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第五章 ヴリトラ大砂漠
5-23 二度目の露呈
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ヤームル危機一髪──。
突如として発生した塵旋風を頼りに、現場へ転移で急行すれば──今にもアンデッドから止めを刺されそうな、絶体絶命状態にある少女の姿。
「!」
アンデッドの攻撃が届く寸前に空間魔法を構築。こちらが移動するのではなく少女を上空に移動させることで、差し迫った窮地を回避する。
本当は割って入って受け止めたかったが……こっちに引き寄せた方がどう考えたって安全だし、致し方なしである。
「──……」
目を閉じ身を固め小刻みに震える少女の目が開く前に、アンデッドに襲われそうになっている他の面々もそそくさ回収。あっという間に上空で創り出していた岩の足場が、怪我人たちですし詰め状態となった。
(ギリギリでしたね、ロウ。やはり私の憑依を温存しておいたのは正解だったのです)
半霊状態から黒刀形態へと姿を戻すギルタブに頷きを返す。あと数秒でも到着が遅れていたら、目の前で震えている少女は粉々となっていただろう。
「……? えっ!? ロウ君!?」
そうこうしている内に少女の目が開かれた。
当たり前だが状況がつかめないようで、彼女は大きく動揺している。どう誤魔化したものか。
「どうもどうも、ヤームルさん。あんまり動かないでくださいね、ここは狭いので。俺は下の掃除をしてくるので、ちょっとだけ待っててください」
「は? ちょっと、どういうこと!? あっ、待って、待ちなさいってば!」
事情説明を求め捲し立てようとするヤームルをガン無視して、高さ三百メートルほどの足場より身を投げる。誤魔化すより放置した方が良いのではないか、という判断の下の行動であった。
(恐ろしいほどに身勝手だよな、お前さん。いつだったかセルケトが「神も竜も魔神も全て奔放だ」と呆れていたが、正にその通りだと実感しているぞ)
そんなこと言われたって、ねえ? 助けた方法が方法だし、ヴリトラの件で色々聞かれそうだし……。
「はぁ。本当どうしたもんかなあ」
溜息交じりにアンデッドひしめく地上へ着地。
こちらを待ち構えていた彼らに対し、練り上げていた魔力を渦巻く吹雪に変えて解き放つ!
「くらえッ! 八つ当たり吹雪!」
「「「!?」」」
考えなしの適当ネーミングな魔法は猛烈なる烈風となり、周囲に拡散。魔獣のようなアンデッドを削り壊し、巨人と思わしき骨の上半身を塵へと変え、亜竜らしき存在を凍結させ、打ち砕く。
「……って、威力やべえな!?」
いつものノリで魔法を撃ったら、大魔法になってしまったでござる。相手の前衛を押し返すだけのつもりが、半分以上消し飛んでしまったのだ。
「まあいいや。『霜の悪魔』でさようならー」
とはいえ、威力が高い分には問題ないかと思考を押しやり、蹂躙再開。
渦巻く吹雪を再生成すること四回。余波で凍り付いている者たち、そしていきなり放たれた大魔法に動じている者たちへ、氷風第二波を叩きつけていく。
四方を貫くは極冷状態で横倒しな竜巻。それを風車のように回せば、範囲内全てを舐めとるような全方位攻撃となる。
初撃で砂漠は氷河へと変わっているし、アンデッドたちも魔神謹製の氷はおいそれと手が出せないだろう。攻撃兼防御、完璧である。寒いけども。
(随分な大魔法だが……魔力量は大丈夫なのか? ヴリトラと戦って相当消耗したんだろ?)
