ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

はな

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誕生日の温泉旅行③

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そして、日もすっかり沈み、外が暗くなってきたら、





五条「ひな、20歳の誕生日おめでとう」


ひな「ありがとうございます……!」


五条「今日から大人だな」


ひな「はいっ//」


五条「ひと口だけだからな?」


ひな「はいっ!」


五条「ん。それじゃあ……」


「「乾杯」」





食前酒で乾杯をして、わたしはそれを……





ゴクッ……





五条「……どうだ?」


ひな「なんか、大人の味がします……!これで本当に、大人になった感じが……!」


五条「ははっ、なんだそれ。これほぼジュースだぞ。でも、ひなはもうおしまいな。もし気分悪くなったらすぐ言えよ?」





って、ひと口だけ初めてのお酒を飲ませてもらって、楽しみにしてたディナータイムがスタート。

夕食は部屋食で、予想をはるかに上回る豪華な懐石料理。

数え切れないほどの料理が並ぶ中、わたしが夢中なのは1人1つ用意された釜飯と鉄板。





ひな「すごい!これわたし専用のですよね!もう蓋開けていい!?」


五条「まだだ」


ひな「あと何秒で開けていい!?」


五条「何秒とかじゃなくて火が消えるまでだろ!説明してくれてたの聞いてなかったのか!ったく、全然子どもだな……」





と言われても、それはもう。

次々とテーブルに並べられるお料理に夢中で、説明なんてこれっぽっちも。





五条「この釜飯はごはんだから最後に食べたらいい。ほら、こっちの肉はもう焼いていいから」





と、五条先生が鉄板の燃料に火をつけてくれて、





ジューーッ!





ひな「うわぁ……!!」





自分でお肉を焼ける特別感に大興奮。





五条「そんなに興奮しなくても(笑)」


ひな「だって、すごく楽しいんだもん!!」


五条「わかったから、落ち着いてちゃんと座りなさい。あ、それもうひっくり返せ」


ひな「え?もういいの?」


五条「もういい。てか早くしないと焼き過ぎるぞ」


ひな「えぇっ!は、はいっ!!」





と、わいわい言いながらご馳走を堪能して、





ひな「わぁ……すごい……!!」





食後にはフルーツやケーキが綺麗に盛り付けられた、これまた豪華なバースデープレートをプレゼントしてもらい、





ひな「ふぅ~、お腹いっぱい!」





ソファーに座り、ぽっこりしたお腹をすりすり。





五条「ひなよく食べたな。あんな多かったのにほとんど残さなかったな。デザートも全部食べたし」


ひな「だって、本当にどれも美味しくて!大満足です!」





と言うと、





五条「普段からこのくらいたくさん食べてくれればいいんだけどな~」





って言いながら、五条先生もわたしのお腹を撫でる。





ひな「最近はたくさん食べてますよ。というか、お腹触らないで……出てるから恥ずかしい」


五条「うん、結構出てるな。妊娠4ヶ月くらいか」


ひな「4ヶ月ってこんな大きさなの?」


五条「あぁ。個人差あるけどな。目に見えてぽっこりしだす」


ひな「ぽっこりって言わないでよ……!」


五条「ぽっこりだろ。ひな腹筋ないからこんな出るんだ。5ヶ月かもしれんな」


ひな「い、いっぱい食べたんだもん。……けど、いつか五条先生との赤ちゃんができたら、こんな感じになるのかな」





と言うと、五条先生の手がピタッと止まって、何か考えるようにも照れるようにも見える、不思議な表情で顔をちょっと赤くする。





ひな「五条先生?どうかしましたか?」


五条「えっ、あ、いや……大丈夫だ。ひなは子ども欲しいか?」


ひな「どうだろうな……今はまだよくわからないです。欲しくてもできるかわからないし、わたしに産めるのかなって思うし……。だけど、五条先生との子に会ってみたいなとか、いたら楽しいだろうなって思います!」





なんて話しながら、しばし休憩。










それから、お腹が落ち着くと、また五条先生と露天風呂に入った。

夜になって外が暗くなったせいか、昼間よりは恥ずかしさもなくて、最初こそ、





ひな「星、すごく綺麗ですね」


五条「都会じゃこんな星空見られないもんな」





なんて話すだけだったけど、





ひな「五条先生っていつ鍛えてるの?」


五条「別に鍛えてないぞ。宇髄先生と工藤先生は暇さえあればその辺で筋トレしてるけど。俺はたまにそれに付き合わされるくらいだ。学生時代は大学のジムに藤堂先生と行ったりもしてたけどな」


ひな「へぇ~。でも、それでこんなにムキムキになるんですね。どうして?この身体どうなってるの??」





って、五条先生の腕をむにむにしたり、力いっぱい掴んでみたり、





バシャッ……!





五条「うわっ、ちょっ!」


ひな「へへっ」


五条「ひな、お前やったな……?」





バシャッ……!!





ひな「きゃぁ!わたしそんな強くやってない!!」





バシャッ……!バシャバシャッ……!!





五条「こらこら。はいはい、もうおしまい。風呂ん中で暴れるな。しんどくなったらどうするんだ」





って、お風呂のお湯をバシャバシャかけあったり。

いつの間にか、そんなことできる余裕も出てきた。










そんなこんなで、夜のお風呂もしっかり満喫して、パジャマに着替え、そろそろ寝るのかなってベッドに腰掛けようとすると、





五条「ひな、ちょっと待って」


ひな「えっ……?」


五条「プレゼント、まだ渡してない」





そう、後ろからハグしてきた五条先生の手には、リボンが結ばれた小さな箱が。





ひな「ぇっ……」





ポーチもシュシュも買ってもらったし、バースデープレートも用意してもらった。

そもそも温泉に連れて来てもらって、こんな素敵な宿に泊まれて、この旅行が誕生日プレゼントだと思ってたから、びっくりし過ぎて言葉が出ない。





五条「開けてみて」





と言われ、リボンをほどき、箱の蓋を開け、折り重なった薄い紙を捲ると、





ひな「かわいい……」





キラキラ輝くブレスレットが。

ピンクゴールドの華奢なチェーンには、本物であろうダイヤモンドの粒が3つ並んでる。





五条「今日からひなも20歳だから……大人になった記念に。ひなが初めて身につけるジュエリーは、俺が贈ろうってずっと思ってた」





そう言いながら、五条先生が手首につけてくれたブレスレットは、涙で滲んじゃってはっきり見えない。

それでも、しっかりと輝きを放ってみせるから、やっぱり本物のダイヤモンドなんだって思う。





五条「ん、よく似合う。気に入ってくれたか?」





コクコクコク……





ひな「うれしいです……グスン、すごく綺麗で……一生大切にします……グスン」


五条「よかった。ほら、もう泣くな。うれしい時は笑ってくれなきゃ」





って言われても、今はそんなの無理。

少しの間、わたしは五条先生の胸の中に顔を埋めた。


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