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第4章 極秘交際

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「きっついだろ? 向井。でも、マネージャーが彼女に変わってから、納得のいく仕事を回してもらえるようになったんだけどね」

 向井さんが帰った後、宗介さんがわたしにそう話した。
「めちゃくちゃ、頭キレそうですもんね」

 宗介さんは隣に座るわたしの肩を抱き寄せ、髪に軽くキスをした。
「やっぱり、いろいろ我慢させることになりそうだな」
 
 わたしは宗介さんの肩に頭をもたせかけ、彼の骨張った大きな手を握った。
「今さら、引き返せない。もう、こんなに好きになってしまったのに」
 
 宗介さんは横からわたしの顔をのぞき込み「えっ、何? もう一回、言ってくれる?」ととぼけたことを言う。

「だから、今さら……」
「じゃなくて、後のほう」
「えっ?」
「こんなに、以降」

 以降って、台本の読み合わせじゃないんだから。

 わたしはちょっと逆らいたくなって「一回きりです」と一言。

「ふーん」

 すると彼は一度、わたしの身体を放し、こっちに向き直ると両手でわたしの頬を挟んできた。
 切長で美しい琥珀色の眼が、愉快そうに細まった。

 その、宗介さんの表情ひとつで、部屋の空気が、一瞬で濃密で甘く淫らなものに変化する。
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