「確かにあれからあまり回復してないけど、まだ二割くらいは残ってるっぽいし平気かな。降魔を覚えてから魔力量が滅茶苦茶増えたのと、あと魔力の質もかなり変わったのとで、普通の魔法のつもりでも大魔法級になっちゃうんだよね」
(……それはまた、随分と“やらかし”そうな状態ですね)
「ぐはッ。いや本当、意識して加減しないと大変なことになりそうだわ。向こうで溶岩を叩きつけた時は気が昂ってて分からなかったけど、ここで試せたのは僥倖だったよ」
曲刀たちと雑談を交わしつつ回転終了、お掃除完了。
俺を中心に、宿場町がすっぽり入りそうな規模の大氷河が完成した。予想以上に大魔法ですわ。
「やっちまったもんは仕方がないな。サクッとヤームルたちのところへ戻ろう」
((……))
嘆息が聞こえてきそうな念話を受信しつつ、空中に浮かべた氷の足場を蹴って怪我人たちの足場へ飛び移る。
先ほどと変わらず起きているのはヤームルだけ。しかし彼女はとても不機嫌そうにむくれている。
「ロウ君? どういうことなのか、一切合切説明してくれますよね? というか、今の精霊魔法はなんなんですか! 儀式魔術なんて目じゃない、出鱈目な規模じゃないですか!」
「さっきのアレはアレですよ。ほら、危機的状況になると己の潜在能力が何とかかんとか──」
〈──おざなりな誤魔化し方だな、全く。既に感づかれているのなら正直に話してみればよいものを〉
目の端を吊り上げて詰め寄る少女に適当な言葉を投げていると、頭上に魔力の揺らぎあり。
夕闇に銀光が貫き、白布を巻きつけた衣服を纏う美女が顕れた。
角度的に大腿部の深奥が見えそうなこの美女は、言うまでもなく知恵の女神ミネルヴァである。
「っ!?」
「やっぱり感づかれてるんですかね……ってミネルヴァ、普通に人前に顕れていいんですか?」
〈我は人族たちの信仰によって力を得ている故に、姿を顕すことで生じる不都合などさほどない。尤も、頻繁に顕れてしまうと、神聖味が損なわれてしまうがね〉
「ははあ。女神も大変なんですねえ」
「……女神? 女神って、どういうことなんですかっ!?」
ミネルヴァの出現によって誤魔化すことが難しくなったため、ヤームルを差し置いて人外トークに興じる。なるようになれだコノヤロー。
(面倒臭くなったんだな)(実にロウらしいのです)
……曲刀たちから本音を見透かされようとも強行である。
「そういえば、砂の処理は問題ありませんでしたか? 途中でほっぽってきちゃいましたけど」
〈汝の空間変質魔法のおかげで、琥珀竜の魔力は取り去ることが出来たが……ふっ、あの“漆黒”には、エンリルやイルマタルも驚いていたぞ?〉
「あのヴリトラのブレスすらも軽減できましたからね。砂くらいどうってことないってやつですよ。それはともかく、用件済んじゃいましたし帰っていいですかね?」
「ちょっとロウ君! この方、どういった人なんですか!?」
少しくらい説明をしろと胸ぐらを掴み揺すってくる少女を、全力で無視して伺いを立てると同時。
新たに輝く銀の魔力を持った存在が二柱顕れた。
神々の揃い踏みである。どうやって説明しろ言うねん。
〈──魔神を詰り締め上げる人間族か。何とも奇なる状況よ〉
〈人として生まれ育ったロウは、交友関係を大切にする性分のようですからね。絶大な力を内包する魔神としては、甚だ奇妙な行動ですが〉
〈我が眷属と友誼を結ぶほどの変わり者故に、我としてはこの状況にも違和感は覚えぬがね〉
「好き勝手言い過ぎでしょ……」
「えっ、なっ……何なの?」
空間魔法で顕れた神たちを見て、俺の胸倉を掴んだまま目を白黒させるヤームル。空間魔法なんて前世でも今世でも見たこと無いだろうし、当然といえば当然な反応か。
硬直する少女の長いまつ毛や瑞々しい唇を眺めていると、禿頭系褐色大男こと暴風神エンリルが口を開く。
〈ロウよ、うぬの空間変質魔法のおかげでヴリトラの砂は無力化できた。大儀であったぞ〉
「いえいえ。“渇き”を帯びた砂が残り続けるなんて悪夢みたいな状況ですし。当然協力しますよ」
〈協力するどころか放置して遁走しようとした身でありながら、よく言うものだ。呆れて物も言えん〉
〈この子は中々に太い性格をしていますからね。まともにやり合うだけ無駄ですよ、ミネルヴァ〉
「イル、横暴の化身たる貴女にだけは言われたくないんですが?」
〈あら! 酷いことを言うのね〉
