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淀み①
しおりを挟むそんなこんなで、陣痛間隔が5分になると、なぜか陣痛が弱くなってしまった。
五母「ひなちゃん、さっきから陣痛遠のいてるわよね。悠仁、ちょっと先生呼んで」
お母さんもすぐに気がついて、悠仁さんがナースコールをし、
真菰「ひなちゃんどう~?」
まこちゃんが来てくれて、
五条「陣痛が急に弱まってて……」
真菰「本当ですね……。先生呼びます」
まこちゃんが宇髄先生を呼び、
宇髄「うーん……陣痛弱いな……。子宮口はいい感じに開いてきてるんだが……促進剤入れようか」
内診もエコーもしてもらって、促進剤を使うことに。
宇髄「促進剤で一気に痛くなると思うから、麻酔も一緒に入れていくな」
促進剤に加え、麻酔もここで入れ始めてもらい、
ひな「あれ、麻酔のボタンは?」
宇髄「ん?」
ひな「自分で痛くなったらボタン押すやつじゃないんですか?」
宇髄「あ~。それにすると、ひなちゃんパニックですぐ麻酔足しそうだから。こっちで管理する」
五条「確かに」
ひな「うっ……。でも、どうせ一定時間ごとにしか出ないじゃないですか……」
宇髄「一定時間つったって、そのたびに麻酔追加して、いざ一番苦しいって時に使えなくなったらどうする?」
ひな「おっしゃる通りです……」
宇髄「だろ?ちゃんとコントロールしてあげるから、ひなちゃんは気にせず集中したらいい」
なんて話ながら、しばらく様子見。
けれど、相変わらず陣痛は弱いままで、促進剤を追加。
すると、
ひな「ゔっっ……ハァハァ、んん"……っ……」
今度はとても良く効いて、麻酔が追い付かないくらいに。
ひな「ふゔっ……、あ"ぁー…………んんん"~……っ!」
五母「悠仁、先生呼んであげて」
五条「わかった」
五母「ひなちゃん、力抜ける?ふぅ~ってしようか」
ひな「ハァ、ハァ……ふぅ~、ん"~っ、あ"ーーっ……!」
五母「痛いね。今一気に陣痛進んでるからね、大丈夫よ」
急に襲われたこれまでとは違う痛みに、さっきまで話せてたのが嘘みたいに余裕がなくなるわたし。
五母「声は出てもいいから、力入れないようにね。ふぅー、ふぅー……」
ひな「ふぅぅ……っ、んっ……ゔ、ふぅ、ハァ、ふぅ……」
お母さんが誘導してくれるのになんとか付いていき、
宇髄「よしよし、進んできたな。ひなちゃん陣痛いい感じだからな。麻酔足すからね」
と、麻酔を足してもらう。
ひな「ふぅ~…………すぅ、ふぅ~……」
五条「ちょっと落ち着いたか?」
ひな「コクッ……」
麻酔が効いて、痛みが遠のいて、ゆっくり深呼吸するわたし。
宇髄「今陣痛来てるけど痛くないか?」
ひな「はい、大丈夫です……」
宇髄「よかったよかった。麻酔効いてきたな。痛いの我慢しなくていいからね。痛くなったらまた教えて」
ひな「はい」
無痛ってすごい……。
さっきの痛みを考えると、無痛にしてよかったかも……。
なんて思いながら、穏やかな時間を過ごす。
ひな「宇髄先生?」
宇髄「ん?」
ひな「あとどのくらいで産まれますか?」
宇髄「ん~、そうだな~……」
部屋の時計はもう23時。
病院に来たのがまだ午前中のうちだったから、なんだかんだ丸半日。
聞かれて困る質問だとわかりつつ、いざとなると聞いてしまう。
宇髄「朝には産まれてくれたらと思うけど、どうだろうな」
五条「母さん、今のうちに一旦帰るか?ひなも落ち着いてるし、まだ時間かかるだろうから、風呂入って休んだら?」
五母「そうねえ、でもひなちゃん大丈夫?」
ひな「はい。悠仁さんもいてくれてますし、麻酔が効いて眠れそうなくらいなので」
五母「そう?そしたら一度帰ろうかしら。でも、少し休んでまた来るからね」
ひな「はい、ありがとうございます」
五条「何かあったら連絡するから。送ろうか?」
五母「いいわよ。大丈夫だから、あなたはひなちゃんといてあげなさい」
と、まだまだ時間はかかりそうなので、お母さんは一度帰宅。
すると、入れ違いになるように、
藤堂「ひなちゃん」
白衣姿の藤堂先生が来てくれて、
藤堂「当直暇だから様子見に来た。落ち着いてそうだね」
ひな「今朝はありがとうございました。おかげさまで」
藤堂「今どんな感じなの?」
宇髄「陣痛5分間隔で子宮口6cm。自然な陣痛だけで来てたんだが、弱まったんで促進剤入れて麻酔も入れて、少し前に落ち着いたところだな」
藤堂「そうでしたか。頑張ってるね、もうすぐだね」
ひな「はい」
***
——数十分後
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン……
宇髄先生と藤堂先生が部屋を出て、悠仁さんと2人きり。
