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本編
食い違う二人
しおりを挟む昼休憩時。
僕は婚約者であるディアナに会う為、隣のクラスへと足を運び、名前を呼んだ。すると、今日は珍しく、隠れたりしていないディアナと目が合った。
「リーンハルト殿下……」
ディアナの淡い藤色の髪がサラリと揺れて、アメジストのような瞳が大きく見開かれている。
ああ、ディアナは今日も美しい。
僕が来た事に驚いているのだろうか?
何だか顔色が良くないような?
きっと気のせいだろう。
僕は意を決してディアナに再び声をかけた。
「ちょっと話があるのだけど、いいだろうか?」
「………………」
「ディアナ?」
……頼む。
返事をしてくれっ
まさか、僕が来たから顔色が悪くなったのか?!
「…………分かりました」
くっ……!
胃が痛い……
何だかキリキリする
僕は無意識に自分の胃の辺りを擦った。
ディアナが答えてくれた事にホッとしつつ、場所を変えるために教室を出ようと促す。
周囲から憐れみの視線を向けられている気がするのは、僕の気のせいだろう。きっと気のせいだ。
チラリと周囲へ視線を向ける。
何故だかディアナのクラスメイトの殆どが僕を見ていた。
止めろ!
頑張って下さいみたいな顔をして頷くな!!
お前らは知らないだろうが、僕は昨日ディアナと急接近したんだからな?!
もう一昨日までの僕とは違うんだっ!!
「リーンハルト殿下?えっと、お話はどちらで……?」
ディアナの鈴を転がしたような可憐な声音でハッと我に返った。
「ああ、すまない。生徒会専用の応接室へ行こう」
「分かりました」
こうして私とディアナは生徒会専用の応接室へ向かう為に教室を後にした。
……というか、ディアナが男嫌いだとこのクラスの者達は知っているのか?
僕個人を嫌っているとか勘違いしてないよな??
……………………
…………
*ディアナside*
「実は、昨日ディアナが抱えていた封筒の事なのだが……」
応接室に座り、紅茶をいただいたところで、リーンハルト殿下から爆弾が投下された。
思わず吹き出しそうになったところを必死に耐えた私をどうか褒めて欲しい。
「ちゃっ……茶色の封筒とは、一体何の事だか……」
「そういえば茶色だったね。あの封筒」
「うぐっ!」
早速墓穴掘った!!
「どうしてそんなに隠すんだい?あの茶色の封筒の中には、何が入っていたんだ?」
「それは……」
言えない。
言えるわけない。
リーンハルト殿下が……
貴方が傷付くかもしれないのに。
「ディアナ」
「……申し訳ありません。その……個人的なものでして」
「個人的なもの……?」
「ええ。ですから、リーンハルト殿下がお気に病むような事は何も。今日の放課後に、もう送って来ないようにと言っておきますので」
私がそう言うと、リーンハルト殿下は何故だか俯いて、身体をワナワナと震わせながらボソリと呟いた。
「…………まさか、ディアナへ恋文を?」
「え?」
何だろう?
よく聞こえなかったけど。
でも、何やらリーンハルト殿下の雰囲気が変わったような……
これは、もしや、怒ってる??
「分かった。放課後、僕も一緒に行くよ」
「へ?」
リーンハルト殿下が物凄い圧を放ちながら、ハッキリと力強くそう宣言した。
ま、まさか、今の会話であの封筒の中身が脅迫文だと分かってしまったの?!
「一度ガツンと言ってやらなきゃね」
「……流石、リーンハルト殿下ですわ。あの封筒の中身が何であるか、分かってしまったのですね」
出来れば知られたく無かったのに。
けど、中身の内容は知らないのだし、これは一応セーフ?
「やはり、そうなのか。なら、どんな風に書かれていたのか、内容についても知りたいのだが」
「申し訳ありません。(殿下が)傷付くかもしれませんので、お答え致しかねます」
「(ディアナが)傷付くような内容なのか?!」
「はい。ですから、どうか内容は聞かないで欲しいのです」
「くっ……!万死に値する所業だっ!送ってきた奴は誰なんだ?!」
リーンハルト殿下、凄く怒ってる。
自分へ脅迫状を送ってくるなんて、やっぱりそれだけで許せない事だよね。
リーンハルト殿下自身の問題でもあるし、ここは殿下の提案を呑む為にも、相手の事を教えておこう。
「送ってきた方は、エンツェンス侯爵の甥であるベランジェ卿です」
* * *
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