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第4章 大嵐のち快晴!
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そのとき、思わぬ救いの手が差し伸べられた。
なんとも言えない微妙な空気を切り裂くように、エネルギッシュなヒーローもののアニソンが流れだしたのだ。
「すいません。ちょっと」
ふところに手をやりながら、米川さんは席を外した。
えっ、今の米川さんのスマホの着信音なんだ。
イメージと真逆。あとでイジッたろかな。
でも、それどころじゃなさそうな深刻そうな声が聞こえてきた。
「えっ、平気なのか……うん、わかった。場所、メールして。じゃあ」
米川さんはあわてた様子で戻ってきた。
「あの、実は妻が今、救急病院にいるみたいで」
「えっ、病院⁈ 大丈夫なんですか?」
「今、妊娠中なんですけど、なんか出血があったらしくて。あ、でも今電話かけてきたのは本人なんで、大したことはないと思うんですけど」
「なんでもいいから、早く病院に行ってやれ」
部長は強い口調で米川さんを促した。
「すいません。ぼくがおふたりを誘ったのに……」
「そんなこと、今はどうでもいいだろ。早くしろ。奥さん、待ってるぞ」
「お店の人にタクシー呼んでもらってきます。米川さんは支度しておいてくださいね」
わたしは急いで1階に向かった。
米川さんは、見送るわたしたちに、すみません、悪いね、と言いながら心配そうな様子で店を出て行った。
ふー、たいしたことがなければいいけど……
なんとも言えない微妙な空気を切り裂くように、エネルギッシュなヒーローもののアニソンが流れだしたのだ。
「すいません。ちょっと」
ふところに手をやりながら、米川さんは席を外した。
えっ、今の米川さんのスマホの着信音なんだ。
イメージと真逆。あとでイジッたろかな。
でも、それどころじゃなさそうな深刻そうな声が聞こえてきた。
「えっ、平気なのか……うん、わかった。場所、メールして。じゃあ」
米川さんはあわてた様子で戻ってきた。
「あの、実は妻が今、救急病院にいるみたいで」
「えっ、病院⁈ 大丈夫なんですか?」
「今、妊娠中なんですけど、なんか出血があったらしくて。あ、でも今電話かけてきたのは本人なんで、大したことはないと思うんですけど」
「なんでもいいから、早く病院に行ってやれ」
部長は強い口調で米川さんを促した。
「すいません。ぼくがおふたりを誘ったのに……」
「そんなこと、今はどうでもいいだろ。早くしろ。奥さん、待ってるぞ」
「お店の人にタクシー呼んでもらってきます。米川さんは支度しておいてくださいね」
わたしは急いで1階に向かった。
米川さんは、見送るわたしたちに、すみません、悪いね、と言いながら心配そうな様子で店を出て行った。
ふー、たいしたことがなければいいけど……
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