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第七章 混沌の交易都市
7-23 妹の述懐
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「──うん? ロウ、その者が姉弟だという魔神か? 戦いになったという話だったが」
竜や魔神と一緒に自前の空間へと戻ると、曲刀を振り回す魔神に出迎えられた。人の身をとる異形の魔神、セルケトである。
「振り回してるってことは、サルガスは大丈夫ってことか? 刀身はくっついてるみたいだけど」
(まあ何とかな。お前さんも無事でなにより。いやしかし、フォカロルまで一緒っていうのはどういう状況だ?)
「この者は敵対した相手を自身の陣営に取り込んでいく習性があるようだから、あの魔神もそうなのだろう。アタシやお前、ニグラスと似たようなものだ」
白一色の地面で寝ころび予測をたてるのは、異形の魔物ネイト。
セルケト同様に人の身をとっているが、その姿は彼女とは違い黒髪が麗しい美少女である。共通点は少し暗めの黄色い瞳と、金のメッシュが入った髪の毛くらいか。
「ぶん殴り合ったんだけど、なんかこいつは俺のことを知らなかった……いや。ロウっていう肉親がいることは知ってても、俺がそうだとは思ってなかったらしくてな」
【ふんっ。襲い掛かった事実は変わらん。さっさと始末してしまえばいい】
【全くだ。何故我ら竜属が相手側の事情を斟酌せねばならん? 頂点たる我らにそのようなものは不要だ】
「君らはちょっと黙っといて」
先ほどまで殺し合っていたからか、竜たちの機嫌は頗る悪い。早いところ話を進めなければ。
そう思っていると予想外の人物が話を継いだ。セルケトである。
「ふむ。魔神ではなく人に育てられた故に、ロウの動向は追えていなかったということか。しかしそれなら、接点のない者を殺そうとするというのも妙な話に思える。魔神フォカロルは何故ロウを標的としたのだ?」
「んー。こっちにも色々事情があるんだけどね。まず確かめておきたいんだけど、お兄ちゃんたちはパパ……魔神ルキフグスに会ったことあるんだよね?」
「いや、見た記憶はないぞ。ひょっとすると、生まれたばっかりの時は会ってたかもしれんが、その辺りはさっぱり覚えてない」
「我もネイトも魔神とは無縁だ。ニグラスはかつて矛を交えたというが、遠い昔だと言っていた」
「そこからかー。こりゃまいったね」
人化しだんまりを決め込む竜たちをスルーして話していくと、フォカロルはツインテールを指先で弄び嘆息した。
「ん? 会ったことなかったら問題があるのか?」
「ええっとね、私が魔神を探してたのって、パパの仇をとるためだったんだよ。あの時感じたのは、間違いなく魔神の魔力だったから」
「は? パパを滅ぼしたって……ルキフグスって殺されてたのか!?」
「やっぱり、知らなかったんだ」
想定通りの反応だという彼女は、片眉をあげるウィルムや小首を傾げるセルケト、興味がないと大欠伸をするネイトを順々に見やる。
「なんだかここにいる人たち、反応薄いね。関心がないって感じ?」
「まあ昔戦ったことのあるウィルムやニグラス以外、接点ないだろうし。いやでもルキフグスが殺されたなんて、ティアマトさんだってバロール様だって言ってなかったぞ。本当なのか?」
「バロールはともかくティアマトって、あの大地竜のことだよね? お兄ちゃん、本当に魔神なの? そこの若い竜たちとも仲がいいみたいだし、色々おかしい気がするんだけど」
「それこそ色々あったんだよ。とにかく、ルキフグスが殺されたって話、詳しく頼む」
無理くり話を戻して聞いてみれば、ルキフグスが滅びたのは五年前。魔界でのことだったという。
父親と暮らしていたフォカロルは父と鍛錬に励むのが常であり、その日も模擬的な戦闘に明け暮れていたらしい。
力は上位魔神の域にあっても経験を伴わない彼女は、父に弄ばれ精も根も尽き果てていた。そこを奇襲されてしまったようだ。
「──魔界の赤い大地が一瞬で煮立つほどの“炎”の大魔法。初撃の爆炎と衝撃波で、私は気を失っちゃったんだ。目が覚めたのは全部終わった後で……地面が融解してできた溶岩の海の中に、頭のないパパの死体が放置されてた。生きてる私をほったらかしだったのは、パパと同じように溶岩に沈んでたからかもしれない」
淡々と語るフォカロルからは……しかし、隠しきれない怒りがにじみ出る。
ツインテールを揺らめかせ白い空間を侵食する“影”が、怒りに呼応するかの如く脈打つほどだ。
(彼女は父親と生活していたようですし、慕っていたのでしょうね)
それを奪われたとなれば怒りも当然。ましてや目の前であればなおのこと、か。
「はっ。魔神として好きに生きてきた報いだろう」
「フッ。当然の帰結であるな」
黒刀の念話を傍受して鼻で笑う馬鹿二柱。おめーらはマジ黙っとけ。
話を拗らせるトカゲどもを一睨みで黙らせた後、フォカロルへ無神経な質問を詫びる。
「辛いこときいて悪かった。話してくれてありがとな」
「ううん、平気。忘れるわけにはいかないから、しょっちゅう考えてるし。……冷静になってみれば、君が操るのは闇や光に雷魔法だし、火の魔法じゃないもんね。仇っていうのは無理筋だった」
「俺がやってないのは間違いないけど、火が扱えないってことはないぞ」
気分転換になればと、炎で山羊頭の魔神を創り出したり二頭を頂く異形の魔神を創り上げてみる。
しかし、返ってきたのはなんともいえない表情だった。
「火も十分に扱えるんだ。披露してくれたけど、それって私を襲った魔神の特徴の一つなんだけどね」
「今でこそこうだが、こやつが魔法を覚えたのはここ数か月の話だ。五年も前に魔神を滅ぼすなど到底不可能であろうな」
「そうなんだーって、数か月!?」
「やはりこうなるか」
「もはや見飽いた反応であるな」
「アタシと全く同じ言動。魔神も魔物も変わらないのか?」
感想に囲まれているフォカロルへ、ざっとこちらの事情を説明していく。
魔神ということに気が付いたのが二か月ほど前だということ、各地を旅してまわっていること。そして、最近になってようやく魔神として覚醒したこと等々。
「──という感じで、物凄~く濃い数か月の中で俺は鍛え上げられたわけだ」
「……。まさか、大陸そのものを揺らすような古き竜との激突が、お兄ちゃんの仕業だったなんてね。あの『神獣』と渡り合ってたし、今更疑いようもないけどさー」
「フォカロルも古き竜が相手ってことには気が付いてたのか。そういや、戦闘中も俺の魔力が魔神だって見抜いてたっけ」
彼女の反応を見て思い出されるのは、俺を見て“真紅”と驚いていたこと。俺の妹だという彼女もやはり、魔力の質を見極める「魔眼」を具えているのだろう。
考えに沈むのもそこそこにして、話を纏めにかかる。ここは外とは時間の流れが異なるし、竜信仰の問題がある以上、ここで長話はしていられない。
「俺とお前の事情を総合すると……仇を探してたお前が、ふらふらこの都市にやってきてた俺と偶然遭遇した。そんな感じか」
「実は偶然ってわけでもないんだよねー。私は事前に情報を掴んでた……いや、掴まされてたし」
「ん? 個人で行動してるわけじゃないのか」
俺の言葉に首肯した彼女は、予想だにしなかった名を口にする。
「衃神アノフェレスに、嵐神バエル。昔はパパと殺り合ったこともある、上位魔神だよ」
「アノフェレス……」「むっ」「ほう、『暴食』か」
フォカロルの口にした名は、いずれもが俺の知る魔神だ。
バエルという魔神はつい最近、火山平原で竜たちから聞いた存在。「暴食」の二つ名を持つだとか、豊穣神バアルが封じただとか、その豊穣神と手を組んでいるだとか言われるが……真偽は定かならない。
翻ってアノフェレスは、いつか夢の中で聞いた魔神である。バロールによく似た魔神の領地を攻めている、そんな話だったが……。
「ちょっと話が変わるけど、ルキフグスって別名みたいなの持ってない?」
「んー? 別名っていうと、『影食らい』だったり『光から逃げるもの』だったり、そういうのがあるけど。そうじゃなくて?」
「もうちょっと人の名前っぽい奴。ぶっちゃけ、レオナールっていう名前で呼ばれてたりしない?」
直截に言えば、深い茶色の瞳を点にして驚く褐色少女。心当たりがあるようだ。
「パパは人の世で動き回る時、レオナールって名乗ってた。お兄ちゃん、やっぱり会ったことあるの?」
「ない。ただ、一度だけレオナールを……ルキフグスを夢で見たことがあるんだよ」
あれは確か、エスリウとの死闘で魔力の殆どを使い果たした時だった。
もしかすると魔力が枯渇した拍子に父親から継いだ魔力が目覚め、その魔力に眠る記憶が呼び起こされたのかもしれない。あの一戦以降、魔力も濃くなっていたような気もするし。
しかしこうなると、あの時レオナールが会っていたのはやはりバロールということか。彼がそうであるように、彼女にもルネという人の名前があるのかも……?
