更に冷風を創り出し快適空間を創出していると、ワラワラと一般人組が集まり出した。
対照的に、人外組は数時間の悪路長距離走でも余裕綽々である。
「貧弱な奴らだな。初日の昼からこれで、果たして調査までもつのか?」
「ウィルムさん、辛口ですね~。でも確かに、この分だと魔物と遭遇した時は、戦闘に参加してもらわない方がいいかもですね。私たちだけでも十分な戦力ですし」
「そうだね。私たちは荷物が少ないし余裕があるけど……セルケトさんは、大丈夫ですか?」
「案ずるな。この荷物程度であれば、凝りにもならんぞ」
スーパー人外ことウィルムセルケトペアは当然として、吸血鬼姉妹にも疲労の色は見られない。ヴァンパイアと言えば日差しや熱に弱いものと思っていたが、彼女たちは砂漠の環境にあってもまるで堪えていないようだ。
現在、早朝から昼の現在に至るまで砂漠を駆け回ってきたが、魔物の類には一切遭遇していない。
会ったのは可愛らしい砂色の爬虫類や街中でいつも見かける砂色の蠍、黒曜石のような外殻の体長数十センチメートルもある大蠍。砂漠と同色の平たい蛇に、目を持たない鼠ともモグラともつかないふわふわとした哺乳類くらいである。
砂漠といえば死の大地という印象を持っていたが、意外や意外。たくさんの生き物が生活している。
異世界特有なのか、それとも地球でもそうだったのか。砂漠への興味など皆無だった俺には判断がつかない。今となっては、知ろうとしなかったことが勿体なく思えてしまう。
そんなヴリトラ大砂漠ではあれど、捕食動物の姿は見られなかった。
夜間になればアンデッドが出現するらしいが……。それらが捕食動物の代わりとなっているのだろうか?
そうやって砂漠について考察したり、服や靴の中に入った砂を出したり。
セルケトが黒い石柱によじ登り景色を一望している姿や、ウィルムが捕まえたトカゲを生のまま食らっている様を眺めたり。
あっという間に時間は過ぎ去り、再度出発となる。
巨大な荷物を背負うのは俺とセルケト、それにアシエラ姉妹である。依頼主メンバーとウィルムは手ぶらである。と言っても、武装だけでそれなりの重量とはなるが。
ウィルムに関しては荷物を持たせようとした際、「何故妾が人族の荷物を持たねばならんのだ? 貴様が持てばよかろうが」などと言い放ったため、手ぶら放置とすることになった。
代わりに魔物が出た時には率先して動いてもらう、という寸法である。
そんな考えの下、日が沈むまで身体強化によってずんずんと進んでいったが……魔物との遭遇はやはりなかった。
北部中心付近でなくとも、この砂漠地帯にはアンデッドくらいしか魔物がいないのかもしれない。
夕飯の鍋に浮かんだ干し肉をつつきながら、砂漠の生態系について考える夜だった。
◇◆◇◆
星空の美しい真夜中。
湿度が極めて低い影響か、視界は頗る明瞭。見つめ続けても飽きることの無い世界が、満天に広がる。
ロマンチックにお送りする私ロウは、現在見張り番である。
昼間とはうってかわって肌寒い、秋を通り越して冬が近いとさえ思える空気を感じながら、周囲を警戒している真っ最中なのだ。
「先ほどの動き、とても興味深いものだったよ。他で見たことの無い独特なものに見えたけど、君独自のものなの?」
隣で一緒に周囲を警戒しているのは、色気溢れるミステリアスな黒髪美女(吸血鬼)ことアシエラ。彼女は俺が先ほどまで行っていた鍛錬、大陸拳法の套路が気になるようだ。
「古くからの由来あるものですよ。俺は特別な武術の才があるわけでもなければ、新たな枠組みを作るだけの、長い時間を生きているわけでもありませんからね。我流なんて、とてもとても」
「君に、才能がない? 皮肉としか思えないけど」
「身体能力の高さで誤魔化してますけど、いわゆる武術的なセンスはてんでダメなんですよ。この技術を習っている時に同門の親友とよく実戦形式の稽古をしたんですが、全く勝てませんでしたから」
「……それ、本当に人族? 君が歯が立たないって、想像すら出来ない」
前世での親友を思い浮かべながら懐かしい思い出を語ると、彼女は驚愕しきりといった面持ちとなった。
