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第五章 ヴリトラ大砂漠
5-24 古き竜と太陽神
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異空間へ赴いたヤームルたちがその空間の奇怪さに呻き、広さに慄いていた頃。大砂漠の中央では。
【ぐう……あんのクソガキめが……。次逢うたら塵にしたる】
【それは止めろというに。アレはウィルムやシュガールのみならず神たちとも親交がある、魔神の中でも変わり種だ。下手に手を出せば火傷では済まんぞ? あやつだけが敵となる訳ではないのだからのう】
かつての人族国家の中心地にして竜の至大魔法の爆心地、今は砂ばかりとなった亡国の首都。その砂の海に寝そべった赤き巨竜と琥珀色の巨竜とが、鋭い竜牙を剥き出しにしていがみ合っていた。
【フンッ、神どもなんぞ物の数ではない。ないが……シュガールもあんクソガキに取り込まれとんのか? 魔神に唆されとるとは、あんの青瓢箪めが】
金色の濁流のような魔力の奔流を垂れ流し、いきり立つ琥珀竜。
【ちいとは話を聞けというに、このばかちんが。元々、ウィルムがあの魔神に襲い掛かって返り討ちにされ、しかし命をとられなかった経緯がある。宿敵というよりは借りのある間柄であり、我らが恨みを向けるのは筋違いであろう、ヴリトラよ】
そんな彼に対し、大地竜は尻尾を相手の頭部に叩きつけて苦言を呈した。
【ぶごッ。ティアマト、きさん何しよるか!】
【汝が考えなしに魔力を垂れ流すからだ、戯けめ。危うく神の『眼』を呑み込むところであったぞ?】
【なにィ? ……太陽神か。儂ら竜を覗き見とるとは、小賢しい】
指摘を受けたヴリトラが首を持ち上げ虚空を睨むと、その視線の先に光の粒子が顕れ人型を模る。
光から実体となったのは、かつてリーヨン公国でロウとセルケトの監視を行っていた、金髪金眼の少年だった。
「流石は大地竜だね。実体を持たない『光の眼』での監視だから、竜であっても感づかれないものと思っていたのだけれど」
【ふっ、事実ヴリトラは気付いておらんようであったし、天則の神を嘯くのも伊達ではない。然れども、我の感知力は突き抜けている。骨折り損であったのう? 太陽神よ】
【気付こうが気付くまいが、塵となれば変わりゃせん。わざわざ儂らに接近しとったんなら、ごく近い距離でしか『視』れんのやろう? ならばどの道、儂の“渇き”で塵となる】
「貴殿の言葉通り僕の監視は竜を対象に出来るほどのものではないけれど、それは置いておこう。琥珀竜に大地竜よ、僕がここへ顕れたのは、貴方がた竜属と件の魔神の情報を共有するためだ」
世間話もそこそこに、太陽神と呼ばれた少年──ミフルは本題を切り出す。
彼も大地竜や他の神たちと同様に、琥珀竜と幼き魔神との天変地異級の激闘を観戦していた。
その戦いはあまりにも余波が強烈過ぎて、彼の眷属シャウラでは観測すら困難なものだった。故に、彼は己の監視作業──ランベルト帝国で暗躍する魔神たちの行動注視を中断し、この大砂漠へ足を運んでいたのだ。
【共有? きさんら神どもも、儂とあんガキの殺り合いを見とったんやろうが。情報共有も糞もなかろう】
【言葉は悪いが、我も概ねこやつと同意見だのう。汝も眷属を使ってあの魔神を監視していたのであろう? であれば、あやつの持つ気質も分かっていよう。一線を超えぬ限り、あれは日和見主義だ】
【日和見だと? ティアマト、きさん耄碌したか? アレの殺意は濃く深く、儂の竜鱗をも食い散らす、暴食の魔神そのものだったやろうが】
大地竜が魔神を許容するような言葉を告げれば、琥珀竜は何を馬鹿なと鼻息で一蹴する。
【一線を超えぬ限りと言ったであろう。汝はあれが懇意にしているウィルムとセルケトを瀕死に追いやったことで、あれの逆鱗に触れたのだ。……さりながら、降魔状態のあやつが、最高位の竜たる汝に伍するとは思わなんだ】
「そうだね。あの子の力には、とても大きな伸びしろがあるようだ。僕は直接見ていないけれど、かつて彼が青玉竜やバロールの娘と矛を交えた時は、今ほどの力を持たなかったという。彼は幼いからこそ、その成長性が尋常ではないのかもしれない」
ティアマトの意見に同調したミフルは、ひと月ほど前の情報を明かした。ボルドーにいた時からロウの動向を探っていたため、彼は誰よりも早く湿地帯で起きた死闘を把握していたのだ。
少年の言葉に尻尾を蠢かして同意したティアマトが、少年の言葉を引き継ぐようにしてヴリトラへ水を向ける。
【左様であるか。となればヴリトラよ、汝があやつを追い詰めたことで、あれの枷を取り払ったのやもしれんぞ? 我が以前見た時とは、魔力が見違えるほどに濃くなっておるからのう。先の戦いの内で何らかの変化があったことは疑いようもない】
【ヌゥ……確かにあんガキの降魔前と降魔後では、魔力の質も魔法の規模も違うとったが】
「僕としては魔力の変容より、あの子の権能が気になるところだけれど。琥珀竜の“渇き”に抗するほどの力を秘めたもの……貴方がたは見抜けたかな?」
答えの出そうにない話よりはと、太陽神は挑発するような言葉と共に、自身にとって大きな疑問を竜たちに投げかける。
少年ミフル──太陽神ミトラスも、虚無の魔神ロウや知恵の女神ミネルヴァのように、魔力の質を見抜く「眼」を具えている。
しかしそれは、言うまでもなく万時一切の魔力的流れを見通す「竜眼」には劣る代物。彼の「眼」は確かに、権能によって漆黒となった魔力を見ていたが……その権能が如何なるものかまでは見抜けなかったのだ。
【ふっ。太陽神ミトラスともあろうものが、安い挑発よ。ヴリトラ、乗るでないぞ? これに教えるのは癪だ】
ティアマトは鼻を鳴らして塵旋風を巻き起こし、尻尾を砂に叩きつけ局地的な地震を発生させる。
安い挑発と切って捨てながらも癪だというあたり、実のところ彼女は挑発に弱かった。
【ハン、神になんぞ請われても教えんわ】
「ふふ、そうかい? 僕と同じく見抜けなかったのなら、そう言えば良いのに」
【ほざけ。……あんガキの権能は厄介ではあるが、そこが本質ではない。真に警戒すべきは竜鱗さえも打ち砕く膂力やろうな。あんガキにいいもんもろうた時にゃぁ、儂ぁレヴィアタンと殴り合うたんを思い出したぞ】
一方、ロウと直接殺し合いその危険性を肌で感じたヴリトラは、常であれば食いつく煽りを砂嵐が起こるような鼻息でかき消す。
自身に打ち込まれた拳の数々は、竜属の中でも最高の膂力を持つと目される、海魔竜レヴィアタンの攻撃に迫るものだと感じたヴリトラ。
それはつまり、かの魔神を自身と同格にあることを認める言葉だった。
魔神を認めることなど皆無である琥珀竜の極めて稀な判断に、大地竜は鯨並みの太さを持った灰色の角を撫でつけ、考え込む。
【ふぅむ。横合いから殴りつけられた時か、拳を打ち下ろされた時か。いずれも尋常の拳ではなかったのう。魔法や権能抜きであれと殴り合えるのは、それこそ我らが同族レヴィアタンやエレボスか、それらとじゃれ合っている『神獣』ベヒモスか、我やバロールくらいやもしれん】
【おい、儂が入っとらんぞ?】
【汝は殴り合いで負けたろう】
「客観的に判断すると、貴殿は危うい状況にあったかもしれないね」
同格たる者たちの中に自身の名が無い事に気が付くと、竜牙を軋ませたヴリトラは不機嫌そうに聞き返したが、二柱から返ってきた言葉は彼を軽んじるようなものだった。
彼の喉元にますますもって不愉快な感情がこみ上げる。
【きさんら、揃いも揃って節穴か? 『竜神』となった儂の前に、あん山羊頭は避けるだけで手一杯やったろうが。ありゃぁ負けどころか、儂の勝ちと言うても過言やない】
【ふっ、その割には拳での決着を避け、魔法で止めを刺そうとしておったがのう?】
「それでいて空間魔法で切り返され、竜の息吹の真似事で吹き飛ばされてしまったね。ふふふ、あれは中々に情けない姿だったよ」
【たいがいせえよ……】
反駁するも直後の失態をあげつらわれ、琥珀竜の不快指数はいよいよ臨界に達する。
虹に煌めく金の魔力が場を満たし、大地をぐらぐらと震わせ始めたところで──太陽神は用も済んだとばかりに別れの言葉を口にした。
「ふふふ。これ以上からかうとこの大砂漠が吹き飛びそうだから、僕はこの辺りで失礼するよ」
【おい羽虫。きさん、聞くだけ聞いて終いか? 儂やティアマトが情報を出したんに、きさんは何も出してなかろうが】
「一応僕も、彼の成長性について話したのだけれど。それ以外となると……そうだね、共に行動している青玉竜が、かの魔神に好意を抱いているらしいことかな? この辺りのことは、そこに居る大地竜や、枯色竜と共にいる月白竜の方が詳しいかもしれないね。では、また」
【なにィッ!? どういうことだ、おい、ミトラスッ!】
最後の最後で不明瞭な情報を放り投げ、少年ミフルは光の粒子となって消え失せた。
【ふぁ……。どうでも良いことで騒ぎ立ててからに。ウィルムの心のうちなど、あれの好きにさせれば良かろう】
太陽神の去った残り香を大喝一声で消し飛ばし、周囲十数キロメートルを音圧でなだらかにした琥珀竜。
そのやかましい同胞を眠たげなまなこで睨んだ大地竜は、彼を無視して大欠伸をし、そのまま寝入ってしまった。
【ティアマト、正気か? 竜が魔神と……寝おったか。ババアめ、行動を起こすのは遅いくせに寝るのだけは早い。……寝入ると殴っても起きんこれを相手にするより、どこぞにいるシュガールを問い詰めた方が早いか? 太陽神の妄言が真か、確かめねばな】
地鳴りのような寝息をたてる赤き巨竜を放置することに決めた琥珀竜は、至大魔法の処理を行っている月白竜シュガールの下へと飛び立ったのだった。
◇◆◇◆
ヴリトラが公国南部へと向かった頃、ロウたちはといえば。
「──ふぅ……。砂漠の真ん中で、こんなに羽を伸ばせるなんてね。砂漠で休むのと違って気温も安定してるし」
「だね~。ロウ君様様、魔神様様……なんていうのは、ちょっとまずいかな?」
「どう、なんでしょうね。女神ミネルヴァ様のお言葉を考えるに、天敵であるはずの魔神でありながら、関係は悪くないようでしたが」
急遽異空間に創り出された石の露天風呂で、ロウの回復魔法によって治療を終えた女性陣が、先の一件で溜まった疲れを溶かし出していた。
「そこも不思議な点ですよね。知恵の女神ミネルヴァといえば、苛烈な性質が強調された説話を散見する女神なのですが。あの美しい女性は、そういった気質の片鱗さえも見えませんでしたし」
「私もその点は疑問に思いましたね。書物に書かれている事や伝説が間違っているのか、それとも、魔を縊り殺す一面を持ちながらも、ロウ君に対してはそういった面を見せないのか……。私たち人如きが女神を計るなどというのは、おこがましい限りですが」
色も長さも異なる長髪を同じようにタオルでまとめ上げた研究者組の二人が語れば、人外組の二人は広々とした湯船で寛ぎつつ、縁に頭を預けて見解を述べる。
「どうなんだろうね~。ロウ君は他の神様たちとも仲が悪くなさそうな雰囲気だったし、魔神の中でも特別な扱いなのかも?」
「知恵の女神の言葉の中で“我が眷属と友誼を結ぶ”などとあったし、きっとあの子だからこその態度だったんじゃないかな? ……神の眷属と友誼を結ぶ魔神なんて、聞いたこと無いけど」
「むむむ。ロウさんの人誑しは、人だけじゃなくて神やその眷属にまで及ぶということでしょうか? 見境が無さすぎますね」
アシエラ姉妹の言葉で褐色少年人誑し説が強化されると、ヤームルは気に食わないとでもいう風に肩まで湯に沈み、そのまま顔まで浸かって口から泡を立て始めた。
「むふふ~。薄目でチラッと見てたけど、知恵の女神様だけじゃなくて、物凄ぉ~く可愛い女の子の女神様とも親し気だったよねー、ロウ君ってば。態度が砕けてたし、相手も気を許してるように見えたけど、どんな女神様だったのかな?」
ジト目で水槽用エアーポンプの如く気泡を吐く少女を見て、口の端を吊り上げるアムール。彼女は少女を煽るついでに、自身が気になっていたもう一柱の女神について問いかけた。
「イルマタルと呼ばれていた女神のことですよね? 恐らくあの方は、妖精神イルマタル様……この世にいる妖精たちの祖先を創り出した、人が生まれ落ちる以前より存在する神様です。妖精たちから分化した森人族に、多く信仰されている女神ですが……」
「そんな女神が魔神であるロウ君と親し気、か。全く分からない状況だね」
「妖精神様だったんだねえ。女神様たちにしてもウィルムさんにしても、どんな経緯で知り合ったんだろうね~。ひょっとして、ロウ君も古ーい魔神だったりするのかも?」
などと、女性陣が露天風呂で盛り上がる一方、男性陣は──。
「──この門が、外へと繋がっているのか。いやはや、単なる排水のために空間魔法を用いるとは、贅沢極まる使用方法だね、ロウ君」
「あはは、よく相棒たちにも指摘されます。魔力的には余裕なので、人目を気にしないときはバンバン使っちゃうんですよね」
ヤームルたちの入る露天風呂の十数メートル下、排水路付近で、設備や空間魔法の解説を行っていた。
魔神であることが露見し、もはや取り繕う必要がなくなった少年によって創り出された露店風呂は、魔道具から供給され続ける湯を排水するため高所に位置している。
水分を保持できる土壌やため池などが一切ない、水の行きつく先が空気中の水蒸気しかない異空間において、排水というのは面倒な作業である。
ロウ一人で生活をする分には、一か所に集めて放っておいたり練習がてら魔法で処理したり、水属性の眷属であるシアンに吸収させたりと如何様にもできるが、今はその眷属も不在。しっかりと後始末のことを考えねばならないのだ。
そうして捻り出された処理方法が、異空間の門を開き砂漠にかけ流しの湯を打ち捨てる、というものだった。
しっかりしているどころか明らかなるその場しのぎ、弥縫策である。
「──ふぅ。しかし、至高の魔法を拝むことが出来たのは幸運だったが……こうも魔神の力が理不尽だと、私の研究も虚しく思えてしまうね」
しばらくの間、周囲の排水設備や空間魔法を調べ唸っていたアインハルトだったが、ふと思い出したように溜息を吐き、嘆きを零す。
「いやいや、魔神なんて人とは全く違う生き物で、比べるもんじゃないですよ。自然災害そのものっていうか、理不尽の権化みたいなもんですし。……当の俺が言うのもなんですけど」
「フフッ、確かに。なまじ君のことを知っているものだから、ついつい自分たちと結び付けてしまっていけない……。ありがとう、ロウ君。初心に返った思いだよ」
魔神から人間族である自分が慰められるという珍妙な事態にしばし呆けるアインハルト。
それでも彼は、自らがか弱き人であることを再認識し、己がその弱き人の発展繁栄のために尽力してきたのだと再確認した。
真正面から礼を述べられたロウはといえば、面映ゆそうに頬を掻き話題を変える。
「やる気が戻って良かったですよ。大学教授の気力がなくなったりしたら大問題でしょうし。話は変わりますが、教授たちはよく琥珀竜のとんでもない魔法から逃げ果せましたね? 北部一帯の陽が遮られて、この世の終わりみたいな状態になりましたけど」
「あの天変地異級の大魔法、やはり琥珀竜のものだったか……。あれが放たれた時は、アシエラさんとアムール君に救われたよ。彼女たちがいなければ、濁流のように中心へと向かう砂海に飲まれ、窒息した後に竜巻で解体されていたことだろうね」
アインハルトの言の通り、三度放たれたヴリトラの大魔法から逃れる際、吸血鬼であるアシエラ姉妹は人外たる身体能力を存分に生かし、彼らの窮地を救っていた。
ロウより受け継いだ“腕”を使わずとも、その身体能力は人族の遥か上を行く。姉妹が空中に展開した物理障壁を蹴って空を駆けるという曲芸じみた動きを見せなければ、一行は儀式魔術の防御ごと砂の海に沈んでいたことだろう。
「流石アシエラさんたちですね。教授も、ご無事で何よりです」
「ありがとう。……あの大魔法、ロウ君やウィルムさんに向けて放たれたのだろう? 如何に竜と魔神とはいえ、よく生き残れたものだ」
「ぶっちゃけ俺もウィルムも死にかけましたよ。回復魔法で何とか命を繋ぎましたが、あの時はかなり綱渡りでした」
少年が天変地異級の大魔法を思い出し身震いしたところで、入浴を終えた女性陣が下りてくる。
彼女たちから排水路上に設置している空間魔法を呆れられ、誤魔化すように風呂へ向かったロウは、入浴後他の面々に寝床を案内すると早めに床へ入り、泥のように眠ったのだった。
【ぐう……あんのクソガキめが……。次逢うたら塵にしたる】
【それは止めろというに。アレはウィルムやシュガールのみならず神たちとも親交がある、魔神の中でも変わり種だ。下手に手を出せば火傷では済まんぞ? あやつだけが敵となる訳ではないのだからのう】
かつての人族国家の中心地にして竜の至大魔法の爆心地、今は砂ばかりとなった亡国の首都。その砂の海に寝そべった赤き巨竜と琥珀色の巨竜とが、鋭い竜牙を剥き出しにしていがみ合っていた。
【フンッ、神どもなんぞ物の数ではない。ないが……シュガールもあんクソガキに取り込まれとんのか? 魔神に唆されとるとは、あんの青瓢箪めが】
金色の濁流のような魔力の奔流を垂れ流し、いきり立つ琥珀竜。
【ちいとは話を聞けというに、このばかちんが。元々、ウィルムがあの魔神に襲い掛かって返り討ちにされ、しかし命をとられなかった経緯がある。宿敵というよりは借りのある間柄であり、我らが恨みを向けるのは筋違いであろう、ヴリトラよ】
そんな彼に対し、大地竜は尻尾を相手の頭部に叩きつけて苦言を呈した。
【ぶごッ。ティアマト、きさん何しよるか!】
【汝が考えなしに魔力を垂れ流すからだ、戯けめ。危うく神の『眼』を呑み込むところであったぞ?】
【なにィ? ……太陽神か。儂ら竜を覗き見とるとは、小賢しい】
指摘を受けたヴリトラが首を持ち上げ虚空を睨むと、その視線の先に光の粒子が顕れ人型を模る。
光から実体となったのは、かつてリーヨン公国でロウとセルケトの監視を行っていた、金髪金眼の少年だった。
「流石は大地竜だね。実体を持たない『光の眼』での監視だから、竜であっても感づかれないものと思っていたのだけれど」
【ふっ、事実ヴリトラは気付いておらんようであったし、天則の神を嘯くのも伊達ではない。然れども、我の感知力は突き抜けている。骨折り損であったのう? 太陽神よ】
【気付こうが気付くまいが、塵となれば変わりゃせん。わざわざ儂らに接近しとったんなら、ごく近い距離でしか『視』れんのやろう? ならばどの道、儂の“渇き”で塵となる】
「貴殿の言葉通り僕の監視は竜を対象に出来るほどのものではないけれど、それは置いておこう。琥珀竜に大地竜よ、僕がここへ顕れたのは、貴方がた竜属と件の魔神の情報を共有するためだ」
世間話もそこそこに、太陽神と呼ばれた少年──ミフルは本題を切り出す。
彼も大地竜や他の神たちと同様に、琥珀竜と幼き魔神との天変地異級の激闘を観戦していた。
その戦いはあまりにも余波が強烈過ぎて、彼の眷属シャウラでは観測すら困難なものだった。故に、彼は己の監視作業──ランベルト帝国で暗躍する魔神たちの行動注視を中断し、この大砂漠へ足を運んでいたのだ。
【共有? きさんら神どもも、儂とあんガキの殺り合いを見とったんやろうが。情報共有も糞もなかろう】
【言葉は悪いが、我も概ねこやつと同意見だのう。汝も眷属を使ってあの魔神を監視していたのであろう? であれば、あやつの持つ気質も分かっていよう。一線を超えぬ限り、あれは日和見主義だ】
【日和見だと? ティアマト、きさん耄碌したか? アレの殺意は濃く深く、儂の竜鱗をも食い散らす、暴食の魔神そのものだったやろうが】
大地竜が魔神を許容するような言葉を告げれば、琥珀竜は何を馬鹿なと鼻息で一蹴する。
【一線を超えぬ限りと言ったであろう。汝はあれが懇意にしているウィルムとセルケトを瀕死に追いやったことで、あれの逆鱗に触れたのだ。……さりながら、降魔状態のあやつが、最高位の竜たる汝に伍するとは思わなんだ】
「そうだね。あの子の力には、とても大きな伸びしろがあるようだ。僕は直接見ていないけれど、かつて彼が青玉竜やバロールの娘と矛を交えた時は、今ほどの力を持たなかったという。彼は幼いからこそ、その成長性が尋常ではないのかもしれない」
ティアマトの意見に同調したミフルは、ひと月ほど前の情報を明かした。ボルドーにいた時からロウの動向を探っていたため、彼は誰よりも早く湿地帯で起きた死闘を把握していたのだ。
少年の言葉に尻尾を蠢かして同意したティアマトが、少年の言葉を引き継ぐようにしてヴリトラへ水を向ける。
【左様であるか。となればヴリトラよ、汝があやつを追い詰めたことで、あれの枷を取り払ったのやもしれんぞ? 我が以前見た時とは、魔力が見違えるほどに濃くなっておるからのう。先の戦いの内で何らかの変化があったことは疑いようもない】
【ヌゥ……確かにあんガキの降魔前と降魔後では、魔力の質も魔法の規模も違うとったが】
「僕としては魔力の変容より、あの子の権能が気になるところだけれど。琥珀竜の“渇き”に抗するほどの力を秘めたもの……貴方がたは見抜けたかな?」
答えの出そうにない話よりはと、太陽神は挑発するような言葉と共に、自身にとって大きな疑問を竜たちに投げかける。
少年ミフル──太陽神ミトラスも、虚無の魔神ロウや知恵の女神ミネルヴァのように、魔力の質を見抜く「眼」を具えている。
しかしそれは、言うまでもなく万時一切の魔力的流れを見通す「竜眼」には劣る代物。彼の「眼」は確かに、権能によって漆黒となった魔力を見ていたが……その権能が如何なるものかまでは見抜けなかったのだ。
【ふっ。太陽神ミトラスともあろうものが、安い挑発よ。ヴリトラ、乗るでないぞ? これに教えるのは癪だ】
ティアマトは鼻を鳴らして塵旋風を巻き起こし、尻尾を砂に叩きつけ局地的な地震を発生させる。
安い挑発と切って捨てながらも癪だというあたり、実のところ彼女は挑発に弱かった。
【ハン、神になんぞ請われても教えんわ】
「ふふ、そうかい? 僕と同じく見抜けなかったのなら、そう言えば良いのに」
【ほざけ。……あんガキの権能は厄介ではあるが、そこが本質ではない。真に警戒すべきは竜鱗さえも打ち砕く膂力やろうな。あんガキにいいもんもろうた時にゃぁ、儂ぁレヴィアタンと殴り合うたんを思い出したぞ】
一方、ロウと直接殺し合いその危険性を肌で感じたヴリトラは、常であれば食いつく煽りを砂嵐が起こるような鼻息でかき消す。
自身に打ち込まれた拳の数々は、竜属の中でも最高の膂力を持つと目される、海魔竜レヴィアタンの攻撃に迫るものだと感じたヴリトラ。
それはつまり、かの魔神を自身と同格にあることを認める言葉だった。
魔神を認めることなど皆無である琥珀竜の極めて稀な判断に、大地竜は鯨並みの太さを持った灰色の角を撫でつけ、考え込む。
【ふぅむ。横合いから殴りつけられた時か、拳を打ち下ろされた時か。いずれも尋常の拳ではなかったのう。魔法や権能抜きであれと殴り合えるのは、それこそ我らが同族レヴィアタンやエレボスか、それらとじゃれ合っている『神獣』ベヒモスか、我やバロールくらいやもしれん】
【おい、儂が入っとらんぞ?】
【汝は殴り合いで負けたろう】
「客観的に判断すると、貴殿は危うい状況にあったかもしれないね」
同格たる者たちの中に自身の名が無い事に気が付くと、竜牙を軋ませたヴリトラは不機嫌そうに聞き返したが、二柱から返ってきた言葉は彼を軽んじるようなものだった。
彼の喉元にますますもって不愉快な感情がこみ上げる。
【きさんら、揃いも揃って節穴か? 『竜神』となった儂の前に、あん山羊頭は避けるだけで手一杯やったろうが。ありゃぁ負けどころか、儂の勝ちと言うても過言やない】
【ふっ、その割には拳での決着を避け、魔法で止めを刺そうとしておったがのう?】
「それでいて空間魔法で切り返され、竜の息吹の真似事で吹き飛ばされてしまったね。ふふふ、あれは中々に情けない姿だったよ」
【たいがいせえよ……】
反駁するも直後の失態をあげつらわれ、琥珀竜の不快指数はいよいよ臨界に達する。
虹に煌めく金の魔力が場を満たし、大地をぐらぐらと震わせ始めたところで──太陽神は用も済んだとばかりに別れの言葉を口にした。
「ふふふ。これ以上からかうとこの大砂漠が吹き飛びそうだから、僕はこの辺りで失礼するよ」
【おい羽虫。きさん、聞くだけ聞いて終いか? 儂やティアマトが情報を出したんに、きさんは何も出してなかろうが】
「一応僕も、彼の成長性について話したのだけれど。それ以外となると……そうだね、共に行動している青玉竜が、かの魔神に好意を抱いているらしいことかな? この辺りのことは、そこに居る大地竜や、枯色竜と共にいる月白竜の方が詳しいかもしれないね。では、また」
【なにィッ!? どういうことだ、おい、ミトラスッ!】
最後の最後で不明瞭な情報を放り投げ、少年ミフルは光の粒子となって消え失せた。
【ふぁ……。どうでも良いことで騒ぎ立ててからに。ウィルムの心のうちなど、あれの好きにさせれば良かろう】
太陽神の去った残り香を大喝一声で消し飛ばし、周囲十数キロメートルを音圧でなだらかにした琥珀竜。
そのやかましい同胞を眠たげなまなこで睨んだ大地竜は、彼を無視して大欠伸をし、そのまま寝入ってしまった。
【ティアマト、正気か? 竜が魔神と……寝おったか。ババアめ、行動を起こすのは遅いくせに寝るのだけは早い。……寝入ると殴っても起きんこれを相手にするより、どこぞにいるシュガールを問い詰めた方が早いか? 太陽神の妄言が真か、確かめねばな】
地鳴りのような寝息をたてる赤き巨竜を放置することに決めた琥珀竜は、至大魔法の処理を行っている月白竜シュガールの下へと飛び立ったのだった。
◇◆◇◆
ヴリトラが公国南部へと向かった頃、ロウたちはといえば。
「──ふぅ……。砂漠の真ん中で、こんなに羽を伸ばせるなんてね。砂漠で休むのと違って気温も安定してるし」
「だね~。ロウ君様様、魔神様様……なんていうのは、ちょっとまずいかな?」
「どう、なんでしょうね。女神ミネルヴァ様のお言葉を考えるに、天敵であるはずの魔神でありながら、関係は悪くないようでしたが」
急遽異空間に創り出された石の露天風呂で、ロウの回復魔法によって治療を終えた女性陣が、先の一件で溜まった疲れを溶かし出していた。
「そこも不思議な点ですよね。知恵の女神ミネルヴァといえば、苛烈な性質が強調された説話を散見する女神なのですが。あの美しい女性は、そういった気質の片鱗さえも見えませんでしたし」
「私もその点は疑問に思いましたね。書物に書かれている事や伝説が間違っているのか、それとも、魔を縊り殺す一面を持ちながらも、ロウ君に対してはそういった面を見せないのか……。私たち人如きが女神を計るなどというのは、おこがましい限りですが」
色も長さも異なる長髪を同じようにタオルでまとめ上げた研究者組の二人が語れば、人外組の二人は広々とした湯船で寛ぎつつ、縁に頭を預けて見解を述べる。
「どうなんだろうね~。ロウ君は他の神様たちとも仲が悪くなさそうな雰囲気だったし、魔神の中でも特別な扱いなのかも?」
「知恵の女神の言葉の中で“我が眷属と友誼を結ぶ”などとあったし、きっとあの子だからこその態度だったんじゃないかな? ……神の眷属と友誼を結ぶ魔神なんて、聞いたこと無いけど」
「むむむ。ロウさんの人誑しは、人だけじゃなくて神やその眷属にまで及ぶということでしょうか? 見境が無さすぎますね」
アシエラ姉妹の言葉で褐色少年人誑し説が強化されると、ヤームルは気に食わないとでもいう風に肩まで湯に沈み、そのまま顔まで浸かって口から泡を立て始めた。
「むふふ~。薄目でチラッと見てたけど、知恵の女神様だけじゃなくて、物凄ぉ~く可愛い女の子の女神様とも親し気だったよねー、ロウ君ってば。態度が砕けてたし、相手も気を許してるように見えたけど、どんな女神様だったのかな?」
ジト目で水槽用エアーポンプの如く気泡を吐く少女を見て、口の端を吊り上げるアムール。彼女は少女を煽るついでに、自身が気になっていたもう一柱の女神について問いかけた。
「イルマタルと呼ばれていた女神のことですよね? 恐らくあの方は、妖精神イルマタル様……この世にいる妖精たちの祖先を創り出した、人が生まれ落ちる以前より存在する神様です。妖精たちから分化した森人族に、多く信仰されている女神ですが……」
「そんな女神が魔神であるロウ君と親し気、か。全く分からない状況だね」
「妖精神様だったんだねえ。女神様たちにしてもウィルムさんにしても、どんな経緯で知り合ったんだろうね~。ひょっとして、ロウ君も古ーい魔神だったりするのかも?」
などと、女性陣が露天風呂で盛り上がる一方、男性陣は──。
「──この門が、外へと繋がっているのか。いやはや、単なる排水のために空間魔法を用いるとは、贅沢極まる使用方法だね、ロウ君」
「あはは、よく相棒たちにも指摘されます。魔力的には余裕なので、人目を気にしないときはバンバン使っちゃうんですよね」
ヤームルたちの入る露天風呂の十数メートル下、排水路付近で、設備や空間魔法の解説を行っていた。
魔神であることが露見し、もはや取り繕う必要がなくなった少年によって創り出された露店風呂は、魔道具から供給され続ける湯を排水するため高所に位置している。
水分を保持できる土壌やため池などが一切ない、水の行きつく先が空気中の水蒸気しかない異空間において、排水というのは面倒な作業である。
ロウ一人で生活をする分には、一か所に集めて放っておいたり練習がてら魔法で処理したり、水属性の眷属であるシアンに吸収させたりと如何様にもできるが、今はその眷属も不在。しっかりと後始末のことを考えねばならないのだ。
そうして捻り出された処理方法が、異空間の門を開き砂漠にかけ流しの湯を打ち捨てる、というものだった。
しっかりしているどころか明らかなるその場しのぎ、弥縫策である。
「──ふぅ。しかし、至高の魔法を拝むことが出来たのは幸運だったが……こうも魔神の力が理不尽だと、私の研究も虚しく思えてしまうね」
しばらくの間、周囲の排水設備や空間魔法を調べ唸っていたアインハルトだったが、ふと思い出したように溜息を吐き、嘆きを零す。
「いやいや、魔神なんて人とは全く違う生き物で、比べるもんじゃないですよ。自然災害そのものっていうか、理不尽の権化みたいなもんですし。……当の俺が言うのもなんですけど」
「フフッ、確かに。なまじ君のことを知っているものだから、ついつい自分たちと結び付けてしまっていけない……。ありがとう、ロウ君。初心に返った思いだよ」
魔神から人間族である自分が慰められるという珍妙な事態にしばし呆けるアインハルト。
それでも彼は、自らがか弱き人であることを再認識し、己がその弱き人の発展繁栄のために尽力してきたのだと再確認した。
真正面から礼を述べられたロウはといえば、面映ゆそうに頬を掻き話題を変える。
「やる気が戻って良かったですよ。大学教授の気力がなくなったりしたら大問題でしょうし。話は変わりますが、教授たちはよく琥珀竜のとんでもない魔法から逃げ果せましたね? 北部一帯の陽が遮られて、この世の終わりみたいな状態になりましたけど」
「あの天変地異級の大魔法、やはり琥珀竜のものだったか……。あれが放たれた時は、アシエラさんとアムール君に救われたよ。彼女たちがいなければ、濁流のように中心へと向かう砂海に飲まれ、窒息した後に竜巻で解体されていたことだろうね」
アインハルトの言の通り、三度放たれたヴリトラの大魔法から逃れる際、吸血鬼であるアシエラ姉妹は人外たる身体能力を存分に生かし、彼らの窮地を救っていた。
ロウより受け継いだ“腕”を使わずとも、その身体能力は人族の遥か上を行く。姉妹が空中に展開した物理障壁を蹴って空を駆けるという曲芸じみた動きを見せなければ、一行は儀式魔術の防御ごと砂の海に沈んでいたことだろう。
「流石アシエラさんたちですね。教授も、ご無事で何よりです」
「ありがとう。……あの大魔法、ロウ君やウィルムさんに向けて放たれたのだろう? 如何に竜と魔神とはいえ、よく生き残れたものだ」
「ぶっちゃけ俺もウィルムも死にかけましたよ。回復魔法で何とか命を繋ぎましたが、あの時はかなり綱渡りでした」
少年が天変地異級の大魔法を思い出し身震いしたところで、入浴を終えた女性陣が下りてくる。
彼女たちから排水路上に設置している空間魔法を呆れられ、誤魔化すように風呂へ向かったロウは、入浴後他の面々に寝床を案内すると早めに床へ入り、泥のように眠ったのだった。
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