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秋の連休の中の平日午後、俺は学校から帰ってきて受験勉強を頑張っていた。

「いいくにつくろー鎌倉幕府~♪」

ちなみにうちの親は俺と妹を放置して夫婦水入らずで旅行に行ってる。

「ひとなみにおごれや~♪」
「富士山麓オーム鳴く~♪」

一応明後日には戻るって話だったが、どうせいつもの事だから休みの間ギリギリまで遊び尽くして帰ってくるんだろうな。1日学校を休めるならば俺も妹も旅行に行けたんだが、まぁこればっかりはしょうがないだろう。

「ヨロシクメカドック~♪」
「なんと見事な~」

コンコン

ん?人がノリノリで暗記してるのを邪魔するとは何て無粋な奴だ。確か今、家には俺と妹しかいないはずだが…あいつが俺に何の用だ?

「はーい何?」
声を掛けたらやっぱり妹がドアをノックしていたようだ。

「あのね、お兄ちゃん…今って暇?」
ドアを開けて妹が顔を出して聞いてきた。

俺の姿を見れば勉強をしていたのは誰でも分かると思うが…椅子に座り机に向かい、歴史の参考書を開いて年表を覚える為に声に出して読んでたのはドアの外にも聞こえていたと思うんだが、聞こえてなかったのだろうか?

「暇じゃないぞ。一応歴史の勉強していたが?」
「歴史の勉強だったの?でもなんか変なのが混ざってなかった?メカドック~とか富士山がどうって?」
妹がドアを大きく開いて部屋に入らずドアの所に立ったまま聞いてきた。

やれやれ、相変わらず素晴らしいスタイルをお持ちですこと。

「あぁ、あれは年表ばかりを続けて見てると同じカテゴリー情報が続いて記憶しづらくなるって話でな、時々違う情報を混ぜる事で年表情報だけがはっきりと覚えられるって勉強方法なんだ。けっこうお勧めだぞ」
「へーそうなんだ…」





はて?こいつ何しに来たんだ?

俺の年表を読み上げる声がうるさかったから注意でもしに来たのかと思えばどうもそう言う訳でもない感じ…と言うかなんとなく部屋に入りたそうな感じって言うか…なんか俺に視線をチラチラ向けながら何か言いたそうな感じだけど…

「なんだよ、何か用があってきたんじゃないのか?用がないなら部屋に戻れよ。俺まだあと1時間ぐらいは年表覚える必要があるんだから」
それにしても…なんで今日に限ってそんなに胸の大きさを強調する様な服装なんだ?
肩の辺りとか紐じゃんか。ついでにへそも出てるし…♡
お前がそんな体だから俺の好みがブレてしまって大変な事になってるんだぞ。反省しろよ?
心の中で少しだけ上目線で説教をしておいてから妹の生意気な体(93のGカップ)から頑張って意識を離す俺。





どうも妹は俺に部屋に入れって言って欲しいみたいだな。
自分からは俺の部屋に入りたいって言い出しづらいみたいで俺から入る様に言わせたいなんて考えてるのがなんとなく分かる。
そろそろ兄と妹の関係になって16年ぐらいか?妹が何を考えているかぐらいはなんとなく察せられる。
とは言いつつも結構な頻度で大間違いって事もまぁあるけどね♪

ちなみに妹の胸のサイズは洗濯物を干す時に嫌でも目にするので、自分から能動的に知りに行った訳では無い事をここに記しておく♪
ついでに言えばあいつが穿いてるパンツはMサイズだ♪たまにレースいっぱいのスケスケなのも使っていたり♡
そしてジーンズが確か28インチを穿いていた。確か穿いてる姿をチラッと見ただけなので俺の勝手な想像だが、ウエスト辺りが少しダブついていたので尻のサイズに合わせて買ったんだろう。


話を戻そう。実は妹が俺の部屋に入るのを躊躇するのには原因がある。


今年の春頃に俺が何気なく妹の部屋のドアをノックせずに開けてしまい、妹の下着姿…って言うか下着(パンツ)を下げて何やらこう…少々説明しづらい事をいたしていた姿を目撃してしまったという不幸な出来事があった。