こちらの指摘に対し目を瞑り片頬を膨らませて不満げな表情を作る、銀髪ショートヘアなスーパー美少女だが……その性根は腐りきっている。
淀み切った泥水の中で咲く、穢れなく美しい“ように見える”ハスの花みたいな女神であり、清らかな外見に騙されては酷い目に遭ってしまうのだ。
〈クッ、クハハッ。横暴の化身とは、これの本質を表す良き呼び名だ。今後は我も使わせてもらおう〉
〈何を笑っているんですかエンリル? 塵にしますよ〉
〈フフッ、やってみるがいい、横暴の化身よ〉
暴風神が挑発すると妖精神の身より白銀の嵐が吹き荒れ、それを合図に二柱の神の姿が消え去り──寸秒後、遥か彼方で爆煙が立ち上る。
数十秒後に聞こえた爆音は、遠方でありながら腹の底に響くような震動であった。
「……あいつら、馬鹿なんじゃねえの」
〈あの馬鹿どもは放っておくとしよう。ロウよ、帰っていいぞ。我も帰る〉
「あ、はい。お疲れ様です、ミネルヴァ」
付き合いきれないと嘆息した知恵の女神は銀なる光と共に空間魔法を発動し、立ち去った。荒ぶる同胞たちは放置することに決めたようだ。
図らずも帰宅許可が得られたし、俺も帰るとするか──。
「で? ロウ君、どういうことなんですか?」
──そうは問屋が卸さなかった。
笑顔が怖いヤームルによって、我が肩はガッチリとホールドされた。逃がしはしないという固い意志によって、逃走の芽は摘まれてしまったのである。
(そりゃそうだろ)(当然の成り行きなのです)
曲刀たちの的確な突っ込みをもらいつつ、俺は断続的に響く轟音を環境音として、彼女に琥珀竜のブレスから始まる一連の流れを話していくのだった。
◇◆◇◆
話を始めてから三十分と少々。
俺が魔神であることやウィルムが竜であることを含め、事のあらましを説明し終えた。
何故正体のことについても触れたかといえば、説明を始める前にヤームルから、神たちの言葉や琥珀竜の念話のことを問い詰められたからだ。
要するに誤魔化しようのないくらいにバレていたのである。
「──概ね理解しました。ロウ君の非常識さにも納得がいきましたよ……。あ、遅くなったけど、さっきは助けてくれてありがとう」
「ご無事でなによりです。俺に関しては転生したら魔神だった件、って感じですからねえ。最初の内は、自分のことを魔族だと思ってたんですけど」
幸いにして、彼女から理解は得ることができた。
予め地球からの転生者ということを話していたため、人類の天敵たる魔神という事実にも大きな抵抗が無かったようだ。
転生者バレした時はどうなることかと思ったが、人間万事塞翁が馬である。魔神だけども。
「でもロウ君、教授やアシエラさんたちにはどう説明するんですか? 私はまあ、同じような境遇ってこともあって、貴方の本質が悪ではないと判断できますが……。世間一般の人々にとって、魔神は不倶戴天の敵ですよ?」
「そこなんですよねー。まあミネルヴァやイルにお願いして顕れてもらえば、何とかなるんじゃないですかね? ほら、ミネルヴァなんて知恵の女神ですし、あの女神から無害証明をもらえたら大丈夫そうです。魔導国の市民なら、知恵の女神への信仰も篤そうですし」
「なんて他人任せな……いえ、他神任せ、ですか。でも確かに、知恵の女神のお墨付きがもらえるのなら、あるいは受け入れられるかもしれませんけど」
パッと思いついた案を提示してみれば、唸られながらも同意が得られた。
中島太郎流処世術之四・他力本願は、相手が女神であっても通用するようだ。困った時の神頼みってね。
「……女神をそんな気やすく頼るなんて、ロウ君ってば本当に魔神なんだね」
「「!?」」
そうやってヤームルと皆が起きた時の対策を練っていると、むくりと起き上がる黒髪の美女。
「まあでも、色々納得かなー私は。やっぱりーって感じかも?」
呆れたように零す美女に続き、上体を起こす黒髪の美少女。吸血鬼ことアシエラ姉妹であった。狸寝入りかよ。
「しかし、知恵の女神か……。先ほどは寝たふりをしていたが、起きて拝謁賜っておくべきだったかな?」
「お目通り適うならば私もしておきたかったですが、拝謁するにも格好が恰好ですし、やはり機会を待つべきでしょう」
「「!?」」
更に更に、身体を起こす大学教授と助手である。
君たち全員起きとったんかーい。
「……まあアレですよ。起きていたのなら改めて言う言葉なんて不要ですよね? 説明が省けて良かったです、はい」
