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主治医と看護師
しおりを挟む*ひなのside
——2日後
んんっ…………ん、あれ……?
部屋がこの前と違う……?
「あっ!ひなちゃん、目が覚めた?」
目線を横に向けると若い女の人。
誰……?
「私は冨岡真菰(とみおかまこも)です。ひなちゃんを担当する看護師だよ。真菰って、わたしの名前変わってるでしょ?まこちゃんって呼んでね!」
まこちゃん……
この嘘偽りのない瞳と笑顔は一眼見ただけでわかる。
100%信頼していい人だって。
真菰「お部屋変わってびっくりしたよね。ごめんね。覚えてないかな?今朝、ICUっていうところからこの小児科のお部屋に移ったんだよ」
言われてみれば……
目が覚めてから、身体についてたいろんなものを外されて、怖いって思ってから記憶がない。
真菰「すぐに先生呼ぶから、ちょっと待ってね」
と言って、まこちゃんがどこかへ電話をかけると……
コンコンコンッ——
1分も経たずして、先生が部屋に来た。
五条「目覚めたか。具合どうだ?今しんどくないか?」
この人……誰、だっけ……?
この低い声は聞き覚えがあるけど……。
五条「……俺のこと覚えてないな?五条悠仁。主治医だから覚えとくんだぞ」
五条先生……
名前はわかったけど、主治医ってなんだろ……?
五条「いろんな先生がいるけど、基本的には主治医の俺が診る。具合が悪くなれば、まずは俺に言えばいい。看護師もたくさんいるけど、担当はまこちゃんだからまこちゃんに頼ればいい。わかったか?」
……コクッ
五条「そしたら、胸の音聴くから前開けて」
え……?
五条先生がステートを首から外してる。
それを見て、考えるより先に両手で胸をギュッと掴んでた。
真菰「ひなちゃん、大丈夫だよ。ちょっとだけ頑張ろっか」
と、まこちゃんに手を掴まれたと思ったら、あっという間に病衣がめくられて、何が起こったのかわからなくて固まってしまい、身体もブルブル震え始めた。
そして……
ビクッ……!!
チェストピースが胸に触れた瞬間、身体がビクッと跳ね上がった。
五条「深呼吸して」
と言われるけど、怖くてしかたない。
五条「深呼吸できなくてもいいから、息はしなさい」
息を止めてる自覚はないけど、止まってるみたい……。
すると、まこちゃんがわたしの手を握ってくれて、
真菰「ひなちゃん、大丈夫だよ。怖くないよ」
って、すごく優しい手で……。
聴診が終わってホッとしたのも束の間、今度は首を触られ、目の下もめくって見られる。
この流れるような動きについていけず、わたしはもうされるがまま……。
そして、いつの間にやら診察は終わったようで、
五条「今まで病院に通ったことはあるか?」
と、突然聞かれた。
もちろん、首を横に振る。
五条「咳が止まらなくなったり、苦しくなることがこれまでにもあっただろ?どうしてたんだ?」
どうしてたと言われても、何もしてない。
ただ治まるまで耐えるだけ。
五条「……いいか?君は喘息という病気なんだ。2日前に倒れたのも、喘息の発作が原因。しばらく入院して治療するが、この病気とは今後もずっと付き合って行くことになると思う。だから、しっかり向き合ってほしい。放っておくと命にも関わってくる。現に2日間意識がはっきりしなかった。わかったか?」
え……?
それって、ここへ来てもう3日目ってこと……?
そして、わたし病気なの…………?
突然のことに頭も心もついていかない。
五条「この後、いくつか検査を受けてもらう。寝てる間に済ませたのもあるが、まだやらなきゃいけないことがあるんだ。準備ができたらまた来るから、それまでベッドでゆっくりしてなさい」
真菰「ひなちゃん、もし何かあったらこのナースコール押してね。そしたらすぐに私が来るからね」
コクッ……
***
その後、どのくらい時間が経ったのかはわからない。
とにかくぼーっとしてたら、五条先生とまこちゃんが来て、車椅子でいろんな部屋に連れて行かれた。
身長を測って、体重を測って、レントゲンを撮って、機械をくわえて息を吸ったり吐いたり……。
喉を診られてオエッとなって、謎の煙を吸わされてゲホゲホなった。
初めて会うのに、なぜかわたしの名前を知ってる先生もいたりした。
全部終わって部屋に戻ると、窓の外にはすでに夕焼けが広がっている。
五条「よく頑張った。疲れただろ。今日はもうゆっくり休みなさい」
うん……なんかすごく疲れた……。
自分が何してたか、何されてたかも記憶が曖昧だけど、とにかくもう眠たい……。
まこちゃんが布団をかけてくれると、わたしはそのまま夢の中に落ちていった。
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