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逆巻く波濤
しおりを挟む宇髄「すまんな、神崎……」
神崎「とんでもない。いつでも大丈夫です。出てきてくれさえすれば、後は必ず」
本当なら、まこちゃんと俺と母さんと、時々宇髄先生くらいの感じで、とっくに産まれていて欲しかった。
それなのに、ついに神崎先生も。
お産は何があるかわからない。
医学が進歩したって、人間の身体は何百年もそう変わってない。
最悪のことが起こるかもしれないと、心臓を掻きむしって叫びたいほど気が狂いそう。
でも、黒柱が、最高のメンバーが集結してくれたんだ。
母子ともに何があっても、絶対に大丈夫。
一体どこに汗をかいてんだか。知らぬ間に濡れていた目元と頬を肩で拭い、黒柱と、ひなと我が子を信じて、ひなの手を握り締めなおす。
ひな「はっ、ハァッ、……っ、あ"っ、ハッ、ハァッ……」
藤堂「ひなちゃん、深呼吸にしよう。はぁーはぁー、息吐いてごらん。吐くほう意識だよ」
藤堂先生が呼吸の管理をするも、呼吸の仕方がわからなくなっていて、ひなは完全にパニック状態。
ひな「赤ちゃん、出てこない……っ」
五条「大丈夫大丈夫。赤ちゃんちょっと休憩してるって。ひな大丈夫……」
手をギュッと握り、頭を撫で、落ち着かせて励ますも、
ピピー、ピピーッ——
モニターのアラームが鳴り、
ひな「なんか鳴ってる……っ、ハァハァ、赤ちゃんは……?」
藤堂「ひなちゃんマスク外さないで。酸素しっかり吸おう、ね。苦しいから」
ひな「赤ちゃんなんで出ないの……っ?」
って、痛みと不安と恐怖でひなはぐっちゃぐちゃ。
工藤「押し戻してカイザーしますか……?」
宇髄「いや……」
ひな「ハァ、ハァ、ゔっ、ああ"っ……、んん"~づ……」
未だとめどなく押し寄せる陣痛の波と、身体中を襲う痛みに飲まれ、
ひな「ハァハァ、出して……もうどうなってもいい……ハァ、ハァ、切っていいから出して……ゔゔっ、あ"っ!!」
もうお腹の子だけ。
いっそ自分は死んで楽になればとでも言うようなひなを見て、
宇髄「工藤、藤堂、母体の管理頼んでいいか?このまま出す……」
宇髄先生は、覚悟を決めたように言い、
宇髄「ひなちゃん、苦しいな。今な、赤ちゃんの肩が骨盤に引っかかってるんだ。でも、もうこのまま産もう。みんな付いてるから、これで最後だから、もう少しだけ頑張って、ひなちゃんが産もう。先生が絶対に産ませてあげるから」
と、ひなに。
宇髄「ひなちゃん、合図したら思いっきりいきむよ?吸ってー」
ひな「すぅー」
宇髄「よし、いきんで」
ひな「っ……、ゔゔ~……っ、あ"あ"————っ!!!」
俺はひなの手を握りながら頭を支え、藤堂先生と工藤先生はひなの脚を持ち上げて、まこちゃんはひなのお腹を押し、お袋は傍で祈るように見守り、神崎先生は産まれた子をすぐに処置できるようにスタンバイ。
そして、宇髄先生はひなに負けないくらいの汗をかきながら、とてつもない集中力で胎児と対峙する。
ひな「っ……く、うううううぁぁあああ"っ……!」
ひなは身体を殴られながらぶっ刺されながら引き裂かれるような、表しようのない感覚に襲われているだろう。
呼吸はばらけて、声は割れて、音があるのか無いのかわからないような叫びを上げる。
そして、
"絶対に産ませてあげるから"
宇髄先生のあの言葉から数分後。
宇髄「……っ、よし出たっ!肩出たよ、ひなちゃん産まれるぞ!!」
宇髄先生の声とともに、
ひな「あ"あ"————っ!!!」
ひなの最後の叫びが響き渡り……
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