吸血鬼たる彼女をコテンパンにした俺である。その俺すら足元に及ばないという存在など、人外としか思えないだろう。
「まあ昔の話ですし、俺も旅をし始めてから武術への理解が深まりましたし、今どのくらいの差なのかは分からないです、はい」
親友の人外疑惑を払拭すべく、ほんのりとフォローを入れておく。かつて本当に人間か疑っていたこともあるので、あくまでほんのりとだが。
「昔の話、か。あはは、十歳のロウ君にも歴史あり、なんだね」
そうやってフォローすると、アシエラからは生温かい表情で微笑まれてしまった。
言ってから気が付いたけど、俺十歳じゃん。昔っていつだよ! ってなるわな。
「いや、昔と言っても──!」
口元に手を当てて笑う彼女に弁解しようとした時──魔力感知に反応あり。
位置は上空、色は灰色。
目を凝らせば、遠方に星明りに照らされた奇怪な姿が浮かんでいた。
「!」
二対の翼と長大な尾、巨大な頭部に逞しい四肢。それら全てが、肉を一切持たない骨。
それはありていに言って、天翔ける竜の骨である。シュールすぎる……。
「うん? どうかした……っ!? あれは、アンデッド!?」
「みたいですね。あ、今、目? が合ったっぽいです。こっちに向かってきますね」
俺が一点を見つめていたことで亜竜(骨)の存在に気が付いたアシエラに応じていると、向こうはこちらを獲物と定めたのか、速度を上げ距離を詰めだした。
「ワイバーン……ではない? ロウ君、気を付けて。あれは多分、アンデッド化してから長い時間を経て、成長している個体だよ」
「了解です。このまま戦うとなると場所が不味いですし、ちょっと気を引いてきますね」
「あっ、ちょっとロウ君!?」
提案というよりは独断専行といった具合に背後からの声を聞き流し、魔力を練りながら疾走開始。
緩やかに降下を始めた骨竜はちらりとこちらを見たが、取るに足らないとでも考えたのか俺を無視することにしたようだ。
「──フッ、愚か者め」
その判断──後悔させてやろう!
練り上げた魔力で宙に浮かぶ氷塊を創り出し、それを足場に連続跳躍。
瞬く間に骨竜の飛ぶ高所へと上り詰める!
「──ッ!?」
「どっせーいッ!」
眼球の無い顔面で器用に驚愕の表情を作る骨竜の背を、両足揃えたドロップキックで蹴り飛ばす。
さしものアンデッドも、飛ぶ鳥を落とす勢いで駆け上がる俺の姿には動揺したようだ。
だがしかし。
空中という大して踏み込めない状況下だからか、あるいは単に骨が堅固だったのか。直撃し体勢を大きく崩しはしたものの、未だかの竜は健在である。
「ん……」
近くに来て観察すれば、左右非対称の骨翼は灰の魔力で覆われていた。
魔力で浮いているのかと思ったが、魔力による翼で羽ばたいていたようだ。二階建ての建物よりデカい巨体で、よくやるものよ。
「カカカッ!」
「うおッ」
足場として創った氷塊の上で骨竜の生態に気をとられていると、掠れたような声と共に鞭のような尾っぽが飛んできた。暢気に観察している場合じゃなかったぜ。
斜め下からの足場ごと粉砕する尾撃を飛び上がって回避して、自身の頭上に更なる氷塊を生成。それを蹴って追撃の土魔法を躱しつつ落下し、休息所から移動していたアシエラの下へ降下する。
「ほッ。ただいま戻りましたっと」
「……ロウ君の戦い方は、色々とおかしい。対空攻撃をするのかと思ったら、まさか足場を創って空へ跳ぶなんて」
「空中戦をする機会が何度かありまして、その時に覚えた戦い方ですね。案外やれば出来るもんですよ」
赤き砂を吹き飛ばしながら着地して、呆れる彼女に応じる。
セルケトと戦った時は高所からの眺めに怖れを抱いたものだが、いつの間にか慣れてしまった。人の順応とは恐ろしいものである。
「「っッ!」」
そうやって話をしている内に頭上より大きな魔力の集束、直後にドラゴンダイビング!
灰色の隕石と化した骨竜が砂丘を丸ごと吹き飛ばし──大地を揺るがしながら茶色い地面を露出させた。
ウィルムといいこの骨竜といい、竜は上空から突撃するのが好きなのだろうか?
横っ飛びで回避した先で、吹き飛ばされてくる土砂を水魔法によって防いでいると、同じように回避していたアシエラが骨竜に斬りかかっている姿が目に入る。
「ふうぅっ!」「カッ!」
剣と骨がぶつかり合い、乾いた衝突音が夜の砂漠に木霊する。
巨体の周りを疾走し、手当たり次第に骨の体を切り刻んでいく黒い影。
灰色の魔力を解放して翼や尻尾を振り回し、まとわりつく羽虫を払うように暴れる骨竜。
前肢が深く大地に突き刺さる体勢を崩した状態ながら、骨竜は器用に翼を動かすことでアシエラの斬撃に応じている。
魔力で強化された剣と真っ向から切り結ぶ骨の体、アンデッドとはいえ亜竜は伊達ではないらしい。いやむしろ、四枚もの翼や奇怪な軌道を描く尻尾の連撃は、彼女の斬撃を上回る勢いで繰り出されていた。
「──!」
しかしながら、対するアシエラも単独で亜竜を退けた経験があるほどの猛者である。
ただの斬撃では守りを抜けぬと見るや、即座に魔術主体に切り替え火球を連射。更には長剣に炎を纏わせ一気呵成、否、一気火勢に攻め立てる。
「カッ!?」
火球を土魔法で迎撃し熱剣を翼で防いだ骨竜だったが──遅延魔術で生み出された圧倒的物量は相殺しきれず、たまらず逃げの一手を打った。肉や鱗を持たぬアンデッドでは、直接骨身を焼く炎は堪えたらしい。
「──!?」
そうして上空へと退避した相手の死角から、我が黒刀の居合を一閃。
火球の弾幕が張られた段階で密かに上空へと移動していたことが功を奏し、無防備な首筋に魔力によって延長された刃が食い込み、頭部をすっぱり切り離す。
「とどめっ!」
頭部を失いぐらつく骨竜の胸骨を、アシエラが燃え盛る長剣で切り開く。彼女が心臓部の骨に埋まっていた魔石を抜き取ると、魔力の失われた骨の体はがらりと崩れ落ちた。
核となる魔石を破壊するか抜き取るかすればアンデッドは行動不能となると言うが、実際に目にしたのは初めてだ。糸が切れた操り人形と形容するに相応しいその散り様は、彼らに命が有るのか無いのか分からなくなる光景である。
ばらばらと砂丘に突き刺さる骨と一緒に地面に降りると、アシエラもやってきた。外傷一切なしの無傷、流石である。
「お見事です」
「ありがとう。というか、ロウ君の一撃で魔石を狙っていたら、それで決まってたと思うけど」
「普通の魔物とやるときの癖で、ついつい首を狙っちゃうんですよね。綺麗な状態の魔石が手に入ったわけですし、結果オーライってやつです」
「本当、調子いいんだから……っと、流石にあの騒ぎだと皆起きちゃったみたいだね」
戦いを振り返っていると、騒ぎを聞きつけたらしい就寝組が、寝間着の上に武装という何とも言えない姿で駆けつけてきた。
「おお、亜竜のアンデッドかい!? 大きな戦闘音だったから、強力な相手だとは思っていたが」
「アシエラさんの持っている魔石が、このアンデッドのものですか? ……相当な純度で、しかも大きいですね、これは。かなり手強い相手だったのでは?」
「私一人なら時間が掛かったかもしれませんが、ロウ君もいましたからね。消耗せずに済みました」
亜竜のアンデッドを短時間で打倒したことに、感心しきりといった様子の研究者組。
一方、人外組は戦闘がすぐに終わってしまったことに不服そうだ。
「あ~もう終わっちゃったんだ。ロウ君の戦いぶり、見たかったなー」
「だから言ったであろう、アムール。武装なんぞ置いていかねば、亜竜などたちまち事切れてしまうとな」
「変なこと吹き込むなって。アムールさん、真に受けなくていいですからね? 俺の戦う機会なんて、これから先にもあると思いますし」
革の防具を着けている他の面々と異なり、セルケトは可愛らしい刺繍のついた寝間着姿に赤黒い大槍という、着の身着のままな格好である。意外と似合っていて可愛いけど、軽装すぎんだろ。
こいつの場合人外たる頑強さを持つ故だろうが、それを他者にまで適応するのはどうかと思う。一応、俺なら亜竜なんぞに後れを取らない、という考えがあってのことだろうけども。
そんなこんなで説明完了。
亜竜の後肢の骨、俺の身長ほどもある大腿骨や、刀剣のような牙が残る頭蓋骨を報酬として貰い受けた。異空間のインテリアに良さそうだ。無事に帰れたら飾ってみよう。
ちなみに、この場にいないウィルムは、ことの始まりから終わりまで寝たままだった。流石は竜である。
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