200 / 262
ぶり返す古傷③
しおりを挟む*ひなのside
工藤「ホルター検査の結果、ひなちゃんの心臓が少し良くなかったんだ。手術で元気にしてあげることになったぞ」
ひな「手術……?」
工藤「手術って言っても開胸はしなくて、カテーテルアブレーションって聞いたことあるかな?カテーテルは、前に一度やったやつな。脚の付け根から管を通して、まずは異常箇所を特定する。そして、特定した部分を焼灼、つまり、焼いて治すってことをするぞ」
ひな「焼く……?」
工藤「うん。そう言われるとちょっと怖いと思うけど、今回は全身麻酔でしようと思ってるから、痛みは心配しなくていいからな」
ひな「……」
工藤「それと、もうひとつ。手術を受ける前に、ひなちゃんに頑張って欲しいことがあるんだ。ここ最近、ひなちゃんお熱あるの自分で知ってた?」
ひな「フリフリ……」
工藤「実は、ちょっと前からひなちゃんずっとお熱でな。でも、お熱がある状態でカテーテルはできないから、まずはお熱を治して、しっかり体調を整えて。それから、手術頑張るぞ」
***
夜、工藤先生から手術の説明を受けた。
今日もアイスを持ってきてくれて、食べさせてくれて、ご飯はひと口も食べてないのに、
工藤「ひなちゃん、アイス全部食べたな!えらいえらい!」
ひな「でも、アイスはごはんじゃない……」
工藤「ご飯じゃなくても、ちゃんと口から栄養取るのが大事だから!えらいぞ~!」
って、頭をわしゃわしゃ、すごく褒めてくれて。
工藤先生、優しいな。
今日は気分良く眠れそう。
そう思ったら、
工藤「大事なお話がある」
と切り出され、嫌な予感がしたら、最悪な話だった。
どうして、手術しなきゃいけないの……?
結局、今夜もまた眠れない。
心臓が良くないってどういうこと?
事故の時、わたし手術したんだよね?
あれから半年も経ってないのに、なんでまた……。
寝返りを打っても、耳を塞いでも、手術のことが頭をぐるぐる。
わたしの心臓、元気なのに。
ドクドク、ドクドク……
今もちゃんと動いてるのに、手術なんて必要ないよ……。
もう痛いことされるのもやだ。
誰かに押さえつけられて、痛いことされて、傷つけられるなんて……。
手術、手術……と思ううち、手術=傷つけられることなのだと、脳がそう思うようになり、
ひな「ハァハァ……っ、ハァッ、ハァッ……」
ほら、手術なんて言うから、また思い出すじゃん……
昨日と同じ。
昔の記憶が蘇って、胸がすっごく痛くなる。
ひな「……っ、ハッ……ハァ……ゔっ…………ッ…………」
痛い……
苦しい……
息ができないっ……
胸を押さえるけど痛みは引かず、あの頃の音や映像は、容赦なく身体に流れ込み、
ハァハァ……っ、助けて……ハァ、もうやだ………!!
頭を抱え、ギュッと身体を丸め込んだ。
その時、
「ひなっ!おい、ひなっ……!」
部屋の電気がつけられて、誰かに腕を掴まれた。
ひな「いやぁっ!!ハァハァ……いやっ、ゔっ……ッ、いっ……や!!」
やめて、触らないで、痛いことしないで、いじめないで……。
恐怖心いっぱいで、身体をさらに縮め込む。
五条「ひな、俺だぞ。ほら、落ち着け。どうした?怖い夢見たか?」
すると、腕はあっさり離してもらえ、身体をすっぽり包まれた。
ハァハァ……
五条、先生……?
背中に触れる手の感覚と服の匂い。
安心感を覚えるものの、意識がすでにはっきりせず、恐怖心は治まらない。
ひな「いやっ……嫌……ハァハァ、ハァ……ゔっ」
五条「ひなっ……ひな、大丈夫だ。ゆっくり息してごらん」
ひな「……めて……ッ、や……め……ハァハァ、って……」
五条「ひなのこと傷つけに来たんじゃないから。ほら、怖くない。落ち着いて、大丈夫、大丈夫」
頭を撫でられ、背中をさすられ、手を握られ。
五条先生の声がするけど、あの人の声もする。
わたしに触れるのは五条先生なのか、それとも……
ひな「ハァハァ、もうやめて……ごめんなさい、ごめんなさい……ごめんなさ……ぃ」
五条「おい、ひな……?こら、しっかりしろ!ひな……!」
結局、過去の記憶に囚われたまま、わたしは意識を飛ばしてしまった。
34
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
僕君・御月様
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
【短編集】こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる