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まだ始まらない恋の始まり②
しおりを挟む*五条side
~小児科医局~
工藤「五条先生、大丈夫?」
神崎「わかっててもショックだったんでしょ?ひなちゃんのこと」
……図星だ。
ひながアイツに強姦されたことなんてもうわかってた。
ひなには一切聞かなかったが、生理で倒れて手術になったあの時、誰がどう考えてもそういうことだった。
でも、ひなの口からいざ強姦の事実を聞くと、ひなの恐怖や苦しみが鮮明に伝わってきて、胸が苦しくて仕方ない。
五条「大丈夫です。今1番辛いのはひななんで。ただ、心も身体も、良くなったと思ったら何か起きるし、過去に引き戻されもする。後にも先にも、ひなには辛いことばかりで俺は何もできなくて。これからもひなにどうしてあげたらいいのか。幸せにできるかなって」
宇髄「あのなぁ、五条。お前がそんなこと言ってどうすんだ。ひなちゃんのこととなると、本当になんでそうなるんだ」
藤堂「何もできないどころか、悠仁はなんだって出来るし、してあげてるでしょ。身体は俺たちでも治せるけど、ひなちゃんの心を癒せるのは悠仁だけだよ。ひなちゃんの特効薬は悠仁だからね」
神崎「さっきだって、口では嫌と言いながら、五条先生から離れられなかったよね。これからもそばにいてあげるだけでいいんじゃない?」
五条「もちろん、ずっとそばにいます。この手から二度とひなを離しません。でも、ひなを幸せにしてあげたいのに、その自信がないんです。ひなの過去の威力があまりにも強くて、そんなのどうでも良くなる楽しい未来にしてあげられるのかって……」
藤堂「だからね、悠仁。そんな難しく考えなくていいの。悠仁はひなちゃんのそばにいるだけでいいんだってば。あの子にとってそれが幸せなの。あとは、ありのままの悠仁でいい。ほら、悠仁のこと大好きって言ってたでしょ?(笑)」
工藤「あ!さっきのそれ!俺もうドラマ見てる気分だったんすよ。ひなちゃんが大好きって言って、五条先生も好きだって返してて。2人の恋が動き出す瞬間が……!と思ってたのに、あれ~?って(笑)」
神崎「だって、ひなちゃん自分で大好きって言ったことたぶんわかってないよ(笑)でも、だからこそ本心なんだよね。無意識で大好きなんて言っちゃうくらい、五条先生が好きなんだよ」
宇髄「最後に待ってって言ってたのは、五条が本当に好きって言ったのか確認したかったんだろうが、ひなちゃんのことだ。朦朧とする中で聞いた好きって言葉は、起きたら忘れてるかもしれんな。プロポーズはお預けか」
藤堂「俺がいいところで止めちゃいましたね(笑)」
五条「当たり前ですよ、息もまともにできないあの状態だったんですから……。みんなして何言ってるんですか……」
工藤「まぁ、喘息に貧血に風邪にストレスに、これだけ重なってるんだもんな。間違いなく長引くし、ちょっと気引き締めておかないとな」
***
そして、工藤先生が言った通り、ひなはしばらく熱を出し続けた。
屋上に行って風邪を引いたせいで、38度台の熱がずっと続いてる。
とはいえ、ウイルスによる風邪に特効薬なんてもんはない。
ひなの免疫力を信じて治るのを待つしかないが、ひなの弱い身体だ。
発作は起きるし、食事も取れない、アイツのことを思い出すようになってしまい、しんどいだろうに全然寝ない。
寝てもすぐに起きてパニックを起こす。
そんな状況が続き、ようやく熱が引き始めたのは1週間後。
ご飯を食べられるようになって、平熱に戻ったのはさらに1週間後だった。
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