【R18】乙女ゲームの主人公に転生してしまったけど、空気になれるように全力を注ごうと思います!!

はる乃

文字の大きさ
44 / 121
本編

初めての友達

しおりを挟む


「マックス!」


マクシミリアン・ラジアーネ。
この乙女ゲームの攻略対象の一人。

かつてみーこに、ゲーム画面に映っていた彼の事を聞いた。


『そのレジーって人の隣にいる人は?』

『あーマックスね。一応攻略対象だけど、私は断然ニールたんとレジーかな』


みーこ。君がクール系と強引な人好きって事はよく分かった。まぁニールたんが見た目通り中身までクールかと言ったら些か疑問ではあるが。
そして私は……頼れる騎士タイプが好きである。ゴリマッチョではなくソフトマッチョ希望。


「マリアーノ嬢。本来であれば他の貴族令嬢の模範となるべき公爵令嬢である貴女が、元平民だからと平気で人に暴力を振るおうとするなんて……」

「ま、マックス!違うの!これは……」

「申し訳ないが、勝手に愛称で呼ぶのはお控えいただきたい。……今回のことは目を瞑ります。ですが、もし繰り返すようならば、それ相応のお覚悟を。」

「……っ!」


マリアーノ様はまるで『覚えてなさいよ!』と、悪役のような顔をして走り去って行った。
こらこら、貴族令嬢は走っちゃ駄目でしょ。それとも公の場じゃないからいいのかな??


はっ!そうだ!
マリアーノ様の平手をパシッと掴んで止めてくれたマクシミリアン様にお礼を言わねば!!マジでビビったので助かりましたよ!!


「あの!助けていただき、ありがとうございました!」

「いえ。大丈夫でしたか?」

「はい。申し遅れました。私はリトフォード侯爵家の娘、アリスと申します」

「っ!リトフォード侯爵家のご令嬢でしたか。俺はラジアーネ伯爵家のマクシミリアンと申します。マクシミリアンとお呼び下さい」


初めて侯爵令嬢として扱われた?!


「え、あ……では、私の事もアリスとお呼び下さい」

「ありがとうございます。………どうかされましたか?」

「その、少しびっくりして。貴族の方は私を侯爵令嬢として見ませんから……」

「では先程の、マリアーノ嬢にされたような事が何度もあったと?」

「いえ、直接的なのはマリアーノ様くらいですよ。他の方々はちょっと目が恐いくらいで何も……」


私がそう言って両手をパタパタと振って見せると、マクシミリアン様は急に黙り込んだ。そして視線だけを、私の背後にある切り株へと向ける。そこには購買で購入した、サンドイッチ等が入っている紙袋が置いてある。

あ、お昼だしお腹空いてるのかな?
一緒に食べる??


「こんな所で、お一人で食べる予定だったのですか?」


うぐっ!
痛いところを突かれたっ!!


「は、恥ずかしながら……」

「…………」


止めてくれ!そんな目で私を見ないで!!余計に傷口が拡がるっ!!


「……俺は騒がしい所が苦手でして、休憩時間などには、よくここへ来るのです。ですので、宜しければお昼をご一緒致しませんか?」


な、なんだと?!
これはまさか!!


「宜しいのですか?私なんかと……」

「貴女さえ良ければ、是非。それに、私なんか、等とあまり己を卑下なさらない方がいいですよ」


お昼ご飯友達ゲットォォォォ!!!
きっと同情からだろうけど、ボッチよりマシ!!いつも心配かけちゃうアルにも友達出来たって言えれば、少しは安心してくれるだろうし!!


「で、では、私とマクシミリアン様は友達ですね!!」

「!」

「あ、す、すみません。ご迷惑でしたか?」


ここまで期待させといて、友達になるのは嫌だ、とか言わないよね?ここは美少女な見た目を活かして泣き落としでもする?

しかし、私が泣き落としをする前に、マクシミリアン様は優しげに目元を綻ばせた。チョコレートブラウンの、少し癖っ毛な髪が風にふわりと揺れる。


「迷惑だなんてとんでもない。是非、友達になりましょう。これから宜しくお願い致します」


やったあああああ!!!
マクシミリアン様、超いい人!!!


「では、堅苦しい話し方はお互い止めませんか?友達ですからね!言質取りましたから、撤回は無しですよ?」

「分かりました。その方が俺も助かります。……色々と噂は聞いていましたが、思っていたよりも話しやすい人なんですね」


なんだって?!話しやすくて可愛いとな?可愛いまでは言われてないか。でも照れるなあ。くふふ。

それにそれに、制服の上からでも分かるよ!!パツパツではないけど、かなりしっかりした君の体躯がね!!それに私はゲーム画面を見ているから知っているのだ!!
君があのモブ君同様に、ステキな筋肉をしているとね!!!


「マクシミリアン様」

「長いからマックスでいいですよ」

「ではマックス!あの、今度鍛練している所を見に行ってもいいですか?」

「構わないですよ」

「やったあ!!」

「アリス嬢は変わった人ですね。……あれ?俺、鍛練の話なんて……」

「あ、私の事も呼び捨てでいいですよ!友達ですからね!!」

「それは…………」


どうしたのマックス。
まさか私の身分を気にしているのかい?公の場じゃなければ無問題だよ!!


「駄目ですか……?」

「?!」


あれ。なんかマックスの目元、ほんのり赤くない?


「駄目では、ない。……友達ですからね。アリス」

「嬉しい!!そしてお腹空いちゃいました!早く食べましょう??」

「そうしましょう」

「わあい!!」


学園に入学して、そろそろ1ヶ月。
お友達が出来ました!!!
アル!お姉ちゃんやったよ!!マックスが鍛練するとこ、早く見たい~~~~!!

私とマックスは切り株のイスに座り、私は満面の笑顔でサンドイッチにかぶりついた。


誰かと一緒に食べるご飯って、やっぱり美味しいよね!!



* * *

しおりを挟む
感想 115

あなたにおすすめの小説

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

冗談のつもりでいたら本気だったらしい

下菊みこと
恋愛
やばいタイプのヤンデレに捕まってしまったお話。 めちゃくちゃご都合主義のSS。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...