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彼女の正体とDoctors ②
しおりを挟む*ひなのside
ピッ……ピッ……ピッ……ピッ…………
真っ白な天井
淡いグリーンのカーテン
一定のリズムを刻む機械音に
身体にはいろんなものがつけられてる。
ここ、どこ……?
と思ったら、誰かに声をかけられた。
五条「ひなのちゃん。……ひなのちゃん、わかるか?」
……この人は、誰?
五条「気がついたか?ここは病院だ、もう心配いらない。俺はひなのちゃんの担当になった五条悠仁だ」
病院……?
そうだ、わたし救急車で運ばれて……ってことは、この人はお医者さんか。
ひな「ハァ……ハァ……ケホッ、ッハァハァ………」
あれ……なんか苦しい……
五条「大丈夫か?苦しい?」
ひな「ハァハァ……ケホケホッ……ッハァ…………ハァ、ハァハァハァ……」
わたし、また息ができなく……
***
*五条side
「ハァハァ、ヒューヒュー……ケホケホッ……ハァハァ、ケホケホッ!! ッハァ、ッハァ……」
「ひなのちゃん?おい、聞こえるか!?ちゃんと呼吸しろ!」
「悠仁、大丈夫!?」
「藤堂先生!」
藤堂悟(とうどうさとる) /内科医
柔らかい雰囲気と心地よい声を纏っており、紳士で大人な白衣の王子様。学生時代は五条と同じアメリカの大学で学んだ、五条をよく知る先輩。
藤堂もまた、搬送時にひなのの処置に当たっており、様子を確認しに来たところだった。
藤堂「悠仁ちょっと場所変わって、俺が診るよ。……ひなちゃんわかるー?苦しいね。ちょっともしもしするよー」
そう言って、藤堂先生が病衣を捲ろうと、ひなの胸元に手をかけた瞬間……
ビクッ……!!
ひなはビクッとして身体を震わせ始めた。
ひな「ッツ……い……ゲホッ……ハァハァ…………や……ゲホッ……ハァハァ…………」
藤堂「ごめんねひなちゃん、ちょっとびっくりしたかな?大丈夫怖くないよ。胸の音聴くだけだよー」
今、ひなの意識はあまりないはず。
それなのに、ひなは触られるのが怖いのか必死に抵抗してる。
ひな「ハァハァ、や……ゲホゲホッ……ハァハァ、めて……ゲホゲホゲホッ……」
藤堂「ひなちゃん大丈夫だからね。ゆっくり呼吸してみるよー。スーハーできるかな?」
ひな「ハァハァ……ゲホゲホゲホッ……や、ハァ……ハァハァ……だ、アッ…………」
藤堂「ひなちゃん、しっかり呼吸して!ひなちゃん!」
五条「ひな!?ひな!!」
ひな「ハァ……ッ……ハァ………ハ……ァ………」
恐怖に怯えてさらに発作が激しくなったひなは、呼びかけに応じることなくまた意識を失ってしまった。
***
しばらくして、ひなの容体が落ち着いた後、俺は藤堂先生と揃って会議室に呼ばれた。
コンコンコン——
「「失礼します」」
中に入ると、宇髄先生、工藤先生、そして、神崎先生が座っている。
神崎秋斗(かんざきあきと) /小児科医
小児科医らしく、明るくていつもニコニコした優しい先生。基本的にノリが軽くて適当そうに見えているが、根は真面目で優秀な医師。意外とスパルタな面も。
神崎「なるほど。藤堂先生と五条先生が来たと言うことは、"黒柱"が全員集められたってわけね」
"黒柱"
五条悠仁
宇髄達弥
工藤七瀬
藤堂悟
神崎秋斗
若手ながら確かな腕でその名を轟かし、ノワールの医療をトップで支えるこの5人は、通称《黒柱(くろばしら)》と呼ばれている。
ノワール(Noir)はフランス語で"黒"という意味。
柱が活躍する某人気アニメにハマったベテラン看護師が、ノワール国際病院の柱的存在ということで《黒柱》と呼び始めたのがそもそものきっかけ。
