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ぶり返す古傷③
しおりを挟む*ひなのside
工藤「ホルター検査の結果、ひなちゃんの心臓が少し良くなかったんだ。手術で元気にしてあげることになったぞ」
ひな「手術……?」
工藤「手術って言っても開胸はしなくて、カテーテルアブレーションって聞いたことあるかな?カテーテルは、前に一度やったやつな。脚の付け根から管を通して、まずは異常箇所を特定する。そして、特定した部分を焼灼、つまり、焼いて治すってことをするぞ」
ひな「焼く……?」
工藤「うん。そう言われるとちょっと怖いと思うけど、今回は全身麻酔でしようと思ってるから、痛みは心配しなくていいからな」
ひな「……」
工藤「それと、もうひとつ。手術を受ける前に、ひなちゃんに頑張って欲しいことがあるんだ。ここ最近、ひなちゃんお熱あるの自分で知ってた?」
ひな「フリフリ……」
工藤「実は、ちょっと前からひなちゃんずっとお熱でな。でも、お熱がある状態でカテーテルはできないから、まずはお熱を治して、しっかり体調を整えて。それから、手術頑張るぞ」
***
夜、工藤先生から手術の説明を受けた。
今日もアイスを持ってきてくれて、食べさせてくれて、ご飯はひと口も食べてないのに、
工藤「ひなちゃん、アイス全部食べたな!えらいえらい!」
ひな「でも、アイスはごはんじゃない……」
工藤「ご飯じゃなくても、ちゃんと口から栄養取るのが大事だから!えらいぞ~!」
って、頭をわしゃわしゃ、すごく褒めてくれて。
工藤先生、優しいな。
今日は気分良く眠れそう。
そう思ったら、
工藤「大事なお話がある」
と切り出され、嫌な予感がしたら、最悪な話だった。
どうして、手術しなきゃいけないの……?
結局、今夜もまた眠れない。
心臓が良くないってどういうこと?
事故の時、わたし手術したんだよね?
あれから半年も経ってないのに、なんでまた……。
寝返りを打っても、耳を塞いでも、手術のことが頭をぐるぐる。
わたしの心臓、元気なのに。
ドクドク、ドクドク……
今もちゃんと動いてるのに、手術なんて必要ないよ……。
もう痛いことされるのもやだ。
誰かに押さえつけられて、痛いことされて、傷つけられるなんて……。
手術、手術……と思ううち、手術=傷つけられることなのだと、脳がそう思うようになり、
ひな「ハァハァ……っ、ハァッ、ハァッ……」
ほら、手術なんて言うから、また思い出すじゃん……
昨日と同じ。
昔の記憶が蘇って、胸がすっごく痛くなる。
ひな「……っ、ハッ……ハァ……ゔっ…………ッ…………」
痛い……
苦しい……
息ができないっ……
胸を押さえるけど痛みは引かず、あの頃の音や映像は、容赦なく身体に流れ込み、
ハァハァ……っ、助けて……ハァ、もうやだ………!!
頭を抱え、ギュッと身体を丸め込んだ。
その時、
「ひなっ!おい、ひなっ……!」
部屋の電気がつけられて、誰かに腕を掴まれた。
ひな「いやぁっ!!ハァハァ……いやっ、ゔっ……ッ、いっ……や!!」
やめて、触らないで、痛いことしないで、いじめないで……。
恐怖心いっぱいで、身体をさらに縮め込む。
五条「ひな、俺だぞ。ほら、落ち着け。どうした?怖い夢見たか?」
すると、腕はあっさり離してもらえ、身体をすっぽり包まれた。
ハァハァ……
五条、先生……?
背中に触れる手の感覚と服の匂い。
安心感を覚えるものの、意識がすでにはっきりせず、恐怖心は治まらない。
ひな「いやっ……嫌……ハァハァ、ハァ……ゔっ」
五条「ひなっ……ひな、大丈夫だ。ゆっくり息してごらん」
ひな「……めて……ッ、や……め……ハァハァ、って……」
五条「ひなのこと傷つけに来たんじゃないから。ほら、怖くない。落ち着いて、大丈夫、大丈夫」
頭を撫でられ、背中をさすられ、手を握られ。
五条先生の声がするけど、あの人の声もする。
わたしに触れるのは五条先生なのか、それとも……
ひな「ハァハァ、もうやめて……ごめんなさい、ごめんなさい……ごめんなさ……ぃ」
五条「おい、ひな……?こら、しっかりしろ!ひな……!」
結局、過去の記憶に囚われたまま、わたしは意識を飛ばしてしまった。
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