可愛がってあげたい、強がりなきみを。 ~国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます~

泉南佳那

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第3章 気持ち、あふれて

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「ですので、先ほどから、確実に効率が上がる、と申し上げているのですが」

「だからさぁ」と、50代後半と思しき工場長は業を煮やして声を荒げた。
「他所から来た素人の姉ちゃんに、なんで偉そうに指図されなきゃならないんだよ」

 外は梅雨末期の荒れた天気。
その天気同様、質疑応答での現場リーダーたちからの、わたしへの風当たりは、相当激しいものだった。

 北斗繊維創業時から存在していた部門を廃止し、新素材開発やリサイクル事業に注力していくべきだとの基本方針を発表したとたん、あちこちから非難の声があがった。

 まあ、この反応は実は想定の範囲内。

 逆に思い通りに事が進みそうで、内心ほっとしていた。

「来週、第二回目の説明会を開きますので、ご意見をまとめておいていただけると助かります」
 わたしはそう言って、その場を離れた。

「頭の固い、古い体質の従業員ばかりで申し訳ないです」

 説明会を終えて社長室に引き上げてから、星川社長がわたしに頭を下げた。

 星川社長は創業者のひ孫で弱冠38歳。
 重い病気を抱えた父親の退任を機に、社長の座についた。

 その若さへの懸念で社長選出時の取締役会も紛糾して、辛くも一票差で決まったらしい。

 そんなわけで、現社長はまだ全社員からの信頼を完全に勝ち得るまでには至っていなかった。
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