おかげで俺はすごく怒られた。

一応俺は妹のしていた事に気付いてないふりをして下着姿を見てしまった事を大声でアピールしつつ謝った。
『お前のオナニー行為にはまったく気づいてませんよ!ドエロい下着を着ている事に驚いたんだ!だからお前のオナニー姿は一切見てない!』って感じになんとか話を誘導して、なんとかギリギリ騙しとおせた。
その結果、妹に『他人の部屋に入る時はドアをノックぐらいしなさい!』って懇々と説教されたって事があったんだが、あいつあの時たぶん…何か器具を使って楽しんでた感じだったんだよなぁ…

さすがに俺も、同じ家に住んでいる妹のそんな事をしている姿を見た事を双方向で認識してる状態で心穏やかに過ごせるほどに達観できている訳では無い。

そんな訳で、俺と妹の間には『俺はお前がオナってた事には一切気付いてません』というアピールと、『もしかしたらお兄ちゃん私がしていた事に気付いてる?』という疑念が漂い続けていたおかげで気軽に相手の部屋に行きづらい感じになってしまったんだ。


…実はあの日、俺のオナニー試行回数は歴代記録を更新してしまったんだよなぁ。
妹をそんな目で見てる訳では無いと思うのだが、なぜかそれ以降俺のオカズライブラリーに妹のあの姿が入り込んでしまったんだが…まぁそれはいいだろう。エロい体の妹がいる兄ならば分かってもらえるアルアル話みたいなものだろう♡


少しばかり触れづらい空気が漂ったせいで、それまで俺はたまに妹の部屋に行って妹が買って読んでいる少女漫画などを勝手に読んでいたのだが、それが出来なくなってしまったのがちょっと寂しかったんだよなぁ…あぁ、そうだ、あの時も何気なく新しい漫画が増えてないかと思ってドアを開けたんだったか…

まぁそんな訳で俺も妹もお互いの部屋には春以降半年ぐらいの間まったく入ってない訳で…

「どした?何か用があるんなら入れよ」
机に向いていた体をドアの方に向けて妹の方を見つつ入る様に言ってみたら妹はすごく嬉しそうな笑顔を見せた。


そう言えばこいつ、小さい頃はあんな顔で俺の部屋によく入ってきてたなぁ…
俺が中学に入った頃に自分専用の部屋をもらってから、毎日の様に妹があんな顔で俺の部屋に遊びに来てたのを思い出してほんわかしていたら、妹がちょっと赤い顔で俺に視線を向けずに小さな声でしゃべりながら入ってきた。

「あのね、ちょっとだけ手伝ってほしいんだけど…」

ふむ…手伝う?

「手伝う?勉強とか?」
妹は顔を左右に振って否定した。

「じゃぁ…ゲームを一緒にしたいなんて訳ないよな。人生相談的な感じ?」
「あー…ちょっと…そんな感じかなぁ?」
妹は少し考えながら答えた。

人生相談的なお手伝い…まさかこいつ…まさかもしかして、彼氏とか居るの??
「まさかお前ボーイフレンドとかセッ…フレンド的な人が居たりするのか?!」
俺に居ないフレンド的な関係の相手を妹が持ってる可能性に少し驚き聞いてみたら違っていた。

「そうじゃなくって…その…」
妹は赤い顔のまま俺の部屋に入ってきて俺のベッドをじっと見て、おもむろにその下に手を突っ込んで何やら探しはじめた。

「おいやめろ。そこを探すな。そこは女禁断の地だ。ましてや妹が足を踏み入れてはならない性なる…聖なる地だ!ってちょっとまてぇい!!」

俺に言われたから手を引いたのか目的のブツを見つけたからかなのか分からないが、妹がベッドの下から出した手には俺のオナニーグッズの数々が入っている箱が握られていた。

そして妹は、たぶんだが、勝ち誇っていると言うか…安心したって感じの顔をしながら箱を俺と自分の顔の間に持ち上げつつ俺を見てきた。

「お兄ちゃんがこの中身を使って楽しんでる事は知ってるから安心していいよ」
とてもいい笑顔でこんな事を言われても安心なんてできないよね?

でもこいつ…なんでこんな俺のオナニーアイテムをわざわざ引っ張り出して兄と妹という関係にヒビを入れかねない行動に出たんだ?
俺が半年前にあれだけ頑張って妹のオナニー行為に気付いてないアピールまでして怒られるに甘んじたあの献身的行為を完全に無視するような行為をなんでやっちゃったの?