すでに注目を浴びていた彼等なので、黒柱という呼び名もあっという間に広まり、今では一目置かれるまでになった。
全員、優秀な上に背が高くてイケメン。
才色兼備な彼等は、それぞれ個性もあって最高の医師である。
そんな黒柱の5人が、急遽、院長に集められたのだ。
そしてなぜ集められたのかは、皆すでに検討がついている。
コンコンコン、ガチャッ——
「みんな、おまたせ」
「「院長、お疲れ様です」」
会議室のドアが開くと、五条、宇髄、工藤、藤堂、神崎の5人は一斉に立ち上がって会釈した。
院長「あぁ、立たなくていいよ座って。忙しいのに集まってもらってありがとう」
入ってきたのは、病院長の小野寺蒼。
その後ろには、弟で産婦人科医局長の小野寺蓮と、妻で小児科医局長の小野寺りさが続く。
院長「さて、君たちならもう何の話かわかってるね。栗花落ひなのちゃん。栗花落杏寿郎先生のひ孫、前院長のお孫さんだ。ご両親もノワールの医師としてアメリカにいたが、テロに巻き込まれて亡くなった。前院長も亡くなってからは、五条先生の元から親戚へ引き渡され暮らしてたはず、だったが…今朝、うちに運ばれてきて虐待が発覚。ここまではいいね?」
黒柱「「はい」」
院長「よし、では本題に……。さっき警察から連絡があったよ。伝えられたのは2つ。虐待していた犯人が捕まったということ。それから、ひなのちゃんを施設に入れる手続きをしたいということ」
五条「待ってください、院長。俺がひなを引き取ります。これ以上、どこの誰かもわからないとこへ預けるわけにいきません」
宇髄「五条!院長の話は最後まで聞け!」
院長「宇髄先生ありがとう。でも大丈夫。五条先生、そのことは、すでに君のお父さんとうちの豪があっち(アメリカ)で会話したようでね。君のお父さんも、ひなのちゃんを引き取りたいと言っているそうだ」
五条の父と、院長のもう1人の弟である豪は同期で仲良し。
今は2人ともアメリカの病院で勤務している。
藤堂「それならもう安心ですね。ただ、退院できるようになるには治療が必要で時間もかかる。ひなちゃんのケアを僕たちにということですね?」
院長「その通り。ノワールの血が流れる大切な子だ。黒柱の君たちが全力で守り抜くこと、いいね?」
黒柱「「かしこまりました」」
りさ「ICUの後はうち(小児科)に入れるから、担当はこのまま五条先生で。五条先生、よろしくね?」
五条「承知しました」
蓮「それじゃあ解散!よろしくね、黒柱のみなさんっ」
院長、りさ、蓮の3人は、最後にニコッと笑い会議室を後にした。
神崎「……あのさ、俺たちって院長達にまで黒柱って呼ばれてんの?」
宇髄「柱、柱ってみんな言うが、俺からしたら院長達の方が柱なんだが?もはや、大黒柱と言ってもいい」
工藤「最後にニコッと笑った3人の目見た?ひなちゃんに何かあれば承知せんとでも言うような……。あー怖い怖い。宇髄先生の言うとおり、ありゃ大黒柱様だわ」
宇髄「ははっ。そうだろ?」
藤堂「でも、初めてですよね。こうして5人一緒に呼ばれるなんて……。それくらい、ひなちゃんは我々にとって特別な子なんでしょう。ね?悠仁」
五条「……俺は、ICUに」
ガチャッ
バタンッ——
宇髄「……あいつ、大丈夫か?」
藤堂「短い間とはいえ、一時は家族として過ごしていたんです」
工藤「それが、あんな姿で目の前に現れたんじゃ、さすがの五条先生もああなるかー……」
神崎「クールな五条先生のツンデレが発動しますね~」
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