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絵と胃袋

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 公園の小さな池のそばで、伊藤華子(40歳、料理教室講師)は、友人の佐藤修二(42歳、画家)と共に、野外画を描いていた。修二は鴨たちの動きをスケッチし、華子は彼の隣でサンドイッチを作っていた。

「華子、君も絵を描きなよ」修二がそう言うと、

「修二、私は胃の中で絵を描いてるの。ほらこのアボカドとサーモンのサンドイッチ、絵の具みたいな色してるでしょ? 」華子がニコリと笑いながら言った。

「美味しそうだね。それにしても、君ばかり食べているじゃないか」修二は華子の手元を見ながら言った。

 そこへ、見知らぬ老紳士が現れ、「素晴らしい絵ですね」と修二のスケッチに声をかけた。彼の名前は山田浩司(68歳、元大学教授)で、現在は隠居生活を楽しんでいる。

「ありがとうございます。これはまだ途中なんですけどね」と修二が恐縮しながら返した。

「あなたの絵には生き生きとした動きがある。私も若い頃は描いていたのですが、今は見るだけです」山田が感慨深げに話し、華子のサンドイッチに目を移した。「おお、それは!」

「これは私の特製サンドイッチですよ。食べてみますか?」華子が嬉しそうに提供した。

 山田は一口食べて、目を輝かせた。「素晴らしい! 私の胃の中で、素晴らしい世界が広がっている!!」そして修二に向かい、

「お前さんの絵はこれと比べるとカスや!!」と言ったので修二は2人を池に突き落とした。
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