「流石ロウ君、マイペースだね」「魔神だもんねー」「実にそれらしい」「変に気をもんでいたのが馬鹿みたいです」
周囲を見回して確認をとれば、罵詈雑言が返ってきた。解せぬ。
「まあ、ロウ君のことは確信に近い形で分かってたけど。ヤームルちゃんもロウ君と同じ境遇っていうのは、どういう意味だったのかな~?」
一人状況に憤っていると、口元をギリシャ文字の小文字みたいな形にして笑みを刻むアムールが、矛先を変えたようにヤームルへと語り掛ける。
そういえば、俺もヤームルに説明する中で転生って口にしちゃったけど、大丈夫だろうか? 魔神バレした今、隠すもんでもないと言えばそうだけども。
「うっ。それは単に年が近いというか、大した意味じゃなかったというか……」
「そうかな~? 何だか、二人だけに通じる符丁みたいなものがあったように見えたけどー? むふふふ」
「こらアムール、妙な勘繰りは駄目だよ。すみませんでした、ヤームルさん」「むぎゅっ」
「いえいえ、大丈夫ですよ。誤解を招くような言い方をしたのは私ですから」
日頃の行いの差なのか、彼女への疑惑追及はすんなりと終わってしまう。同じ転生者だというのに、悲しいほどの格差社会だ。
理不尽な現実に打ちひしがれていると、何かに気付いたようにハッとしたアシエラがこちらに話しかけてきた。
「というかロウ君、ウィルムさんやセルケトさんはどうしたの? ウィルムさんは竜だって言うし、琥珀竜と一緒について行っちゃったの?」
「ウィルムが竜ってのもバレてたんですね……。あいつらは琥珀竜に手酷くやられちゃって、今は療養中です」
「竜に手酷くやられたって、それ本当に大丈夫なの? しかも療養中ってどこなの?」
「まさか魔神や魔族の領域と呼ばれる、魔界かい? もしそうなら一目見て見たい気もするが、生きて出られる気がしないね」
「魔界……療養するにも、全く適していないような字面ですね。大丈夫なんでしょうか」
こちらが一つ答える間に周囲からの質問が鼠算式の如く増えていく。何だかんだでこの人たち、魔神に興味津々な様子だ。
どうせ身バレしたのだからと異空間の存在を明かすことに決めた俺は、夜の砂漠より安全だと唆し、彼女たちを異空間へいざなうのだった。
突如として発生した塵旋風を頼りに、現場へ転移で急行すれば──今にもアンデッドから止めを刺されそうな、絶体絶命状態にある少女の姿。
「!」
アンデッドの攻撃が届く寸前に空間魔法を構築。こちらが移動するのではなく少女を上空に移動させることで、差し迫った窮地を回避する。
本当は割って入って受け止めたかったが……こっちに引き寄せた方がどう考えたって安全だし、致し方なしである。
「──……」
目を閉じ身を固め小刻みに震える少女の目が開く前に、アンデッドに襲われそうになっている他の面々もそそくさ回収。あっという間に上空で創り出していた岩の足場が、怪我人たちですし詰め状態となった。
(ギリギリでしたね、ロウ。やはり私の憑依を温存しておいたのは正解だったのです)
半霊状態から黒刀形態へと姿を戻すギルタブに頷きを返す。あと数秒でも到着が遅れていたら、目の前で震えている少女は粉々となっていただろう。
「……? えっ!? ロウ君!?」
そうこうしている内に少女の目が開かれた。
当たり前だが状況がつかめないようで、彼女は大きく動揺している。どう誤魔化したものか。
「どうもどうも、ヤームルさん。あんまり動かないでくださいね、ここは狭いので。俺は下の掃除をしてくるので、ちょっとだけ待っててください」
「は? ちょっと、どういうこと!? あっ、待って、待ちなさいってば!」
事情説明を求め捲し立てようとするヤームルをガン無視して、高さ三百メートルほどの足場より身を投げる。誤魔化すより放置した方が良いのではないか、という判断の下の行動であった。
(恐ろしいほどに身勝手だよな、お前さん。いつだったかセルケトが「神も竜も魔神も全て奔放だ」と呆れていたが、正にその通りだと実感しているぞ)
そんなこと言われたって、ねえ? 助けた方法が方法だし、ヴリトラの件で色々聞かれそうだし……。
「はぁ。本当どうしたもんかなあ」
溜息交じりにアンデッドひしめく地上へ着地。
こちらを待ち構えていた彼らに対し、練り上げていた魔力を渦巻く吹雪に変えて解き放つ!
