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第7羽 カラスと死んだ魂
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しばしカラスを見つめていた悠は違和感を覚えた。
小学生の時分、家でインコを飼い、学校ではウズラの世話をしていた悠だったので知っていたが鳥というものは寝ているとき以外、落ち着き無く辺りを見回したり、毛づくろいをしたりとなにかしら動いているものなのだ。
だがそのカラスは置物のように動かず電線に止まったままで、しかもその目は明らかに自分を見ているのが悠にはわかった。
そのとき頭の中で兄の笑い声が聞こえた気がた悠は左右を見渡したが兄の姿はない。
雑音のようなカラスの鳴き声とは違う、澄んだ甲高い鳴き声に驚いた悠が再び外へ目をやると、カラスが翼を広げこちらへ飛んできた。
そして数メートル手前でくるりと左に旋回し、悠の視界から消えた。
――――まだ薄暗い明け方、マンションの扉がガチャリと開く音で悠は目が覚めた。
鍵を閉める音がし、危なっかしい足取りで歩く足音が廊下からリビングへ移ると「うぁ~」という声と共にソファーへ座り込む音が響いた。
松葉杖をつき、悠がリビングを覗くと琴音がソファーでだらしなく両足を広げ眠りこけていた。
悠は石油ファンヒーターのスイッチを入れた後、自分のソファーの上にあるタオルケットを手に取り、タバコの臭いに顔をしかめながらいびきをかいている琴音の上に掛けた。
そして再びベッドへ戻った悠は電線のカラスのことを思い出した。
カラスは死んだ魂を連れてくる、という話を漫画雑誌のオカルトコーナーで読んだことがある。
兄の自分を呼ぶ声や笑い声、あのカラスが兄の魂を連れてきたので聞こえたというのだろうか?
ばかげている、自分はまだ兄の死を受け入れられていない、だからそんな幻聴が聞こえるのだ。
悠は布団の中に顔を潜り込ませた。
だが、もしあの声が幻聴ではなかったら、頭の中で勝手に聞こえているのであれば私は、精神がおかしくなってきているのでは…。
布団越しに郵便配達のバイク音とカラスの鳴き声がくぐもって聞こえた。
つづく
小学生の時分、家でインコを飼い、学校ではウズラの世話をしていた悠だったので知っていたが鳥というものは寝ているとき以外、落ち着き無く辺りを見回したり、毛づくろいをしたりとなにかしら動いているものなのだ。
だがそのカラスは置物のように動かず電線に止まったままで、しかもその目は明らかに自分を見ているのが悠にはわかった。
そのとき頭の中で兄の笑い声が聞こえた気がた悠は左右を見渡したが兄の姿はない。
雑音のようなカラスの鳴き声とは違う、澄んだ甲高い鳴き声に驚いた悠が再び外へ目をやると、カラスが翼を広げこちらへ飛んできた。
そして数メートル手前でくるりと左に旋回し、悠の視界から消えた。
――――まだ薄暗い明け方、マンションの扉がガチャリと開く音で悠は目が覚めた。
鍵を閉める音がし、危なっかしい足取りで歩く足音が廊下からリビングへ移ると「うぁ~」という声と共にソファーへ座り込む音が響いた。
松葉杖をつき、悠がリビングを覗くと琴音がソファーでだらしなく両足を広げ眠りこけていた。
悠は石油ファンヒーターのスイッチを入れた後、自分のソファーの上にあるタオルケットを手に取り、タバコの臭いに顔をしかめながらいびきをかいている琴音の上に掛けた。
そして再びベッドへ戻った悠は電線のカラスのことを思い出した。
カラスは死んだ魂を連れてくる、という話を漫画雑誌のオカルトコーナーで読んだことがある。
兄の自分を呼ぶ声や笑い声、あのカラスが兄の魂を連れてきたので聞こえたというのだろうか?
ばかげている、自分はまだ兄の死を受け入れられていない、だからそんな幻聴が聞こえるのだ。
悠は布団の中に顔を潜り込ませた。
だが、もしあの声が幻聴ではなかったら、頭の中で勝手に聞こえているのであれば私は、精神がおかしくなってきているのでは…。
布団越しに郵便配達のバイク音とカラスの鳴き声がくぐもって聞こえた。
つづく
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