あちらの悪役令嬢は、前世が猫だったようです。

藤 都斗(旧藤原都斗)

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そうなるんですかね

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「さて、それよりも決めなければならない事があるな」
「そうですね、つまり私は極刑でしょうか」

 ぷなぷなと必死にしがみついてくるクロの頭をよぉーしよしよしと撫でながらご当主さまの言葉に答えるが、なんかキョトンとした顔をされてしまった。

 ダンディなおっさんのキョトン顔って誰が得するんだろう。
 あとクロの涎がじんわり染みてきてそれが外気に冷やされて地味に寒い。つめたい。

「何の話だねそれは」
「違うんですか?」
「娘がこれ程まで気に入っている存在を、どうして極刑に出来ようか」

 苦笑混じりにそう言って緩く頭を搔くご当主さまの雰囲気が、完全に娘の我儘に振り回されるお父さんだった。

 やったー! 無くなると思ってた首の所有権返ってきたー!
 内心では大歓喜&クラッカーをパーンしてすらいるが、そんなテンションを見せたくない俺は、キリッとした真剣な顔で食い下がった。キリッ。

「しかし……!」
「今回の事は此方から願い出た事だ、貴様が気に病むのは間違っている」
「……かしこまりました」

 言質げんち取ったぞやったー!
 ちなみに社会出るまで言質をコトジチって読んでました!
 だってそう読めるから!
 浮かれて脳内でそんな恥を思い返しながら、それでも外面には頑張って出さないように頭を下げる。 

「それより、貴様がどんな手を使ってでも勝ちたいと思う程クロエを愛している事は分かった」
「ファッ!?」

 余りにも突然投下された爆弾のような発言に変な声が出た。

「違うのか?」
「い、いえ、違わないですが、しかし」
「御託はいい、愛しているのかいないのか、ハッキリしているのはどちらだ」
「勿論愛してます」

 家族としてだけどな!!

「つまり婿養子に来る覚悟はあるという事だな」

 まあそうなりますよね!!

 婿養子とか完全に玉の輿である。
 だがそんな事よりも。

「クロと一緒に居られるのなら」

 これが一番の俺の本音だ。
 ただの補佐兼お目付け役なんて、どうしても限界があるのは少し前にも思った。
 ずっと一緒に居られるのなら、俺はその方が良い。

 その決意を察したのか、ご当主さまは、うむ、と大仰に頷いた。
 
「そうか、……慣習に則るなら公爵家の当主はクロエだが、前世返り同士の貴族の婚約、結婚となると異例だ」
「……前例は無いと?」

 言われてみれば俺が調べた時、確かにその記録は無かったように思う。
 とはいえ、他国の記録を調べるのなんて限界があるから、俺が見つけられなかっただけかもしれないが。

「聞いた事は無い、が、王城の記録に残っている物があるかもしれん、調べてみる価値はあるだろう」
「分かりました、許可申請をしてみます」

 ダメ元でやってみよう。
 別に無くてもいいけど、もし有った場合知っておいて損は無い。

「前例があるかどうかはともかく、……どちらが当主になるかは、話せるようになった時に話し合うのが一番良いのだがな」
「……はい」

 頑張るけど、いつ話せるようになるかなぁ。話したいなぁ、クロと。
 楽しみだなぁ、どんなお話してくれるんだろう。
 
「さて、これから忙しくなるな、婿殿」
「へァッ!?」

 ニヤリ、と笑いながらご当主さまからそんな呼ばれ方をされてしまった俺の口から出たのは、今まで出た事無いタイプの奇声だった。

 不意打ちで爆弾発言投下するのやめてもらって良いですかね!?
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