「くらえッ! 八つ当たり吹雪!」
「「「!?」」」
考えなしの適当ネーミングな魔法は猛烈なる烈風となり、周囲に拡散。魔獣のようなアンデッドを削り壊し、巨人と思わしき骨の上半身を塵へと変え、亜竜らしき存在を凍結させ、打ち砕く。
「……って、威力やべえな!?」
いつものノリで魔法を撃ったら、大魔法になってしまったでござる。相手の前衛を押し返すだけのつもりが、半分以上消し飛んでしまったのだ。
「まあいいや。『霜の悪魔』でさようならー」
とはいえ、威力が高い分には問題ないかと思考を押しやり、蹂躙再開。
渦巻く吹雪を再生成すること四回。余波で凍り付いている者たち、そしていきなり放たれた大魔法に動じている者たちへ、氷風第二波を叩きつけていく。
四方を貫くは極冷状態で横倒しな竜巻。それを風車のように回せば、範囲内全てを舐めとるような全方位攻撃となる。
初撃で砂漠は氷河へと変わっているし、アンデッドたちも魔神謹製の氷はおいそれと手が出せないだろう。攻撃兼防御、完璧である。寒いけども。
(随分な大魔法だが……魔力量は大丈夫なのか? ヴリトラと戦って相当消耗したんだろ?)
「確かにあれからあまり回復してないけど、まだ二割くらいは残ってるっぽいし平気かな。降魔を覚えてから魔力量が滅茶苦茶増えたのと、あと魔力の質もかなり変わったのとで、普通の魔法のつもりでも大魔法級になっちゃうんだよね」
(……それはまた、随分と“やらかし”そうな状態ですね)
「ぐはッ。いや本当、意識して加減しないと大変なことになりそうだわ。向こうで溶岩を叩きつけた時は気が昂ってて分からなかったけど、ここで試せたのは僥倖だったよ」
曲刀たちと雑談を交わしつつ回転終了、お掃除完了。
俺を中心に、宿場町がすっぽり入りそうな規模の大氷河が完成した。予想以上に大魔法ですわ。
「やっちまったもんは仕方がないな。サクッとヤームルたちのところへ戻ろう」
((……))
嘆息が聞こえてきそうな念話を受信しつつ、空中に浮かべた氷の足場を蹴って怪我人たちの足場へ飛び移る。
先ほどと変わらず起きているのはヤームルだけ。しかし彼女はとても不機嫌そうにむくれている。
「ロウ君? どういうことなのか、一切合切説明してくれますよね? というか、今の精霊魔法はなんなんですか! 儀式魔術なんて目じゃない、出鱈目な規模じゃないですか!」
「さっきのアレはアレですよ。ほら、危機的状況になると己の潜在能力が何とかかんとか──」
〈──おざなりな誤魔化し方だな、全く。既に感づかれているのなら正直に話してみればよいものを〉
目の端を吊り上げて詰め寄る少女に適当な言葉を投げていると、頭上に魔力の揺らぎあり。
夕闇に銀光が貫き、白布を巻きつけた衣服を纏う美女が顕れた。
角度的に大腿部の深奥が見えそうなこの美女は、言うまでもなく知恵の女神ミネルヴァである。
「っ!?」
「やっぱり感づかれてるんですかね……ってミネルヴァ、普通に人前に顕れていいんですか?」
〈我は人族たちの信仰によって力を得ている故に、姿を顕すことで生じる不都合などさほどない。尤も、頻繁に顕れてしまうと、神聖味が損なわれてしまうがね〉
「ははあ。女神も大変なんですねえ」
「……女神? 女神って、どういうことなんですかっ!?」
ミネルヴァの出現によって誤魔化すことが難しくなったため、ヤームルを差し置いて人外トークに興じる。なるようになれだコノヤロー。
(面倒臭くなったんだな)(実にロウらしいのです)
……曲刀たちから本音を見透かされようとも強行である。
「そういえば、砂の処理は問題ありませんでしたか? 途中でほっぽってきちゃいましたけど」
〈汝の空間変質魔法のおかげで、琥珀竜の魔力は取り去ることが出来たが……ふっ、あの“漆黒”には、エンリルやイルマタルも驚いていたぞ?〉
「あのヴリトラのブレスすらも軽減できましたからね。砂くらいどうってことないってやつですよ。それはともかく、用件済んじゃいましたし帰っていいですかね?」
「ちょっとロウ君! この方、どういった人なんですか!?」
少しくらい説明をしろと胸ぐらを掴み揺すってくる少女を、全力で無視して伺いを立てると同時。
新たに輝く銀の魔力を持った存在が二柱顕れた。
神々の揃い踏みである。どうやって説明しろ言うねん。
〈──魔神を詰り締め上げる人間族か。何とも奇なる状況よ〉
〈人として生まれ育ったロウは、交友関係を大切にする性分のようですからね。絶大な力を内包する魔神としては、甚だ奇妙な行動ですが〉
〈我が眷属と友誼を結ぶほどの変わり者故に、我としてはこの状況にも違和感は覚えぬがね〉
「好き勝手言い過ぎでしょ……」
「えっ、なっ……何なの?」
空間魔法で顕れた神たちを見て、俺の胸倉を掴んだまま目を白黒させるヤームル。空間魔法なんて前世でも今世でも見たこと無いだろうし、当然といえば当然な反応か。
硬直する少女の長いまつ毛や瑞々しい唇を眺めていると、禿頭系褐色大男こと暴風神エンリルが口を開く。
〈ロウよ、うぬの空間変質魔法のおかげでヴリトラの砂は無力化できた。大儀であったぞ〉
「いえいえ。“渇き”を帯びた砂が残り続けるなんて悪夢みたいな状況ですし。当然協力しますよ」
〈協力するどころか放置して遁走しようとした身でありながら、よく言うものだ。呆れて物も言えん〉
〈この子は中々に太い性格をしていますからね。まともにやり合うだけ無駄ですよ、ミネルヴァ〉
「イル、横暴の化身たる貴女にだけは言われたくないんですが?」
〈あら! 酷いことを言うのね〉
こちらの指摘に対し目を瞑り片頬を膨らませて不満げな表情を作る、銀髪ショートヘアなスーパー美少女だが……その性根は腐りきっている。
淀み切った泥水の中で咲く、穢れなく美しい“ように見える”ハスの花みたいな女神であり、清らかな外見に騙されては酷い目に遭ってしまうのだ。
〈クッ、クハハッ。横暴の化身とは、これの本質を表す良き呼び名だ。今後は我も使わせてもらおう〉
〈何を笑っているんですかエンリル? 塵にしますよ〉
〈フフッ、やってみるがいい、横暴の化身よ〉
暴風神が挑発すると妖精神の身より白銀の嵐が吹き荒れ、それを合図に二柱の神の姿が消え去り──寸秒後、遥か彼方で爆煙が立ち上る。
数十秒後に聞こえた爆音は、遠方でありながら腹の底に響くような震動であった。
「……あいつら、馬鹿なんじゃねえの」
〈あの馬鹿どもは放っておくとしよう。ロウよ、帰っていいぞ。我も帰る〉
「あ、はい。お疲れ様です、ミネルヴァ」
付き合いきれないと嘆息した知恵の女神は銀なる光と共に空間魔法を発動し、立ち去った。荒ぶる同胞たちは放置することに決めたようだ。
図らずも帰宅許可が得られたし、俺も帰るとするか──。
「で? ロウ君、どういうことなんですか?」
──そうは問屋が卸さなかった。
笑顔が怖いヤームルによって、我が肩はガッチリとホールドされた。逃がしはしないという固い意志によって、逃走の芽は摘まれてしまったのである。
(そりゃそうだろ)(当然の成り行きなのです)
曲刀たちの的確な突っ込みをもらいつつ、俺は断続的に響く轟音を環境音として、彼女に琥珀竜のブレスから始まる一連の流れを話していくのだった。
◇◆◇◆
話を始めてから三十分と少々。
俺が魔神であることやウィルムが竜であることを含め、事のあらましを説明し終えた。
何故正体のことについても触れたかといえば、説明を始める前にヤームルから、神たちの言葉や琥珀竜の念話のことを問い詰められたからだ。
要するに誤魔化しようのないくらいにバレていたのである。
「──概ね理解しました。ロウ君の非常識さにも納得がいきましたよ……。あ、遅くなったけど、さっきは助けてくれてありがとう」
「ご無事でなによりです。俺に関しては転生したら魔神だった件、って感じですからねえ。最初の内は、自分のことを魔族だと思ってたんですけど」
幸いにして、彼女から理解は得ることができた。
予め地球からの転生者ということを話していたため、人類の天敵たる魔神という事実にも大きな抵抗が無かったようだ。
転生者バレした時はどうなることかと思ったが、人間万事塞翁が馬である。魔神だけども。
「でもロウ君、教授やアシエラさんたちにはどう説明するんですか? 私はまあ、同じような境遇ってこともあって、貴方の本質が悪ではないと判断できますが……。世間一般の人々にとって、魔神は不倶戴天の敵ですよ?」
「そこなんですよねー。まあミネルヴァやイルにお願いして顕れてもらえば、何とかなるんじゃないですかね? ほら、ミネルヴァなんて知恵の女神ですし、あの女神から無害証明をもらえたら大丈夫そうです。魔導国の市民なら、知恵の女神への信仰も篤そうですし」
「なんて他人任せな……いえ、他神任せ、ですか。でも確かに、知恵の女神のお墨付きがもらえるのなら、あるいは受け入れられるかもしれませんけど」
パッと思いついた案を提示してみれば、唸られながらも同意が得られた。
中島太郎流処世術之四・他力本願は、相手が女神であっても通用するようだ。困った時の神頼みってね。
「……女神をそんな気やすく頼るなんて、ロウ君ってば本当に魔神なんだね」
「「!?」」
そうやってヤームルと皆が起きた時の対策を練っていると、むくりと起き上がる黒髪の美女。
「まあでも、色々納得かなー私は。やっぱりーって感じかも?」
呆れたように零す美女に続き、上体を起こす黒髪の美少女。吸血鬼ことアシエラ姉妹であった。狸寝入りかよ。
「しかし、知恵の女神か……。先ほどは寝たふりをしていたが、起きて拝謁賜っておくべきだったかな?」
「お目通り適うならば私もしておきたかったですが、拝謁するにも格好が恰好ですし、やはり機会を待つべきでしょう」
「「!?」」
更に更に、身体を起こす大学教授と助手である。
君たち全員起きとったんかーい。
「……まあアレですよ。起きていたのなら改めて言う言葉なんて不要ですよね? 説明が省けて良かったです、はい」
「流石ロウ君、マイペースだね」「魔神だもんねー」「実にそれらしい」「変に気をもんでいたのが馬鹿みたいです」
周囲を見回して確認をとれば、罵詈雑言が返ってきた。解せぬ。
「まあ、ロウ君のことは確信に近い形で分かってたけど。ヤームルちゃんもロウ君と同じ境遇っていうのは、どういう意味だったのかな~?」
一人状況に憤っていると、口元をギリシャ文字の小文字みたいな形にして笑みを刻むアムールが、矛先を変えたようにヤームルへと語り掛ける。
そういえば、俺もヤームルに説明する中で転生って口にしちゃったけど、大丈夫だろうか? 魔神バレした今、隠すもんでもないと言えばそうだけども。
「うっ。それは単に年が近いというか、大した意味じゃなかったというか……」
「そうかな~? 何だか、二人だけに通じる符丁みたいなものがあったように見えたけどー? むふふふ」
「こらアムール、妙な勘繰りは駄目だよ。すみませんでした、ヤームルさん」「むぎゅっ」
「いえいえ、大丈夫ですよ。誤解を招くような言い方をしたのは私ですから」
日頃の行いの差なのか、彼女への疑惑追及はすんなりと終わってしまう。同じ転生者だというのに、悲しいほどの格差社会だ。
理不尽な現実に打ちひしがれていると、何かに気付いたようにハッとしたアシエラがこちらに話しかけてきた。
「というかロウ君、ウィルムさんやセルケトさんはどうしたの? ウィルムさんは竜だって言うし、琥珀竜と一緒について行っちゃったの?」
「ウィルムが竜ってのもバレてたんですね……。あいつらは琥珀竜に手酷くやられちゃって、今は療養中です」
「竜に手酷くやられたって、それ本当に大丈夫なの? しかも療養中ってどこなの?」
「まさか魔神や魔族の領域と呼ばれる、魔界かい? もしそうなら一目見て見たい気もするが、生きて出られる気がしないね」
「魔界……療養するにも、全く適していないような字面ですね。大丈夫なんでしょうか」
