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本編
断じて羨ましくなんかない
しおりを挟む「皆に相談したい事がある」
ルーナリア学院、生徒会室にて。
僕は、僕の友人であり将来の側近でもある彼等に相談を持ちかけた。
「殿下、改まってどうしたんスか?」
「相談とは、また婚約者殿の事か?」
「シャル、ディートリヒ。殿下に失礼ですよ」
「兄様、またディアナお義姉様の話?」
「ハーロルト殿下まで、そのような言い方は……」
「もー、イザークは相変わらず堅いなぁ。それで兄様、相談とは何ですか?」
僕は暫し四人を半眼ジト目で見つめた後、コホンと咳払いして話を切り出した。
「“さんじげん”が何か、分かる者はいるか?」
「さん……」
「え?」
「さんじげん??」
皆、僕と同じ反応し過ぎじゃないのか?心が繋り過ぎていて喜んでいいのか気持ち悪がっていいのか、正直よく分からない。
いや、嘘だ。
お前ら気持ち悪い。
「リーンハルト殿下。さんじげん……というのは、私も耳にした事がございません。どちらでお聞きになったのですか?」
イザークだけは少し反応が違うな。
このくらいの心の距離がちょうどいい。お前ら、イザークを見習うように。
「イザーク。実は、ディアナが侍女と話しているところを偶然耳にしてしまってね。どうやら、その…………僕の駄目なところが、その“さんじげん”らしいんだ」
「リーンハルト殿下の駄目なところが“さんじげん”??全く意味が分かりませんね……」
「ああ。その“さんじげん”とやらが直せるものなら直したいのだが、全く何なのか見当がつかなくてな」
「そもそも直せるものなのかも分かりませんしね。ディアナ嬢は、他には何か言っておられなかったのですか?」
他?
他は確か……
にいてんごじげん??
「そういえば、『殿下はにいてんごじげんかもしれない』とか、『声だってゲームのまま』とか言っていたな……」
「にいてんごじげん……ゲーム……。ゲームは分かりますが、にいてんごじげんとは、またよく分からない単語ですね」
「ねー?兄様。直接ディアナお義姉様に訊くのは駄目なの?」
「ばっか、ハーロルト殿下っ!!訊きたくても、殿下はディアナ嬢に避けられてるんだからさ!!」
「うむ。訊きたくても会ってもらえないから俺達に相談しているのだろう」
「あー、そっかぁ。成程ね。それじゃあ仕方ないよね!」
お前ら死ねよ。
僕のガラスハートにびしびしヒビ入れるなっ
「兄様可哀相……僕は婚約者のミリーといつもラブラブなのに」
「幸せは分けられないスからね。分けたくもないし」
「減ったら嫌だからな」
もうお前ら本当に死ねよっ!!!
僕のガラスハートはヒビどころか粉々だよっ!!!
自分達は婚約者と上手くいってるからって自慢か?!!
マトモに相談に乗る気が無いなら今すぐ荷物まとめて自領に帰れっっ!!!
「三人とも。リーンハルト殿下が泣きそうなので止めてください。刺しますよ?」
「「ひっ!!」」
「イザーク、本気で懐からナイフを取り出そうとするのは止めろ。お前は次期宰相候補であって暗殺者じゃないだろう?」
「リーンハルト殿下の為ならば、私は兼任してもいいですよ?ディートリヒ」
「分かった。真面目に考える」
「宜しい」
イザーク……!!
僕、お前だけは何があっても側近から外さないからな!!
「リーンハルト殿下。妙案がございます。私の婚約者からそれとなくディアナ嬢に探りを入れてみるのはどうでしょうか?婚約者とはいつでも連絡が取れますので、すぐに行動に移せるかと。」
お前が一番酷いな?!!
いつでも連絡が取れますとか、いつでもどんな時でも連絡の取れない僕になんて事を言うんだよ?!
一度上げて下げるとか最悪だよ!!
……だが、“さんじげん”が全く分からないのは事実だし、ディアナに聞いてもらえるなら、それが一番早いかもしれない。
僕は胸の痛みで血を吐きそうになりながら、イザークの案を受け入れた。
「宜しく頼む、イザーク」
「はっ!殿下の為、今すぐに連絡して参ります。この時間ですと、彼女はもう学院から帰宅していると思いますので、水鏡通信にて連絡して参りますね」
彼女がいつ頃帰宅してるとか把握出来てて羨ましいわっ!!
嗚呼!!
僕のディアナは今頃何をしているのか……
すぐに“さんじげん”が何なのか突き止めて、それを直して、僕もディアナとイチャイチャしたいっ!!
「連絡取れました!」
どんだけ早いんだよっ?!
「お恥ずかしながら、どうやら私からの連絡を待っていたようで……」
本気で死ねよっっ!!!
何、照れてんの?!!
その幸せを少しでいいから分けてくれよっ!!!
ハーロルト達、何が「分かる~!」だよ?!僕は何も分からないよ?!
くっそ……!!
羨ましくなんか、断じて羨ましくなんか……っ!!
ディアナぁぁぁぁぁっっ!!!(泣)
* * *
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