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本編
デートのお誘い
しおりを挟む夏期休暇が半分終わりそうです。
前世ではよっぽど終わってくれるなと思ったのに、今世では今すぐにでも終わって欲しい。
これが愛の力ってやつね。
いや、待って。
確かにマックスには今すぐ逢いたい。逢いたいけど…………
あ、あんな事をされてしまったのに……?!やっぱり今すぐは無理だわ。
無理無理無理…………
そんな事を考えていたせいか、マックスから水鏡での音声通信が入った。
「ひゃあああ?!ま、マックスから?!マックスから?!どうする?!どうしたら……」
私が通信に出ようか迷っていると、影の中に居たクロが勝手に通信をONにした。
ちょちょちょおおおおっ?!!
まだ心の準備が!!何勝手にONにしてるのクロさんん?!!
「…………」
え?!
く、クロ……??
何も言わずに、また影に戻っちゃったけど、どうしたんだろう?なんだか少し切なそうな顔してた。
そういえば昨日、クロに対して何か言った気がするんだよね。何だったっけ……
思い出せない……
「うーん」
『アリス?』
「えっ?!あ、マックス……?!」
『通信に出たと思ったら、急に唸り声が聞こえたので。何かあったのですか?』
「あったと言うか、なかったと言うか…………」
『??』
「クロの元気がなくて……」
『……っ』
「あ!ええと、そうじゃなくて、何か私にご用ですか?」
『…………いえ、用と言う程では……いや、アリス。明日、お時間ありますか?』
「え?明日どころか、ずっと暇してますけど……」
私がついそう言ってしまうと、マックスの可愛い笑った声が聞こえた。
音声通信でのマックスの声って、妙に艶っぽくて困る……っ
『なら、良ければ明日二人で逢いませんか』
「二人で……?」
ぐはっ!!
今胸がキュンとしたわ……
音声通信でも女をキュンとさせるだなんて、マックスってば本当に末恐ろしい人ね。
『デートしましょう、アリス』
「でっ……?!」
『デートです。俺達、あまりデートとかしてないでしょう?婚約したのですから、これから沢山しましょう。デート』
「う、うん。……そうですね」
『それでは、明日迎えに行きます。時間は……早くても大丈夫ですか?』
「ぜ、全然大丈夫です!」
『良かった。じゃあ、明日の朝9時に迎えに行きます』
「はい!」
『アリス』
「マックス?」
『……好きです』
「?!」
『アリス?』
「わ、私も……私も、好き、です」
『……明日、楽しみにしてます。おやすみなさい』
「おおおおやすみなさい!!」
音声通信OFF。
………………………………うひゃあああああああああああああああ!!!おん、音声通信で好きって耳にくるうううううううううう!!!!!
耳どころか腰にくるっ!!
色々ヤバイ!!!
なんなの?!マックスは音声通信で私を殺す気?!!痛いっ!もはや心臓が痛いからあああああああ!!!
これが俗に言うリア充か……
リア充って心臓大丈夫なの?常にこんなに痛いんじゃ、すぐに死んじゃう気がするわ。リア充って思ってたより大変なのね……
というか、待って。
デートですよ。明日はデート。
マックスとデート。
マックスの逞しい腕に寄り添ったり出来ちゃうかも?!待って、アリス。はしたない子だと思われないようにしなくちゃ。しかし、今は夏。
この間の海では、あまりに神々しくて直視出来なかったけど割れた腹筋ヤバすぎた。
マックスの事だから、爽やかで品のある感じの薄いシャツとか?……くそ、ここが前世だったら絶対ノースリーブ着てもらうのに!!いや、普通のTシャツでも絶対可愛い。ピンクとか似合うかも。ピンク着こなしちゃう男の人って私的にレベル高い!!
マックスに前世の服を着せたいいいい!!
ハッ!!
とりあえず、今は自分の服よ!!
明日何着ていこう??下着も可愛いやつの方が………………………………ああああああああああああ!!!何考えてんの?!可愛い下着つけていってどうする気?!!
落ち着け。落ち着いて、アリス。
下着は普通で大丈夫。マックスは紳士なのよ?何もない。何も起こらない。だから下着は普通で大丈夫!!!
「この間のお仕置きみたいな事、そうそう起こる筈ないわ」
私は浮かれていた。
故に、マックスがまた少しクロに妬いている事にも気付かなかった。
まさか明日のデートで、お仕置きの時のようにイチャイチャする事になるなんて、この時の私は全く考えていなかったのだった。
* * *
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