「夢ぇ~? アヤシイなー。まあ時期的に考えて、お兄ちゃんがパパをどうこうするってのは無理って、分かってるけどさー」
「そこは俺が会ってないっていう状況証拠しかないし、本格的な証明はできないけども。話散らかして悪かった。お前に変な情報を流したっていう、魔神たちの続きを頼む」
「むー。強引だなあ、もう」
可愛らしくむくれたフォカロルだったが、表情を改めると説明を再開してくれた。
曰く、彼女はかの魔神たちと協力関係にあるのだという。
父親と敵対関係にあったことのある魔神と何故手を組んだのかといえば、彼らが襲撃犯でないことが確実だったから。彼ら二柱は火魔法が不得手で、ルキフグスを奇襲した時のような大魔法など到底不可能だったのだ。
フォカロルがバエルたちと相見え、協調するようになったのは襲撃から二年後。
そこから更に二年ほど調査を続けていくと、ルキフグスの知己であり娘の彼女も知ったる、ある魔神の容疑が強くなった。
「──上位魔神バロール。魔神の中でも最上位に位置する悪鬼。パパがいなくなった後の魔界浮いた土地、その殆どを得たのはあいつなんだ。そもそも魔神すらも滅ぼす火となると、あの『不滅の巨神』くらいしか思い当たらない」
「バロール様がねえ……」
少女が深紅の魔力を迸らせて語った名は、あろうことか魔眼の魔神バロール。ルキフグスの友人だ。
夢の中では随分と親し気だったし、俺としては少々考えづらい推測に思えるが……。
疑問に思ったのは俺だけではなかったらしく、魔神をよく知るウィルムが異議を申し立てた。
「『影食らい』とよくつるんでいたバロールが、奴を殺すか? 殺しうる能力があるのは確かだろうが」
「逆だよ。仲が良かったからこそ隙を付いて滅ぼせたんでしょ。そうでもないと、パパが殺されるなんてあり得ない」
ウィルムの投げかける疑問を強い口調で否定するフォカロルからは、父への強い信頼感が垣間見える。
上位魔神というに相応しい彼女がこれほどまでに評すなら、彼はきっと相応に強いのだろう。子の欲目というのも幾分あるだろうが。
──とにもかくにも。
「とりあえず俺の嫌疑は晴れたし、良しとするか。バロール様の件については置いておこう。おいフォカロル、まずは勘違いで俺を襲ったこと謝れよな!」
「「「……」」」
あの上位魔神を追及するのは骨が折れそうだと棚上げすれば、場を囲む全員からジト目が返ってきた。
(お前さん、もう何をかいわんやだ)
(あらゆることから逃避する。ロウらしいと言えばそうですが)
曲刀たちからもフルボッコである。
謝罪を促すにはまだ早かったらしい。さーせん。
◇◆◇◆
結局、フォカロルと一緒にバロールの下へ向かうことになった。
事情説明により俺がルキフグスを殺していないことや、バロールの手下でないことは証明できている。
が、バロールがやったかどうかについて俺は語る術を持たない。
彼女の娘エスリウとは友人関係にあり、彼女が娘を愛していることは俺も知っている。だから心情的には擁護したいが……過去、彼女は悪行の限りを尽くしたという事実がある。
下手を打てば再び骨肉の争いに発展するだけに、迂闊な発言は許されない。
「──魔神バロールか。一年前に殺り合った時以来だ」
異空間を出て大空へ舞い戻ると、こちらが心中複雑なことを知ってか知らずか、フォカロルはバロールの名を口にする。
「フム。どうやら眼下の都市には、バロールのみならず神と我らが同胞がいるようであるな。何事かあったのか、気配が入り乱れておる」
「えッ!? それ余波で街ぶっ飛んでんじゃねえの」
同行しているドレイクの爆弾発言を受け神速の魔法構築、超速の空間跳躍。
事前の段取りをすっ飛ばし、数千メートル下方の大地へ降り立つ。
「うおぉ~。荒れちゃあいるけど、神や魔神が荒ぶった感じではないな」
貴族街でひときわ大きい屋敷の屋根に立ち、ぐるりと見まわす。
贅を凝らした屋敷は半数以上が崩れ去り、瓦礫が散らばり石畳には亀裂だらけ。黒煙が立ち込め火の手が上がる様は、確かにただ事ではない雰囲気だ。
しかし、その水準はあくまで自然災害程度に収まる。神や魔神が力をふるえばこんなものでは到底すまず、貴族街どころか都市全体が真っ平らとなるだろう。
(お前さんの垂れ流す感想も、いつの間にやら魔神の基準となっちまったなあ)
(先ほどの戦い一つとっても天を裂き地を揺るがすものでしたからね。上位存在であればこれくらいの被害など、小競り合いの内にも入らないでしょう)
「そういう君らも、天から見下ろすような感じだろ」
などとやり取りをしているうちに、置いてけぼりにした面々が到着。
面子はフォカロルにウィルム、ドレイクだ。セルケトがついてきたがったが、アルベルトたちと鉢合わせる可能性を考えるとお留守番が無難であろう。
「ふむ。中々に荒れているな」
「あのなりそこないどもが暴れたのであろう。そこかしこに歪な魔力の残り香がある」
「あいつ、そんなに数がいたのか。バロール様のところに行く前に、まずはアシエラさんたち探さないとなー。そんじゃあドレイク、『竜眼』で探知よろしくー」
「我を小間使いにするとは、全く」
文句を垂れるもちゃんと探してくれるあたり、意外とチョロい優男である。
数秒で探知を完了させた彼は地を蹴り天を翔け、後を追う俺たちはアシエラ姉妹の下へ急ぐのだった。
竜や魔神と一緒に自前の空間へと戻ると、曲刀を振り回す魔神に出迎えられた。人の身をとる異形の魔神、セルケトである。
「振り回してるってことは、サルガスは大丈夫ってことか? 刀身はくっついてるみたいだけど」
(まあ何とかな。お前さんも無事でなにより。いやしかし、フォカロルまで一緒っていうのはどういう状況だ?)
「この者は敵対した相手を自身の陣営に取り込んでいく習性があるようだから、あの魔神もそうなのだろう。アタシやお前、ニグラスと似たようなものだ」
白一色の地面で寝ころび予測をたてるのは、異形の魔物ネイト。
セルケト同様に人の身をとっているが、その姿は彼女とは違い黒髪が麗しい美少女である。共通点は少し暗めの黄色い瞳と、金のメッシュが入った髪の毛くらいか。
「ぶん殴り合ったんだけど、なんかこいつは俺のことを知らなかった……いや。ロウっていう肉親がいることは知ってても、俺がそうだとは思ってなかったらしくてな」
【ふんっ。襲い掛かった事実は変わらん。さっさと始末してしまえばいい】
【全くだ。何故我ら竜属が相手側の事情を斟酌せねばならん? 頂点たる我らにそのようなものは不要だ】
「君らはちょっと黙っといて」
先ほどまで殺し合っていたからか、竜たちの機嫌は頗る悪い。早いところ話を進めなければ。
そう思っていると予想外の人物が話を継いだ。セルケトである。
「ふむ。魔神ではなく人に育てられた故に、ロウの動向は追えていなかったということか。しかしそれなら、接点のない者を殺そうとするというのも妙な話に思える。魔神フォカロルは何故ロウを標的としたのだ?」
「んー。こっちにも色々事情があるんだけどね。まず確かめておきたいんだけど、お兄ちゃんたちはパパ……魔神ルキフグスに会ったことあるんだよね?」
「いや、見た記憶はないぞ。ひょっとすると、生まれたばっかりの時は会ってたかもしれんが、その辺りはさっぱり覚えてない」
「我もネイトも魔神とは無縁だ。ニグラスはかつて矛を交えたというが、遠い昔だと言っていた」
「そこからかー。こりゃまいったね」
人化しだんまりを決め込む竜たちをスルーして話していくと、フォカロルはツインテールを指先で弄び嘆息した。
「ん? 会ったことなかったら問題があるのか?」
「ええっとね、私が魔神を探してたのって、パパの仇をとるためだったんだよ。あの時感じたのは、間違いなく魔神の魔力だったから」
「は? パパを滅ぼしたって……ルキフグスって殺されてたのか!?」
「やっぱり、知らなかったんだ」
想定通りの反応だという彼女は、片眉をあげるウィルムや小首を傾げるセルケト、興味がないと大欠伸をするネイトを順々に見やる。
「なんだかここにいる人たち、反応薄いね。関心がないって感じ?」
「まあ昔戦ったことのあるウィルムやニグラス以外、接点ないだろうし。いやでもルキフグスが殺されたなんて、ティアマトさんだってバロール様だって言ってなかったぞ。本当なのか?」
「バロールはともかくティアマトって、あの大地竜のことだよね? お兄ちゃん、本当に魔神なの? そこの若い竜たちとも仲がいいみたいだし、色々おかしい気がするんだけど」
「それこそ色々あったんだよ。とにかく、ルキフグスが殺されたって話、詳しく頼む」
無理くり話を戻して聞いてみれば、ルキフグスが滅びたのは五年前。魔界でのことだったという。
父親と暮らしていたフォカロルは父と鍛錬に励むのが常であり、その日も模擬的な戦闘に明け暮れていたらしい。
力は上位魔神の域にあっても経験を伴わない彼女は、父に弄ばれ精も根も尽き果てていた。そこを奇襲されてしまったようだ。
「──魔界の赤い大地が一瞬で煮立つほどの“炎”の大魔法。初撃の爆炎と衝撃波で、私は気を失っちゃったんだ。目が覚めたのは全部終わった後で……地面が融解してできた溶岩の海の中に、頭のないパパの死体が放置されてた。生きてる私をほったらかしだったのは、パパと同じように溶岩に沈んでたからかもしれない」
淡々と語るフォカロルからは……しかし、隠しきれない怒りがにじみ出る。
ツインテールを揺らめかせ白い空間を侵食する“影”が、怒りに呼応するかの如く脈打つほどだ。
(彼女は父親と生活していたようですし、慕っていたのでしょうね)
それを奪われたとなれば怒りも当然。ましてや目の前であればなおのこと、か。
「はっ。魔神として好きに生きてきた報いだろう」
「フッ。当然の帰結であるな」
黒刀の念話を傍受して鼻で笑う馬鹿二柱。おめーらはマジ黙っとけ。
話を拗らせるトカゲどもを一睨みで黙らせた後、フォカロルへ無神経な質問を詫びる。
「辛いこときいて悪かった。話してくれてありがとな」
「ううん、平気。忘れるわけにはいかないから、しょっちゅう考えてるし。……冷静になってみれば、君が操るのは闇や光に雷魔法だし、火の魔法じゃないもんね。仇っていうのは無理筋だった」
「俺がやってないのは間違いないけど、火が扱えないってことはないぞ」
気分転換になればと、炎で山羊頭の魔神を創り出したり二頭を頂く異形の魔神を創り上げてみる。
しかし、返ってきたのはなんともいえない表情だった。
「火も十分に扱えるんだ。披露してくれたけど、それって私を襲った魔神の特徴の一つなんだけどね」
「今でこそこうだが、こやつが魔法を覚えたのはここ数か月の話だ。五年も前に魔神を滅ぼすなど到底不可能であろうな」
「そうなんだーって、数か月!?」
「やはりこうなるか」
「もはや見飽いた反応であるな」
「アタシと全く同じ言動。魔神も魔物も変わらないのか?」
感想に囲まれているフォカロルへ、ざっとこちらの事情を説明していく。
魔神ということに気が付いたのが二か月ほど前だということ、各地を旅してまわっていること。そして、最近になってようやく魔神として覚醒したこと等々。
「──という感じで、物凄~く濃い数か月の中で俺は鍛え上げられたわけだ」
「……。まさか、大陸そのものを揺らすような古き竜との激突が、お兄ちゃんの仕業だったなんてね。あの『神獣』と渡り合ってたし、今更疑いようもないけどさー」
「フォカロルも古き竜が相手ってことには気が付いてたのか。そういや、戦闘中も俺の魔力が魔神だって見抜いてたっけ」
彼女の反応を見て思い出されるのは、俺を見て“真紅”と驚いていたこと。俺の妹だという彼女もやはり、魔力の質を見極める「魔眼」を具えているのだろう。
考えに沈むのもそこそこにして、話を纏めにかかる。ここは外とは時間の流れが異なるし、竜信仰の問題がある以上、ここで長話はしていられない。
「俺とお前の事情を総合すると……仇を探してたお前が、ふらふらこの都市にやってきてた俺と偶然遭遇した。そんな感じか」
「実は偶然ってわけでもないんだよねー。私は事前に情報を掴んでた……いや、掴まされてたし」
「ん? 個人で行動してるわけじゃないのか」
俺の言葉に首肯した彼女は、予想だにしなかった名を口にする。
「衃神アノフェレスに、嵐神バエル。昔はパパと殺り合ったこともある、上位魔神だよ」
「アノフェレス……」「むっ」「ほう、『暴食』か」
フォカロルの口にした名は、いずれもが俺の知る魔神だ。
バエルという魔神はつい最近、火山平原で竜たちから聞いた存在。「暴食」の二つ名を持つだとか、豊穣神バアルが封じただとか、その豊穣神と手を組んでいるだとか言われるが……真偽は定かならない。
翻ってアノフェレスは、いつか夢の中で聞いた魔神である。バロールによく似た魔神の領地を攻めている、そんな話だったが……。
「ちょっと話が変わるけど、ルキフグスって別名みたいなの持ってない?」
「んー? 別名っていうと、『影食らい』だったり『光から逃げるもの』だったり、そういうのがあるけど。そうじゃなくて?」
「もうちょっと人の名前っぽい奴。ぶっちゃけ、レオナールっていう名前で呼ばれてたりしない?」
直截に言えば、深い茶色の瞳を点にして驚く褐色少女。心当たりがあるようだ。
「パパは人の世で動き回る時、レオナールって名乗ってた。お兄ちゃん、やっぱり会ったことあるの?」
「ない。ただ、一度だけレオナールを……ルキフグスを夢で見たことがあるんだよ」
あれは確か、エスリウとの死闘で魔力の殆どを使い果たした時だった。
もしかすると魔力が枯渇した拍子に父親から継いだ魔力が目覚め、その魔力に眠る記憶が呼び起こされたのかもしれない。あの一戦以降、魔力も濃くなっていたような気もするし。
しかしこうなると、あの時レオナールが会っていたのはやはりバロールということか。彼がそうであるように、彼女にもルネという人の名前があるのかも……?
