60 / 121
本編
乙女ゲームとは
しおりを挟む昨日のニールたんは、何だかいつもと違って見えたなあ……
ニールたんにもきっと、今まで色々な事があったんだろう。あえて私からは訊かないけど。もしもニールたんが私なんかに聞いて欲しいと言って来る事があれば、今までのお礼も兼ねて何でも聞かせて欲しいと思う。
さて。
やっと風邪も治って全快した私は、今日から授業に復帰した訳だが。
昼休憩に入った途端、有無を言わさずレジナルド様に拉致された。
私はマックスとアルと三人でお昼ご飯食べる予定だったのに、どーしてくれる訳?!
……しかし、この後すぐに私の怒りは吹っ飛び、逆に申し訳なさでいっぱいになってしまうのだった。連れ込まれた生徒会室?みたいな所で、レジナルド様が爆弾を投下した。
「父上を氷漬けにするとはやるじゃないか、アリス嬢」
「たたた大変申し訳ありませんでしたああああああああああああ!!!」
気付いた時には、私は前世と今世合わせて、初めてのスライディング土下座をレジナルド様に披露していた。
結果的に良かったよね、とかじゃない!!マックスとの仲を修復させるお手伝いをしたつもりが、とんだ大事になってしまって、しかもレジナルド様にとっては実の父親な訳ですよ!!謝って済む問題じゃないと思うけど、本当に大変申し訳ありませんでしたっっ!!!
「……別に俺は怒ってなどいない。むしろ感心しているよ。あの父上をこうも簡単に失脚させるとはな」
怒ってない……?
あのレジナルド様が??
私は恐る恐る顔を上げてみた。しかし、やはりそこには悪魔が居た。
「だが、そうだな。せめて一言、ここまでやると教えておいて欲しかったかな。ここ数日は忙し過ぎて記憶がないくらいだよ」
た、確かに……レジナルド様の凛々しいお顔は少し疲れた様子で、薄っすらと目の下に隈が…………
いきなり父親が氷漬けにされて、実家に監査が入り、父親失脚、突然の爵位継承。きっとまだまだやる事が残っている中、無理矢理学園に出てきたのだろう。
今回の件は本当に私が悪かった。
マジでごめんなさい、レジナルド様。
しかし、悪魔な笑顔を浮かべていたレジナルド様は、それ以上責めては来なかった。それどころか、少しだけ表情が柔らかくなっている。
「だが、これでもう父上がマックスに何かするのではと、心配する必要は無くなった。礼を言う」
なんと。
「……熱でもあるんですか?」
「殺すぞ」
「お礼などと恐れ入ります。もう何もないとは思いますが、次にこのような機会がありましたら必ず先に一言ご報告に伺わせていただきます」
「ああ。是非そうしてくれ」
「ははー」
レジナルド様が悪代官に見えるわ。
どうか貴方は父君とは違う、良い大人になってね。その悪魔な笑顔と性格は隠しておいた方がいいよ。
「……まぁそんな訳で、俺はアリス嬢争奪戦からは降りるから安心しろ」
へ?
「アリス嬢はマックスと上手くいっているのだろう?前にも言ったが、俺は友人の想い人に横恋慕する気はないからな」
いやいやいや。
ちょっと待って。いつからそんな争奪戦なんてやってたの?
全然知らんのだけど。
「なんだ、自覚がないのか?意外と鈍感だな」
鈍感じゃありませんっ!!
というか、別物だと分かってるけど、一応レジナルド様達は乙女ゲームに登場してるんだよ?貴方達は攻略する方じゃなくて、攻略される方だからね??
乙女ゲームって、女が好みのイケメンを落とすゲームだから!!主旨違うから!!!
「何を怒っているんだ?」
「怒ってませんよ。ただ、レジナルド様が変な事を仰るから……」
「……そういえば、前にアリス嬢は俺に友達になりましょうと言ったな?」
「え?……ああ、言いましたね。だって、マックス好きに悪い人は……」
「ゴホンッ。……友達ならば、今後は愛称で呼んで欲しい」
え。
どしたの、この人。
「俺の事はレジーと呼べ」
「…………ああ、はい」
「うむ」
…………レジナルド様がデレた。
* * *
10
あなたにおすすめの小説
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる