ショートショートアンソロジー

夜の輪郭

　夏目理沙は毎晩、不思議な夢を見続けていた。夢の中で彼女は、見知らぬ街を彷徨い、いつも同じ古い本屋にたどり着く。その本屋には「夜の輪郭」と題された一冊の本が必ず置かれている。

　ある日、理沙はその夢を日記に記録しながら、なぜ自分が毎夜同じ夢を見るのか疑問に思い始めた。彼女はインターネットで調べ、夢分析の専門家に連絡を取ることに決めた。

　専門家とのセッションの中で、理沙はその本が自分の内面に隠された恐怖と願望を象徴していることを学んだ。「夜の輪郭」は彼女が直面しなければならない、過去のトラウマと未解決の感情のメタファーだった。

　セッション後、理沙は再びその夢を見たが、今回は本屋で本を手に取り、ページを開いた。中には彼女自身の写真と共に、過去の出来事が詳細に書かれていた。彼女は夢の中で涙を流しながら、そのページを一つ一つ丁寧にめくっていった。