「夢ぇ~? アヤシイなー。まあ時期的に考えて、お兄ちゃんがパパをどうこうするってのは無理って、分かってるけどさー」
「そこは俺が会ってないっていう状況証拠しかないし、本格的な証明はできないけども。話散らかして悪かった。お前に変な情報を流したっていう、魔神たちの続きを頼む」
「むー。強引だなあ、もう」
可愛らしくむくれたフォカロルだったが、表情を改めると説明を再開してくれた。
曰く、彼女はかの魔神たちと協力関係にあるのだという。
父親と敵対関係にあったことのある魔神と何故手を組んだのかといえば、彼らが襲撃犯でないことが確実だったから。彼ら二柱は火魔法が不得手で、ルキフグスを奇襲した時のような大魔法など到底不可能だったのだ。
フォカロルがバエルたちと相見え、協調するようになったのは襲撃から二年後。
そこから更に二年ほど調査を続けていくと、ルキフグスの知己であり娘の彼女も知ったる、ある魔神の容疑が強くなった。
「──上位魔神バロール。魔神の中でも最上位に位置する悪鬼。パパがいなくなった後の魔界浮いた土地、その殆どを得たのはあいつなんだ。そもそも魔神すらも滅ぼす火となると、あの『不滅の巨神』くらいしか思い当たらない」
「バロール様がねえ……」
少女が深紅の魔力を迸らせて語った名は、あろうことか魔眼の魔神バロール。ルキフグスの友人だ。
夢の中では随分と親し気だったし、俺としては少々考えづらい推測に思えるが……。
疑問に思ったのは俺だけではなかったらしく、魔神をよく知るウィルムが異議を申し立てた。
「『影食らい』とよくつるんでいたバロールが、奴を殺すか? 殺しうる能力があるのは確かだろうが」
「逆だよ。仲が良かったからこそ隙を付いて滅ぼせたんでしょ。そうでもないと、パパが殺されるなんてあり得ない」
ウィルムの投げかける疑問を強い口調で否定するフォカロルからは、父への強い信頼感が垣間見える。
上位魔神というに相応しい彼女がこれほどまでに評すなら、彼はきっと相応に強いのだろう。子の欲目というのも幾分あるだろうが。
──とにもかくにも。
「とりあえず俺の嫌疑は晴れたし、良しとするか。バロール様の件については置いておこう。おいフォカロル、まずは勘違いで俺を襲ったこと謝れよな!」
「「「……」」」
あの上位魔神を追及するのは骨が折れそうだと棚上げすれば、場を囲む全員からジト目が返ってきた。
(お前さん、もう何をかいわんやだ)
(あらゆることから逃避する。ロウらしいと言えばそうですが)
曲刀たちからもフルボッコである。
謝罪を促すにはまだ早かったらしい。さーせん。
◇◆◇◆
結局、フォカロルと一緒にバロールの下へ向かうことになった。
事情説明により俺がルキフグスを殺していないことや、バロールの手下でないことは証明できている。
が、バロールがやったかどうかについて俺は語る術を持たない。
彼女の娘エスリウとは友人関係にあり、彼女が娘を愛していることは俺も知っている。だから心情的には擁護したいが……過去、彼女は悪行の限りを尽くしたという事実がある。
下手を打てば再び骨肉の争いに発展するだけに、迂闊な発言は許されない。
「──魔神バロールか。一年前に殺り合った時以来だ」
異空間を出て大空へ舞い戻ると、こちらが心中複雑なことを知ってか知らずか、フォカロルはバロールの名を口にする。
「フム。どうやら眼下の都市には、バロールのみならず神と我らが同胞がいるようであるな。何事かあったのか、気配が入り乱れておる」
「えッ!? それ余波で街ぶっ飛んでんじゃねえの」
同行しているドレイクの爆弾発言を受け神速の魔法構築、超速の空間跳躍。
事前の段取りをすっ飛ばし、数千メートル下方の大地へ降り立つ。
「うおぉ~。荒れちゃあいるけど、神や魔神が荒ぶった感じではないな」
貴族街でひときわ大きい屋敷の屋根に立ち、ぐるりと見まわす。
贅を凝らした屋敷は半数以上が崩れ去り、瓦礫が散らばり石畳には亀裂だらけ。黒煙が立ち込め火の手が上がる様は、確かにただ事ではない雰囲気だ。
しかし、その水準はあくまで自然災害程度に収まる。神や魔神が力をふるえばこんなものでは到底すまず、貴族街どころか都市全体が真っ平らとなるだろう。
(お前さんの垂れ流す感想も、いつの間にやら魔神の基準となっちまったなあ)
(先ほどの戦い一つとっても天を裂き地を揺るがすものでしたからね。上位存在であればこれくらいの被害など、小競り合いの内にも入らないでしょう)
「そういう君らも、天から見下ろすような感じだろ」
などとやり取りをしているうちに、置いてけぼりにした面々が到着。
面子はフォカロルにウィルム、ドレイクだ。セルケトがついてきたがったが、アルベルトたちと鉢合わせる可能性を考えるとお留守番が無難であろう。
「ふむ。中々に荒れているな」
「あのなりそこないどもが暴れたのであろう。そこかしこに歪な魔力の残り香がある」
「あいつ、そんなに数がいたのか。バロール様のところに行く前に、まずはアシエラさんたち探さないとなー。そんじゃあドレイク、『竜眼』で探知よろしくー」
「我を小間使いにするとは、全く」
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追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
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「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
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