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第1章 誰、それ?

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 でも、彼らがなんでうちの会社を選んだか、その理由はわかった。
 テレビ局のすぐ近くにあるからだ。

 ここ『飯倉スクエア』は超高層のオフィスビルを中心に、ショッピングセンターや超高級レジデンス、それにサンライズ・テレビの本社が隣接する複合パーク都市。

 わたしの会社はそのオフィスビルの41階にあった。
 撮影の合い間に立ち寄るには、まさに打ってつけのロケーション。

「お話はわかりました。ではまず、ここで簡単に仕事の説明と、模擬プレゼンをさせていただきます。説明、プレゼンの最中でもどうぞご遠慮なくご質問ください。では、さっそく始めましょうか」

「よろしくお願いします」

 わたしはよそ行きの顔を作ってプレゼンをはじめた。

 途中で榊原宗介に目をやると……

 え?
 もしかして寝てる?

 彼は腕と脚を組み、椅子の背に体を預けて、目を閉じている。

 ちょっと腹が立ってきた。

 そりゃ、話が面白くないのはわかる。
 でも、こっちは忙しい時間を割いて、わざわざ、あなたのためにこんなことで時間を浪費しているんだけど。

 ちょっと怖い顔をつくって、睨んでみた。
 すると、私の視線に敏感に反応した榊原宗介は目を開け、微笑んだ。

 い、いや、あの笑顔には負ける。
 起きて、ちゃんと聞いていてくれれば、文句はないです、はい。

 わたしの話が終わりに差しかかったとき、向井さんの携帯が鳴りだした。
 画面に目を落としてから、彼女は「ちょっと失礼します」と、部屋の外に出ていった。
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