静かな部屋に、モニターから赤ちゃんの心拍数が響く中、
五条「ひな?」
ひな「はい?」
五条「ありがとうな」
ひな「なに、急に……」
五条「2人で過ごすのも本当にもうあと少しだな」
ひな「はい。ちょっと寂しいけど、楽しみですね。赤ちゃん、どっちに似てるかな」
五条「ひなに似てるよ、きっと」
ひな「わたしに似ると大変ですよ?」
五条「ま、それもそうだな」
ひな「なっ、ひどい!」
五条「ははっ」
ちゅっ……
ひな「んっ……、もう……」
最後の2人時間を過ごしていると、
コンコンコン——
真菰「失礼しまーす」
まこちゃんが来て、
真菰「ちょっと確認するね~」
陣痛モニターをチェックするまこちゃんが、
真菰「あれ……?」
五条「ん?」
ひな「まこちゃん……?」
真菰「ひなちゃん、また陣痛止まってるね。先生呼ぶね」
と、宇髄先生にその場でコール。
宇髄「陣痛弱い?」
真菰「はい。20分くらい前から弱まってます」
ひな「どうしよう……気づかなかった……」
宇髄「大丈夫だ。麻酔も入れてるから、ブレーキがかかることはよくある。ちょっとごめんな、息吐いて~」
と、また内診。
宇髄「子宮口変わりないな。赤ちゃんは元気そうだから心配ない。ただ、あまり長引くのは避けたいから促進剤は足すな。また痛くなると思うけど、麻酔も調整するから頑張ろうな」
ということで、今度は少し強い促進剤を入れることになり、
ひな「ハァ、ハァ……っゔ」
真菰「ひなちゃんゆ~っくりね」
ひな「すぅ、ゔゔっ……ふぅ~」
真菰「うん、そうそう、上手だよ~」
これまた強い痛みに襲われて、麻酔を足してもらったと思えば、
ひな「うっ……」
五条「ひな?」
ひな「やばい……は、吐きそう……」
突然気持ち悪くなって、吐き気に襲われる。
真菰「ひなちゃんお腹痛い?」
ひな「フリフリ……」
真菰「痛くはない?」
ひな「コクッ」
真菰「ちょっと身体起こしてみようか」
麻酔が上手く効くように、ベッドでずっと仰向けになっていたわたし。
吐いても大丈夫なように上体を起こし、
真菰「出しちゃっていいからね」
宇髄「ひなちゃんどした」
真菰「急に気分が悪くなったようで」
ひな「目が暗くなる……っ、ハァハァ、どうしよ……」
宇髄「うん、大丈夫大丈夫。落ち着いて深呼吸しよう」
パニックになりかけるのを先生たちに落ち着かせてもらって、少しすると気持ち悪さがスーッと引いていき、
宇髄「陣痛の痛みは無いな?」
ひな「はい……」
宇髄「であれば、カテーテルが圧迫されて、迷走神経反射で気分悪くなったかもしれんな。このまま座った姿勢の方がいいかもしれん」
ということで、ここは一件落着。
でも、またまた今度は、
宇髄「ひなちゃん痛みかなり強い?」
ひな「コクコクコクッ……はぁ、はぁっ、もういきみたいかも……っづ」
宇髄「ちょっと待ってよ。内診しよう」
って、内診してもらっても、
宇髄「7cm。まだいきむの我慢してな。頑張って逃そう」
こんなに痛いのにまだ7cmで、麻酔を追加してもらったら、
ひな「うっ……、オエッ……ゴホッ、うっ、オエッ!!」
痛みは落ち着くのに、また気持ち悪くなって、今度は本当に吐いてしまって、
宇髄「吐き気止め足してるけどまだ気持ち悪い?」
ひな「ハァ、ハァ……コクッ……」
宇髄「これ以上は麻酔が合わんかもしれんな……。1回麻酔やめてみる?その代わり、痛いのは我慢しないといけないけど……」
麻酔のリスクは出産前からわかっていた。
わたしは過去に麻酔で気持ち悪くなった経験があるから、こうなる可能性は十分にあった。
それでも、宇髄先生や、藤堂先生や工藤先生とも、もちろん悠仁さんとも。みんなでたくさん相談して考えて、無痛の方がメリットが大きいねと無痛に決めて、麻酔に関しては、最初から吐き気止めを入れてもらって対策していた。
けれど、麻酔の量が増えてくると、やはり身体が拒み出してしまったよう。
試しに麻酔をやめてみたら、
ひな「ゔぅっ……!はぁ、はぁっ、もっと押して……っ!」
五条「ごめんっ、こうか?」
ひな「んづ……っ、違っ……、もっと上……!!」
悠仁さんに当たってしまうくらい痛くて、
ひな「やっぱり麻酔したい……」
痛みに耐えるのが辛くなって麻酔を入れてもらったら、
ひな「うっ……、っ、オエッ!!」
当然のように気持ち悪くなってしまい、
宇髄「ひなちゃん、どっち取る……?痛いのと気持ち悪いの」
究極の二択を選ばないといけなくなり、
ひな「痛いの……頑張る……」
もともとは陣痛に耐えて産むつもりだったんだから。
痛いのもつらいけど、吐き気が続くのはつわりで懲り懲り。
麻酔を中断して、陣痛に耐えることに。
けれど……
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