黒翼の巨人

興味sinsin

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第9羽 悠の憂鬱

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「悠、悠?」

琴音の声で我に返った悠は慌てて「なに?」と返事をした。

「大丈夫? どっか体おかしいとこあんの?」

優しげに微笑んでいるが目には不安げな色を浮かべていたので悠は嬉しいような申し訳ないような気分になった。

「うん大丈夫、ちょっと考え事していただけ」
「そう、何かあったら言ってよね、っていうか言え」

ほっとしたような目に変わりカラカラと笑って琴音は再び携帯電話に顔を落とした。

悠は考えた、先ほどのカラスと会話できる外人と自分の共通点を。

どちらも身内が一人死に、一人は助かったという点。

それでは自分もカラスと会話出来るのだろうか?

昨日、兄の声が聞こえた直後に見たカラス、あれは兄の生まれ変わりだったのだろうか?

更にもう一つの共通点を見つけた悠はぞっとした。

憎しみを持って死に至った点。

死の道を選択肢に入れさせた尚美や遼を私は今でも憎んでいる。

ビルの屋上から落ちる間際まで兄はそんな言葉を一言も発さないでいたが心中はどうだったのだろう?

――――コーヒーの香ばしい香りで悠は現実に戻った。

キッチンに顔を向けると、コーヒーのドリップパックを載せた二つのカップに琴音がポッドからお湯を注いでいた。

誇らしい巨人である――――いや、であった、あの兄に復讐という言葉は似合わない。

そう結論付けた悠は再びテレビに目をやった。

公園らしき場所に無数のカラスの死骸が転がっており、画面下には〔カラス同士の争いか?〕というテロップが写っていた。


つづく
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