「とりあえずその箱はそのままゆっくりと俺に渡すんだ。っておい?!何開けてんの?!」
俺がゆっくり手を差し出し立ち上がると妹はその場に箱を置いて開けやがった!

「やめろぉ!!!」
俺はここ最近勉強ばかりしていたが、直線3m走の自己新記録を出せたんじゃないだろうか。

「その…お兄ちゃんも…ろっ…ローションとかアナルストッパーとか使うんだね…まさかそんなのが出て来るっとはその…思ってなかった…」
俺は妹の手から箱を取り上げベッドの下に速攻で放り込もうとしてまた妹に取られる可能性に気付き、机の一番下のカギが掛かる場所から入っていた物を机の上に放り出して箱を封印した。

ハァハァ…アブネェ…
危ないも何も完全に中身を見られているのでアウト判定が出ているが、目の前から危険物が消えただけで何となく安心してしまった俺だった。

「お兄ちゃんってこんな本とかまだ持ってたんだね。これって私が小学校の頃にお父さんの部屋から取ってきたやつだよね?」
「だからお前はなんでそんなにエロにオープンなの?!っていうかなんでその事を知ってるの?!」
俺は今封印場所から引っ張り出したエロ本の山を抱え、妹の手にある外人さんがOh♡yes♡な危険物も奪い部屋の隅に逃げた。


「でも…お兄ちゃんがエッチでよかった♡」


あれっ?妹にとっては俺がエッチなのはいいことなのか?普通の妹は…こう言ったら俺の妹が普通じゃない感じだけど、でも…家族のエロ関係の行為ってあまりこう…好意的な感じには受け入れられ辛い感じだと思ってたんだけど?

「なぁみお、お前って俺がエロい事をしてるのって…嬉しいの?」
この聞き方は何か変だな…澪も『今自分は何を聞かれたの?』って顔をして首を傾げてる。

「ちょっと質問がおかしかったな、聞き直そう。澪、お前って俺がエッチなの…って言うかそんな事をしてるのが嫌じゃないの?」
「なんで?別にオナニーぐらい誰でもしてるでしょ?」

そんな事を言う澪の声は震えていて顔が真っ赤だった。



「まぁお前がそう言うならいいけど…それで?お前の用件は俺のエログッズを確認する事だったのか?そう言えば何か手伝って欲しいとか言ってたけど…?」

俺はこの時幾つかの予想というか可能性に気付いていた。

わざわざ俺のエログッズを引っ張り出してから話を始めた事を考慮するに、たぶんエロ方面の内容だろうと思う。エロ方面のお手伝い…軽い内容のお手伝いを想像すると…背中にエッチな絵とか、文字を描かれてしまい、それをお風呂で消してほしいとかなんとかって感じのものとか?
まぁでもそんな事を書かれる女の人って、俺の知ってる動画では大勢の男に凌辱の限りを尽くされてる感じだったりするので、妹がそんな事をされているというのは正直勘弁してほしい。単に安心できるって言葉の意味として、前側は自分で見ながら消せるけど、背中とかなら見えないから体を隠しつつ俺に消してほしいって感じに考えてここに来たっていう、俺と妹の今後の関係に優しい状況ってだけだ。
そして俺が想像できるエロ方面で俺が何か手伝えそうな事って考えると、その中でも一番ヤバそうなのが体の中に何かを入れてしまい取れなくなったから手伝って欲しい系。
女の体には一応3ヶ所ほど何か入れられそうな場所がある訳で、その部位によってはけっこう危険な状況になりかねない訳なんだが…

「先に聞きたいんだけど、手伝うのは…何かを消す系?それとも取り出す系?それ以外ならそれ以外で安心できる…かもしれないけど」
聞いていてふとそれ以外の『戻れない系』の可能性(お兄ちゃんの赤ちゃん欲しいの♡系)に気付いてちょっと引いてしまったのは俺のエロ知識の深さのおかげというか…とりあえず澪は少しだけ赤い顔で俺をチラチラ見ながら顔を床に向けて小さな声で答えてくれた。


「一応取り出す…系?かな?」


そうかぁ…倫理的には大丈夫…かどうかまだ分からないけど、どうも若干ヤバイ系のお願いみたいだ。
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