こちらが一つ答える間に周囲からの質問が鼠算式の如く増えていく。何だかんだでこの人たち、魔神に興味津々な様子だ。
どうせ身バレしたのだからと異空間の存在を明かすことに決めた俺は、夜の砂漠より安全だと唆し、彼女たちを異空間へいざなうのだった。
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地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
チートスキルより女神様に告白したら、僕のステータスは最弱Fランクだけど、女神様の無限の祝福で最強になりました
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平凡なフリーター、佐藤悠樹。その人生は、ソシャゲのガチャに夢中になった末の、あまりにも情けない感電死で幕を閉じた。……はずだった! 死後の世界で彼を待っていたのは、絶世の美女、女神ソフィア。「どんなチート能力でも与えましょう」という甘い誘惑に、彼が願ったのは、たった一つ。「貴方と一緒に、旅がしたい!」。これは、最強の能力の代わりに、女神様本人をパートナーに選んだ男の、前代未聞の異世界冒険譚である!
主人公ユウキに、剣や魔法の才能はない。ステータスは、どこをどう見ても一般人以下。だが、彼には、誰にも負けない最強の力があった。それは、女神ソフィアが側にいるだけで、あらゆる奇跡が彼の味方をする『女神の祝福』という名の究極チート! 彼の原動力はただ一つ、ソフィアへの一途すぎる愛。そんな彼の真っ直ぐな想いに、最初は呆れ、戸惑っていたソフィアも、次第に心を動かされていく。完璧で、常に品行方正だった女神が、初めて見せるヤキモチ、戸惑い、そして恋する乙女の顔。二人の甘く、もどかしい関係性の変化から、目が離せない!
旅の仲間になるのは、いずれも大陸屈指の実力者、そして、揃いも揃って絶世の美女たち。しかし、彼女たちは全員、致命的な欠点を抱えていた! 方向音痴すぎて地図が読めない女剣士、肝心なところで必ず魔法が暴発する天才魔導士、女神への信仰が熱心すぎて根本的にズレているクルセイダー、優しすぎてアンデッドをパワーアップさせてしまう神官僧侶……。凄腕なのに、全員がどこかポンコツ! 彼女たちが集まれば、簡単なスライム退治も、国を揺るがす大騒動へと発展する。息つく暇もないドタバタ劇が、あなたを爆笑の渦に巻き込む!
基本は腹を抱えて笑えるコメディだが、物語は時に、世界の運命を賭けた、手に汗握るシリアスな戦いへと突入する。絶体絶命の状況の中、試されるのは仲間たちとの絆。そして、主人公が示すのは、愛する人を、仲間を守りたいという想いこそが、どんなチート能力にも勝る「最強の力」であるという、熱い魂の輝きだ。笑いと涙、その緩急が、物語をさらに深く、感動的に彩っていく。
王道の異世界転生、ハーレム、そして最高のドタバタコメディが、ここにある。最強の力は、一途な愛! 個性豊かすぎる仲間たちと共に、あなたも、最高に賑やかで、心温まる異世界を旅してみませんか? 笑って、泣けて、最後には必ず幸せな気持ちになれることを、お約束します。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
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雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
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元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
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