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第6章 創立記念パーティーにて

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「一応、確認だけど……郁美の気持ち、変わってないよな?」
 わたしはブンブンと首を振る。
「そんな当たり前なこと、聞かないで」

 宗介さんはわたしに腕を回すと、ほっとしたようにつぶやいた。
「よかった」
 
 この婚姻届を出すと、わたしたちは正式な夫婦になるんだ。
 まだ、まるで実感がわかないけれど。

 結婚のことは、プロポーズされた日に両親に電話で報告した。

「好きな人ができて、彼と結婚することにした」と告げると、母は「おめでとう」と、ただ一言。

 拍子抜けするほど、あっさり認めてくれた。

「どんな人か、気にならないの?」
「あなたはもう立派な大人なんだし、それに郁ちゃんが選んだ人なら間違いないでしょう」 
 母の言葉に揺るぎはなかった。

 うちの両親は昔からそう。
 中学生のころから、頭ごなしにだめだと言われたことは一度もなかった。

 郁美がよく考えた結果なら、お父さんもお母さんも反対はしないからと。

 とはいえ、結婚は個人だけの問題ではないので、さすがに、なんで相談しなかったのと言われるかと思っていたのだけれど。
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